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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<136>2016年のUCIワールドチーム、プロコンチーム決定 ディスクブレーキの導入を拡大

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 国際自転車競技連合(UCI)が、2016年シーズンのロードレースを戦う18のUCIワールドチームと、19のUCIプロコンチネンタルチームを発表。来季にツール・ド・フランスやクラシックレースなどを戦うチームの顔ぶれが揃った。また、2015年シーズンに試験的に導入されたディスクブレーキに関する規定が見直されることになった。新たな展開を見せるロードレースシーンの動向を押さえていきたい。

アフリカ大陸初のUCIプロコンチネンタルチームとして、2015年はツール・ド・フランス初出場を果たし、ステージ優勝も挙げたMTN・クベカ。2016年シーズンはメーンスポンサーを南アフリカのIT大手・ディメンションデータに変えてワールドチームに昇格する Photo: Yuzuru SUNADAアフリカ大陸初のUCIプロコンチネンタルチームとして、2015年はツール・ド・フランス初出場を果たし、ステージ優勝も挙げたMTN・クベカ。2016年シーズンはメーンスポンサーを南アフリカのIT大手・ディメンションデータに変えてワールドチームに昇格する Photo: Yuzuru SUNADA

UCIワールドチームは18チーム ディメンションデータが昇格

 当コーナーの第131回で、2016年シーズンのUCIチーム登録申請状況をお伝えしたが、このほどグランツールやクラシックレースなど、世界最高峰のレースを主戦場とする第1カテゴリー(UCIワールドチーム)として、UCI規定の上限にあたる18チームが承認された。

 今回のUCIワールドツアーライセンス発行は、これまでと同様にチームの競技力、シーズン予算などの財政力、契約を済ませた選手の登録状況、反ドーピング姿勢など倫理性―を中心に審査。UCIとは別組織にあたるライセンス委員会によって、各チームの活動を確認していった。

 11月9日に第1陣として11チームをUCIワールドチームとして認可。その中には、アスタナ プロチームも含まれた。

2015年は不安定な状況のなかレースに出場し続けたアスタナだが、厳しい監視を経て晴れて2016年ライセンスを獲得 Photo: Yuzuru SUNADA2015年は不安定な状況のなかレースに出場し続けたアスタナだが、厳しい監視を経て晴れて2016年ライセンスを獲得 Photo: Yuzuru SUNADA

 アスタナは2014年シーズン、所属選手と下部組織で走っていた若手選手による相次ぐドーピング違反が発覚。今シーズンは、UCIがワールドツアーライセンス剥奪を求めるなどチームの倫理面と組織面を問題視する声が挙がったが、ローザンヌ大学スポーツ科学研究所(ISSUL)の厳しい監視下のもと、条件付きでレース活動が認められていた。

 ISSULは6月と9月に2度の定期レポートをライセンス委員会に提出。いずれも結果は良好で、今回の申請においても問題がないと判断された。

 10月1日に締め切られた登録申請では、2015年シーズンと同じ17チームが来季のワールドチーム承認を目指したが、その一方でUCIが上限18チームの認可に積極的な姿勢を見せた。結果として、申請を行っていた17チームが承認されたことに加え、ここ3シーズンは第2カテゴリー(UCIプロコンチネンタルチーム)で活動してきたディメンションデータ(旧MTN・クベカ)を“昇格”させることで、UCIが目指した18チームによるワールドツアーが2年ぶりに実現する。

 ディメンションデータは当初、第2カテゴリーへの登録を申請。しかし、近年のビッグレースでの活躍ぶりや資金力、スポーツ倫理への取り組みをUCIが高く評価。ライセンス委員会がチーム関係者を召喚し、ワールドチーム昇格に向けたヒアリングを行った。

 チームもそれに合わせ、プロコンチネンタルチームの選手登録上限(25選手)を上回る26選手との契約を締結。トップカテゴリーで走るための準備を着々と進めた。そして、11月25日に発表された18のUCIワールドチームの中に、晴れてディメンションデータの名が記された。

トップスプリンターのカヴェンディッシュがディメンションデータに加入。ベルンハルト・アイゼル(オーストリア)ら旧知のアシスト選手も集められた Photo: Yuzuru SUNADAトップスプリンターのカヴェンディッシュがディメンションデータに加入。ベルンハルト・アイゼル(オーストリア)ら旧知のアシスト選手も集められた Photo: Yuzuru SUNADA

 ディメンションデータは来シーズン、エティックス・クイックステップから移籍するマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)ら大型補強に成功。2013年のプロコンチネンタルチーム昇格以降、ことあるごとに「アフリカ大陸初」のフレーズがたびたび挙がったが、これからは充実のチーム力でトップシーンを賑わせることだろう。

 11月25日に全18チームが発表され、2016年のUCIワールドチームが確定した。

●2016年 UCIワールドツアーチーム(UCIコード・登録国)

アージェードゥーゼール ラモンディアル(ALM・フランス)
アスタナ プロチーム(AST・カザフスタン)
BMCレーシングチーム(BMC・アメリカ)
キャノンデール プロサイクリングチーム(CPT・アメリカ)※旧キャノンデール・ガーミン
ディメンションデータ(DDD・南アフリカ)※旧MTN・クベカ
エティックス・クイックステップ(EQS・ベルギー)
エフデジ(FDJ・フランス)
イアム サイクリング(IAM・スイス)
ランプレ・メリダ(LAM・イタリア)
ロット・ソウダル(LTS・ベルギー)
モビスター チーム(MOV・スペイン)
オリカ・グリーンエッジ(OGE・オーストラリア)
チーム ジャイアント・アルペシン(TGA・ドイツ)
チーム カチューシャ(KAT・ロシア)
チーム ロットNL・ユンボ(TLJ・オランダ)
チーム スカイ(SKY・イギリス)
ティンコフ(TNK・ロシア)※旧ティンコフ・サクソ
トレック ファクトリーレーシング(TFR・アメリカ)

※チーム名・UCIコード・登録国はUCIの発表による

UCIプロコンチームは19チーム 旧ヨーロッパカーは再審査

 UCIワールドチームの発表と合わせ、第2カテゴリーにあたるUCIプロコンチネンタルチームに承認された19チームも発表された。これらのチームは、各大陸で行われるHCクラス、1クラス、2クラスのレースを主戦場としながら、UCIワールドツアーレースへの招待出場を目指すことになる。

 こちらも11月9日に第1陣として17チームの申請が認められ、同25日には今年まで第3カテゴリー(UCIコンチネンタルチーム)で活動していたロス・シュコダと、今シーズンからプロコンチネンタルチームとして活動しているクルトエナジー・ストルティンググループが追加で承認された。

2015年にプロコンチネンタルチームに昇格したNIPPO・ヴィーニファンティーニは、2016年もライセンスを継続。日本チャンピオンの窪木一茂の加入が明らかになっている Photo: Yuzuru SUNADA2015年にプロコンチネンタルチームに昇格したNIPPO・ヴィーニファンティーニは、2016年もライセンスを継続。日本チャンピオンの窪木一茂の加入が明らかになっている Photo: Yuzuru SUNADA

 2016年シーズンから新たにプロコンチネンタルチームとして活動するのは、ロス・シュコダのほか、デルコ・マルセイユ・プロヴァンス・KTM、フンヴィッキソウルサイクルズ・カルフール、ワンプロサイクリング、ヴェルヴァ アクティブジェット プロサイクリングチームの5つ。いずれもUCIコンチネンタルチームからの昇格組だ。

 デルコ・マルセイユ・プロヴァンス・KTMの前身は、別府史之(トレック ファクトリーレーシング)らを輩出した名門のラポム・マルセイユといえばお分かりのファンも多いだろう。また、ワンプロサイクリングは、クリケットのスター選手だったマット・プライアー氏がオーナーを務める。2014年秋に設立され、レース参戦初年度となった今年はイギリス国内リーグを席巻。活躍の場を世界に移し、2017年のグランツール出場と若手育成を同時に進める。

 一方で、申請を行っていたうちバルディアーニ・CSF、CCCスプランディ・ポルコヴィツェ、ダイレクトエナジー(旧チーム ヨーロッパカー)、チーム チャルコール(旧サウスイースト)の4チームは11月25日時点では承認されなかった。その理由は明らかになっていないが、今後再審査を経て12月中には結果が発表される見通しだ。

●2016年 UCIプロコンチネンタルチーム(UCIコード・登録国)

アンドローニジョカットリ(AND・イタリア)
ボーラ・アルゴン18(BOA・ドイツ)
カハルーラル・セグロスRGA(CJR・スペイン)
コフィディス ソリュシオンクレディ(COF・フランス)
クルトエナジー・ストゥルティンググループ(CST・デンマーク)※旧クルトエナジー プロサイクリング
デルコ・マルセイユ・プロヴァンス・KTM(DMP・フランス)※旧チーム マルセイユ13・KTM
ドラパック プロフェッショナルサイクリング(DPC・オーストラリア)
フォルトゥネオ・ヴィタルコンセプト(FVC・フランス)※ブルターニュ・セシェ アンヴィロヌマン
フンヴィッキソウルサイクルズ・カルフール(FSC・ブラジル)
NIPPO・ヴィーニファンティーニ(NIP・イタリア)
ワンプロサイクリング(ONE・イギリス)
ロームポットオレンジペロトン(ROP・オランダ)※チーム ロームポット
ロス・シュコダ(ROT・スイス)
ルスヴェロ(RVL・ロシア)
チーム ノボノルディスク(TNN・アメリカ)
トップスポルト ヴラーンデレン・バロワーズ(TSV・ベルギー)
ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリング(UHC・アメリカ)
ヴェルヴァ アクティブジェット プロサイクリングチーム(VAT・ポーランド)
ワンティ・グループゴベール(WGG・ベルギー)

※チーム名・UCIコード・登録国はUCIの発表による

全レースでディスクブレーキ使用可能に

 UCIは11月30日、サイクルロードレースにおけるディスクブレーキの試験的な導入を2016年シーズンすべてにわたって行うと発表した。期間や回数は定めず、使用の判断はチームに委ねられることに。対象はすべてのUCI登録チーム(UCIワールドチーム、同プロコンチネンタルチーム、同コンチネンタルチーム、同ウィメンズチーム)となり、出場するすべてのレースで使用が可能となる。

2015ブエルタ・ア・エスパーニャで、マルケル・イリサル(スペイン、トレック ファクトリーレーシング)に用意されたディスクブレーキ装備のトレック・ドマーネ Photo: Yuzuru SUNADA2015ブエルタ・ア・エスパーニャで、マルケル・イリサル(スペイン、トレック ファクトリーレーシング)に用意されたディスクブレーキ装備のトレック・ドマーネ Photo: Yuzuru SUNADA

 ディスクブレーキは、2015年8月から9月までの2カ月間、各チームが任意の2レース限定で試験使用が許可された。ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、チーム スカイ)がエネコツールで、トレック ファクトリーレーシングの一部選手がブエルタ・ア・エスパーニャで使用するなど、複数のチーム・選手が実戦投入しテストを行った。

 UCIは2017年からの本格導入に向け、あらゆる課題をクリアしていこうと取り組んでいる。ディスクサイズや規格、万が一落車した際の安全性やメカニックマンの負担など、検討を重ねていくこととなる。

 自転車メーカー各社も準備を進めており、スペシャライズド社とカンパニョーロ社はいつでも供給できる段階にあることを明らかにしている。レース関係者による大方の予想では、3月から4月にかけての北のクラシックで導入するチームが多いものとみられている。

今週の爆走ライダー-ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)

「爆走ライダー」とは…

1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

2015ブエルタ・ア・エスパーニャで激坂を疾走するポッツォヴィーヴォ Photo: Yuzuru SUNADA2015ブエルタ・ア・エスパーニャで激坂を疾走するポッツォヴィーヴォ Photo: Yuzuru SUNADA

 グランツールの山岳ステージで見せる強烈なアタック。年々力強さが増す登坂力を武器に、4度の総合トップ10フィニッシュを果たしている。

 今年のジロ・デ・イタリア第3ステージ、ダウンヒルで落車して顔面から路面に叩きつけられ、見た者に恐怖と衝撃を与えた。しかし1カ月後にはレースに復帰。安定して上位をキープするタフさをアピールし、次なるシーズンへいい流れを作った。

 総合エースクラスの選手がひしめくチームにあって、2016年はジロで総合優勝を狙う役割が確約された。ベテランで、頼れるキャプテンのジャンクリストフ・ペロー(フランス)と共闘する方針が決まったのだ。

 そして、33歳にして初めてツール・ド・フランスを目指すこととなり、一気に来シーズンへのモチベーションが高まった。「本当に素晴らしいアイデアだよ。年齢を考えると、ツールに出られるチャンスは残りわずかなんだ」。若きリーダーのロマン・バルデ(フランス)をアシストすると意気込む。

 シーズンのスケジュールが決まり、目標も定まった。ジロは自己最高でもある2014年に並ぶ総合5位、そしてツールはトップ10で終えること。けがやトラブルに泣くことの多かった過去とは決別し、大きなターゲットに向かって、走り続ける決意を新たにした。

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)

自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて十数年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

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