熊谷賢輔の「世界をつなぐ道」<5>自然豊かなコンパクトシティ カナダ・ホワイトホース

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 世界一周の旅がスタートして約1カ月半が経ち、僕はカナダのユーコン準州の州都「ホワイトホース」に到着した。ユーコン川など自然の魅力豊かな土地で、カヌーやカヤックを楽しもうと世界中から多くの人々が訪れる場所だ。実は僕も、カヌートリップをするためにホワイトホースを訪れたのである。

ホワイトホースはユーコン川とともに生活をしている Photo: Kensuke KUMAGAIホワイトホースはユーコン川とともに生活をしている Photo: Kensuke KUMAGAI

心強いフロントバッグ

購入したSEAL LINEの防水バッグ。他にも青、黄色とあったが、僕の出身大学のカラーにした Photo: Kensuke KUMAGAI購入したSEAL LINEの防水バッグ。他にも青、黄色とあったが、僕の出身大学のカラーにした Photo: Kensuke KUMAGAI

 カヌートリップに備えて、ホワイトホースでは防水バッグ(30リットル)を購入した。これで僕の持っているバッグは、フロントバッグ以外は全て防水になった。ちなみに、防水ではないフロントバッグは、このまま継続して使用し続けるつもりである。実はこのフロントバッグは、約7年間かけて自転車世界一周をした方から頂いた品で、すでに世界一周を経験済み。僕の目の前にこのバッグがあるだけで、とても心強いのだ。

 約3週間のホワイトホース滞在では、キャンプ場で生活をした。最初に居を構えたキャンプ場は、中心街から5kmと近いのは良かったが、途中に1カ所激坂があり大変だった。2日ほど滞在したが、たまらず別のキャンプ場へ引っ越した。ユーコン川沿いにあるキャンプ場は、快適で過ごしやすかった。

2つ目のキャンプ場は目の前がユーコン川。中心街まで自転車で10分もかからず便利 Photo: Kensuke KUMAGAI2つ目のキャンプ場は目の前がユーコン川。中心街まで自転車で10分もかからず便利 Photo: Kensuke KUMAGAI
ファーストネーション(先住民)のアートがいたるところにある Photo: Kensuke KUMAGAIファーストネーション(先住民)のアートがいたるところにある Photo: Kensuke KUMAGAI
町にはカヌー・カヤックのレンタルショップもたくさんある Photo: Kensuke KUMAGAI町にはカヌー・カヤックのレンタルショップもたくさんある Photo: Kensuke KUMAGAI
車で10分の場所にはクライミングができる岩場がある Photo: Kensuke KUMAGAI車で10分の場所にはクライミングができる岩場がある Photo: Kensuke KUMAGAI
さらに15〜20分走れば大自然が待っている。奥に見えるのはユーコン川 Photo: Kensuke KUMAGAIさらに15〜20分走れば大自然が待っている。奥に見えるのはユーコン川 Photo: Kensuke KUMAGAI

大自然が身近な町

近くにある山の展望台から見たホワイトホースの町並み Photo: Kensuke KUMAGAI近くにある山の展望台から見たホワイトホースの町並み Photo: Kensuke KUMAGAI

 ホワイトホースの人口は約2万人。ユーコン準州全体の約75%の人々が暮らす。町の中心街のサイズは500m×1500mとコンパクトで、この中に大手スーパーや各種チェーン店があり、とても暮らしやすそうだ。大自然が身近にあり、アウトドアアクティビティには全く困らない。

 基本的にはクルマ社会だが、町がコンパクトにまとまっているせいか、自転車に乗っている人もたくさんいる。ユーコン川沿いにはサイクリングロードが整備されているので、ポタリングやランニングを楽しんでいる人々も多い。僕も滞在中にランニングをして汗を流した。空気が美味しいし、ユーコンのサラサラと聞こえる川の音が、旅で疲れた心と身体を癒してくれる。

ランニング・サイクリングコースが整備されている Photo: Kensuke KUMAGAIランニング・サイクリングコースが整備されている Photo: Kensuke KUMAGAI
ユーコン川沿いにも道が整備されている Photo: Kensuke KUMAGAIユーコン川沿いにも道が整備されている Photo: Kensuke KUMAGAI
町中のメーンストリートには自転車レーンのピクトグラムがある Photo: Kensuke KUMAGAI町中のメーンストリートには自転車レーンのピクトグラムがある Photo: Kensuke KUMAGAI
ホイールだけで組み上げた球体。用途は分からないけど魅力的だ Photo: Kensuke KUMAGAIホイールだけで組み上げた球体。用途は分からないけど魅力的だ Photo: Kensuke KUMAGAI

アットホームなロードレースに遭遇

 中心街から5kmほど離れると、路肩が広くて走りやすいハイウェイがある。ロードバイク好きには最高の町だろう。僕がポタリングをしている時に、地元のサイクリストによるレースに遭遇した。

郊外に出れば、ロードバイク乗りには魅力的な道がある Photo: Kensuke KUMAGAI郊外に出れば、ロードバイク乗りには魅力的な道がある Photo: Kensuke KUMAGAI

 キャンプ場から中心街へ向かう際に交差点で止まっていると、必死に漕いでいるサイクリストを発見した。僕はレース中であることを知らなかったので、写真を撮らせてほしいとお願いをしてしまった。すると、近くにレース会場があると教えてくれたので、さっそく訪ねてみた。

 会場には多くの地元サイクリストと一緒に写真を撮ったり、話をしたりと交流した。町のイベントとして、サイクリングレースがある文化がとても素晴らしい。

レース中なのに写真を撮らせてくれたサイクリスト。ありがとうございます! Photo: Kensuke KUMAGAIレース中なのに写真を撮らせてくれたサイクリスト。ありがとうございます! Photo: Kensuke KUMAGAI
レースが終わった後の風景。アットホームな雰囲気が良かった Photo: Kensuke KUMAGAIレースが終わった後の風景。アットホームな雰囲気が良かった Photo: Kensuke KUMAGAI

個性の異なる2軒のサイクリングショップ

「iCYCLE SPORT」 Photo: Kensuke KUMAGAI「iCYCLE SPORT」 Photo: Kensuke KUMAGAI

 ホワイトホースには2軒のサイクリングショップがあった。店名は「iCYCLE SPORT」と「CADENCE CYCLE」。それぞれに特徴がある人気のショップだ。

 iCYCLE SPORTは、もともと倉庫だった場所を改装し、カフェも併設しているオシャレなショップだ。サイクリストだけでなく、地元のコーヒー好きも集まり、いつも活気があふれている。働き始めて3年が経つというスタッフのジョシュは、ロードバイクではなくマウンテンバイク(MTB)を愛用。ホワイトホースの近くにあるMTBのトレイルロードのことを嬉しそうに話してくれた。

店内は広く、余裕を持ったレイアウトだ Photo: Kensuke KUMAGAI店内は広く、余裕を持ったレイアウトだ Photo: Kensuke KUMAGAI
お客から見える位置でメンテナンス作業する Photo: Kensuke KUMAGAIお客から見える位置でメンテナンス作業する Photo: Kensuke KUMAGAI
お店の右側がカフェの入口だ。店名は「Midnight sun coffee roasters」 Photo: Kensuke KUMAGAIお店の右側がカフェの入口だ。店名は「Midnight sun coffee roasters」 Photo: Kensuke KUMAGAI
オシャレな雰囲気のカフェ。コーヒーはSサイズで1.5ドル Photo: Kensuke KUMAGAIオシャレな雰囲気のカフェ。コーヒーはSサイズで1.5ドル Photo: Kensuke KUMAGAI
反対側がサイクリングショップ。通り道があるので店内で行き来が可能 Photo: Kensuke KUMAGAI反対側がサイクリングショップ。通り道があるので店内で行き来が可能 Photo: Kensuke KUMAGAI

 もう一軒のCADENCE CYCLEは、外観はオンボロの一軒家で、サイクリングショップとしては小さい作り。それでも、壁だけでなく窓や天井まで、空いているスペースに余すことなく商品を並べることで、たくさんの商品を見ることができるレイアウトになっていた。少し移動をするだけで目の前の商品が変わるので、ワクワクしてくる。狭いスペースを逆に生かして、テーマパークのような楽しさを演出しているのだ。

「CADENCE CYCLE」 Photo: Kensuke KUMAGAI「CADENCE CYCLE」 Photo: Kensuke KUMAGAI
普通の一軒家を、ほぼそのまま使ったレイアウト Photo: Kensuke KUMAGAI普通の一軒家を、ほぼそのまま使ったレイアウト Photo: Kensuke KUMAGAI
窓にも構わず商品を展示 Photo: Kensuke KUMAGAI窓にも構わず商品を展示 Photo: Kensuke KUMAGAI
壁ではなく天井! サドルが展示されている Photo: Kensuke KUMAGAI壁ではなく天井! サドルが展示されている Photo: Kensuke KUMAGAI
狭い空間ながらスタッフが5人いた。若手の3人 Photo: Kensuke KUMAGAI狭い空間ながらスタッフが5人いた。若手の3人 Photo: Kensuke KUMAGAI

出会いを素晴らしい経験に

キャンプ場で出会ったイケてるカップル。ジャッキー(左)とマーティン Photo: Kensuke KUMAGAIキャンプ場で出会ったイケてるカップル。ジャッキー(左)とマーティン Photo: Kensuke KUMAGAI

 引っ越したキャンプ場で、新しい“チャリダー”(ロングツーリストやアドベンチャー・サイクリスト)の仲間に出会った。少し控えめでシャイな男性のマーティンと、積極的で元気な女性ジャッキーは、カナダ・モントリオール出身のカップル。僕がテントを張っている近くに彼らの自転車があった。

 自転車には色々な旗や荷物が取り付けられ、かなり目立っていたので、気になって僕から話しかけた。ジャッキーは、北米大陸らしい明るいノリでペラペラと話してくる。僕の英語レベルでは理解が難しいが、楽しく会話をすることができた。彼らも僕と同じく南へ向かう。整った顔立ちのジャッキーは、まさに僕好みのタイプだ。もう一度彼女に会いたいものである。マーティンごめんね。

マーティンの自転車。後ろに積んであるのは、熊対策のニオイを密閉する樽 Photo: Kensuke KUMAGAIマーティンの自転車。後ろに積んであるのは、熊対策のニオイを密閉する樽 Photo: Kensuke KUMAGAI
こちらはジャッキーの自転車。2人とも、旗が目立っている Photo: Kensuke KUMAGAIこちらはジャッキーの自転車。2人とも、旗が目立っている Photo: Kensuke KUMAGAI

 僕の英語レベルはまだ相当低い。彼らが話している内容は2割ほどしか分からないが、それでも会話というか、コミュニケーションは成り立っていると思う。言葉が分からない分、僕は相手の表情や動きをよく見るようにしている。聞き取れる単語を理解し、表情や身振りを組み合わせて言いたいことを伝える。一方的な思いかもしれないが、困ったことはいままで一度もない。せっかくの出会いを素晴らしい経験にするためにも、こちら側から積極的に話しかけるのだ。

ヘルメットカバーが、2人の仲の良さを表している Photo: Kensuke KUMAGAIヘルメットカバーが、2人の仲の良さを表している Photo: Kensuke KUMAGAI

 普段交わることのない出会いによって、人と人が交差して一つの点を作る。そのような出会いが増えることで点が線になり、いずれ縁になる。多くの当たり前のことに気付かされる自転車旅は、まだ始まったばかり。自ら進んで人々に話しかけ、「待ち合い」ではなく「出会い」を創造していきたい。

熊谷 賢輔(くまがい・けんすけ)熊谷 賢輔(くまがい・けんすけ)

1984年、横浜生まれ。法政大学文学部英文学科を卒業後、東京3年+札幌3年間=6年間の商社勤務を経て、「自転車で世界一周」を成し遂げるために退社。世界へ行く前に、まずは日本全国にいる仲間達に会うべく「自転車日本一周」をやり遂げる。現在はフリーライターの仕事をする傍ら、3年をかけて自転車世界一周中。
オフィシャルサイト「るてん」 http://ru-te-n.com/

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