MSN産経ニュースwest【衝撃事件の核心】より高級スポーツサイクル専門ドロ 出会い系カップル「窃盗生活」の実態は…

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高級自転車の窃盗行脚カップルを逮捕した大阪府警淀川警察署高級自転車の窃盗行脚カップルを逮捕した大阪府警淀川警察署

 自転車専門誌で売れ筋を研究して標的を定め、盗んだ自転車には2人乗りしないのがルール…。近年ブームのマウンテンバイクやクロスバイクといったスポーツタイプの高級自転車ばかりを盗んでは転売を繰り返していた男女が大阪府警に逮捕された。このカップルは盗んだ自転車をリサイクルショップや中古車屋で売りさばき、ホテルや漫画喫茶を転々とする、まさに“自転車操業”の生活を送っていた。2人の窃盗稼業に終止符が打たれたのは、とある被害者夫婦の執念。つぶさにネットオークションをチェックし、出品された被害品を自ら落札、犯人逮捕へとつながった。

狙いは世界的人気メーカー

 誰もが寝静まった深夜の住宅街。ひと組の男女の鋭い目線の先は、民家やマンションの駐輪場だ。いわゆるママチャリには目もくれず、スポーツタイプの自転車を物色。バッグに隠した大型のニッパーで防犯チェーンを切断し、まるで自分たちの自転車のようにサドルにまたがり、姿を消す…。

 大阪府警淀川署に窃盗容疑で逮捕されたのは、いずれも住所不定、無職の松本栄二(31)と棗田(なつめだ)真姫(26)の両容疑者=いずれも公判中。

 2人が狙ったのは、スポーツタイプの自転車。山道向けのマウンテンバイクをはじめ、マウンテンバイクをベースに舗装道路向けに改良したクロスバイクがあり、通勤・通学用としても人気が高い。

 複数の海外メーカーの営業担当者によると、こうしたタイプの自転車は、健康志向の高まりや乗り心地の良さから、ここ5、6年でブームになっている。価格は3~5万円台で、店頭での新車販売だけでなく、ネット上では部品の売買も盛んに行われ、中古市場も徐々に拡大しているという。

 「自転車は身近にあり、盗りやすく、さばきやすい」

 こう考えた2人はネットや自転車専門誌をあさり、人気ブランドや最新の売れ行き状況をチェックするように。狙いを定めた盗品は、ほとんどが販売価格10~15万円の外国製のクロスバイク。ルイガノ(カナダ)、ジャイアント(台湾)、トレック(米国)といった世界的に有名で日本でも人気を集める海外メーカーが大半を占めていた。

広範囲に及ぶ犯行

 2人はこれらの盗んだ自転車をリサイクルショップや中古自転車販売店で売却。1台あたり約1万円、月に約10万円を手にしていたという。

 2人の逮捕・送検容疑は2月21日午後6時~22日午前7時40分ごろに、大阪市淀川区の男性会社員(38)宅から自転車1台(時価約3万円)を盗むなど、昨年10月~今年4月、大阪府内で計32台(同約156万円)を盗んだとされる。

 しかし、2人は「大阪、兵庫など6府県で約70台を盗んだ」と供述。犯行は奈良、愛知、三重、静岡と広範囲に及んでいたとみられる。2人は盗んだ自転車を売却して得た金を元手にホテルや漫画喫茶を転々としていた。捜査で明らかになったのは、2人が自転車窃盗を“生業”としていた実態だった。

名古屋から大阪へ窃盗行脚

 捜査関係者によると、2人は平成22年夏、出会い系サイトを通じて知り合ったという。当時、名古屋市内でパチンコ店員をしていた松本容疑者は、広島県内で生活していた棗田容疑者を名古屋に呼び寄せ、同棲を始める。しかし、松本容疑者は職を失い、生活が困窮するようになった。

 「職探しのために大阪に行こう」

 新生活に向けてこう決心したが、定職を探すことはなかった。2人が選んだのは「自転車窃盗」だった。昨年10月ごろから自転車盗を始めると、自転車を売っては電車賃に換えることを繰り返し、大阪まで約1カ月かけて移動。その後は大阪を拠点にして、盗みを繰り返すようになった。

 盗みの手口は、慎重かつ大胆。犯行時間帯は、人目につかない午前1~2時から朝方にかけて。2人で街中を徘徊すると、路面から自由に出入りできるガレージや駐輪場に止めた自転車ばかりを狙い、片方が実行行為を働く際には、もう片方は少し離れた場所で人通りを伺う「見張り役」に徹した。

 さらに、1台だけ盗んだ際は、「警察に職務質問をされないように」と2人乗りをしないというルールを決めていた。盗んだ自転車を持ち帰り、宿泊先近くの駐輪場に止めて保管することもあったという。

ネットに出品「これだ!」

 2人が逮捕されたのは、ある被害者夫婦の執念がきっかけだった。

 2月22日午前8時前。大阪市淀川区の男性会社員(38)が出勤しようと、自宅脇にある駐輪スペースに出向いた際、夫婦が所有するマウンテンバイク2台がなくなっていた。

 「一瞬何が起こったのか分からなかったが、盗まれたと実感し、すぐに怒りがこみ上げた」

 通勤のためにスポーツタイプの自転車に乗り始め、次第に趣味になって10年になるという男性。盗まれた自転車は、男性が約15種類の部品を計約8万円で購入し、自分で一から組み立てたものだった。また、男性の妻(39)が乗っていたのは、著名な海外メーカー、ルイガノ社製のものだった。

盗難被害にあった夫婦がネットオークションで見つけた海外ブランドのマウンテンバイク盗難被害にあった夫婦がネットオークションで見つけた海外ブランドのマウンテンバイク

 夫婦は淀川署に相談する一方、「ネット市場で出回っているかもしれない」と考え、時間を見つけては、ネットオークションのサイトを閲覧した。

 そして3月上旬、男性は、妻のマウンテンバイク1台が出品されているのを見つけた。既製品のままではなく、サドルやライトの部品を交換していたのが何よりの証拠だった。

 夫婦はマウンテンバイクを落札して同署に被害届を提出。車体番号から夫婦が購入したものと確認され、捜査は本格化した。同署がスポーツタイプの自転車を持ち込む不審者の情報提供を求めていたところ、5月1日、大阪府東大阪市の中古自転車店に棗田容疑者が自転車を携えて来店、2人の逮捕に至った。

 しかし、妻のマウンテンバイクは買い戻すことができたものの、男性がカスタムしていた愛車は手元に戻っていない。

 ある捜査関係者は「逮捕された2人は自転車愛好家ではなかったが、研究を重ねていくうちに専門家のように詳しくなった。銀輪が金に見えるようになっていたのだろう」と指摘。しかし、被害者にとっては金銭被害以上の問題で、「自転車は相棒と呼べるものだった。愛着を持った道具を盗むのは許せない」と話している。

MSN産経ニュースwestより)

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