“やり残したこと”を成し遂げるための挑戦エリート1年目に単身フランスへ 「U23日本代表キャプテン」面手利輝インタビュー

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
  • 一覧

 2015年シーズンにロードU23(23歳未満カテゴリー)日本代表チームのキャプテンとして活躍してきた面手利輝(おもて・としき、エカーズ)が、2016年シーズンは単身フランスへ渡り、アマチュアのロードレースチーム「Team Payname」(チーム ペイネーム)で活動することになった。今年でU23を卒業し、エリートカテゴリー1年目のシーズンをフランスで“武者修行”する面手がCyclistのインタビューに応じ、来季の展望と抱負を語った。

今年3月に参戦したベルギーのケルメスレース Photo:Ken HASHIKAWA今年3月に参戦したベルギーのケルメスレース Photo:Ken HASHIKAWA

日の丸を背負い世界を転戦

 面手は1993年3月生まれの22歳。3年前、2012年全日本選手権ロードのU23カテゴリーで2位入って脚光を浴びた。これまでの4シーズンは、日本のチームとしてツール・ド・フランス出場を目指す「エキップアサダ」プロジェクトの若手選手発掘・強化チーム(エカーズ、EQA U23)に所属。フランスに遠征してレース経験を積むと同時に、日本自転車競技連盟(JCF)の強化指定選手に選ばれ、U23日本代表として日の丸を背負って世界各地のレースを走ってきた。

ジャパンカップにナショナルチームで臨む面手 Photo:Syunsuke FUKUMITSUジャパンカップにナショナルチームで臨む面手 Photo:Syunsuke FUKUMITSU

 今年は特に日本ナショナルチームとして走る機会が多かった。2月にアジア選手権U23、5月にツアー・オブ・ジャパンに出場。またヨーロッパ各地でのU23国際大会(UCI U23ネイションズカップ)を転戦し、9月にはアメリカでの世界選手権U23に挑み、10月のジャパンカップでは日本のエース新城幸也をアシストした。今年1年間で最も成長を感じさせた若手選手の1人だ。

 また23歳未満ながら、6月に開催された全日本選手権のエリートクラスに出場。結果には結びつかなかったが、強豪選手のなかで最終周回にアタックを仕掛けるなど、積極的な動きが目を引いた。

23歳未満ながら全日本選手権エリートカテゴリーにエントリーし、最終周回では積極的な動きを見せた面手 Photo:Cyclisme Japon23歳未満ながら全日本選手権エリートカテゴリーにエントリーし、最終周回では積極的な動きを見せた面手 Photo:Cyclisme Japon

 そして来年迎えるエリート1年目のシーズン、日本を拠点に走る道を選ばず、あえてフランス籍の新チームのジャージに袖を通す。その真意を、面手本人に聞いた。

◇         ◇

 ――来季、なぜフランスのアマチュアチームで走ることを選んだのか

面手:世界を舞台に戦う選手になること、それが目標。でもまだ僕は(真のプロの域に)達していない。まだ選手として足りないものがある。レースで成績を出して勝ち上がっていくことも大切だが、まだクリアしていかなくてはいけない、やり残していることがいくつもある。そのために、フランスのアマチュアチームを選んだ。

ケルメスレースで先頭をひく面手 Photo:Ken HASHIKAWAケルメスレースで先頭をひく面手 Photo:Ken HASHIKAWA
2月にフランスで行われたアマチュアレース Photo:Guy Dagot2月にフランスで行われたアマチュアレース Photo:Guy Dagot
2013年3月にフランスで行われた「モントーバン・ラフランセーズ」でチームメイトのサポートを受けて優勝した Photo:Akira ASADA2013年3月にフランスで行われた「モントーバン・ラフランセーズ」でチームメイトのサポートを受けて優勝した Photo:Akira ASADA

 ――やり残したこととは何か

 面手:2013年3月に「モントーバン・ラフランセーズ」というフランスのアマチュアレースをチームメイトのサポートを受けて優勝した。しかし、そのあと1回も優勝していない。走るレースのレベルが上がったから優勝争いをするのは難しくなったけれど、ここで勝てないと次のステップには進めない。(勝利という課題を)やり残して先へは進めないと思う。だからこの課題はもう1年持ち越しになる。いろいろ考えたけれど、方向を変えずにどうしても挑戦したかった。

世界で戦えていると実感できた

 ――U23の4年間はどういう時間だったか

面手:プロ選手になるための準備を満たし、そしてプロになることを目標に走ってきた。その目標に向かってむこうの世界(ヨーロッパ)で走ってきた4年間は、本当にかけがいのない時間だった。毎年走るレースのレベルが上がっていき、未知の領域へ進んでいく感覚は自分を夢中にさせた。日本代表の遠征では、世界中の代表選手が集まるネイションズカップや世界選手権などのレースを経験することで、自分の中で何かが変わった。基準のようなものが。そういう経験を繰り返せたことで少しずつ自分が変化し続けた4年間だった。

今年の夏はフランスのナイトレースの数多く参戦し経験を積んだ Photo:Guy Dagot今年の夏はフランスのナイトレースの数多く参戦し経験を積んだ Photo:Guy Dagot

 ――具体的にどのような変化だったのか

面手:ヨーロッパのレースでは、同世代の選手たちがあれほど気迫ある走りをすることに刺激を受けた。走りだけじゃなく、戦う意識そのものがすごく高い。選手のレベルの高さと、そこでの競争率の高さにも驚いた。初めてフランスへ行った頃は正直、そういう選手たちが遠くに見えて、自分が同じ選手とは思えなかった。でも、レースを走っていくうちに自分の中の常識がどんどん変わっていくのがわかった。今年はグンと近づけたように感じている。

 そういう経験が成長には絶対に必要。だから、世界で戦う選手を目指すならヨーロッパで走ることは条件になる。向こうの世界へ飛び込んでいき、何を感じて、何を得るかが大切。そこで順応していって、世界基準が自分の中の当たり前にならないといけないと僕は思う。

 今年の世界選手権で、僕は「戦えた」と感じることができた。ゴール手前10kmからの激しい位置取りがあり、その時間に確かに「世界で戦えている」と感じた。(ゴール手前4.5kmで落車し)結果は残せなかったけれど、4年間、自分の中で信じてきたものが間違いではなかったと確信できたとびきりの瞬間だった。

2015年世界選手権ロードレースU23を走る面手 Photo:Yuzuru SUNADA2015年世界選手権ロードレースU23を走る面手 Photo:Yuzuru SUNADA

海外での活動環境が自分を強くさせた

 ――今まではどのような環境で成長してきたのか

面手:エカーズのフランスでのレース活動、それから浅田監督率いるU23日本代表チームのヨーロッパ遠征やワールドカップ参戦、それらの活動があって僕は成長できたと思っている。

 フランスにはエキップアサダの拠点があり、ベルギーやオランダへ遠征に行ったときはチームユーラシア率いる橋川健さんにレースに連れて行ってもらった。ヨーロッパにそうして選手を受け入れてレースを走る環境を整えてくれている人たちがいる。だから僕らはより多くのレースを走り、経験を積むことができたし、その国のレースの特徴などを勉強することができた。ロードレースを学ぶ場・環境を整えてくれている方々にお世話になってきた。そうしてお世話になった方々には、僕がこの先強い選手へと成長していくことで恩返しをしたい。

 ――チーム ペイネームで走る来シースンの目標は

面手:この冬に日本でしっかり身体の準備をしてフランスへ渡りたい。2月に入ってすぐにスペインで合宿があるので、そこでチームとしっかりコミュニケーションをはかり、自分の居場所を作れるかどうかがまず大事。そしてレースへセレクションされるためには、走り方でも力を認めてもらう必要がある。チームから送られてきたレースカレンダーには、2月から毎週のようにレースが予定されていて、僕が今までエカーズで走ってきたフランスのレースもある。特徴とコースを知っているレースも走ることになる。そこでは優勝も狙いたい。今年やり残してきたことを必ず達成したい。1年間でしっかり成長をして、涼しくなって秋が終わる頃、成長した姿で日本へ帰ってきたい。

ピレネー山脈でのトレーニング風景 Photo:Cyclisme Japonピレネー山脈でのトレーニング風景 Photo:Cyclisme Japon

◇         ◇

 面手は1月に渡仏し、チームと合流して2016シーズンを迎える予定だ。「来年1年は修行にいくような心境です」と語る面手のフランスでの活躍と、これからの成長は、日本の若い世代の成長にも直結する。レース活動や現地での生活などの情報は、公式フェイスブックページで発信していくという。

チーム ペイネーム

「チーム ペイネーム」はフランスのインターネット決済サービス企業(Payname社)がスポンサーを務め、2016年から仏トゥールーズを拠点に発足するDN3カテゴリーチーム。多くのトップアマチュアレースで勝利を重ねてきた30歳のベテランのセバスティアン・ピヨンと、エリート世代に進んだばかりの若手で構成される。

面手利輝2016年使用アイテム
バイク:トレック/エモンダ Sl 6(チーム支給品)
ヘルメット:ボントレガー(チーム支給品)
シューズ:ボントレガー(チーム支給品)
サングラス:オークリー/ハーフジャケット2.0(カニヤスポーツグラスセクション製度付調光レンズ)

関連記事

この記事のタグ

インタビュー 日本ナショナルチーム

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載