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つれづれイタリア~ノ<60>豪華クルーズ船の旅で楽しむサイクリング お手頃価格で人気のイタリア的観光スタイル

by マルコ・ファヴァロ / Marco FAVARO
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 秋が深まり、とうとう冬の足音が聞こえてきました。シクロクロスはこれからですが、ロードレースの世界はしばらくお休みです。しかし、昨年紹介したプロのロードレースチームや選手が参加するイベントのように、今年のオフシーズンもイタリア国内では、ヴィンチェンツォ・ニバリ(アスタナ プロチーム)によるスピニングレッスンとサイン会など自転車関連の様々なイベントが催されました。また、オフシーズンの楽しみ方で近年もっとも人気を集めているもののひとつが、自転車とクルージングを合わせた新しい観光スタイルです。

クルーズ船を出発した参加者たち Photo : viaggiecultura.itクルーズ船を出発した参加者たち Photo : viaggiecultura.it

クルージングは世界的に人気上昇中

 かつてクルーズ船に乗ることは、富裕層の娯楽の代名詞でした。ところが近年のヨーロッパ、特にイタリアではびっくりするほど手頃な価格になりました。

コスタ・クロチェーレ社のクルーズ船 Photo: Costa Crociereコスタ・クロチェーレ社のクルーズ船 Photo: Costa Crociere

 イタリア最大のクルージング会社「Costa Crociere」(コスタ・クロチェーレ)が企画する地中海周遊旅行「イタリア~スペイン~イタリア 6泊7日の旅」という、ごく普通のプランを見てみると、499ユーロ(約6万6000円)から参加できます(傷害保険と入港料別)。

 料金のほか、人気の秘密は設備の充実ぶりとその豪華さです。船内は高級リゾートホテルのような内装で、飲み物は有料ですが食事は基本的に食べ放題で無料です。プール使用やアトラクション、ショー観戦も無料。子どもを預ける専用スペースもあるので、ゆっくり時間を過ごしたい夫婦にも人気があります。

クルーズ船の豪華な内装 Photo: Costa Crociereクルーズ船の豪華な内装 Photo: Costa Crociere
クルーズ船での食事は無料で食べ放題 Photo: Costa Crociereクルーズ船での食事は無料で食べ放題 Photo: Costa Crociere

 実際、クルーズの人気は留まることを知りません。2015年9月、クルーズライン国際協会(CLIA)が発表したデータによると、近年、クルージング人気は世界的に高まり、この10年で毎年4%の成長を記録しています。CLIAの加盟団体だけで今年のクルーズ船利用者は2300万人を超える勢いです。そして、本来のクルージングの楽しみ方(船内で時間を過ごし、港周辺で少し観光をする)だけでなく、「クルーズ+特別パッケージ」のプランが21%の成長を遂げています。ここで一番人気を集めているのが、自転車+クルーズの組み合わせです。

渡航先でのんびりサイクリング

 コスタ・クロチェーレ社によると、地中海で運行するすべての客船に3年前から自転車専門スタッフが配属され、自転車の無料貸し出しも行っています。

 渡航先において、スタッフが参加者と同行し、各地の観光名所を走り回ります。走行距離は10~15km程度。手ぶらで楽しめるプランなので人気が高く、予約しないと参加できません。補給食とドリンクも無料といううれしいサービス付き。参加資格は12歳から。

プロ選手と行くクルーズ

 ジロ・ディタリアを企画しているRCSスポルト社は、7年前から「チャンピオンと走るクルーズの旅」を実施しています。2013年にヴィンチェンツォ・ニバリ、2014年はミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ プロチーム)がゲスト参加しました。過去にはイタリア最強スプリンターのマリオ・チポッリーニや、ライダー・ヘシェダル(カナダ、キャノンデール・ガーミン)の参加も。そして今年は現役を引退したばかりのイヴァン・バッソ(イタリア、ティンコフ・サクソ)がクルーズに参加しました。

参加者たちと一緒に走るイヴァン・バッソ Photo : viaggiecultura.it参加者たちと一緒に走るイヴァン・バッソ Photo : viaggiecultura.it
クロアチアの美しい景色を眺めながら走る Photo : viaggiecultura.itクロアチアの美しい景色を眺めながら走る Photo : viaggiecultura.it

 RCSスポルトによると、2015年10月17~24日に行われたクルーズには90人が参加。自転車乗りの遊び心をくすぐる内容ばかりでした。

 船はイタリア北部、トリエステ港を出発してクロアチアとギリシャへ。渡航先ではバッソとサイクリングを楽しむイベントが催されました。あまり脚力に自信がない人のために、ショートコースも用意されています。コース設定は、ジロ・デ・イタリアのコースクリエーター、ナタリーノ・フェッラリ氏が担当。グループをサポートするのは、地元警察のパトカーとジロ・デ・イタリアの公式オートバイ。最後尾からは、救急車と回収バスがグループを追います。メカトラブルのサポートのため、コルナゴ社やヴィットリア社などから派遣されたスタッフが同行しています。

ジロ・ディタリアの公式オートバイが参加者をサポート Photo :  viaggiecultura.itジロ・ディタリアの公式オートバイが参加者をサポート Photo : viaggiecultura.it
参加者たちのバイク。コルナゴによる無料貸し出しバイクも Photo: viaggiecultura.it参加者たちのバイク。コルナゴによる無料貸し出しバイクも Photo: viaggiecultura.it
参加者のほとんどがピンク色の公式ジャージを着用。女性の参加も多い Photo : viaggiecultura.it参加者のほとんどがピンク色の公式ジャージを着用。女性の参加も多い Photo : viaggiecultura.it

 参加費は7泊8日で一人当たり549~799ユーロ(約7万2500円~10万5500円)。意外と安い。参加賞としてRCSスポルト社が発行するスポーツ紙、ガゼッタ・デッロ・スポルトから公式ピンクジャージがプレゼントされます。さらに抽選で、ジロ・デ・イタリア開催中のVIP席でのレース観戦権もプレゼントされました。

 今年の特徴として、ギリシャ・ケファロニア島への訪問が盛り込まれました。第二次世界大戦中にこの島に駐留していたイタリア軍が、ドイツ軍によって虐殺されたという悲しい出来事に対しての献花が企画されました。サイクリングや観光であっても、イタリア人は歴史と文化を忘れません。

上級者コースでも女性参加者が目立つ Photo : viaggiecultura.it上級者コースでも女性参加者が目立つ Photo : viaggiecultura.it

 さらに訪問先のヴェネツィアのすぐ近くにある100年の歴史を誇るヴェロドロームでは、ピスト競技の本格的な練習会も行われました。そしてクルーズ最終日はバッソとのディナーが催され、サイン会や撮影会も行われました。

◇         ◇

 さて、このようなクルージングプランに参加したい日本人サイクリストもいるかと思いますが、イタリア人向けのプランなので、イタリア語を話せないと厳しい部分はあります。しかし、スタッフはみんな英語を話せますので、最小限の英語力があれば楽しめると思います。来年の開催が楽しみです。

マルコ・ファヴァロMarco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)

東京都在住のサイクリスト。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会や一般社団法人国際自転車交流協会の理事を務め、サイクルウエアブランド「カペルミュール」のモデルや、欧州プロチームの来日時は通訳も行う。日本国内でのサイクリングイベントも企画している。ウェブサイト「チクリスタインジャッポーネ

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