【サンケイスポーツ紙面より】リオ・パラリンピック「金」有力ペア 鹿沼由理恵、田中まいが伊豆の国際大会で優勝

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 来年のリオデジャネイロ・パラリンピックで金メダル獲得が有力視される自転車選手がいる。視覚障害者の鹿沼由理恵(34)=楽天ソシオビジネス=は、パイロットを務める競輪選手の田中まい(25)=日本競輪選手会=と組んで昨年、世界選手権のロード・タイムトライアルで優勝。来年の大舞台で、再び世界の頂点を目指す。(文・サンケイスポーツ 只木信昭、編集・Cyclist)

タンデム自転車で疾走する田中まい(前席)と鹿沼由理恵 Photo: Yoshinori KANEKOタンデム自転車で疾走する田中まい(前席)と鹿沼由理恵 Photo: Yoshinori KANEKO

冬季パラにも出場した高い運動能力

 10月30日~11月1日に静岡県伊豆市の伊豆ベロドロームで開かれた国内初の国際大会「ジャパンパラサイクリングカップ」(※)のトラック種目に、田中と組んでタンデム(2人乗り)で臨んだ鹿沼が腕を撫した。

 「パラリンピックにつなげるためにも、勝ちたい」

 2人は「女子B タンデムスプリント」で見事に優勝し、パラリンピック出場権にかかわるポイントを獲得した。

 スキーを始めてわずか4年で、2010年バンクーバー冬季パラリンピックに出場したように高い運動能力の持ち主だ。だが2014年ソチ大会での表彰台を目指した2011年末、練習中に左肩を負傷。ストックを突けなくなって競技を断念した。

 落ち込んでいたとき、スキーで知り合った外国選手から「夏に自転車をやっている」とメールで励まされ一念発起。日本パラサイクリング連盟に連絡。男子選手が乗るタンデムの後席を経験し、イチからの挑戦を決めた。

世界選優勝を「奇跡で終わらせたくない」

 鹿沼のパイロット(前席でのコース取り担当)として田中に声がかかったのは、競輪学校在学中の2012年。競輪選手としてデビューした翌2013年、初めて鹿沼とタンデムに乗った。ペアを組んで2年。田中は鹿沼をこう評する。

 「鹿沼さんは、すごく負けず嫌い。強い気持ちを持った、本当のアスリート」

 コース取りやカーブでの傾き方など細かい戦略を本格的に考えるようになったのは、昨年8月の世界選手権。そこで金メダル獲得だから、伸びしろは大きい。

 「世界選手権で優勝して、本当にリオを目指す思いになった」と田中。過去、タンデム女子で日本のパラリンピック出場者はいない。「あの優勝を奇跡で終わらせたくない」とは鹿沼。リオでの栄冠で道を切り開く。

(※)ジャパンパラサイクリングカップ …国際自転車競技連盟(UCI)が公認する、日本で初めてのパラサイクリングの国際大会。リオ・パラリンピックへ向けたポイント対象大会でもある。10月30、31日にトラック競技、11月1日にロード競技が行われた。

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視覚障害を乗り越えて競技に挑む鹿沼由理恵(右)と、パイロットを務めるガールズケイリン選手の田中まい Photo: Yoshinori KANEKO視覚障害を乗り越えて競技に挑む鹿沼由理恵(右)と、パイロットを務めるガールズケイリン選手の田中まい Photo: Yoshinori KANEKO

田中 まい(たなか・まい)
1989(平成元)年12月25日生まれ、25歳。千葉市出身。日本競輪選手会所属。千葉経大付高で自転車競技を始め、日体大4年時に全日本学生選手権個人追い抜きなどで優勝。2012年に日本競輪学校に入学し、2013年5月にプロデビュー。同月初勝利。2014年6月に初優勝。通算優勝5度。父の進さんは元競輪選手。2013年から鹿沼由理恵のパイロットを務める。1m62cm、63kg。

鹿沼 由理恵(かぬま・ゆりえ)
1981(昭和56)年5月20日生まれ、34歳。東京.町田市出身。楽天ソシオビジネス所属。幼いころから弱視だったが運動好きで、陸上やゴールボールを経験。2006年にクロスカントリースキーを始め、2010年バンクーバー冬季パラリンピックではバイアスロン7位、クラシカル5km8位。けがのため2012年に自転車に転向、2014年世界選手権ロード・タイムトライアルで優勝した。1m61cm、53kg。

タンデム競技のルールアラカルト

 ★タンデム自転車
複数の人が前後に座り、同時にペダルで駆動できる自転車で、通常は2人乗り。前席でコース取りなどを担当する者はパイロット、後席者はストーカー(英語で蒸気機関車の火夫)と呼ばれる。後席の空気抵抗が少なく、またホイールベースが長いことから1人乗りより高速走行に向き、安定性も高いが、低速走行や小回りには不向き

 ★後席者にポイント
パラサイクリングでは前席に健常者、後席に視覚障害者が乗る形で使用され、ロードではロードレースとタイムトライアル、トラックの女子では個人追い抜きとスプリントが行われている。国際大会などでのポイントは後席の障害者のみに与えられ、ランキングにも後席者の名前だけが記載される

 ★五輪でも実施
かつて自転車競技でも五輪や世界選手権が実施されており、1990年のトラック世界選手権(前橋)では高校生だった稲村成浩、斎藤登志信組(現競輪選手)がタンデムスプリントで銀メダルを獲得。しかし五輪は1972年ミュンヘン大会、世界選手権は1994年で姿を消した。

リオ・パラリンピックへの道

 リオデジャネイロ・パラリンピックの自転車競技出場枠は国別に決まる。世界選手権などの大会で選手が獲得したポイントに基づく2014年の年間国別ランキングで、日本はすでに1枠を獲得。残る出場枠は2014年1月1日から2016年3月までの国別合計ポイントに比例して分配される。
日本パラサイクリング連盟は出場枠数確定後に代表を決める。男女それぞれ、獲得ポイントが最も多い選手を最優先で選出。その他は国内、国際大会の成績を考慮して選ぶ。鹿沼は10月30日時点で、世界ランキングでトラック部門3位、ロード部門17位につけている。

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