工具はともだち<81>ボルトに合わせてサイズを調節 モンキレンチは角度や寸法、強度で選ぶ

by 重田和麻 / Kazuma SHIGETA
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 「工具の選び方」を数回にわたってご紹介していますが、今回は工具の中でも比較的ポピュラーな「モンキレンチ」です。「工具はともだち<79>」でお伝えした通り、「Wrench」(レンチ)とは「ねじって回す」という意味。ということは、直訳すると「猿回し」という感じになっちゃうのでしょうか。猿でも使える工具だからモンキレンチ?いえいえ、モンキレンチという名称の由来は諸説ありますが、実際のところはわかっていません。英語では「Adjustable Wrench」。つまり調整が可能なレンチという意味です。

下アゴ部分の幅を調整することで、幅広いサイズのボルトを回せる「モンキレンチ」下アゴ部分の幅を調整することで、幅広いサイズのボルトを回せる「モンキレンチ」

サイズの異なるレンチを“兼任”

 首元にある「ウォーム」と言われる部品を回すことで下アゴ部分が開閉し、ある程度幅広いサイズのボルトを回すことができます。つまり、この工具1本あれば、いくつかのレンチを持っているようなもので大変便利です。

モンキレンチの各部名称モンキレンチの各部名称

 このモンキレンチを選ぶポイントはいくつかありますが、先ずは開口部の角度。モンキレンチの開口部の角度は15°と22.5°の2種類あるんです(JIS規格では15度と23度と区分されています)。15°のタイプは六角ボルトを基本対象としており、22.5°タイプは四角い部材がある配管作業など幅広い使い方ができます。角度については、どちらがいいとは一概にいえませんが、家庭でも使いたいという方にはより幅広い用途に向いている23度タイプがいいかもしれません。

 また、開口部の寸法。工具の世界では「呼び寸法」といい、100から600まで8サイズがあります。大きなサイズは当然回せる範囲は広くなりますが、ハンドルも長くなるので、大きければいいという訳ではありません。サイクリストの皆さんにおすすめするサイズは200か250といったあたりでしょうか。KTCのモンキレンチは通常より開口部が大きく開くようにできているので、使えるサイズが広いのが特長です。

使い勝手を追求し“規格外”に

 そして次に、等級というものがあります。JIS規格ではH級(強力級)、N級(普通級)、P級(部分鍛造品)に分かれ、読んで字のごとくH級が一番強く頑丈です。見分け方は、グリップ部分に「H」の文字が刻んであるかどうか。ただし、メーカーの独自規格で生産しているものもあるため、JIS規格をとっていないものも多くあります。

 実はKTCのモンキレンチもJIS規格をとっていません。より使い勝手のよい形状にした結果、JISで定められていない形になったためです。それでも強度は充分にありますし、同じように、最近の国内メーカーのモンキレンチにはJIS規格外の商品が数多くあります。こうした点から、JIS規格のH級のものか、国内メーカーのものを選ぶということが三つめのポイントです。そうすれば強度、精度ともに問題ありません。

おすすめは寸法表示付き

開口部に寸法表示があるモンキレンチ開口部に寸法表示があるモンキレンチ

 そして、四つ目は機能です。最近のモンキレンチには軽くするためにグリップ部分を抜いたものや開口部に寸法表示があるものがあります。特に開口部に寸法表示があるとアジャストするのに便利なので、おすすめです。

 あまり使用することのないサイズのボルトや、場合によっては四角い部品を回す時など、さまざまなシーンに使える大変便利なモンキレンチ。筆者が以前お会いしたプロメカニックにこんなことを教えてもらいました。「モンキー使えて一人前、モンキーばかり使うのは半人前」。なんだか深い言葉です。

◇         ◇

 最後にイベントのお知らせです。KTCとCyclistが、京都にあるKTC本社を拠点にしたコラボレーションイベントを11月28日に開催することになりました。

KTC「ものづくり技術館 匠工房」と、モデルでサイクリストの日向涼子さんKTC「ものづくり技術館 匠工房」と、モデルでサイクリストの日向涼子さん

 内容は自転車整備に欠かせないトルクレンチの使い方を説明する「KTC工具セミナー」と、2016年に開催が決定しているツアー・オブ・ジャパン(TOJ)の京都ステージのコースを「先取りライド」してしまおうというもの。

 KTCが応援するモデルの日向涼子さんも参加し、一緒にサイクリングして、トークショーも行うスペシャルなイベントです。詳しくは下記リンクの、Cyclistの告知記事をご覧ください。

重田和麻(しげた・かずま)

KTC(京都機械工具)入社後、同社の最高級ツール「nepros」(ネプロス)の立ち上げに携わった後、販売から企画、商品開発とさまざまな立場で同商品と歩みを共にしてきた。スポーツ自転車は初心者だが、工具についてはプロフェッショナル。これまでの経験を生かして、色々な角度からサイクリストに役立つ工具の情報を提供する。

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