次の島はどんな景色?懐かしい風景の島々を結ぶ「ゆめしま海道サイクリング」 冒険のような“自転車×フェリー”の旅

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 懐かしい風景が残る瀬戸内の島々をつなぐ“ゆめしま海道”(愛媛県上島町)。この海の道を走るサイクリングイベント「ゆめしま海道サイクリング」が9月28日に開催された。イベントの特徴は、チャーターしたフェリーを使用すること。走行距離は、愛媛・今治港をスタートする51㎞、広島・尾道港スタートする55㎞と決して長くはないが、急な上りなどもある走りごたえのあるコース設定で、初めてイベントに参加するビギナーから、地元のベテランライダーまでおよそ80人がサイクリングを楽しんだ。(レポート 岩崎竜太)

「ゆめしま海道サイクリング」参加者と自転車を乗せたフェリーはどんどんと加速し、弓削島を目指す。さっそく現れた美しい景色に船上からたくさんのシャッターが切られた Photo: Ryuta IWASAKI「ゆめしま海道サイクリング」参加者と自転車を乗せたフェリーはどんどんと加速し、弓削島を目指す。さっそく現れた美しい景色に船上からたくさんのシャッターが切られた Photo: Ryuta IWASAKI

「最高峰のサイクリングパラダイス」

弓削大橋を背に「ゆめしま海道サイクリング」の開会式が始まった Photo: Ryuta IWASAKI弓削大橋を背に「ゆめしま海道サイクリング」の開会式が始まった Photo: Ryuta IWASAKI

 参加者はまず、それぞれのスタート地点からフェリーで上島町の弓削島(ゆげしま)を目指す。フェリーには自転車をそのまま積むことができるので、ビギナーでも参加しやすい。朝9時頃に弓削港に到着した参加者を迎え、ほどなくして始まった開会式では、サイクルウエア姿の上村俊之町長が「上島町は日本でも最高峰のサイクリングパラダイス。今日は存分に海景色を満喫して欲しい」とあいさつした。

生名橋を渡る参加者たち。自力で海を渡るのはなんとも言えぬ満足感がある Photo: Ryuta IWASAKI生名橋を渡る参加者たち。自力で海を渡るのはなんとも言えぬ満足感がある Photo: Ryuta IWASAKI
サポートライダーを先頭にサイクリングがスタート! Photo: Ryuta IWASAKIサポートライダーを先頭にサイクリングがスタート! Photo: Ryuta IWASAKI

 スタートが切られると、参加者たちは乗ってきたフェリーを背に海岸線へペダルを漕いでいった。バイクは高級ロードバイクから、MTB、クロスバイクまでさまざまだ。天気に恵まれた暖かなスタート。直後には、これから渡る弓削大橋が視界に大きく飛び込んできた。コースの前半は基本的に平坦。風が心地よく通り抜け、気持ちがいい。ひとつだけあった上りは脚にやさしく、少し息が上がるもののつらくはなかった。

生名橋のたもとの大きなループを走行する参加者たち Photo: Ryuta IWASAKI生名橋のたもとの大きなループを走行する参加者たち Photo: Ryuta IWASAKI

走ってきた橋を海上から眺める喜び

美しいコスモスは秋のツーリングの楽しみのひとつ。愛媛の女子サイクリングチーム「ノッてる!ガールズEHIME」の作道泰子さん(手前)、MTBプロライダーの門田基志さんが花の前を走り抜けた Photo: Ryuta IWASAKI美しいコスモスは秋のツーリングの楽しみのひとつ。愛媛の女子サイクリングチーム「ノッてる!ガールズEHIME」の作道泰子さん(手前)、MTBプロライダーの門田基志さんが花の前を走り抜けた Photo: Ryuta IWASAKI

 イベントのゲストライダー、門田基志さんは、地元・今治を拠点に活躍するMTBクロスカントリーのプロ選手。世界選手権の日本代表にも選ばれるトップライダーだ。長年、選手活動を続ける中で、しまなみ海道をはじめ愛媛県のサイクリングイベントに何度も関わってきた。門田さんは、「島の多いこのあたりでは、橋ができる前は船で島から島へ渡ってツーリングするのが地元の人たちの楽しみ方でした。参加者のみなさんにこの冒険的な楽しみ方を知ってもらいたい」とゆめしま海道ツーリングへの思いを話した。

 生名島を一周して再び弓削大橋を渡り、弓削島を一周。走行距離は長くないものの、ミカン畑を縫う上りは走りごたえがあった。港に戻ると、フェリーで岩城島へ。港で手を振る地元の人たちの姿は小さくなっていった。エンジンの音は回転数が高まるとともに大きくなり、振動が体にも響いてきた。スピードを増すことで強くなる風が汗を吹き飛ばした。

弓削島に戻るとコースはミカン畑のある山へと向かう。短くも斜度のある上りは走りごたえがある Photo: Ryuta IWASAKI弓削島に戻るとコースはミカン畑のある山へと向かう。短くも斜度のある上りは走りごたえがある Photo: Ryuta IWASAKI
「自転車イベントを知って用意をしたんよ」という地元のおばあちゃんたちが、隠れエイドステーションを展開。参加者たちにみかんを配った Photo: Ryuta IWASAKI「自転車イベントを知って用意をしたんよ」という地元のおばあちゃんたちが、隠れエイドステーションを展開。参加者たちにみかんを配った Photo: Ryuta IWASAKI

 参加者たちは携帯電話やコンパクトデジタルカメラを手にし、それぞれに風景写真を撮っていた。その時、レンズが一斉に同じ方向を向いた。弓削大橋が迫って来たときだった。自らが走った橋を下から眺めるというチャンスは、滅多に体験することができない。だれもがその迫力ある姿に見とれていた。波にぶつかり揺れる船、次の島にはどんな景色が待っているのだろう? 高揚感を抱かずにはいられなかった。

自転車と共に船に乗り込む参加者たち Photo: Ryuta IWASAKI自転車と共に船に乗り込む参加者たち Photo: Ryuta IWASAKI
船上では湖風を感じながらみなリラックスモード Photo: Ryuta IWASAKI船上では湖風を感じながらみなリラックスモード Photo: Ryuta IWASAKI
弓削島の上りは急な勾配の上りが点在。参加者たちは励まし合いながら上った Photo: Ryuta IWASAKI弓削島の上りは急な勾配の上りが点在。参加者たちは励まし合いながら上った Photo: Ryuta IWASAKI
参加者たちは2隻の船に分乗して岩城島へ向かった Photo: Ryuta IWASAKI参加者たちは2隻の船に分乗して岩城島へ向かった Photo: Ryuta IWASAKI

心を満たす51kmは“一生の宝物”

弓削島のエイドステーションでは、地元の子供たちがレモネードや補給食をふるまった Photo: Ryuta IWASAKI弓削島のエイドステーションでは、地元の子供たちがレモネードや補給食をふるまった Photo: Ryuta IWASAKI

 岩城島に到着すると、まずは昼食の時間だ。上島町の岩城島は全国的に有名なレモンの産地。参加者たちは、レモンがのったレモンポーク丼やレモンケーキで胃袋を満たした。

 その後は、海景色を眺めながら信号のない道をのんびりと走っていく。美しい風景、暖かな日射し、冒険のようなフェリーでの旅――自転車に乗る人は、ベテランになると走行距離で満足感や達成感を得ようとする人が多いように感じる。しかし今回、僕が走った51㎞の距離で出会ったものごとは、1日をかけて380㎞を走った時よりも心を満たしてくれた。今治港に戻るフェリーの上から見えた雄大な海景色は、一生の宝物になるだろう。

岩城島はレモンの産地として有名。昼食はレモンポーク丼と、レモンケーキが供された。さっぱりとした風味がつかれた体に染み渡る Photo: Ryuta IWASAKI岩城島はレモンの産地として有名。昼食はレモンポーク丼と、レモンケーキが供された。さっぱりとした風味がつかれた体に染み渡る Photo: Ryuta IWASAKI
左から上村俊之上島町長、MTBプロライダーの門田基志さん、上甲俊史愛媛県副知事もサイクリングに参加。昼食のレモンポーク丼にご満悦 Photo: Ryuta IWASAKI左から上村俊之上島町長、MTBプロライダーの門田基志さん、上甲俊史愛媛県副知事もサイクリングに参加。昼食のレモンポーク丼にご満悦 Photo: Ryuta IWASAKI

 「7月末に自転車を手に入れたばかり」という愛媛県宇和島市の山本智生さんは、高知県仁淀川町の植木友里江さんと一緒にイベントに参加。植木さんは、「この自転車に乗るのは3回目ですが、ちゃんと楽しめました。ずっと海を見ながら走れてとても気持ちがよかった」と語った。

閉会式では抽選会が行なわれ、当選者には景品が渡された Photo: Ryuta IWASAKI閉会式では抽選会が行なわれ、当選者には景品が渡された Photo: Ryuta IWASAKI
愛媛の宇和島市から参加の山本智生さんと、高知の仁淀川町からの植木友里江さん。7月末に自転車を手に入れたばかりの植木さんは「ずっと海を見ながら走れてとても気持ちがよかった」 Photo: Ryuta IWASAKI愛媛の宇和島市から参加の山本智生さんと、高知の仁淀川町からの植木友里江さん。7月末に自転車を手に入れたばかりの植木さんは「ずっと海を見ながら走れてとても気持ちがよかった」 Photo: Ryuta IWASAKI

◇         ◇

 今回サイクリングイベントが行なわれた上島町は、イベントでなくても自転車で走ることができる。もちろん船での移動が必要だが、2016年3月31日まで上島町の各島への航路は自転車料金が無料になる「サイクルフリー」が実施されている。行くならいまがお得!

迫力のある斜張橋、生名橋は2011年7月に開通。弓削大橋を渡った弓削島までが現在のゆめしま海道。岩城島に渡る岩城橋は2018年前半に完成予定 Photo: Ryuta IWASAKI迫力のある斜張橋、生名橋は2011年7月に開通。弓削大橋を渡った弓削島までが現在のゆめしま海道。岩城島に渡る岩城橋は2018年前半に完成予定 Photo: Ryuta IWASAKI

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