MTBジャパンシリーズ クロスカントリー第5戦・富士見パノラマ斉藤亮が26インチ投入で富士見を制す カズに3分の大差を付けて完勝

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 MTBのJシリーズ富士見パノラマは、ダウンヒルに続き翌17日はクロスカントリー第5戦が行われ、斉藤亮(MIYATA-MERIDA)が序盤から後続を引き離す「強い」走りを見せて優勝した。

高々とバイクを掲げる斉藤亮。今年の開幕戦で勝った時にはこのパフォーマンスは無かった。今回の勝利に懸ける意気込みは相当なものだったのだろう高々とバイクを掲げる斉藤亮。今年の開幕戦で勝った時にはこのパフォーマンスは無かった。今回の勝利に懸ける意気込みは相当なものだったのだろう

 2012シーズン、開幕戦に29erのバイクであるBIG.NINEを投入して勝利した斉藤だが、それ以降のレースは国内サーキット最大のライバルと言える山本和弘(TEAM CANNONDALE)に連敗を喫する事になる。特に前回第4戦の富士見大会では両者一歩も譲らぬバトルを終盤まで展開し、勝敗は最終ラップまでもつれ込んだものの、斉藤は山本に競り負ける形でレースを落とした。今回までの約1ヶ月間、夏のインターバルを利用して斉藤とチームが選択した戦略は、26インチバイクへのスイッチだった。29erのメリットを知った上で、「軽く、取り回しが良い」という26インチバイクのメリットを優先したチームの戦術が、今回の斉藤の勝利に結びつく形となった。

 今年、富士見でのJシリーズは7月に続いて2戦目。ダウンヒルコースでは大幅なレイアウト変更が見られたが、クロスカントリーコースも一部レイアウトに変更が見られた。後半のリフト下の上り区間以降を大胆にカットした代わりに、エリートクラスにはダウンヒル常設コースの難セクション「A’」の一部を採用した距離4000m、標高差121mのコースが用意され、男子エリートクラスはこれを7周回して争われた。

 レース当日は朝から雨が降り、その後の天候が心配されたが雨は長くは続かず、ドライだったコースを湿らせる程度のコンディションでスタートした。

男子エリートのスタート。2段目につける斉藤は1周目の終盤には先頭に立っていた男子エリートのスタート。2段目につける斉藤は1周目の終盤には先頭に立っていた
富士見の常設コースの中ではダウンヒル上級者向けとして設定されているA'のロックセクションが今回のレースで使用された(エリートのみ)。ライダーは山本和弘富士見の常設コースの中ではダウンヒル上級者向けとして設定されているA'のロックセクションが今回のレースで使用された(エリートのみ)。ライダーは山本和弘
レースの序盤には雨が降る場面もあった。気迫の走りで後続を振り切る斉藤レースの序盤には雨が降る場面もあった。気迫の走りで後続を振り切る斉藤

 オーストリアでの世界選手権にジュニアカテゴリーで参加していた前田公平(LITEC/ProRide)が「スタートからダッシュして行けるところまで行くのが僕のスタイルです」と宣言した通り、1周目の序盤を先頭で引っ張る。しかし2周回目に入る頃には実力のあるライダーが徐々にポジションを上げ、斉藤が先頭に立った。さらにフランスから帰国しての参戦となった平野星矢(ブリヂストン・アンカー)、小野寺健(TEAM SPECIALIZED)、世界選手権U23日本代表の中原義貴(TeamMX/STORCK)、山本和弘らが続く展開。

最終ラップを走る平野星矢。フランスを拠点に活動する平野は久しぶりに日本のレースに出場した最終ラップを走る平野星矢。フランスを拠点に活動する平野は久しぶりに日本のレースに出場した
シングルの下りを走る小野寺健。後ろには門田基志(TEAM GIANT)が続くシングルの下りを走る小野寺健。後ろには門田基志(TEAM GIANT)が続く

 斉藤は先頭をキープ。気迫の走りで後続との差は広がる一方となった。

 新設のロックセクションA’では折り返しの大岩付近でバランスを崩す選手が続出、慣れないセクションに苦戦した選手が多かったようだが、ワールドカップのコースでは頻繁に登場するようなセクションであり、今後もこういった岩場等をコースに取り入れて行くのは、日本の競技レベル向上には必要不可欠だと感じた。また、観戦する観客にとっても大きな見所となった。

ゴール前でメリダ応援団の祝福に応える斉藤ゴール前でメリダ応援団の祝福に応える斉藤
ゴール直後、メリダ応援団に囲まれる斉藤ゴール直後、メリダ応援団に囲まれる斉藤
MERIDA O.NINE SUPERLITE CARBON TEAM-D(斉藤亮)MERIDA O.NINE SUPERLITE CARBON TEAM-D(斉藤亮)

 レースは斉藤が2位山本を3分以上引き離して完勝。3位に平野、4位に小野寺、5位松本駿(TREK)という結果となった。松本は前日に開催されたSDA大滝120kmにも参加しており、6時間3分で2位となるハードなレースを終えての参戦だった。

男子表彰式のフォトセッションには斉藤のバイクMERIDA O.NINE SUPERLITE CARBON TEAM-Dが添えられた男子表彰式のフォトセッションには斉藤のバイクMERIDA O.NINE SUPERLITE CARBON TEAM-Dが添えられた

 斉藤亮「カズ(山本和弘)の事はもちろん意識していましたし、ライバルになるのは星矢、健あたりになるだろうと思ってました。前回の富士見とか全日本では最後の最後で届かないっていうレースがあったので、今回は先行逃げ切りじゃないですけど、序盤から相手のペースをかき回すつもりで攻めました。バイクに関しては26も29も、どっちがベストって言うのははっきりとは決めにくいと思いますけど、今回はここで勝つ事だけを考えて、踏み出しの軽さなんかを優先して26を選んだのは正解だったと思っています」

 山本和弘「自分としては身体のコンディションも良くて、自信満々で挑んだレースだったんですけどね。スタートでペダルがうまく入らなくて出遅れちゃいました。それを挽回するのに1周目はホントきつかったですね。僕も全力でいきましたけど、それにしても今日の亮さん、速かったですよね」

 女子は中込由佳里(team SY-Nak)が優勝。與那嶺惠理(チーム・フォルツァ!)は4月の全日本ロードで2位になった選手だが、前回の富士見ではクロスカントリー初参戦で3位。今回はスタートでの落車で大きく出遅れたものの、挽回して2位となった。彼女の今後の活躍に注目したい。3位には田近郁美(GOD HILL)が入った。

女子エリートのスタート。21番の與那嶺惠理はこの後の落車によってバイクを痛め、大きく遅れてしまった女子エリートのスタート。21番の與那嶺惠理はこの後の落車によってバイクを痛め、大きく遅れてしまった
シングルトラックを走る中込由佳里シングルトラックを走る中込由佳里
このように自転車一台分の幅しか無いような狭い部分はシングルトラックと呼ばれている。パッシングに使える道幅の広い部分とシングルトラックが複雑に組み合わさってレースコースとなっている。ライダーは田近郁美このように自転車一台分の幅しか無いような狭い部分はシングルトラックと呼ばれている。パッシングに使える道幅の広い部分とシングルトラックが複雑に組み合わさってレースコースとなっている。ライダーは田近郁美
表彰式を待つ女子エリート上位3名。右から優勝した中込、2位の與那嶺、3位の田近表彰式を待つ女子エリート上位3名。右から優勝した中込、2位の與那嶺、3位の田近
レースではMCの役割も大きい。今回のレースではMTBシーンに精通したアリー氏がMCを担当。タイム計測チームと連携して正確な情報をアナウンスし、場内を盛り上げていたレースではMCの役割も大きい。今回のレースではMTBシーンに精通したアリー氏がMCを担当。タイム計測チームと連携して正確な情報をアナウンスし、場内を盛り上げていた
クロスカントリーでは車輪サイズの選択に各チームの戦略が見える。とにかく29インチ!という流れは落ち着き、じっくりと吟味できる程のデータが揃ってきているようだ。今回、斉藤亮のメリダチームは26インチを選択したが、平野星矢は650Bのプロトタイプを持ち込んだ。写真は門田基志の新しい29インチバイクを整備するジャイントチームの監督/メカニックである及川氏。門田は今回のレースには乗り馴れた26インチを使用していたクロスカントリーでは車輪サイズの選択に各チームの戦略が見える。とにかく29インチ!という流れは落ち着き、じっくりと吟味できる程のデータが揃ってきているようだ。今回、斉藤亮のメリダチームは26インチを選択したが、平野星矢は650Bのプロトタイプを持ち込んだ。写真は門田基志の新しい29インチバイクを整備するジャイントチームの監督/メカニックである及川氏。門田は今回のレースには乗り馴れた26インチを使用していた

男子エリート結果(4.0km×7=28km)
1 斉藤亮(MIYATA-MERIDA) 1:41:08.06
2 山本和弘(TEAM CANNONDALE) +3:17.29
3 平野星矢(ブリヂストン・アンカー) +5:23.45
4 小野寺健(TEAM SPECIALIZED) +5:31.81
5 松本駿(TREK) +7:01.32
6 門田基志(TEAM GIANT) +9:56.24

女子エリート結果(3.7km×4=14.8km)
1 中込由香里(team SY-Nak) 1:08:47.40
2 與那嶺惠理(チーム・フォルツァ!) +1:20.72
3 田近郁美(GOD HILL) +1:51.98

大会リザルトページ

(文・写真 中川裕之)

中川裕之中川裕之(なかがわ ひろゆき)
’06年、大きな病気を乗り越える課程で写真を撮り始める。
’11年からは活動の場を海外に広げ、山の中を走る自転車レースを追いかけている。
MTBのコアな部分にフォーカスした雑誌SLmの発行人。
http://www.slmedia.jp/slm-mtbphotojournal/

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