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栗村修の“輪”生相談<61>31歳男性「レースに出ることは、レースに勝つためのトレーニングになるのでしょうか?」

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 31歳、男でスポーツ自転車歴は4年程です。

 目的を「レースに勝つこと」とした場合、栗村さんの考える最も質を高められる方法は何なのでしょうか? 私自身はアマチュア中級くらいに位置していると思っており、エンデューロなどであればラストの局面くらいまで先頭集団にいることはできるレベルですが、勝つためにどうにかここを突き抜けたいと思っています。

 質を高めるには、やはりレースに出ることでしょうか? しかしレースばかりしていると楽を覚え過ぎて地脚がなくなるとも聞いたことがあります、本当なのでしょうか?? 

 是非、アドバイス下さい、よろしくお願いします!

(31歳男性)

 僕がいつも使う表現ですが、トレーニングとは強化というより、順応だと思っています。その観点からいくと、しばしば「レースが最高のトレーニングである」と言われる理由がわかります。なぜなら、レースには、(当然ですが)レースで勝つための基本要素が全部そろっているからなんです。要素がそろった「トレーニング」であるレースを走ることで、自然と、フィジカル・テクニック・メンタルのすべてが、レースに順応していきます。

 さて、ご質問にある「質」とは、いくつかの表現ができると思っていますが、「目標とする状況=順応したい状況にどれほど似ているか」とも言えると考えています。似ているということは、効率よく順応できるということですからね。

 ということは、レースは、トレーニングとしては最高の質の高さを誇るわけです。目標そのものですから。

 しかし、そんなレースにも落とし穴があります。それは、ご自身のレベルとレースとレベルとのすり合わせに失敗した場合です。

質の高い状況を設定することが質の高いトレーニングにつながる Photo: Ikki YONEYAMA質の高い状況を設定することが質の高いトレーニングにつながる Photo: Ikki YONEYAMA

 しつこいようですが繰り返しますね。トレーニングとは順応です。ということは、ご自身のレベルよりも低いレースにばかり出てしまうと、そのレースに順応してしまいますから、弱くなります。これが質問者さんがおっしゃっている「楽を覚え過ぎて地脚がなくなる」ということじゃないでしょうか。

 じゃあレベルの高いレースに出ればいいのかというと、それも違います。ご自身よりも高すぎるレベルのレースでは、あっという間にちぎれてしまうでしょうから、今度は「ちぎれること」に順応してしまいます。これじゃ、やっぱりだめですよね。

 キーワードは、「1段階上」です。そのくらいが、ちょうどいいんです。強豪チームの選手がよく言うのが、「うちのチームの練習はレースよりもきつい」というものです。レースよりも1段階きついトレーニングで引きずり回されることで、その状況に順応し、強くなるんです。

 したがって、ご自分の実力のちょっと上、「1段階」ほど上の仲間とトレーニングしたり、そのくらいのレースを探すのが質のいいトレーニングになるでしょう。あと、レースにはお客さんがいたり、表彰式があったりと、トレーニングにはない本番ならではの興奮があります。するとアドレナリンがでて、トレーニング以上に追い込めます。その意味ではやっぱり、レースのほうがいいかもしれませんね。

(編集 佐藤喬)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
 ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまでお寄せください。

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