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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<131>ウインターシーズンを迎えたサイクルロードレース界 来季のUCIチーム登録申請をチェック

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 10月17、18日の「ジャパンカップサイクルロードレース」、24日の「J:COM presents 2015ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」と、日本を舞台に2週続けて行われた国際的ビッグイベントは終了。2015年のサイクルロードレースシーズンは、アジア圏、南米圏での一部レースを除き、ほぼ終了した。日本国内がワールドクラスの戦いに熱狂していたころ、主戦場であるヨーロッパを中心にウインターシーズンの動きが活発化している。今回は、国際自転車競技連合(UCI)が公開した、2016年のサイクルロードレースシーズンにおけるチーム申請状況を押さえていきたい。

UCIワールドチームは今季と同じ顔ぶれ

 UCIワールドチーム、同プロコンチネンタルチームの登録申請はUCI競技規則にのっとり、8月1日から受付を開始。10月6日に公開された申請チームは、締切日である10月1日時点でのリストになっている。申請チームは以下の通り。

UCIワールドチーム(第1カテゴリー)

アージェードゥーゼール ラモンディアル
アスタナ プロチーム
BMCレーシングチーム
エフデジ
イアム サイクリング
モビスター チーム
オリカ・グリーンエッジ
チーム ジャイアント・アルペシン
チーム ロットNL・ユンボ
チーム スカイ
トレック ファクトリーレーシング
キャノンデール プロサイクリングチーム(2015年登録名:チーム キャノンデール・ガーミン)
エティックス・クイックステップ
ランプレ・メリダ
ロット・ソウダル
チーム カチューシャ
ティンコフ(2015年登録名:ティンコフ・サクソ)

UCIプロコンチネンタルチーム(第2カテゴリー)

アンドローニジョカットリ
バルディアーニ・CSF
ボーラ・アルゴン18
カハルーラル・セグロスRGA
CCCスプランディ・ポルコヴィツェ
コフィディス ソリュシオンクレディ
クルトエナジー・ストゥルティンググループ(2015年登録名:クルトエナジー プロサイクリング)
デルコ・マルセイユ・プロヴァンス・KTM(2015年登録名:チーム マルセイユ13・KTM)★
ダイレクトエナジー(2015年登録名:チーム ヨーロッパカー)
ディメンションデータ(2015年登録名:MTN・クベカ)
フォルトゥネオ・ヴィタルコンセプト(2015年登録名:ブルターニュ・セシェ アンヴィロヌマン)
NIPPO・ヴィーニファンティーニ
ロームポットオレンジペロトン(2015年登録名:チーム ロームポット)
ロス・シュコダ★
ルスヴェロ
チーム ノボノルディスク
チーム チャルコール(2015年登録名:サウスイースト)
トップスポルト ヴラーンデレン・バロワーズ
ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリング
ワンティ・グループゴベール

※チーム名はUCIの発表による
※★印は新規登録チーム

スポンサー変更が多いプロコンチネンタルチーム

 申請数はUCIワールドチームが17、同プロコンチネンタルチームは20となっている。

長年スポンサーを務めたサクソバンクが今シーズン限りで撤退。おなじみの名前がジャージから消えることになった Photo: Yuzuru SUNADA長年スポンサーを務めたサクソバンクが今シーズン限りで撤退。おなじみの名前がジャージから消えることになった Photo: Yuzuru SUNADA

 注目点をいくつか挙げておきたい。まず、UCIワールドチーム申請の「ティンコフ」は、2008年からメーンスポンサーとしてチームと歩み続けたデンマークの金融企業、サクソバンクが今シーズン限りでの撤退を表明。2016年シーズンはUCI申請名のティンコフで活動する予定だ。

 スポンサー企業の変化が多いのは、プロコンチネンタルチーム。運営資金の確保や活動規模が移り変わりやすいことが影響しているようだ。そうした状況下でも、20チームが申請を行った。

トマ・ヴォクレールらが残留するチーム ヨーロッパカーは、ダイレクトエナジーを新スポンサーに迎える Photo: Yuzuru SUNADAトマ・ヴォクレールらが残留するチーム ヨーロッパカーは、ダイレクトエナジーを新スポンサーに迎える Photo: Yuzuru SUNADA

 新城幸也が今シーズンまで所属し(2016年はランプレ・メリダへ移籍)、日本でも高い人気を誇ったチーム ヨーロッパカーは、フランスの電力・ガス供給企業のダイレクトエナジーを新スポンサーに迎える。今年、アフリカ系チームとして初めてツール・ド・フランス出場を果たすなどグランツールで活躍するMTN・クベカは、ツールやブエルタ・ア・エスパーニャでのレースデータ配信を行っている南アフリカのIT企業、ディメンションデータが新スポンサーに就くこととなった。

 プロコンチネンタルチームへの新規登録は2チーム。今年までUCIコンチネンタルチームとして活動したチーム マルセイユ13・KTMは、「デルコ・マルセイユ・プロヴァンス・KTM」としてプロコンチネンタルチーム昇格を申請した。別府史之がアマチュア時代に所属した「ラポム・マルセイユ」が前身と聞けば、ご存じの方も多いだろう。同じく、今年までコンチネンタルチームだったスイスチーム、ロス・シュコダもチーム強化に着手し、プロコンチネンタルチーム入りが濃厚だ。

2015年のブエルタ・ア・エスパーニャにも出場していたコロンビアだが、今シーズン限りで活動終了 Photo: Yuzuru SUNADA2015年のブエルタ・ア・エスパーニャにも出場していたコロンビアだが、今シーズン限りで活動終了 Photo: Yuzuru SUNADA

 一方で、これまでジロ・デ・イタリアやブエルタで活躍したコロンビアが、メーンスポンサーである同国スポーツ省(通称コルデポルテス)による支援打ち切りによって、チームの活動終了が決定。サウスイーストは2016年も活動は続く見込みだが、メーンスポンサーが確定していないことから、暫定措置として運営会社のチャルコールの名で申請している。

 オーストラリアのドラパック プロサイクリングは、申請時に必要な銀行保証に関する資料が締切に間に合わなかったためリストに入っていないが、すでに追加申請が受理されていることが明らかになっており、2016年もプロコンチネンタルチーム登録となる見通しだ。

 例年通りであれば、1回目の審査結果発表は11月上旬。そこで申請が正式に認められたチームと、再審査が必要なチームとが明らかになるだろう。過去には、運営資金や活動規模をUCIが精査した結果、申請時のカテゴリーから昇格・降格させられるケースも見られた。今後のチーム登録の推移も引き続き注視していきたい。

選手が選ぶ2015年のベストパフォーマンス

 「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」に関連して、興味深い話題をお伝えしたい。

 フランス・レキップ紙がさいたまクリテリウムに出場した有力6選手を対象に、「2015年のベストパフォーマンスはどのレースだったか?」というアンケートをとった。その結果、最も多かったのが、9月27日に行われたUCI世界選手権ロードレースでのペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)の勝利だったという。

UCI世界選手権ロードレースで、強烈なアタックから独走優勝を飾ったペテル・サガン Photo: Yuzuru SUNADAUCI世界選手権ロードレースで、強烈なアタックから独走優勝を飾ったペテル・サガン Photo: Yuzuru SUNADA

 アンケートに回答したのは、クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)、ジョン・デゲンコルプ、シモン・ゲシュケ(ともにドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン)、ロマン・バルデ、アレクシー・ヴュイエルモーズ(ともにフランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ)。

 サガンの勝利は、フルームとロドリゲス以外の4選手が支持した。ゲシュケは「サガンは春のクラシック、ツールと勝利できなかったことがプレッシャーになっていたはずだが、それがまるで嘘かと思うようなシーズン最後の勝利だった」とコメント。

「2015年のベストパフォーマンス」のレースを振り返ったのは、ジョン・デゲンコルプ(先頭)ら「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」を盛り上げた選手たち Photo: Yuzuru SUNADA「2015年のベストパフォーマンス」のレースを振り返ったのは、ジョン・デゲンコルプ(先頭)ら「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」を盛り上げた選手たち Photo: Yuzuru SUNADA

 春のクラシックではミラノ~サンレモ、パリ~ルーベでサガンを撃破して優勝したデゲンコルプは、サガンが勝利を決めた23番通りの上りでのアタックを振り返り、「誰もが警戒していた場所にもかかわらず、素晴らしい攻撃を見せた。あの動き自体は驚くほどのことではなかったが、誰も追随できなかった」と述べている。

 それだけ、選手たちにとってもサガンのマイヨアルカンシエル獲得のシーンは衝撃的だったということだろう。

 ちなみに、フルームは来シーズンからチームメートになるミケル・ランダ(スペイン、アスタナ プロチーム)が見せたジロでの活躍、ロドリゲスはチームメートであるアレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー)のツール・デ・フランドル勝利を挙げたのだとか。

今週の爆走ライダー-オスカル・ガット(イタリア、アンドローニジョカットリ)

「爆走ライダー」とは…

1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

 春のクラシックを主戦場としてきたイタリアンライダー、ガットにとって、31歳を迎える2016年はキャリア第2章のスタートとなる。このほど、ティンコフ移籍が決定。念願のビッグチーム入りを果たすこととなった。

 これまでの競技生活のハイライトは、2011年ジロ第8ステージ。ラスト1kmでの鮮やかなアタックでライバルを置き去りにし、そのままフィニッシュまで駆け抜けた。このとき、唯一彼に追いついたのが、来シーズンからチームメートとなるアルベルト・コンタドール(スペイン、その後薬物違反により記録抹消)だった。この移籍に際し、「アルベルトに勝ったことが、自らのステップアップに大いに役立った」と当時を振り返った。

2011年ジロ第8ステージを制したオスカル・ガット。「自らのステップアップに大いに役立った」と当時を振り返る © 2015 Tinkoff Sports A/S2011年ジロ第8ステージを制したオスカル・ガット。「自らのステップアップに大いに役立った」と当時を振り返る © 2015 Tinkoff Sports A/S
2013年のドワーズ・ドアー・フラーンデレンで優勝したガット。ティンコフではペテル・サガンのアシストを務める © 2015 Tinkoff Sports A/S2013年のドワーズ・ドアー・フラーンデレンで優勝したガット。ティンコフではペテル・サガンのアシストを務める © 2015 Tinkoff Sports A/S

 得意の石畳系クラシックでは、2013年のドワーズ・ドアー・フラーンデレンで小集団スプリントを制し優勝。新チームでは、世界王者のサガンをアシストする役割を担う。ともにモナコを拠点とする間柄であると同時に、2014年にはチームメートだったこともあり、コミュニケーションはまったく問題ない。さらに、チームはレースによってガットにエースを任せる意向もあり、これには本人もモチベーションを高めている。

 チームは1回目のビルディングキャンプをスタートさせた。その中にはもちろん、ガットの姿もある。「移籍オファーを断る選択肢はなかった」という最高の環境での生活が、いよいよ始まった。

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)

自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて十数年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

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