新城、別府は強力アタック【レース詳報】黄金のスプリントを披露したデゲンコルプ 「さいたまクリテリウム」でヒーローが競演

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 今シーズンに5大クラシックの2レースを制した世界的なスプリンター、ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン)が、日本で黄金のスプリントを披露した。さいたま市で10月24日開かれた「J:COM presents 2015ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」は、今年のツール・ド・フランスで活躍した選手が集結したドリームマッチといえる大会。終盤は有力選手6人の争いとなり、決定的な動きを演出した別府史之(トレック ファクトリーレーシング)が2位、新城幸也(チーム ヨーロッパカー)が6位に食い込んで沿道の大観衆を沸かせた。

表彰台に上がった(左から)2位の別府史之、優勝したジョン・デゲンコルプ、3位のクリストファー・フルーム Photo: Naoi HIRASAWA表彰台に上がった(左から)2位の別府史之、優勝したジョン・デゲンコルプ、3位のクリストファー・フルーム Photo: Naoi HIRASAWA

ファーストアタックは窪木 日本勢が仕掛けた序盤

 レースの舞台は、さいたま新都心に設けられた1周3.1kmの特設周回コース。スタート・フィニッシュ地点が昨年のさいたま新都心駅周辺から西大通りへと移動。周回方向も逆進行に変わった。しかし鋭角コーナーやUターンといったテクニカルなポイントはそのまま残され、スリリングなスピード勝負となることは変わらない。途中、4・8・12・16周目終了時の1~5位通過までにスプリントポイントが与えられ、6・10・14・18周目の山岳ポイント1~3位通過者にも得点が付与された。

スタートしていく選手たち Photo: Kyoko GOTOスタートしていく選手たち Photo: Kyoko GOTO

 レースは午後3時にスタート。先駆けて行われた「個人タイムトライアルレース」「ポイントレース」を終えた全54選手がスタートラインに並んだ。1周のパレード走行ののち、20周回のレースがはじまった。

線路横の道路をパレードランする選手たち Photo: Ikki YONEYAMA線路横の道路をパレードランする選手たち Photo: Ikki YONEYAMA
レース序盤に生まれた逃げ集団。さいたま新都心の街並みを背景に走る Photo: Naoi HIRASAWAレース序盤に生まれた逃げ集団。さいたま新都心の街並みを背景に走る Photo: Naoi HIRASAWA

 ファーストアタックは窪木一茂(チームUKYO)。これにヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、トレック ファクトリーレーシング)らが続き、7選手の逃げグループが形成された。3周目に入って、窪木、中島康晴(愛三工業レーシングチーム)、内間康平(ブリヂストンアンカー)が先行。その後、安原大貴(マトリックス・パワータグ)が合流し、4周目に控える最初のスプリントポイントへ。ここは、窪木、内間、中島、安原の順で通過した。

1回目のポイント周回は窪木一茂が先頭通過 Photo: Ikki YONEYAMA1回目のポイント周回は窪木一茂が先頭通過 Photo: Ikki YONEYAMA
スカイを先頭にアップダウン区間に入るメーン集団 Photo: Shusaku MATSUOスカイを先頭にアップダウン区間に入るメーン集団 Photo: Shusaku MATSUO

 5周目に逃げの4人が吸収された直後、新城、ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)、ペトル・ヴァコッチ(チェコ、エティックス・クイックステップ)、畑中勇介(チームUKYO)が先行を開始。6周目に設けられた山岳ポイントは、バルデ、新城、ヴァコッチの順で、8周目に迎えた2度目のスプリントポイントは畑中、新城、ヴァコッチの順で通過した。

逃げとメーン集団の攻防

3回目のポイントも畑中が先頭通過 Photo: Ikki YONEYAMA3回目のポイントも畑中が先頭通過 Photo: Ikki YONEYAMA

 10周目に訪れた2度目の山岳賞もバルデが1位通過。その後、メーン集団がペースを上げ、逃げを再び吸収。アタックのチャンスをうかがう選手が次々と出てきたことから、集団内での動きが徐々に慌ただしくなってきた。そんな中、12周目に迎えた3回目のスプリントポイントは窪木を発射台として飛び出した畑中が1位で通過した。

 やがて形成された逃げグループには、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ)の姿が。アイラン・フェルナンデス(スペイン、マトリックスパワータグ)がロドリゲスらに声をかけて集団のペースアップを促す様子も見られた。その後、ロドリゲスとフェルナンデスが抜け出し、14周目に設定された3回目の山岳賞ポイントはフェルナンデスが先頭で通過した。

フェルナンデス、ロドリゲスの2人逃げ Photo: Shusaku MATSUOフェルナンデス、ロドリゲスの2人逃げ Photo: Shusaku MATSUO
さいたまスーパーアリーナから屋外へ飛び出していく(左2人目から)ジョン・デゲンコルブ、別府史之ら Photo: Naoi HIRASAWAさいたまスーパーアリーナから屋外へ飛び出していく(左2人目から)ジョン・デゲンコルブ、別府史之ら Photo: Naoi HIRASAWA

 16周目に入り、逃げグループがメーン集団に捕まると同時に、今度はマキシム・ブエ(フランス、エティックス・クイックステップ)がアタック。これに新城、シモン・ゲシュケ(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン)らがチェック。数人が先行し、そのままスプリントポイントへ。ここは新城がトップを確保し、沿道のファンを盛り上げた。

チームメートと一緒に逃げる新城幸也(左から2人目) Photo: Naoi HIRASAWAチームメートと一緒に逃げる新城幸也(左から2人目) Photo: Naoi HIRASAWA

豪華な6人の優勝争い

 レースを決定づける動きは、17周目に起こった。別府のアタックをきっかけに、今大会の活躍が有力視されていた5選手が追随。別府、新城、デゲンコルプ、ロドリゲス、バルデ、マイヨジョーヌを着るクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)の6人が先行を開始した。強力なメンバーによる先頭交代のローテーションは、追い上げを図るメーン集団のスピードを上回った。

ついに決まった6人の先頭集団の先頭を引くフルーム Photo: Shusaku MATSUOついに決まった6人の先頭集団の先頭を引くフルーム Photo: Shusaku MATSUO

 18周目に登場した最後の山岳賞ポイントは、バルデが1位通過。これにより、山岳賞獲得が確定した。そしてラスト2周に差し掛かるタイミングで新城が強烈なアタック。これをチェックできる選手が現れず、単独での逃げが始まった。

単独でアタックした新城幸也 Photo: Kyoko GOTO単独でアタックした新城幸也 Photo: Kyoko GOTO
後方を確認しながら最終コーナーを通過する新城 Photo: Shusaku MATSUO後方を確認しながら最終コーナーを通過する新城 Photo: Shusaku MATSUO
メーン集団から再びアタックした新城幸也 Photo: Naoi HIRASAWAメーン集団から再びアタックした新城幸也 Photo: Naoi HIRASAWA

 約1周にわたり独走し、大観衆から熱い応援を受けた新城だったが、徐々に苦しげな表情に変わっていき、ペースが落ちてきた。追う5人は、代わる代わる先頭に立ちペースアップ。ラスト1周の鐘と同時に新城は吸収され、レースは振り出しに。再び6人による優勝争いとなった。

残り1kmのフラムルージュを通過する6人の先頭集団 Photo: Naoi HIRASAWA残り1kmのフラムルージュを通過する6人の先頭集団 Photo: Naoi HIRASAWA

 スプリント勝負を前に、フルームや新城が再度のアタックを試みる場面もあったが、効果的な動きには至らず。スプリンターのデゲンコルプは周囲のペースに合わせつつ体力を温存し、別府はデゲンコルプをピッタリとマークして勝負の時に備えた。

 最終コーナーを通過すると、いよいよゴールスプリント。この右カーブで別府が膨らんでしまった。マークしていたデゲンコルプとの差が開き、そこへフルームが入る形となった。

別府が並ぼうとするが届かない Photo: Ikki YONEYAMA別府が並ぼうとするが届かない Photo: Ikki YONEYAMA

 右側のラインからスプリントを開始したデゲンコルプ。別府が続き、逆サイドからフルームが加速する。だがそこはフィニッシュ前の勝負に一日の長があるデゲンコルプ。前を譲らず、トップでフィニッシュラインを通過して初優勝を決めた。後続は、必死の追い込みを見せた別府、フルームと続いた。

「興味深いレースだった」とデゲンコルプ

クリテリウムで勝利したジョン・デゲンコルプは多くのファンからサインを求められた Photo: Aki KARASAWAクリテリウムで勝利したジョン・デゲンコルプは多くのファンからサインを求められた Photo: Aki KARASAWA

 ブエルタ・ア・エスパーニャ第21ステージを制し、その後のUCI世界選手権ロードレースにも出場したデゲンコルプ。約2週間の休暇を経て臨んだ今大会について、「ハイスピードのレースだった」と感想を述べた。また、「トンネル内にアップダウンがあり、レース状況の変化が激しいなど、興味深いレースでもあった」と続けた。

 ジュニア時代からの盟友であるマルセル・キッテル(ドイツ)のエティックス・クイックステップ移籍を受け、スプリントエースとしてさらなる活躍が期待される来シーズンについては、「春はクラシックレース、夏はツールが目標となる」と意気込んだ。

記者会見でレースを振り返る別府史之 Photo: Naoi HIRASAWA記者会見でレースを振り返る別府史之 Photo: Naoi HIRASAWA

 前週のジャパンカップクリテリウム(10月17日)に続く2週連続優勝はならなかったものの、快走を披露し2位となった別府。「強力なメンバーがそろい、(スプリントを)待つしかないなと思った」と終盤の展開を振り返った。結果的にデゲンコルプのスプリントに敗れたが、「地元である日本のファンの前でワールドクラスの走りを披露でき、手応えのあるレースができた」と笑顔を見せた。一方で、最終コーナーで膨らんでしまいスプリントポジションを下げてしまったことについては、「激しい位置取り争いにあって、ほんのわずかなミスでもポジションが奪われしまう。そこが敗因だったかもしれない」と悔しさをのぞかせた。

チーム ヨーロッパカーでのラストレースになった新城幸也が、表彰式でチームメートから抱え上げられた Photo: Naoi HIRASAWAチーム ヨーロッパカーでのラストレースになった新城幸也が、表彰式でチームメートから抱え上げられた Photo: Naoi HIRASAWA

 再三のアタックでインパクトある走りを見せた新城は、敢闘賞を獲得。沿道の観客の盛り上がりに「鳥肌ものだった」と、レース後の記者会見でも興奮冷めやらぬ様子だった。来シーズンはランプレ・メリダへの移籍が決まっており、チーム ヨーロッパカーの選手として走る最後のレースだったことについて、「少しさみしい思いはある。5年間着続けたジャージだけに、来年新たなチームのジャージを着た時に懐かしく感じるのではないか」と感慨深い様子だった。

 3位となったフルームは、「怪我から回復し、リハビリしているので、3位という成績は満足のいく結果。デゲンコルプのような強い選手にはかなわないしね」と納得のコメント。また「今回は日本人ライダーがとても強かった。ブレイクするところに必ず日本人がいた。日本の若い選手にとっても、別府やユキヤのような欧州で活躍する選手がいることは、とても良いモデルになる」と、日本人選手に称賛と期待の言葉を送った。

表彰された全員で記念撮影 Photo: Naoi HIRASAWA表彰された全員で記念撮影 Photo: Naoi HIRASAWA

■2015ツールドフランスさいたまクリテリウム(62km)
1 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン) 1時間19分30秒
2 別府史之(トレック ファクトリーレーシング) +0秒
3 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +0秒
4 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) +0秒
5 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +0秒
6 新城幸也(チーム ヨーロッパカー) +0秒
7 ペトル・ヴァコッチ(チェコ、エティックス・クイックステップ) +22秒
8 マルコ・コールダン(イタリア、トレック ファクトリーレーシング) +22秒
9 中島康晴(愛三工業レーシングチーム) +22秒
10 中村龍太郎(スペシャルチームジャパンforさいたま/イナーメ信濃山形) +22秒

ポイント賞
畑中勇介(チームUKYO)

山岳賞
ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)

新人賞
ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)

敢闘賞
新城幸也(チーム ヨーロッパカー)

チーム総合
トレック ファクトリーレーシング

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