宇都宮での戦いを総展望世界のトップライダーを迎え撃つ日本勢 ジャパンカップサイクルロードレース・プレビュー

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ヨーロッパ各地の主要レースが終わりを告げると同時に、日本の自転車界にとっては待ちに待ったビッグレース・イベントの時期がやってくる。その先陣を切って行われるのが、10月16~18日の日程で行われる、2015ジャパンカップサイクルロードレースだ。世界の名だたるトップライダーを日本勢が迎え撃つ、国内では数少ないワールドクラスの戦い。コースや有力選手などをピックアップし、注目されるレースの見どころをしっかりとチェックしていこう。

2014年大会のゴールスプリント。左端のネイサン・ハース(オーストラリア、当時ガーミン・シャープ)が優勝した Photo: Naoi HIRASAWA2014年大会のゴールスプリント。左端のネイサン・ハース(オーストラリア、当時ガーミン・シャープ)が優勝した Photo: Naoi HIRASAWA

目抜き通りでハイスピードバトル ジャパンカップクリテリウム

オリオンスクエアで行われるチームプレゼンテーションでは、出場選手がステージで紹介される Photo: Naoi HIRASAWAオリオンスクエアで行われるチームプレゼンテーションでは、出場選手がステージで紹介される Photo: Naoi HIRASAWA

 大会はレースに先立ち、10月16日のチームプレゼンテーションで華やかに幕を開ける。宇都宮市中心部のオリオンスクエアに選手・チームが集結。華やかにライトアップされたステージ上に選手たちが現れるシーンは、その後のレースをより一層楽しみにさせてくれる。例年、大観衆で盛り上がる。

 ロードレースイベントは17日、オープニングフリーランに続きチャレンジレース、オープンレースから開始。メーンレースを翌日に控える宇都宮市森林公園周回コースをアマチュアライダーが駆け巡る。その後、舞台を宇都宮の中心地・宇都宮市大通りに舞台を移し行われるのがジャパンカップクリテリウムだ。国内外16チーム・80選手がスタートラインに並ぶ。

Uターン区間を通過する集団(2013年大会) Photo: Yousuke HAYASAKAUターン区間を通過する集団(2013年大会) Photo: Yousuke HAYASAKA

 県都の目抜き通りに設けられる1周1.55kmの周回コースを23周(パレード3周+レース20周)する計35.65km。スピード勝負となることは必至で、レース時間は例年、41~42分といったところ。フラットなレイアウトながらコース内をUターンする2カ所のコーナーが確実にポイントとなる。通過のたびに減速・加速が求められることから、集団前方に位置する選手ほどスムーズな走りができるはずだ。また、5周おき(5、10、15周)にスプリントポイントが設けられ、逃げグループによるトップ通過争いもレースを盛り上げる。

 国際自転車競技連合(UCI)未公認だが、例年各チーム・選手がモチベーション高く臨み、このクリテリウムに懸けて参戦する海外スプリンターも少なくない。また、日本チームにもクリテリウムのみエントリーする選手がいる。各チームの本気度は、空気抵抗が少なくエアロ効果の高い、スキンスーツを用意してレースに臨むところからもうかがい知れることだろう。

JR宇都宮駅から伸びる目抜き通りを走る集団(2014年大会) Photo: Ikki YONEYAMAJR宇都宮駅から伸びる目抜き通りを走る集団(2014年大会) Photo: Ikki YONEYAMA
2014年大会のクリテリウムはクリストファー・サットン(オーストラリア)が優勝 Photo: Ikki YONEYAMA2014年大会のクリテリウムはクリストファー・サットン(オーストラリア)が優勝 Photo: Ikki YONEYAMA

20年ぶりのショートコースで行われるロードレース

 大会のメーンイベント、ジャパンカップサイクルロードレースは18日午前10時スタート。UCIカテゴリーにおいて、日本のレースで唯一超級(HC)クラスに分類され、サイクルロードレース界のトップに位置するUCIワールドチームにも出場枠が設けられる。いわば、世界最高レベルの戦いなのだ。会場となる宇都宮市森林公園には毎年大勢のファンが駆け付け、昨年は8万人を動員した。

 9月上旬の台風18号による大雨被害の影響から、コースの一部で土砂崩れが発生。大会を主管する日本自転車競技連盟(JCF)と主催者との協議の結果、周回コースを短縮して行われることが決定している。そのコースは、これまで最終周回のみ用いられてきた10.3kmのルートを14周する144.2km。1990年に同地で開催された世界自転車競技選手権大会のコースをベースとし、1992年のジャパンカップ創設時にレイアウトされたコースだ。この周回のみでレースが実施されるのは1995年以来、実に20年ぶりとなる。

曲がりくねった古賀志林道の上りを走る集団(2013年大会) Photo: Yousuke HAYASAKA曲がりくねった古賀志林道の上りを走る集団(2013年大会) Photo: Yousuke HAYASAKA

 とはいえ、アップダウンに富んだレイアウトであることは変わりない。スタート地点から始まる古賀志林道の上りは今回も大きなポイントとなるはずだ。2kmで高低差185mを一気に駆け上がるこの区間で、これまで数多くの選手がアタックし、レースを動かしてきた。

 上りを終えると、約3kmにわたるテクニカルなダウンヒル。来場者立ち入り禁止区域となっているため、直接観戦はできないが、選手たちはハイスピードで下っていく。雨が降れば、濡れた路面で落車の危険性もはらむ。最近のレースでは、ダウンヒルで勝負が決まるケースも増えており、リスクを負ってアタックする選手が出るかもしれない。

2014年のジャパンカップ、終盤の上りで追走のアタックを見せる別府史之(トレック ファクトリーレーシング) Photo: Naoi HIRASAWA2014年のジャパンカップ、終盤の上りで追走のアタックを見せる別府史之(トレック ファクトリーレーシング) Photo: Naoi HIRASAWA

 周回最終盤は、約1kmの上り。レースが後半に差し掛かるにつれペースが上がり、選手を苦しめることだろう。ラスト1周は、フィニッシュに向かって捨て身のアタックや、エースを引き上げるアシストたちの献身的な姿が見られるはずだ。

 予想されるレースの流れは、序盤から中盤にかけて日本人選手を中心とした逃げグループが先行。UCIワールドチーム勢は、中盤以降主導権を握りメーン集団のペースコントロールを始めることだろう。活性化したプロトンは、古賀志林道などでのアタックを経て最終周回の攻防へ。古賀志林道頂上からフィニッシュまでは約8km。ラスト1周で決定的なアタックが起これば単独の逃げ切りや、小集団が先行して最終局面へと移る可能性が一気に高まる。クライマー並の登坂力、強力なアタックを繰り出すパンチ力、そしてスプリント力と、3拍子そろった選手こそが宇都宮の難コースを制することができるのだ。

シーズンラストのタイトル争い 日本勢の勝者誕生なるか?

 シーズン終盤のレースとして世界的にも注目が集まるジャパンカップ。ビッグネームの出場希望も多く、選手たちは年間最後のタイトル獲得に執念を燃やす。また、国内UCIコンチネンタルチームは夏以降このレースに照準を定めているケースも多く、グランツールやクラシックレースで活躍する世界的なライダーと互角に勝負できる絶好のチャンスでもある。

2年越しの“初出場”に期待が懸かるファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック ファクトリーレーシング) Photo: Yuzuru SUNADA2年越しの“初出場”に期待が懸かるファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック ファクトリーレーシング) Photo: Yuzuru SUNADA

 今大会、何と言っても注目度ナンバーワンは、ファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック ファクトリーレーシング)だろう。前回は直前のけがにより無念の欠場となったが、そのリベンジとばかりに今回の参戦を表明した。今年は2度の落車負傷に見舞われる悔しさを味わったが、すでに来シーズンを見据えており、その第一歩の場としてジャパンカップを選んだ。チームは、グランツールレーサーのバウケ・モレマ(オランダ)がメンバー入りしたほか、別府史之がエースとなりメーンレースとクリテリウム両レースでの初優勝を狙う構えだ。

 出場予定選手の中で、ジャパンカップ優勝経験を持つのはネイサン・ハース(オーストラリア、キャノンデール・ガーミン、2011・2014年優勝)、マヌエーレ・モーリ(イタリア、ランプレ・メリダ、2007年優勝)、ダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ、2005・2008年優勝)の3人。大会の顔ともいえる彼らが、さらなる勲章を手にするべくレースの中心に立つことだろう。いずれも若い選手をアシストにしたがえているほか、ガーミン・シャープはマテイ・モホリッチ(スロベニア)、ランプレ・メリダはディエゴ・ウリッシ(イタリア)が準エースとして控える。

2014・2011年大会の覇者、ネイサン・ハース(中央) Photo: Naoi HIRASAWA2014・2011年大会の覇者、ネイサン・ハース(中央) Photo: Naoi HIRASAWA
日本での人気も高いダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) Photo: NIPPO Vini Fantini日本での人気も高いダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) Photo: NIPPO Vini Fantini

 2010年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合3位を筆頭に、UCIロード世界選手権チームTT優勝などの実績を誇るペテル・ヴェリトス(BMCレーシングチーム)も宇都宮のコースにピッタリの1人。今シーズンはブエルタでのリーダージャージ(マイヨロホ)1日着用以外、目立った走りはできなかったが、ここで復調の足掛かりとしたい。

世界選手権は3秒差の2位グループに残り17位だった新城幸也。日本ナショナルチームで参戦する Photo: Sonoko TANAKA世界選手権は3秒差の2位グループに残り17位だった新城幸也。日本ナショナルチームで参戦する Photo: Sonoko TANAKA

 初出場のブエルタを完走し、その後のUCIロード世界選手権17位と調子を上げている新城幸也は、日本ナショナルチームでの出走。若手有望株が脇を固め、優勝を視野に入れる新城をアシストする。

 国内UCIコンチネンタルチームは6チームが出場権を獲得。地元・宇都宮ブリッツェンは前回15位の増田成幸に期待がかかる。チームブリヂストン・アンカーは、世界選手権ロード代表の内間康平を中心に、直前のツール・ド・シンカラ第9ステージ優勝の初山翔、同第5ステージ2位の西薗良太が上位進出を目指す。チームUKYOは、実績豊富な土井雪広と2010年3位の畑中勇介のダブルエース態勢。展開次第では、オスカル・プジョル(スペイン)も優勝争いに加わりたい。

 登坂力・スピードに長けるスペイン人選手3人を擁するマトリックス・パワータグ、ツール・ド・シンカラ総合11位の伊藤雅和を中心とする愛三工業レーシングチーム、前日本王者・佐野淳哉をリーダーに地の利を生かしたい那須ブラーゼンと、日本勢の積極果敢な姿勢も見どころだ。

地元・宇都宮ブリッツェンのエース、増田成幸 Photo: Ikki YONEYAMA地元・宇都宮ブリッツェンのエース、増田成幸 Photo: Ikki YONEYAMA
土井幸広(チームUKYO) Photo: Sonoko TANAKA土井幸広(チームUKYO) Photo: Sonoko TANAKA

 17日のクリテリウムには、メーンレース出場チームに加え、「クリテリウムスペシャルチーム」が特別参加。2011年の初優勝以来、4位、優勝、2位と、このレースと抜群の相性を誇るスティール・ヴォンホフ(オーストラリア)が3度目の優勝をかけて、参加を表明した。アシストには、トラック・オムニアムの有望株である橋本英也(鹿屋体育大学)が臨む。また、競輪上位クラス・S級ライダーの金子幸央と浅井康太もメンバー入りし、慣例となっている彼らによるホールショット(スタートダッシュ)で、どこまで逃げ続けられるかも楽しみだ。

 2013年2位のベルンハルト・アイゼル(オーストリア)、前回は発射台として貢献したベン・スウィフト(イギリス)など、チーム スカイはクリテリウムに比重を置いたメンバー編成。日本勢では、現・日本王者の窪木一茂(チームUKYO)、2013年10位の大久保陣(宇都宮ブリッツェン)らクリテリウムのみ出場のスプリンターたちが勝機をうかがう。

■2015ジャパンカップ サイクルロードレース スケジュール

●10月16日(金)
・オリオンスクエア(宇都宮市オリオン市民広場)
18:30~ グランドオープニング
19:00~21:00 チームプレゼンテーション

●10月17日(土)
・オリオンスクエア(宇都宮市オリオン市民広場)
10:00~ ウィーラースクール
12:30~ BMXショー
14:00~ パブリックビューイング
18:30~ クリテリウム表彰式

・宇都宮市大通り周回コース
14:00~ オープニングイベント、チアーパフォーマンス、ホープフルクリテリウム、ガールズケイリン
15:50~ クリテリウムレーススタート
16:30頃 クリテリウムレースゴール(予定)

・宇都宮市森林公園周回コース
9:00~ オープニングフリーラン
9:50~ チャレンジレース
11:00~ オープンレース

●10月18日(日)
・宇都宮市森林公園周回コース
9:00~ 選手紹介・出走サイン
10:00~ ジャパンカップサイクルロードレース スタート
13:45~14:10頃 レースゴール
14:00~14:30頃 表彰式

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