title banner

福光俊介の「週刊サイクルワールド」<129>初開催のアブダビ・ツアーにサガンらビッグネーム集結 バルベルデらの年間表彰も

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
  • 一覧

 1月にスタートしたサイクルロードレースシーズンは、まもなく閉幕を迎えようとしている。日本ではジャパンカップ サイクルロードレース、ツール・ド・フランス さいたまクリテリウムとビッグイベントが控えるが、ヨーロッパや中東ではひと足早く主要レースが終了した。そこで今回は、シーズン最終盤のレース結果のまとめと、国際自転車競技連合(UCI)が開催した年間表彰の模様をお届けする。

新世界王者のペテル・サガンはアブダビ・ツアーでマイヨアルカンシエルをお披露目  Photo: ANSA / CARCONI - PERI新世界王者のペテル・サガンはアブダビ・ツアーでマイヨアルカンシエルをお披露目  Photo: ANSA / CARCONI - PERI

総合優勝はチャベス ボーネンが落車で頭蓋骨骨折

 10月8日から11日までの4日間、アラビア半島東部のアラブ首長国連邦(UAE)でアブダビ・ツアー(UCI2.1)が初開催された。これは、ジロ・デ・イタリアを主催するRCSスポルト社と同国のアブダビ・スポーツ・カウンシルによる共催で、両者にとって近年熱望してきたレースの実現となった。

 開催決定と同時に、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)がアンバサダーに就任。イメージキャラクターとして、大会の盛り上げに一役買った。しかしそのカヴェンディッシュは、9月のツアー・オブ・ブリテン第6ステージでの落車時に負った左肩脱臼の影響で無念の欠場。大会期間中はレースに同行し、戦況を見守った。

大会アンバサダーであるマーク・カヴェンディッシュ(右から5人目)を中心に、ビッグネームが集結した Photo: ANSA / CARCONI - PERI大会アンバサダーであるマーク・カヴェンディッシュ(右から5人目)を中心に、ビッグネームが集結した Photo: ANSA / CARCONI - PERI

 カヴェンディッシュを欠いたとはいえ、ビッグネームを多数参戦させることに成功した。世界王者のペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)を筆頭に、ヴィンチェンツォ・ニバリ、ファビオ・アール(ともにイタリア、アスタナ プロチーム)、トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)、マルセル・キッテル(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン)らがスタートラインに就いた。

アブダビ・ツアーはヨアンエステバン・チャベスが総合優勝 Photo: ANSA / CARCONI - PERIアブダビ・ツアーはヨアンエステバン・チャベスが総合優勝 Photo: ANSA / CARCONI - PERI

 全4ステージで行われ、山頂フィニッシュの第3ステージを制したヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)が、リードを守りきり総合優勝。16秒差でアールが続いた。その他3ステージはスプリントで争われ、第1ステージはアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ プロチーム)、第2・4ステージはエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チーム スカイ)がそれぞれ勝利している。

 また、第2ステージでボーネンがテオ・ボス(オランダ、MTN・クベカ)らと絡み落車。左側頭部を激しく強打し一時意識を失うアクシデントに見舞われた。その後、意識を取り戻したものの、頭蓋骨骨折との診断でトレーニング再開まで6週間を要するとチームによって発表された。CTスキャンでは異常が見られなかったものの、脳にかかる圧力の懸念から航空機への搭乗が制限されており、ベルギーへの帰国は15日の再検査の結果を待って判断する見通し。家族を現地に呼び寄せるなどの措置が検討されているほか、彼にとって“本番”でもある来季の春のクラシックも回避する可能性があるとしている。

今シーズンの主役たちを称えるUCIサイクリングガラ

UCIワールドツアー個人ランキング上位3選手の表彰。左から3位ナイロアレクサンデル・キンタナ、1位アレハンドロ・バルベルデ、2位ホアキン・ロドリゲス Photo: ANSA / CARCONI - PERIUCIワールドツアー個人ランキング上位3選手の表彰。左から3位ナイロアレクサンデル・キンタナ、1位アレハンドロ・バルベルデ、2位ホアキン・ロドリゲス Photo: ANSA / CARCONI - PERI

 アブダビ・ツアーの閉幕に合わせ、同地でUCIによる年間表彰「UCIサイクリングガラ」が行われた。これは今シーズン活躍した選手たちを称え表彰するもので、アブダビ・ツアー出場選手のほか、すでにシーズン終了を発表していた選手たちもイベントに駆け付けた。

 表彰では、世界選手権ロードレースを制したサガンのほか、今年のUCIワールドツアー個人ランキング1位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)、ジロ総合優勝のアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)、ツール・ド・フランス総合優勝のクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)らが登壇。また、6月7日に54.526kmのアワーレコードを樹立したブラッドリー・ウィギンス(イギリス、チーム ウィギンス)もビデオメッセージを寄せ、イベントに花を添えた。

表彰された各グランツールの総合優勝者。左からブエルタ王者ファビオ・アール、ツール王者クリストファー・フルーム、ジロ王者アルベルト・コンタドール Photo: ANSA / CARCONI - PERI表彰された各グランツールの総合優勝者。左からブエルタ王者ファビオ・アール、ツール王者クリストファー・フルーム、ジロ王者アルベルト・コンタドール Photo: ANSA / CARCONI - PERI
UCI会長のブライアン・クックソン氏とともにマイヨアルカンシエルのパネルを掲げるペテル・サガン Photo: ANSA / CARCONI - PERIUCI会長のブライアン・クックソン氏とともにマイヨアルカンシエルのパネルを掲げるペテル・サガン Photo: ANSA / CARCONI - PERI

UCIサイクリングガラ 表彰選手・チーム

■UCIワールドツアー個人ランキング
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)
2位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ)
3位 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)

■UCIワールドツアーチームランキング
1位 モビスター チーム
■UCIワールドツアー国別ランキング
1位 スペイン

■男子エリートUCIロードレース世界チャンピオン
ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
■男子エリートUCI個人タイムトライアル世界チャンピオン
ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チーム スカイ)
■男子エリートUCIチームタイムトライアルチャンピオン
BMCレーシングチーム

■男子UCIアワーレコードホルダー
ブラッドリー・ウィギンス(イギリス、チーム ウィギンス)
■女子UCIアワーレコードホルダー
モリーシャファー・ヴァンハウエリング(アメリカ)

■フェアプレー賞(アブダビ・スポーツ・カウンシルによる表彰)
トム・ドゥムラン(オランダ、チーム ジャイアント・アルペシン)

■アウトスタンディング・サイクリング・ジャーナリズム
ジャンポール・オリヴィエ(フランス)
■モスト・フレンドリー・メディア・チーム(国際自転車ジャーナリスト協会による表彰)
チーム ジャイアント・アルペシン

■ジロ・デ・イタリア総合優勝
アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
■ツール・ド・フランス総合優勝
クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)
■ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝
ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム)

■アブダビ・ツアー総合優勝
ヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)

パリ~トゥールはトレンティンが優勝

自らレースを動かしたマッテーオ・トレンティンがゴールスプリントを制してパリ~トゥール初優勝 ©Etixx - Quick-Step/Tim De Waele自らレースを動かしたマッテーオ・トレンティンがゴールスプリントを制してパリ~トゥール初優勝 ©Etixx - Quick-Step/Tim De Waele

 UCIヨーロッパツアーのレースながら初開催が1896年と、伝統のレースとして名高いパリ~トゥールが10月11日に開催された。今回は231kmで争われ、終盤に抜け出した3選手によるスプリントをマッテーオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ)が制し初優勝を飾った。

 フランス中部の街・シャルトルをスタートし、南に進路をとるコース設定。この日は強い北風の影響でハイスピードのレースとなった。有力選手を含む31人が序盤から先行し、中盤以降は25人ほどの集団でレースを進めた。ほとんどのチームがこのグループに選手を送り込んだことから、そのまま優勝争いへと移っていった。

 レースが動いたのは残り約10km。コート・ド・ビュー・ソレイユの上りでトレンティンがアタック。これにトッシュ・ヴァンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)、フレッヒ・ヴァンアーヴルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)、パヴェル・ブルット(ロシア、ティンコフ・サクソ)が食らいついた。やがてブルットが脱落し、3選手が後続の追撃をかわして最終局面へと入った。

パリ~トゥール表彰式。左から2位のトッシュ・ヴァンデルサンド、優勝したマッテーオ・トレンティン、3位のフレッヒ・ヴァンアーヴルマート ©Etixx - Quick-Step/Tim De Waeleパリ~トゥール表彰式。左から2位のトッシュ・ヴァンデルサンド、優勝したマッテーオ・トレンティン、3位のフレッヒ・ヴァンアーヴルマート ©Etixx - Quick-Step/Tim De Waele

 3人によるスプリント勝負が濃厚となったが、残り1.5kmでヴァンアーヴルマートの前輪がパンクするアクシデント。何とか先頭グループにしがみついたが、ゴールスプリントでは太刀打ちできなかった。最後は実績で上回るトレンティンがヴァンデルサンドに前を譲らず、トップでフィニッシュラインを通過した。

 また、新城幸也(チーム ヨーロッパカー)と別府史之(トレック ファクトリーレーシング)も出場し、新城は14分41秒差の45位、別府はリタイア。ともに、このレースで今シーズンのヨーロッパでのレース活動を終了している。

今週の爆走ライダー-ヘイデン・ルールストン(ニュージーランド、トレック ファクトリーレーシング)

「爆走ライダー」とは…

1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

 今シーズン半ばにウィギンスがロードレースを引退し、2016年リオ五輪でのトラック種目出場をもって現役生活を終える意向を示したが、もう1人、原点であるトラックへと戻りキャリアの花道にしようと目論む選手がいる。ヘイデン・ルールストン、34歳。ウィギンスがトラックで隆盛を極めたのと同時期に、ライバルとして立ちはだかった人物である。

 2003年のプロ契約以降トラックとロードを並行し、2008年北京五輪で個人追抜で銀メダル、団体追抜で銅メダルを獲得。個人追抜の決勝ではウィギンスと激闘を演じた。以後はロードに専念し、北のクラシックを中心にアシストとしてチームに貢献してきた。

北のクラシックなどでアシストとして活躍してきたヘイデン・ルールストン(ツール・デ・フランドル2015) Photo: Yuzuru SUNADA北のクラシックなどでアシストとして活躍してきたヘイデン・ルールストン(ツール・デ・フランドル2015) Photo: Yuzuru SUNADA

 今シーズンを終え自国メディアに対し、「現役引退までそう遠くはないし、ロードレースに戻ることはもうない。運がよければトラックで引退したいね」とコメント。残すところ1年を切ったリオ五輪では、団体追抜で金メダルを狙う心づもりだ。

 とはいえ、トラック種目の強国であるニュージーランドにあって、数年間ロードレースに専念してきた彼がすぐに代表チームの主力になれるとは限らない。積極的にレースに出場し、感覚を取り戻す覚悟だ。

 最初のヤマ場は、11月に地元で開催されるトラックワールドカップ。「結果を残すことができればリオへのチャンスは膨らむが、実力を発揮できなければそこまでだろう。長期的目標はリオに行くことだが、まずは目の前のことを1つずつこなすだけ」。

 引退前の大勝負を前にしても淡々とした様子。これこそが、ベテランのあるべき姿と言えそうだ。

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)

自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて十数年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

週刊サイクルワールド

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

  • タイム
    アルプデュエズ01 ディスク

    ディスクブレーキで伝統の走りを進化

  • リブ
    AVAIL ADVANCED

    走る好奇心を止めない リブの新型‟無敵”ロードバイク

  • インプレッション一覧へ

    連載