10年ぶりのロングコースを攻略ベテラン井手川直樹がシリーズ初優勝 「ダウンヒルシリーズ」第6戦・富士見パノラマ

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 マウンテンバイク(MTB)のシリーズ戦「ダウンヒルシリーズ」の第6戦が9月26、27日、長野県富士見町の富士見パノラマリゾートで開催され、PROクラスでは井手川直樹(AKI FACTORY/STRIDER)がシリーズ初優勝を飾った。(SLmedia 平野志磨子)

優勝した井手川直樹の決勝ラン。ダウンヒルシリーズ初優勝を、KONAが冠についた富士見でKONAライダーが決めた。10年前、同じコースで激戦を繰り広げたベテランの意地と、積み上げた経験が呼び寄せた会心の勝利だった Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA優勝した井手川直樹の決勝ラン。ダウンヒルシリーズ初優勝を、KONAが冠についた富士見でKONAライダーが決めた。10年前、同じコースで激戦を繰り広げたベテランの意地と、積み上げた経験が呼び寄せた会心の勝利だった Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA

定番の「富士見Aコース」

「富士見Aコース」を象徴する高速区間を走る。ゴンドラから丸見えのセクションだ Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA「富士見Aコース」を象徴する高速区間を走る。ゴンドラから丸見えのセクションだ Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA

 第5戦のMIZUHO MTB PARK(島根県)から2週連戦となったダウンヒルシリーズ。会場は、昨年度に最も開催希望の声が多かった富士見パノラマリゾートへと移った。

 今回の目玉は、Aコースをフルで使うコース設定。国内のダウンヒルライダーであればその名を知らない人はいない定番の「Aコース」。山頂のゴンドラ駅を降りてすぐスタートする全長4.2㎞のこのコースは、約10年前まではジャパンシリーズにも頻繁に使用されていたが、コースレギュレーションの変更により「長すぎる」とされ、最近の公式戦では山頂駅からAコースを半分以上下ったところにスタート台が設置されるようになっている。

 そんなレギュレーションを気にしないで開催できるのがダウンヒルシリーズ。Aコースフルを懐かしむ大人から、未経験のロングコースに挑む若者まで、初の東日本開催に100人以上のライダーが集まった。

タイムドセッション1位は井本

 大会初日の天気は曇り。前日まで降った雨の影響により、富士見のコースならではのカチカチの路面はツルツルに。転んで泥だらけになった選手も多く見られた。

 タイムドセッションは、コース設定を担当した井本はじめ(SRAM/LITEC)が6分23秒745で1位。第5戦PROクラス優勝者の清水一輝(Patrol mountain FJC)が6分31秒544で2位、浅野善亮(TEAM GIANT)が6分34秒278で3位に入った。注目すべきは、エリート男子クラスの黒沢大介(Team A&F)。全クラスの総合で3位に入る6分32秒968という好タイムを出した。

コース最上部のシングルを走る井手川直樹(AKI FACTORY/STRIDER)。この区間をレーススピードでライダーが走るのは10年ぶりとなった Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWAコース最上部のシングルを走る井手川直樹(AKI FACTORY/STRIDER)。この区間をレーススピードでライダーが走るのは10年ぶりとなった Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA
スタートはゴンドラ山頂駅すぐのところに設けられた。Aコースをフルに使ったレースコースは全長4.2キロ Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWAスタートはゴンドラ山頂駅すぐのところに設けられた。Aコースをフルに使ったレースコースは全長4.2キロ Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA
正面ゲレンデのメーン会場がブースエリアとなった Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA正面ゲレンデのメーン会場がブースエリアとなった Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA

 タイムドセッション終了後には毎戦恒例のPROライダーによる参加者交流企画として、「富士見ナイト」と称したコース解説講座が開講され、本大会の特別協賛であるKONAのライダー、井手川を中心に、井本、清水、今季初参戦の九島勇気(玄武MONDRAKER)、そしてタイムドセッション総合3位の結果を出した黒沢らが講師陣として参加。トップライダーそれぞれのライン取りやコース攻略のポイントを1時間かけて伝授。集まった30人以上の参加者はうなずいたり、時に質問をしながら熱心に聞き入った。

 今大会はアクセスの良い富士見ということもあって観客も多く、ブースエリアも大盛況。KONAの試乗車はコースでの実走も可能とのことで、次々に貸し出され、インターテックやサローネ・デル・モンテブースではずらりと並んだ最新へルメットの試着ができ、A&Fや重力技研のブースでは大特価での販売に人だかりが絶えなかった。

富士見大会では特別協賛としてKONAが冠スポンサーを務め、試乗車の用意、コース攻略講座の開催など会場を盛り上げた Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA富士見大会では特別協賛としてKONAが冠スポンサーを務め、試乗車の用意、コース攻略講座の開催など会場を盛り上げた Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA
ダウンヒルシリーズにシマノがブース出展! スラムvsシマノというメーカー色よりも、ユーザーの事を考えた動きは、多くの参加者に響いたはずだ Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWAダウンヒルシリーズにシマノがブース出展! スラムvsシマノというメーカー色よりも、ユーザーの事を考えた動きは、多くの参加者に響いたはずだ Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA

激戦のエリート男子は黒沢が初優勝

 大会2日目。本戦が始まる頃になると、やっと太陽が顔を覗かせた。

 エリート男子クラスは、いつにも増して激戦となった。トップタイムが更新される度に歓声が上がった。

富士見の名物、コース上部のドロップを飛ぶ。迂回ルートとは自由選択の設定で、全クラスのライダーがドロップに挑戦することができた Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA富士見の名物、コース上部のドロップを飛ぶ。迂回ルートとは自由選択の設定で、全クラスのライダーがドロップに挑戦することができた Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA
上部ドロップを下から撮影。最も早く本戦が始まったエリートクラスは参加者全員がこのドロップを飛んだ Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA上部ドロップを下から撮影。最も早く本戦が始まったエリートクラスは参加者全員がこのドロップを飛んだ Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA
ここも通常のレースでは使われる事のない、上部区間。ファーストタイマーのライダーたちも疾走した Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWAここも通常のレースでは使われる事のない、上部区間。ファーストタイマーのライダーたちも疾走した Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA

 まず第2戦・SRAMPARKでの下克上システムでPROライダー全員を下した経験のある井岡佑介(HottSpinNUKEPROOF)が、6分29秒611という前日のタイムドセッションでの黒沢を上回るタイムを出す。金子匠(Team Yellow小川輪業)は前日より20秒も縮めるが6分38秒511、第1戦・十種ヶ峰で優勝した京都の藤村飛丸(BlankyDog/MUDDYCHOCOLATE)も6分42秒691と伸びず。CJ-1春の富士見でエリートクラス2位に入った泉野龍雅(豊橋桜丘高校/KONA/自転車道)は6分32秒775、地元長野の五十嵐優樹(STORMRIDERS)も6分30秒138と好タイムを記録するが、6分30秒を切ることはできない。

 残るは最終走者の黒沢。明らかに速いスピードでフィニッシュゲートに飛び込んできた。タイムは6分27秒940、前日よりも5秒縮めて初優勝をもぎ取った。

混戦のエリートクラスを制したのは黒沢大介(TEAM A&F)。プロクラスでも遜色のないであろうその実力を発揮した Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA混戦のエリートクラスを制したのは黒沢大介(TEAM A&F)。プロクラスでも遜色のないであろうその実力を発揮した Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA

 昨年までPROライダーの面々と日々練習を重ね、国内・海外遠征を続けてきた黒沢。公式戦での優勝はまだなく、そのためPROクラスではなくエリートクラスでの出走となったが、「自転車を始めた頃から何本走ったか分からないこのコースで、ライバルも多かったんですが、勝ててよかったです。出展しながらのレースでしたが、色んな人に助けて頂いてブースも大盛況でした!」と笑顔で話した。

「まだまだロングなら負けない」

 ロングコースでの疲労を物語るかのように、フィニッシュエリアにはレースを終えたライダーたちが次々に倒れ込み、そのままレースの行方を見守る中でPROクラスがはじまった。

 初年度の開幕戦以来、優勝から遠のいている阿藤寛(Topknot racing)、久々の参戦となった九島勇気・賛汰(玄武)兄弟は6分20秒台を記録。2003年全日本チャンピオンの大島礼治はトラブルで後退。

 驚くべき中間タイム4分8秒を出したのは、タイムドセッション4位の井手川だ。フィニッシュタイムは6分18秒468と、この日初めての6分20秒を切った。

コース中盤、ゴンドラ線下を走る。コース内のあらゆるセクションでパッシングがあり、それはロングコースを使ったレースの醍醐味でもある Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWAコース中盤、ゴンドラ線下を走る。コース内のあらゆるセクションでパッシングがあり、それはロングコースを使ったレースの醍醐味でもある Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA
決して多くはないが女子のライダーも参加した。スポーツクラス女子、鎌苅瑠那(team URGE/つくでMTB) Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA決して多くはないが女子のライダーも参加した。スポーツクラス女子、鎌苅瑠那(team URGE/つくでMTB) Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA
すっかりクロカンライダーが板についた末政実緒(SRAM/LITEC)だが、ダウンヒルシリーズでは下り系ライダーの顔を見せる Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWAすっかりクロカンライダーが板についた末政実緒(SRAM/LITEC)だが、ダウンヒルシリーズでは下り系ライダーの顔を見せる Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA
フィニッシュへ向かう井本はじめ(SRAM/LITEC)。前日のコース攻略解説では熱心にレクチャーする姿が見られた Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWAフィニッシュへ向かう井本はじめ(SRAM/LITEC)。前日のコース攻略解説では熱心にレクチャーする姿が見られた Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA

 残るライダーは3人。浅野は「距離は思ったほど辛くはなかったですが、ペース配分をミスしましたね」と話したとおり前半のタイムが伸びず、わずか0.876秒及ばない6分19秒344でゴール。清水も6分20秒台だった。そしてタイムドセッション1位の井本。最後のAダッシュと呼ばれるセクションで「歩いていても転ぶような根っこで吹っ飛んじゃって。木とハグをしました」と6分24秒に終わった。

PROクラス表彰式 Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWAPROクラス表彰式 Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA

 結果、KONAが冠についた第6戦で、KONAライダー井手川がダウンヒルシリーズ初優勝。シナリオがあったかのような、圧倒的で素晴らしい勝ち方だった。レース後の井手川は、「約10年ぶりのAコースフルでしたが、僕みたいなオールドスクールが勝って良かったなと! まだまだ、まだまだロングなら負けないということが証明できました! 来年は200人、300人と参加者が増えてくれたらいい」と話した。

 ファーストタイマー男子クラスでは梶原佳祥(TEAM RINGOROAD)が、スポーツ女子クラスでは鎌苅るな(Team URGE/つくでMTB )が、30人を越える出走となったスポーツ男子クラスでは渡辺耕平(輪心 wheelsoulbikeworks)が、エキスパート男子クラスでは二ノ宮司が優勝。エリート女子クラスでは2位に17秒差をつけて末政実緒(SRAM/LITEC)が優勝した。

 第7戦、吉無田高原DHコース(熊本県)は11月21日〜22日に開催される。

エリート女子クラス表彰式 Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWAエリート女子クラス表彰式 Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA
エリート男子クラス表彰式 Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWAエリート男子クラス表彰式 Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA
集合写真 Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA集合写真 Photo: DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA

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