UCIワールドツアーの最終戦“落ち葉のクラシック”ニバリが得意の下りアタックを決めイル・ロンバルディアで独走勝利 モニュメント初制覇

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 サイクルロードレースシーズン終盤を飾る“落ち葉のクラシック”、「イル・ロンバルディア」がイタリア北部ロンバルディア州で10月4日に開催され、勝負どころの下りでアタックに成功したヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)が逃げ切り勝利。この大会初優勝であると同時に、歴史と伝統を誇る格式の高い5大クラシックレース「モニュメント」で初めて勝利した。日本勢唯一の出場を果たした山本元喜(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)は、レース後半にリタイアしている。

独走で「イル・ロンバルディア」を制したヴィチェンツォ・ニバリ Photo: Yuzuru SUNADA独走で「イル・ロンバルディア」を制したヴィチェンツォ・ニバリ Photo: Yuzuru SUNADA

 シーズン後半のビッグレースであるブエルタ・ア・エスパーニャ、UCIロード世界選手権が終わり、残すレースはあとわずか。1月のツアー・ダウンアンダーで幕を開けたUCIワールドツアーは、このイル・ロンバルディアが最終戦だ。

コモ周辺を走るプロトン Photo: Yuzuru SUNADAコモ周辺を走るプロトン Photo: Yuzuru SUNADA

 秋深まる時期のレースとあり“落ち葉のクラシック”の呼び名で親しまれるが、近年は開催日程やコース設定が目まぐるしく変化している。今回はイタリア北部の街・ベルガモを出発し、スイス国境に近いコモを目指す245kmのコース。コモにフィニッシュするのは5年ぶりのこと。

 ポイントとなる区間は後半に集中し、残り70kmを切って「サイクリストの聖地」マドンナ・デル・ギザッロを通過。残り約50kmでは平均勾配15.8%、最大勾配が25%とも27%とも言われる激坂のコルマ・ディ・ソルマーノが立ちはだかる。ラスト20km手前からはチヴィリオの上りが控え、フィニッシュまで10kmを切ると最後の勝負どころであるサン・フェルモ・デッラ・バッタリアが待ち構える。そして、5.3kmのダウンヒルを経て、コモに設けられたフィニッシュラインへと向かう。

 レースは序盤に形成された11人の逃げグループが先行。スタート時は雨だったこともあり、メーン集団ではいくつかの落車が発生したものの、先頭とは6分から7分のタイム差でコントロールしながら進んだ。

ティム・ウェレンス(左)とミハウ・クフィアトコフスキー Photo: Yuzuru SUNADAティム・ウェレンス(左)とミハウ・クフィアトコフスキー Photo: Yuzuru SUNADA

 マドンナ・デル・ギザッロを迎える直前、メーン集団が分断。数選手を前方に送り込んでいたエティックス・クイックステップがスピードを上げ、前を行く選手たちを追い始めた。上りに入ると、ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)やティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)を中心とする追走グループが形成された。逃げメンバーでは、チェザーレ・ベネデッティ(イタリア、ボーラ・アルゴン18)、マルコ・カノラ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア プロフェッショナルサイクリングチーム)が抜け出し、前を急いだ。

マドンナ・デル・ギザッロ前を通過するミハウ・クフィアトコフスキーら Photo: Yuzuru SUNADAマドンナ・デル・ギザッロ前を通過するミハウ・クフィアトコフスキーら Photo: Yuzuru SUNADA

 ロンバルディア名物であるギザッロ教会の鐘を聴くと、次なる難所コルマ・ディ・ソルマーノへ。上りに入ると追走グループが逃げていた2人をキャッチ。やがてクフィアトコフスキーが先頭に立ち、数秒の差でウェレンスが追う構図となった。そのまま斜度25%を超える激坂区間に突入。アスタナ プロチームがコントロールするメーン集団もすぐ後ろに迫ってきたが、先に頂上を通過したクフィアトコフスキーとウェレンスが前を譲らず、約30秒の差で先行を続けた。

ティボ・ピノーら有力選手の先頭集団 Photo: Yuzuru SUNADAティボ・ピノーら有力選手の先頭集団 Photo: Yuzuru SUNADA

 しばしの平坦区間を過ぎると、レースは残り約20km。そこで迎えるチヴィリオの上りでクフィアトコフスキーとウェレンスがメーン集団に吸収された。その直後にニバリがアタック。すかさずヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)がチェック。さらにダニエル・モレノ(スペイン、チーム カチューシャ)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)、ティボ・ピノー(フランス、エフデジ)らも続き、力のあるメンバーだけに絞られていった。その後もニバリが数回アタックを試みるも決まらず。チームメートのディエゴ・ローザ(イタリア)も再三ペースアップをするなど、ライバルへの攻撃を繰り返した。

 フィニッシュまで残り17.5kmとなったところでニバリが再びアタック。頂上を通過し下りに入った直後の動きに、他の選手たちは反応が遅れた。プロトン屈指のダウンヒラーでもあるニバリのスピードに対し、追う選手たちはテクニカルなコーナーに悪戦苦闘。なかなかペースが上がらず、下り終えラスト10kmを迎えたところでニバリとの差が25秒にまで広がった。

 このまま勝利へのカウントダウンに見えたニバリだったが、最後の峠であるサン・フェルモ・デッラ・バッタリアでモレノが猛追。食らいついたピノーを振り切ると、ニバリの姿が少しずつ見えるところまで迫ってきた。頂上で14秒差にまで縮まり、フィニッシュ地コモまでのラスト5.3kmでさらなる追い上げを図った。

下りアタックを成功させ、独走に持ち込んだヴィチェンツォ・ニバリ Photo: Yuzuru SUNADA下りアタックを成功させ、独走に持ち込んだヴィチェンツォ・ニバリ Photo: Yuzuru SUNADA

 しかし、ニバリも下りでペースを取り戻し、独走のまま最後の直線へとやってきた。残り200mで後ろを振り返り優勝を確信すると、両手を掲げて笑顔でフィニッシュラインへ。偶然沿道から飛んできたイタリア国旗をあしらった手旗を腹部にまとうようにして、歓喜の瞬間に酔いしれた。地元イタリア勢の優勝は、2008年のダミアーノ・クネゴ(現NIPPO・ヴィーニファンティーニ)以来7年ぶりだ。

 グランツールすべてで総合優勝を収めているニバリだが、意外にもビッグクラシックは初制覇。特に「モニュメント」での勝利とあって、喜びもひとしおだ。レース後のインタビューでは「(チヴィリオでの)2度のアタックがともに決まらず、(チームメートの)ローザとどう戦うか話し合いながら走っていた。結果的に下りで勝負を決めることができたが、フィニッシュの瞬間まで思考が止まることはなかった」と述べ、あらゆる展開を想定した結果が優勝につながったことを強調した。

イル・ロンバルディア表彰式。(左から)ダニエル・モレノ、ヴィチェンツォ・ニバリ、ティボ・ピノー Photo: Yuzuru SUNADAイル・ロンバルディア表彰式。(左から)ダニエル・モレノ、ヴィチェンツォ・ニバリ、ティボ・ピノー Photo: Yuzuru SUNADA
UCIワールドツアー個人ランキング年間1位のアレハンドロ・バルベルデ Photo: Yuzuru SUNADAUCIワールドツアー個人ランキング年間1位のアレハンドロ・バルベルデ Photo: Yuzuru SUNADA

 後続は、ニバリを最後まで追い続けたモレノが2位、サン・フェルモ・デッラ・バッタリアでモレノから遅れたピノーが粘って3位を死守した。なお、4位に入ったバルベルデは、すでに年間1位が決まっていたUCIワールドツアー個人ランキングのポイントを675点にまで伸ばし、2位ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ)との差を201点とした。

 25チームから200選手が出場した今回、最終的に99選手が完走。日本勢唯一の参戦となった山本は、マドンナ・デル・ギザッロの上りで集団後方を走るシーンが国際映像に捉えられていたが、その後バイクを降りている。

 このレースを持って、2015年シーズンのUCIワールドツアー全27戦が終了。残すはジャパンカップなど、HCクラス以下のレースが開催される。

イル・ロンバルディア結果
1 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 6時間16分28秒
2 ダニエル・モレノ(スペイン、チーム カチューシャ) +21秒
3 ティボ・ピノー(フランス、エフデジ) +32秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +46秒
5 ディエゴ・ローザ(イタリア、アスタナ プロチーム)
6 ミケル・ニエベ(スペイン、チーム スカイ)
7 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル) +56秒
8 ヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)
9 セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チーム スカイ)
10 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ) +1分10秒
DNF 山本元喜(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)

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