四国の最西端に向かうロングライド日本一細長い半島で美しい海と独特の山を満喫 「サイクリング佐田岬2015」初開催

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 愛媛県西部の八幡浜市をスタートし、四国の西側に細長く突き出した佐田岬を走るサイクリングイベント「サイクリング佐田岬2015」が9月27日に初開催された。しまなみ海道を中心に県全体でサイクリングパラダイスを目指す愛媛の新イベントだ。(岩崎竜太)

みかん農園のなかを縫う道を走り抜ける参加者たち。急峻な山が印象的だった Photo: Ryuta IWASAKIみかん農園のなかを縫う道を走り抜ける参加者たち。急峻な山が印象的だった Photo: Ryuta IWASAKI

みかん農園が点在する急峻な山々

 晴れ渡った空の下、スタート地点の八幡浜港には約150名の参加者が集まった。心地よい気温におだやかな港の景色、アットホームな雰囲気のなかで開会式が行われ、参加者はグループに分かれて走り始めた。

開会式には愛媛県のゆるキャラ「みきゃん」も応援にかけつけた Photo: Ryuta IWASAKI開会式には愛媛県のゆるキャラ「みきゃん」も応援にかけつけた Photo: Ryuta IWASAKI
サポートスタッフは健脚の地元のライダーたちが務めた Photo: Ryuta IWASAKIサポートスタッフは健脚の地元のライダーたちが務めた Photo: Ryuta IWASAKI
気温もほどよく、心地よい晴天のもとでサイクリングがスタート Photo: Ryuta IWASAKI気温もほどよく、心地よい晴天のもとでサイクリングがスタート Photo: Ryuta IWASAKI
漁港の先には急峻なミカン畑の山。独特な風景が参加者を迎えた Photo: Ryuta IWASAKI漁港の先には急峻なミカン畑の山。独特な風景が参加者を迎えた Photo: Ryuta IWASAKI
今大会の来賓、八幡浜市の大城一郎市長(左)とMTBプロライダーの門田基志さん(右)も参加 Photo: Ryuta IWASAKI今大会の来賓、八幡浜市の大城一郎市長(左)とMTBプロライダーの門田基志さん(右)も参加 Photo: Ryuta IWASAKI

 今回用意された走行ルートは、佐田岬の先端にある三崎港を折り返す走行距離91.8㎞のロングコースと、途中にある伊方亀ヶ池温泉にフィニッシュする24.2㎞のショートコース。筆者はロングコースを走った。

 このイベントが素晴らしいのは、まずなんといっても景色だ。みかん農園が点在する急峻な山々、その標高は決して高くはないのだが、見上げているとこちらに迫ってくるかのような迫力がある。

味わい深い家屋が並ぶひなびた集落を走り抜ける Photo: Ryuta IWASAKI味わい深い家屋が並ぶひなびた集落を走り抜ける Photo: Ryuta IWASAKI
みかん農園の向こうにはいくつもの山が連なる Photo: Ryuta IWASAKIみかん農園の向こうにはいくつもの山が連なる Photo: Ryuta IWASAKI
上り区間に入ると、背後に港を一望できた Photo: Ryuta IWASAKI上り区間に入ると、背後に港を一望できた Photo: Ryuta IWASAKI

 逆の方向に顔を向けると、広大な海が広がっている。朝の光に照らされて靄(もや)がかった宇和海の先には、ぼやっと小島が見える。心地よくて眠ってしまいそうなほど気持ちがいい。「(スタート後の狭い道を)コースに設定すべきかどうか、判断が難しかったが、この景色のすばらしさを感じて欲しかった」という主催者側の気持ちは、多くの参加者の心に伝わったに違いない。

宇和海に浮かぶ小島が遠くに見える。快晴の一日は最高のサイクリング日和となった Photo: Ryuta IWASAKI宇和海に浮かぶ小島が遠くに見える。快晴の一日は最高のサイクリング日和となった Photo: Ryuta IWASAKI

アップダウンは苦しく楽しく

山間のつづら折りの道を走る参加者たち。コース前半の難所だ Photo: Ryuta IWASAKI山間のつづら折りの道を走る参加者たち。コース前半の難所だ Photo: Ryuta IWASAKI

 景観のすばらしさに心うっとり…だけで終わらない。佐田岬へ向かうコースにはいくつものアップダウンが訪れる。とはいえ、急な勾配は少なく、いちばん軽いギヤでゆっくり走れば上りきれないような坂はない。

 カゴのついた自転車で走る女性は「ツラいけど、景色がいいから頑張って上ろうって気持ちになるね。暑くないし、風が気持ちいい」と息を切らしながら笑顔で話してくれた。聞けばサイクリングイベントは初参加だという。

愛媛県から参加した大西彩季さん(左)と、若山七笑さん。サイクリングイベントへの参加は2回目という大西さんは、「前回は雨でつらかったけど、きょうは天気がよくて景色もいい。とても楽しいです」。ふたりは今年、アニメをきっかけに自転車を始めたばかり Photo: Ryuta IWASAKI愛媛県から参加した大西彩季さん(左)と、若山七笑さん。サイクリングイベントへの参加は2回目という大西さんは、「前回は雨でつらかったけど、きょうは天気がよくて景色もいい。とても楽しいです」。ふたりは今年、アニメをきっかけに自転車を始めたばかり Photo: Ryuta IWASAKI
ショートコースのゴール地点。ショートの参加者たちには亀ヶ池温泉の入浴券が配られた Photo: Ryuta IWASAKIショートコースのゴール地点。ショートの参加者たちには亀ヶ池温泉の入浴券が配られた Photo: Ryuta IWASAKI

 上り切った先には美しい港町が姿を現した。緑色の海と砂浜、ゆっくりと押して返す波。集落には人の姿が少なく、時間が止まっているかのように錯覚してしまいそうだ。のんびりとした景色を見ながら深呼吸をすると、心が満たされていく感覚を覚えた。

山と海の恵みを胃袋へ

 佐田岬の魅力は景色だけではない。エイドステーションで提供される補給食のグルメも魅力的だ。桃のシロップ漬け、梅ジュース、甘酒アイス、じゃこかつ、しらす丼にちゃんぽん、鯛めしなど、土地のうまいものが次々に提供される。

エイドステーションでは地元の女性たちが補給食をやさしく手渡してくれた Photo: Ryuta IWASAKIエイドステーションでは地元の女性たちが補給食をやさしく手渡してくれた Photo: Ryuta IWASAKI

 なかでもおいしかったのが、折り返し地点のエイドステーションで提供されたしらす丼と、事前の資料にはなかった「伊方きよみ(みかんジュース)」。しらす丼は素材の味を生かした一品。口の中から鼻に抜けるほどしっかりとした旨味があり、たれなどは必要ない。

折り返し地点で食べたしらす丼。どこにでもあるものだけどうまさが段違いだった Photo: Ryuta IWASAKI折り返し地点で食べたしらす丼。どこにでもあるものだけどうまさが段違いだった Photo: Ryuta IWASAKI
自転車乗りにオススメしたいみかんジュース。甘み、酸味、苦みのバランスが本当にすばらしかった Photo: Ryuta IWASAKI自転車乗りにオススメしたいみかんジュース。甘み、酸味、苦みのバランスが本当にすばらしかった Photo: Ryuta IWASAKI

 みかんジュースは「きよみ」というこの土地で採れる品種を使用している。2月頃に収穫されるきよみはとても甘いのだそうだが、ジュースに加工する段階で多少の苦みが生まれるという。その苦みが自転車で走った体にはちょうど良く、疲れた体にエネルギーとリフレッシュをもたらしてくれた。

しらす丼と、みかんジュースを提供してくれた折り返し地点のみなさん。笑顔が美しかった Photo: Ryuta IWASAKIしらす丼と、みかんジュースを提供してくれた折り返し地点のみなさん。笑顔が美しかった Photo: Ryuta IWASAKI
鯛めしと八幡浜市の名物ちゃんぽん。塩分の効いた味付けはフィニッシュ後の体に染み渡った Photo: Ryuta IWASAKI鯛めしと八幡浜市の名物ちゃんぽん。塩分の効いた味付けはフィニッシュ後の体に染み渡った Photo: Ryuta IWASAKI

上りとトンネルをいくつも抜けてフィニッシュ

 折り返し地点を過ぎると、岬の中央を走る国道192号線を八幡浜に向かって進んでいく。すぐに6㎞ほど続く上りを迎えるが、先ほどのエイドのおかげで体も気持ちもリフレッシュしている。脚に多少の疲労を感じながらも、ゆっくり、ゆっくりと漕いでいくと、トンネルがやってくる。かいた汗、熱くなった体はトンネルを抜ける冷ややかな風に吹かれて、また新たな力が生まれてくる。

折り返した先には多くの風車があった Photo: Ryuta IWASAKI折り返した先には多くの風車があった Photo: Ryuta IWASAKI
上りきったあとにはグリーンの海と集落がいくつも現われる。穏やかな景色に心がなごむ Photo: Ryuta IWASAKI上りきったあとにはグリーンの海と集落がいくつも現われる。穏やかな景色に心がなごむ Photo: Ryuta IWASAKI
青と緑の景色のなかに道が消えていく美しい景色がいくつも広がっていた Photo: Ryuta IWASAKI青と緑の景色のなかに道が消えていく美しい景色がいくつも広がっていた Photo: Ryuta IWASAKI

 上りとトンネルと下りをいくつか繰り返せば、フィニッシュまではあと少し。最後の集落を抜けると、傾きかけた陽光に照らされた八幡浜港の景色が広がった。戻ってきたことに安堵し、達成感がわいてくる。多くの楽しい経験とともにフィニッシュへとたどり着いた。

松山市から参加の相山晴香さんは、サイクルイベントに初参加。「脚がつってしまったけど、サポートのおかげで走れました。リタイヤしたくなかったから嬉しいし、完走しちゃったからもっと走りたくなった」 Photo: Ryuta IWASAKI松山市から参加の相山晴香さんは、サイクルイベントに初参加。「脚がつってしまったけど、サポートのおかげで走れました。リタイヤしたくなかったから嬉しいし、完走しちゃったからもっと走りたくなった」 Photo: Ryuta IWASAKI
愛媛県庁の職員、佐伯登志男さん(左)と、藤原康芳さん。藤原さんは「景色と風が気持ちいい。自転車は人との交流があるからブームになっていると思う」。佐伯さんは「ここは九州との玄関口になる港があるので、もっと多くの人にここの気持ちよさを体験してほしい」と地域の魅力をアピール Photo: Ryuta IWASAKI愛媛県庁の職員、佐伯登志男さん(左)と、藤原康芳さん。藤原さんは「景色と風が気持ちいい。自転車は人との交流があるからブームになっていると思う」。佐伯さんは「ここは九州との玄関口になる港があるので、もっと多くの人にここの気持ちよさを体験してほしい」と地域の魅力をアピール Photo: Ryuta IWASAKI

快適性が高いジャイアントの最新モデル

ジャイアント TCRアドバンスド2 Photo: Ryuta IWASAKIジャイアント TCRアドバンスド2 Photo: Ryuta IWASAKI

 今回のツーリングに使用したバイクは、ジャイアントの2016年モデル「TCR ADVANCED 2(アドバンスド2)」。ツーリングには快適性を重視した同社のディファイのほうがいいのでは?と思う人もいるかもしれないが、近年では、レースモデルであっても、剛性の追求のみならず快適性の向上を目指して開発が行なわれている。
TCRの中位グレードで、カーボン素材を使用したこのアドバンスド2、佐田岬の90㎞を走ってみて感じたのは、まず軽さ。重量の軽さはもちろん、しっかりとしたBBとフォークが体からの入力をしっかりとらえ、推進力に変えている印象だ。上りがつらいという人には魅力的だろう。
さらに、前述のとおり快適性も高い。路面からの振動は、マイルドでおしりや腕など体へのダメージは少なかった。この直前に下位グレードのディファイ3(アルミモデル、価格10万円)にも乗ったが、素材違い、グレード違いということもあって快適性はTCRアドバンスド2の方が高かった。

GIANT TCR ADVANCED 2(ジャイアント TCRアドバンスド2)
価格:200,000円(完成車、税抜き)
サイズ:XS、S、M、ML
カラー:ブルー/ホワイト、カーボン/レッド

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