自転車の“新種”がもたらす爽快感スポーツ走行でも違和感なし ヤマハの電動アシストロードバイク「YPJ-R」を試乗

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 ヤマハ発動機が12月に発売する電動アシストロードバイク「YPJ-R」の市販仕様モデルを、Cyclistのインプレッションライダーが試乗した。ヤマハが培ってきた電動アシストユニット技術を生かした、これまでにないスポーツバイク。同社は新しい価値観を創造していきたいとしている。千葉県成田市の下総フレンドリーパークで開かれた説明試乗会で、新感覚の走りを体感した。

ヤマハ「YPJ-R」 Photo:Ikki YONEYAMAヤマハ「YPJ-R」 Photo:Ikki YONEYAMA

新しいニーズを創造

 1993年に登場したヤマハ「PAS」以来、電動アシストユニットはいわゆる“ママチャリ”を中心に搭載され、楽をするための道具として普及してきた。自転車産業振興協会の統計によると、2014年の1年間に国内で出荷された電動アシスト自転車は47万5000台にのぼる。

 しかしヤマハ発動機は、スポーツサイクル市場で新しいニーズを創造するため、2012年から「YPJ」プロジェクトに取り組み、“走りをより楽しむための電動アシスト”の第一弾としてYPJ-Rを開発した。

フレームの前三角はアルミのハイドロフォーミング Photo:Ikki YONEYAMAフレームの前三角はアルミのハイドロフォーミング Photo:Ikki YONEYAMA
小型バッテリー搭載でスリムな外見 Photo:Ikki YONEYAMA小型バッテリー搭載でスリムな外見 Photo:Ikki YONEYAMA

 「かっこ良くて軽い」を目指したYPJ-Rは、3.5kgと小型軽量の新開発「PW」パワーユニットをBB部に搭載。このユニットは欧州で多くの電動アシストスポーツバイクに導入されているという。

 アルミ製フレームはパワーユニットに合わせた専用設計で、トップチューブやダウンチューブはハイドロフォーミングにより立体成型され、デザイン性も高い。ユニットを支えるフレーム下部は鍛造アルミの塊を切削して成形されており、応力のかかる部分には軽さではなく強度と剛性を求めた。

 完成車重量で15.4kg(Mサイズ)と、一般的な電動アシスト自転車に比べて10kg以上も軽量に仕上がっている。

欧州でスポーツバイクへの導入実績があるパワーユニット Photo:Ikki YONEYAMA欧州でスポーツバイクへの導入実績があるパワーユニット Photo:Ikki YONEYAMA

アシストは時速24kmまで

大型で視認性の高いディスプレイと、クリック感がある操作ボタン Photo:Ikki YONEYAMA大型で視認性の高いディスプレイと、クリック感がある操作ボタン Photo:Ikki YONEYAMA

 アシスト機能をコントロールする操作ボタンはクリック感が強く、乗車中に操作してもミスが起こりにくい設計だ。モノクロ液晶のディスプレイには、速度や距離のほか、バッテリー残量、ワットで表示される出力、消費カロリーなどの項目が表示される。画面は大きめで視認性も高い。ディスプレイを取り外して持ち出すことにより主電源がロックされる仕組みで、さらにマイクロUSB端子を備え、スマートフォンなどの充電が可能となっている。電動アシストの強さは3段階に調整でき、アシストはスタート時から時速24kmに達するまで機能する。

「YPJ-R」ブラック/グレー Photo:Ikki YONEYAMA「YPJ-R」ブラック/グレー Photo:Ikki YONEYAMA
「YPJ-R」トリコロール Photo:Ikki YONEYAMA「YPJ-R」トリコロール Photo:Ikki YONEYAMA
「YPJ-R」ブラック/ブルー Photo:Ikki YONEYAMA「YPJ-R」ブラック/ブルー Photo:Ikki YONEYAMA

賛否両論も「スポーツサイクルの入り口になれば」

ヤマハ発動機株式会社商品企画担当の鹿嶋泰広さん Photo:Ikki YONEYAMAヤマハ発動機株式会社商品企画担当の鹿嶋泰広さん Photo:Ikki YONEYAMA

 YPJ-Rの商品企画を担当したヤマハ発動機SPV事業部マーケティング部の鹿嶋泰広さんは、「カジュアルな服装でも乗れるバイクを開発した。電動アシストバイクを再定義したい」とアピール。

 「2年前にYPJシリーズのコンセプトモデルを発表した時点から、賛否両論があった。自身の脚力でペダルを漕ぐことがロードバイクの醍醐味だとする方もいるが、YPJはこれからスポーツサイクリングを始める方の入り口になればいいと考えている。今までの電動アシスト自転車が失ってきた軽さと走行性能を取り戻したYPJ-Rは、電動アシスト自転車の新種。趣味を楽しむために乗ってほしい」と新製品に懸ける思いを語った。

インプレッション BY 松尾修作・米山一輝

松尾修作

松尾修作 NAUTS代表兼選手。元プロロードレーサーでヨーロッパをはじめ、アジアツアーやJプロツアーのレースを転戦した。脚質はオールラウンダーで、剛性が高いバイクよりはしなやかでも伸びのあるバイクを好む。身長175cm Photo:Ikki YONEYAMA松尾修作 NAUTS代表兼選手。元プロロードレーサーでヨーロッパをはじめ、アジアツアーやJプロツアーのレースを転戦した。脚質はオールラウンダーで、剛性が高いバイクよりはしなやかでも伸びのあるバイクを好む。身長175cm Photo:Ikki YONEYAMA

 乗ってみて思ったことは、とにかくスムーズで違和感がないこと。走り出しでアシスト機能がいきなりグワッと効き始めることはなく、ペダリングのトルクに合わせて自然な出力でアシストしてくれることが理由だと感じた。24km/hを超えてアシストが切れる際に、いつ切れたかわからなかったほどだ。変速機やブレーキといったメーンコンポーネントはシマノ105。アシストユニットが搭載されている以外は、市販規格のパーツが使用されており、普段通りに変速やブレーキングが行えるのも良い点だった。

 YPJ-Rをレースで使おうとは思わないが、自転車を楽しむ場所はレースだけではないはず。自転車で走る爽快感を新しい形で得られるYPJ-Rは、乗ってみて純粋に楽しかった。コンセプトに賛否両論はあるかもしれないが、実際に乗ってみて新しい価値観を体験してみてほしい。個人的にはヤマハモータースポーツ伝統のグラフィック「スピードブロック」が採用されていることにとても好感を持ち、YPJシリーズの今後に期待したいと思った。
 

米山一輝

米山一輝 サイクリスト編集部のエースライダー。数多くのトップ選手を輩出した東京の名門クラブチームで15年の選手経歴を持つ元レーサーで、現在は国内レースを取材で転戦中。身長175cm Photo: Shusaku MATSUO米山一輝 サイクリスト編集部のエースライダー。数多くのトップ選手を輩出した東京の名門クラブチームで15年の選手経歴を持つ元レーサーで、現在は国内レースを取材で転戦中。身長175cm Photo: Shusaku MATSUO

 実車を前にしての第一印象は、「思っていたよりもカッコいい」。アルミフレームの造形は、既存のロードバイクではあまりないデザインで、こだわりが感じられる。手で持ち上げると重さを感じたが、走り始めるとほぼ普通のロードバイク。加速の軽さから「さすが電動アシスト!」と思ったものの、メーターを確認すると30km/hを示しており、すでにアシストは切れていた。24km/hでアシストがOFFになってからも、過剰な重さを感じることなく走ることができた。重量のあるパワーユニットが車体中央部に位置しているので、バランスがいい。そのほかのパーツは8kg台のロードバイクと同じ構成のため、違和感なく乗りこなすことができた。

 そして、上りではアシストを効かせた走りが本領発揮。とにかく楽に上れる。モーターの音が電動アシスト車であることを感じさせたが、作動はスムーズ。アシストの恩恵を受けられる速度域は限られるが、それ以上の速度域でもしっかりと走る点が良かった。ロードバイクの行動範囲を考えると、アシストの航続距離が最大48kmというのは不安だが、平地はアシストをOFFにして、上りでONにして走る使い方もできるだろう。景色は良いがアップダウンも多い観光地など、これでサイクリングできれば楽しいのではと感じた。

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