工具はともだち<79>「スパナ」に「めがね」「コンビネーション」 “回す工具”レンチの代表的アイテム

by 重田和麻 / Kazuma SHIGETA
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 これまで数回にわたって工具の選び方をお伝えしていますが、今回はレンチ類をご紹介します。レンチと言ってもさまざまな種類があり、これまでご紹介したラチェットもレンチの一種です。そもそも「Wrench」(レンチ)とは「ねじって回す」と言う意味で、“回す”工具は概ねレンチだと言っても過言ではありません。そのなかでも今回は「スパナ」「めがね」「コンビネーション」と呼ばれる、レンチの代表的なアイテムやその使い分け方などをご紹介します。

狭い所で作業しやすい“やり形”が主流

両側が開いている「スパナ」両側が開いている「スパナ」

 まずは「スパナ」。この形状をみると、なんとなく“サスペンスドラマに出てくるアレ”だとわかっていただけると思いますが、あくまでも本来の使い方はボルト・ナットを回すことです。スパナは英語では“OPEN END WRENCH”と言い、その名の通り両側が開いています。外側が開いているので抜き差しがしやすく、早回しに適していますが、あまり大きな力を加えると外れてしまう可能性がありますのでできるだけ避けて下さい。

 このスパナには「丸形」と「やり形」があり、最近では先端がスリムなやり形が多くなってきています。狭い箇所での作業がしやすいため、KTC(京都機械工具)ではかなり前からやり形を採用しています。さらに現在のKTCのやり形は従来の弱点を補うため、一番力が加わる部分にボリュームを持たせた独自の形状になっています。ただ、昔は工具と言えばスパナが代表格でしたが、早回しではラチェットにかないませんので、最近では存在感が大分薄くなっています。

スパナの「丸形」(左)と「やり形」スパナの「丸形」(左)と「やり形」
KTCの「スパナ」の旧型(左)に比べ、新型は力がかかる部分にボリュームがあるKTCの「スパナ」の旧型(左)に比べ、新型は力がかかる部分にボリュームがある

外れにくく、大きな力をかけられる

45°にオフセットされた「めがねレンチ」45°にオフセットされた「めがねレンチ」

 次にご紹介するのは「めがねレンチ」。両方に丸い穴が開いて、めがねのような形をしているのでめがねレンチと言われていますが、英語では“BOX END WRENCH”と言います。めがねレンチの一番スタンダードなタイプは45°にオフセットされているので「オフセットレンチ」という言い方もします。まったくもって、工具にはいろんな呼び方があってややこしいですね。

 このめがねレンチは、本締めと緩めの最初に使用します。めがねレンチはボルトやナットを6点でとらえるので、2点で支持するスパナに比べ大きな力をかけることができ、しかもリング状になっているのでボルト・ナットから外れにくく均等に力をかけることができるのです。めがねレンチには一般的なオフセットタイプやストレート、さらにはハーフムーンやS字といった変わった形状もあり、狭い所や奥まった所、障害物がある所など環境に合わせて使い分けます。

S字のめがねレンチS字のめがねレンチ
ハーフムーンのめがねレンチハーフムーンのめがねレンチ

自転車整備に便利な薄口タイプ

スパナとめがねレンチを組み合わせたコンビネーションレンチスパナとめがねレンチを組み合わせたコンビネーションレンチ

 そして、最後にご紹介する「コンビネーションレンチ」は英語の名称もそのままで、スパナとめがねがドッキングした便利なレンチです。クルマの整備では不思議とあまり使われないのですが、自転車やオートバイではよく使われる工具です。自転車に使われているボルト・ナットはそんなに種類がありません。なので、さまざまな状況に対応できるように「よく使うサイズの工具はできる限りたくさんの種類を持っておく」ことを以前おすすめしました。この工具はまさにその代表格になります。

薄型コンビネーションレンチ薄型コンビネーションレンチ

 工具を持ち運ぶ際、スパナとめがねを1本ずつ持っていくより本数が少なくて済むので便利です。また、自転車の整備では薄型で少し長いモノが便利なため、KTCでは薄口コンビネーションレンチが自転車用ツールとして設定されています。

 このようにさまざまな種類がある“レンチ”ですが、工具をそろえる際は代表格の薄口コンビネーションレンチを中心に、作業内容に合わせて少しずつ工具のバリエーションを増やしていって下さいね。

重田和麻(しげた・かずま)

KTC(京都機械工具)入社後、同社の最高級ツール「nepros」(ネプロス)の立ち上げに携わった後、販売から企画、商品開発とさまざまな立場で同商品と歩みを共にしてきた。スポーツ自転車は初心者だが、工具についてはプロフェッショナル。これまでの経験を生かして、色々な角度からサイクリストに役立つ工具の情報を提供する。

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