じてつう物語<1>「朝に自転車に乗ることで、身体のスイッチが入った状態で勤務に入れる」笠原正樹さん

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笠原正樹さん(51)笠原正樹さん(51)

自転車なら路線バスよりも効率よく通勤できる

笠原正樹さん(51)笠原正樹さん(51)

 神奈川県厚木市の電機関連企業に勤める笠原正樹さん(51)は、同じ厚木市内にある自宅から会社までの片道8kmほどを、毎日自転車で通勤している。もちろん会社公認だ。自宅も会社も鉄道の駅から若干離れているため、走行距離は10kmに満たないが自転車通勤のメリットは大きい。

 「公共交通機関を使って会社に行くためには、路線バスを2本乗り継ぐ必要があるんです。路線バスは1時間に2本ほどで、ラッシュ時は所要時間が読みにくい。自転車なら、30分以内で確実に会社に着くことができます。それに、朝に自転車に乗ることで、身体のスイッチが入った状態で勤務に入れるのが良いです」と笠原さんは話す。

 よほどの大雨でもなければ、常に自転車通勤をしている。以前はクルマ通勤もしていて、とくに雨の日はクルマに頼ることが多かった。

 「雨の日はできれば自転車には乗りたくないですよね。私も以前は、雨の日はクルマで通勤していました。自転車で通勤するためには駐輪場を、クルマで通勤するには駐車場を職場に申請して確保する必要があるので、両方とも申請していたんです。しかし、東日本大震災の後に電力事情が逼迫したことを受けて敷地内に自家発電設備を設けることになり、そのスペースを捻出する関係で、駐輪場か駐車場か、どちらかにしてほしいと会社から言われました。つまり、自転車通勤とクルマ通勤のどちらかを選ぶわけです。それはもう、迷うことなく自転車通勤ですよね」

 会社には、駐輪場の確保だけではなく、どんなルートで通勤するのかも含めて申請をしている。自転車通勤をしていても、通勤手当は公共交通機関を利用したときの定期代と同額が支払われるというから、制度面でも比較的自転車を選びやすいと言える。

根っからの自転車好きだから、自転車通勤が当たり前

自転車で通勤が当たり前自転車で通勤が当たり前

 笠原さんは「エコだからとか、健康のためだとか、そういった理由はないんです。学生の頃から、自転車で通うということが当たり前になっているので」と話す。もちろん、子供の頃からの根っからの自転車好きだ。

 「小学生のときにはもう、スポーツ車がほしいと親にねだっていましたね。ブリヂストンのロードマンに憧れた世代です。中学のときから自転車通学。いわゆるジュニアスポーツ車に乗っていましたが、校則でドロップハンドル禁止等、うるさかったですね。サドルにまたがったとき、地面にべったり足が付かないとダメ、とか。セミドロップハンドルは、ひっくり返してアップハンドルにして乗っていました」

 同じような思い出があるオジサンたちは多いのではないだろうか。そんな校則にもめげずに、高校まで自転車通学。大学進学後、3年間は電車通学だったが、4年のときは自転車通学をしていた。

 「大学で実験をするようになると、自転車で通うようになりました。というのも、実験が始まると、帰宅できる時間が読めないのです。自転車だと電車の時間を気にする必要がないので、自然と自転車通学するようになったんです。実際、電車で通学していた3年間は苦痛でしたよ。公共交通って、人間的に何かエネルギーを使うんですよね」

 さすが、根っからの自転車好きといったところだろうか。結局は自転車の自由さがいちばんということなのだろう。

 「社会人になったときも、職場に駐輪場があるのを見つけて、あ、ここは自転車通勤して良いんだ!と思いました。だから迷うことなく自転車通勤です」

 約30年前で自転車通勤というと珍しい気もするが「同期に、大学時代にサイクリング部だったという人がいて。彼も自転車通勤をしていたから、自分が珍しいことをしているという感じはしなかったですね」と語る。自然と、類は友を呼ぶのだろうか。

昔からの仲間が集まるレースが楽しみ

大好きなレースのひとつである「つがいけサイクルクラシック」にて(笠原さん提供)大好きなレースのひとつである「つがいけサイクルクラシック」にて(笠原さん提供)

 学生時代は住まいのある名古屋から北海道等への長距離サイクリングを楽しみにしていた笠原さん。社会人になってからは、サイクルロードレースにも出るようになり、実業団のレースも走るようになった。

 「草レースから始めたのですが、通っているお店のチームが実業団登録レースにチームとして登録するとき、人数合わせのような感じで自分も実業団登録することになったんです」

 年齢を重ねた今は、好きなレースに絞って参加ををしている。とくに、名古屋出身の笠原さんにとっては、毎年8月に鈴鹿サーキットで開催される「シマノ鈴鹿ロードレース」は特別な存在。「名古屋にいた頃の自転車仲間たちが集まる大事な機会ですね」と笠原さん。また、栂池高原で開催される「つがいけサイクルクラシック」も、古くから参加しており、北陸や関西の仲間も集まるため「大好きなレース」だという。

自転車通勤のベテランが心がけていること

通勤用自転車にはハブダイナモを装着通勤用自転車にはハブダイナモを装着

 東日本大震災のあと、自転車通勤をする人が増えている。笠原さんの勤務先でもそうだ。自転車通勤のベテランである笠原さんが心がけていることは、自転車通勤のビギナーにとっても参考になるだろう。

 笠原さんは「ふつうに交通ルールを守ることが大事。そして、必要な場所ではしっかり減速や一時停止をすること」と話す。いちばん気をつけているのは交差点で、周囲の交通に十分気を配る。とくに信号機の無い交差点は要注意だ。

 「例えこちらが優先道路を走っていても、しっかりと減速をします。クルマのドライバーはどうしても、信号機の無い交差点で鼻先を出してくる。また、自転車や歩行者が飛び出してくることもあります。自転車に乗る人は、再加速が嫌だからか減速をちゃんとしない人が多いけれど、それが危険なんです」

 また、目視やハンドサインで「周辺のクルマに対して、自分はちゃんと周りを見ていますよ、あなたのことに気づいていますよ……と知らせることが大事」とも話す。

 笠原さんの装備に目を移すと、ヘルメットをちゃんと着用するのはもちろん、ライトが複数装備されているのに気がつく。「自転車とライト、どちらが大事かといったらライトじゃないかというくらい(笑)」という。ハンドルにライトを取り付けるだけではなく、前輪のハブ(車軸)で発電する「ハブダイナモ」のライトも装着。夜間でもしっかりと存在感を発揮する。

会社帰りに寄るラーメン屋さんが楽しみ(笠原さん提供)会社帰りに寄るラーメン屋さんが楽しみ(笠原さん提供)

 取材当日も、会社帰りに自転車で現れた笠原さん。もちろんこれからも自転車通勤やレースへの参戦を続けていくつもりだ。

 「子供の頃からずっと自転車に乗っているし、自転車通学・通勤も大学の3年間以外、やめたことがない。だから、これからも自転車に乗り続けていることは間違いないですね。逆に、自転車をやめたらどうなっちゃうんだろう?と思います(笑)」

ルート:神奈川県厚木市~神奈川県厚木市、往復16km
時間:片道30分
頻度:週5日
マシン:エディメルクス
勤務先での設備:駐輪場
じてつうの工夫:とにかく安全運転

TEXT&PHOTO BY Gen SUGAI

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