新城幸也はメーン集団で17位フィニッシュペテル・サガンが石畳で圧巻のアタックを決め王者に 世界選手権ロードレース男子エリート

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 アメリカ・バージニア州リッチモンドで開催されているUCIロード世界選手権は9月27日、大会の最終種目となる男子エリートロードレースが行われ、ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)が終盤の石畳区間でアタックに成功し、そのまま独走に持ち込んで優勝。世界王者の証、マイヨ・アルカンシエルに初めて袖を通した。日本勢では、新城幸也(チーム ヨーロッパカー)がメーン集団でゴールスプリントに臨み17位となった。

初の世界チャンピオンの座に輝いたペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) Photo: Yuzuru SUNADA初の世界チャンピオンの座に輝いたペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) Photo: Yuzuru SUNADA
逃げグループで走るジェシー・サージェント(ニュージーランド、トレック ファクトリーレーシング) Photo: Yuzuru SUNADA逃げグループで走るジェシー・サージェント(ニュージーランド、トレック ファクトリーレーシング) Photo: Yuzuru SUNADA

 大会の華でもある男子エリートロードレースには、今シーズンのUCIワールドツアーまたはコンチネンタルツアーの成績に基づき出場枠を獲得した45カ国から192選手がエントリー。リッチモンド大学の構内をスタートしたのち、今大会のメーンコースであるリッチモンド市街地の周回(16.2km)をおよそ16周する261.4kmで争われた。日本はUCIアジアツアーの国別成績から3つの出場枠を獲得。新城と別府史之(トレック ファクトリーレーシング)、内間康平(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)の3人がスタートラインに並んだ。

 スタート直後にジェシー・サージェント(ニュージーランド、トレック ファクトリーレーシング)ら8選手の逃げが決まると、周回コースへ入る頃にはメーン集団との差が約4分に広がった。その後はオランダ、ドイツ、スペイン、ポーランドがメーン集団の前方をキープし、先頭との差を3分から4分に維持しながら進んだ。

 5周目に入ると、オランダ勢が集団のペースアップを図る。逃げとの差を1分台にまで縮めると、しばらくその状態が続いたが、9周目に集団内で起きた落車をきっかけに再びペースが上がった。残り距離が100kmを切ったあたりからはベルギーも集団コントロールに加勢し、10周目に逃げメンバーすべてを吸収した。

メーン集団で走る別府史之(トレック ファクトリーレーシング) Photo: Yuzuru SUNADAメーン集団で走る別府史之(トレック ファクトリーレーシング) Photo: Yuzuru SUNADA

 続く11周目、カンスタンティン・シウツォウ(ベラルーシ、チーム スカイ)のアタックに、テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)、ハルリンソン・パンタノ(コロンビア、イアム サイクリング)、ギュローム・ボワヴァン(カナダ、オプトゥム p/b ケリーベネフィットストラテジーズ)が続き、逃げグループを形成する。メーン集団から追走狙いのアタックが散発したものの、明確な動きとはならず、4選手が1分30秒近い差で先行を続けた。その間、メーン集団では複数選手が絡む落車が起きるなど、終盤の駆け引きを前に慌ただしさを増していった。

 徐々にペースを上げていったメーン集団は、13周目に逃げを吸収。直後の石畳区間でイアン・スタナード(イギリス、チーム スカイ)が抜け出すと、有力国の選手たちが次々とチェックに入り、そのまま先行を開始した。

石畳のリビーヒルの上りを行く集団 Photo: Yuzuru SUNADA石畳のリビーヒルの上りを行く集団 Photo: Yuzuru SUNADA

 メンバーはスタナードのほか、トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)、バウケ・モレマ(オランダ、トレック ファクトリーレーシング)、ダニエル・モレノ(スペイン、チーム カチューシャ)、ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チーム スカイ)。逃げ切りを狙える7選手だけに、メーン集団ではドイツやオーストラリアが必死に追走する。前を急ぎたい7人もさまざまな思惑が働き、集団を引き離すまでには至らず、14周目の石畳区間で捕まってしまった。やがて、約30人に絞られた集団がラスト1周の鐘を聴いた。

内間康平(ブリヂストンアンカー) Photo: Yuzuru SUNADA内間康平(ブリヂストンアンカー) Photo: Yuzuru SUNADA

 残り15km地点でネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)がアタックすると、数選手が反応したものの、決定的な動きとはならず。残り11kmではシウツォウが再びアタック、これに続いたのはタイラー・ファラー(アメリカ、MTN・クベカ)のみ。2人が逃げ切りをかけて飛び出した。

 スピードに乗り、先頭交代のローテーションもスムーズなシウツォウとファラーだったが、残り5kmを切るとメーン集団が一気に迫ってきた。粘りを見せるも吸収されてしまい、勝負はふりだしに戻った。ベルギーやイタリアが主導権を争いながら、最終盤の勝負どころを目指した。

 石畳区間の最初に訪れるリビーヒルの上りを先頭で入ったのは、ズデニェック・シュティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)。この動きを読んでいたかのように、ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン)、フレッヒ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)、アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ)が続いたが、他の選手たちが彼らのアタックを許さない。

23番通りの急坂入り口で爆発的なアタックを仕掛けるサガン Photo: Yuzuru SUNADA23番通りの急坂入り口で爆発的なアタックを仕掛けるサガン Photo: Yuzuru SUNADA

 そして、勝負が大きく動いたのは同じく石畳区間、23番通りの急坂だった。この上りでライバルを圧倒するアタックを決めたのは、サガンだった。1人桁違いのスピードで上りきると、直後の下りでもクラウチング姿勢のままペダルを回すなど、リスクをいとわない攻めの走り。後方ではヴァンアーヴェルマート、クリツォフらが追うが、サガンのダウンヒルスピードが上回り、その差が少しずつ広がっていった。

 独走のままラスト1kmのフラムルージュを通過し、最後の上りへ。さすがに苦悶の表情に変わったサガンに対し、メーン集団が猛然と追い上げてきた。コーナーを抜け、いよいよ最後の直線へ。残る力を振り絞ってペダルを回したサガン。集団の猛追をかわし、ラスト100mで優勝を確信すると、沿道の観客に自らをアピールする。1番にフィニッシュラインを通過し、世界王者を決めた。

2位争いをするスプリントをするメーン集団を背にゴールするサガン Photo: Yuzuru SUNADA2位争いをするスプリントをするメーン集団を背にゴールするサガン Photo: Yuzuru SUNADA
ゴール後、フィアンセと抱き合うサガン Photo: Yuzuru SUNADAゴール後、フィアンセと抱き合うサガン Photo: Yuzuru SUNADA
男子エリート表彰式。(左から)2位のマシューズ、優勝のサガン、3位のナヴァルダウスカス Photo: Yuzuru SUNADA男子エリート表彰式。(左から)2位のマシューズ、優勝のサガン、3位のナヴァルダウスカス Photo: Yuzuru SUNADA

 2010年のプロデビュー以来、数々の勝利でファンや関係者を驚かせてきたサガンだが、待望の世界選手権勝利は特別だ。バイクから飛び降りるようにして喜びを爆発させた。優勝を争ったライバルたちもサガンを祝福。多くの選手が彼の元へと駆け寄り握手を交わした。レース後のインタビューでは、「(勝負のときを)ずっと待ち続けた。レース中はユライ(・サガン)とミカエル・コラー(ともにティンコフ・サクソ)が近くを走ってくれた。2人には本当に感謝している。世界チャンピオンになったなんて、信じられない気分だ」とコメント。表彰式ではスロバキア国旗を広げ、満面の笑みを見せた。

メーン集団でゴールスプリントまで残り、17位に入った新城幸也(チーム ヨーロッパカー) Photo: Yuzuru SUNADAメーン集団でゴールスプリントまで残り、17位に入った新城幸也(チーム ヨーロッパカー) Photo: Yuzuru SUNADA

 サガンを追ったメーン集団は、結果的に3秒差でフィニッシュ。マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)がスプリントを制し、銀メダルを確保。ラムーナス・ナヴァルダウスカス(リトアニア、チーム キャノンデール・ガーミン)が銅メダルを獲得した。17位の新城もこのグループでレースを終えている。なお、別府は中盤で、内間は後半にそれぞれリタイアした。

 9月20日に開幕したUCIロード世界選手権は、休息日を含む8日間の日程が終了。チームTTを除く各種目の勝者は1年間、白地に青・赤・黒・黄・緑の5色の虹色ラインが入ったジャージ「マイヨ・アルカンシエル」を着用する権利が与えられる(当該カテゴリー・種目に限定される)。また、次回大会は2016年10月9日から16日の日程で、カタール・ドーハで開催される。

ロード世界選手権 男子エリート ロードレース(261.4km)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 6時間14分37秒
2 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) +3秒
3 ラムーナス・ナヴァルダウスカス(リトアニア、チーム キャノンデール・ガーミン)
4 アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ)
5 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)
6 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
7 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)
8 ミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)
9 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
10 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)
17 新城幸也(チーム ヨーロッパカー)
DNF 別府史之(トレック ファクトリーレーシング)
DNF 内間康平(ブリヂストンアンカー)

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