自らは“進化”も結果は18位に後退世界のトップとの差を見せつけられた與那嶺恵理 目標のリオ五輪出場枠は獲得成らず

by 田中苑子 / Sonoko TANAKA
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 UCIロード世界選手権、大会3日目となった9月22日は、男子ジュニアと女子エリートの個人タイムトライアルが開催された。日本勢の注目は、2016年のリオ五輪を大きな目標として掲げる與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)のリオ五輪出場枠をかけた戦いだった。

コースを試走し、笑顔で写真撮影に臨んだ與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) Photo: Sonoko TANAKAコースを試走し、笑顔で写真撮影に臨んだ與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) Photo: Sonoko TANAKA

難関のリオ五輪出場枠

レース前日の朝、武井コーチとともにコースを試走する與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) Photo: Sonoko TANAKAレース前日の朝、武井コーチとともにコースを試走する與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) Photo: Sonoko TANAKA

 今大会では、エリート男子、エリート女子ともに、個人タイムトライアルの上位10カ国にリオ五輪での同種目への出場枠が与えれるルールがある。正確に言うなら、まずはロードレースへの出場枠が必要となり、ロードレースに出場する選手のなかで、個人タイムトライアルの出場枠を獲得できた国の選手が同種目に出場できる仕組みとなっている。

 エリート女子では、個人タイムトライアルの出場枠は全部で25。今大会で10枠が決まり、残りの15枠は2015年6月から2016年5月までのUCIランキングにより分配される。ちなみにエリート女子のロードレースの出場枠は67、エリート男子の場合はロードレースが144枠で、個人タイムトライアルにはそのなかの40人が出走できる。

 昨年の世界選手権個人タイムトライアルで14位だった與那嶺は、リオ五輪に向けての足がかりとして、今シーズンはこの世界選手権での個人タイムトライアルで10位以内を目標にして過ごしてきた。10位に入るためには、何が必要なのか? 何を変えることができるのか? と與那嶺が自転車競技を始めたときから二人三脚で彼女の活動を支える武井亨介コーチとともに厳しいトレーニングに向き合ってきた。

明るい雰囲気のなかレース準備を進めていく日本ナショナルチーム Photo: Sonoko TANAKA明るい雰囲気のなかレース準備を進めていく日本ナショナルチーム Photo: Sonoko TANAKA
男子ジュニアの沢田桂太郎(東北高校)がゼッケンを付ける Photo: Sonoko TANAKA男子ジュニアの沢田桂太郎(東北高校)がゼッケンを付ける Photo: Sonoko TANAKA
静かにスタート時間を待つ沢田桂太郎(東北高校) Photo: Sonoko TANAKA静かにスタート時間を待つ沢田桂太郎(東北高校) Photo: Sonoko TANAKA
スタート台に向かう石上雄大(横浜高校/EQADS) Photo: Sonoko TANAKAスタート台に向かう石上雄大(横浜高校/EQADS) Photo: Sonoko TANAKA

世界に挑戦できることを楽しむ

6月の全日本ロードでは僅差の2位に敗れた Photo: Sonoko TANAKA6月の全日本ロードでは僅差の2位に敗れた Photo: Sonoko TANAKA

 今季は與那嶺にとって、けっして順調とはいえないシーズンだった。6月に開催された全日本選手権ロードレース個人タイムトライアルでは調子も良く快勝したものの、翌週の全日本選手権ロードレースでは2位、7月の全日本選手権マウンテンバイク・クロスカントリーでは3位と勝利を逃した。過去に優勝経験のあるそれら大会では当然勝利を狙っていたが「精神的な部分も含めて悪いところがすべて出てしまった」と、大きな課題が残る結果となった。

 「何かを変えないと先がない」

 そう思った與那嶺と武井コーチは、世界選手権に向けて、環境のいいハワイ・マウイ島での1カ月間のトレーニング合宿を決めた。そして、今までとは大きく違う試みとして、與那嶺は初めて武井コーチと離れる選択をし、単身でハワイへと向かった。

ウォーミングアップを始める與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) Photo: Sonoko TANAKAウォーミングアップを始める與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) Photo: Sonoko TANAKA
與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)が武井コーチと合図を交わし、スタート台へと向かう Photo: Sonoko TANAKA與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)が武井コーチと合図を交わし、スタート台へと向かう Photo: Sonoko TANAKA
スタート台に向かう與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) Photo: Sonoko TANAKAスタート台に向かう與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) Photo: Sonoko TANAKA

 現地では、バイクを使ったトレーニングだけでなく、体幹トレーニングも積極的に行った。終盤にかけてのバイクの押さえを強化し、ブレを減らす等、弱点克服のためだ。トレーニング、食事、休息だけのシンプルな生活で、與那嶺は「集中して自分と向き合うことができた」と振り返る。そして大会直前に開催地のリッチモンドで二人は再会し、與那嶺の絞れた身体に武井コーチは思わず驚いたという。

 「やるべきことはすべてやった」。目標はリオ五輪の出場枠がかかる10位にとどまらず、6位以内と設定。「タイムトライアルは自分と向き合う競技。どれだけ走れるのか、世界に挑戦できることを楽しみながら走りたい」とスタートを切った。

スタートに向けて集中する與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) Photo: Sonoko TANAKAスタートに向けて集中する與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) Photo: Sonoko TANAKA
スタート台でカウントダウンを待つ與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) Photo: Sonoko TANAKAスタート台でカウントダウンを待つ與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) Photo: Sonoko TANAKA
與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)がスタートを切った Photo: Sonoko TANAKA與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)がスタートを切った Photo: Sonoko TANAKA

 女子エリートのレースは周回コースを2周する29.9km。1周回目は良いペースで走ったものの、2周回目ではタイムが伸びなかった。平坦基調でコーナーが多く、途中には長い石畳区間もある今回のコースは、軽量な與那嶺に向いているとは言い難いが、與那嶺は力走し結果はトップから2分10秒遅れの18位でゴールした。

突きつけられた結果

 レースを終えてから、コース横でトップ選手たちの走りを見ていたという與那嶺は、「世界のトップ選手との格の違いを見せつけられました」と、やや呆然とした状態でレースを振り返った。武井コーチもショックを隠せず、「トップと2分差という結果は『お粗末』と言うしかない。自分たちはできることはすべてやったが、オリンピックが近いこともあり、周りの選手たちの伸び率が、はるかに自分たちの想像を超えていた」と話す。

與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) Photo: Sonoko TANAKA與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) Photo: Sonoko TANAKA

 フィジカル面では順調に去年よりも高い数値が出ており、今日の調子も良かった。ただコーナリングや後半にタイムが落ちたことなど、改善点もいくつか見つかった。まずは気持ちを切り替えて4日後のロードレースで再び世界のトップ10に入ることを狙うが、今後に向けて二人の挑戦は続いていく。

 参考までに2015年の現在(8月23日)までのUCIランキングでは、日本は23位。ポイントの集計期間が異なるが、このままでは日本がリオ五輪の個人タイムトライアルで出場枠を獲得するのは、厳しい状況といえるだろう。

與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) Photo: Sonoko TANAKA與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) Photo: Sonoko TANAKA

男子ジュニア勢はロードレースに向け好感触

 ジュニアの男子には、ジュニアカテゴリー1年目の沢田桂太郎(東北高校)と2年目の石上雄大(EQAS)が出場し、結果は残らなかったが、調子の良さを確かめることができ、彼らにとって目標であるロードレースに向けて、いい感触を得ることができた。

 大会4日目の23日はエリート男子の個人タイムトライアルが開催され、大会は折り返しを迎え、24日の公式トレーニングを経て、25日から各カテゴリーのロードレース種目がスタートする。

男子ジュニア45位だった沢田桂太郎(東北高校) Photo: Sonoko TANAKA男子ジュニア45位だった沢田桂太郎(東北高校) Photo: Sonoko TANAKA
男子ジュニア44位の石上雄大(横浜高校/EQADS) Photo: Sonoko TANAKA男子ジュニア44位の石上雄大(横浜高校/EQADS) Photo: Sonoko TANAKA

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