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RENの「自転車のススメ」<16>目指せターザン! 間近に見たオフロード版トライアスロン「エクステラ」の過酷なレース

by 小林廉 / Ren KOBAYASHI
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 前回の「RENの自転車のススメ」で告知した通り、8月29日に北海道で行われた「XTERRA(エクステラ)ジャパン・チャンピオンシップ」に行ってきました!

エクステラはオフロード版トライアスロン。まさにアドベンチャー。ターザンが原生林の中を突き進む Photo: xterrajapan.netエクステラはオフロード版トライアスロン。まさにアドベンチャー。ターザンが原生林の中を突き進む Photo: xterrajapan.net

海外で盛り上がるオフロードイベント

道内で最大規模となるダム湖、南富良野町のかなやま湖。湖畔に道路と僅かな住宅があるだけで手付かずの自然が広がる Photo: REN道内で最大規模となるダム湖、南富良野町のかなやま湖。湖畔に道路と僅かな住宅があるだけで手付かずの自然が広がる Photo: REN

 エクステラは、スイム、マウンテンバイク(MTB)、トレイルランで争われるオフロード版トライアスロン、ハワイ・マウイ島でのチャンピオンシップを頂点として、世界各国で開催されています。その野性味あふれるレースが注目され、次第に規模を大きくしてきました。エクステラに限らず、海外ではオフロード系イベントが盛り上がっていて、アイテムの進歩も目覚ましく、ロード系とはまた違った新しいテクノロジーがどんどんと投入されています。

 日本では、2004年の初開催から2013年まで群馬県片品村の丸沼温泉(丸沼湖)周辺で開催されていましたが、昨年の開催休止を挟み、今年、北海道の南富良野とトマム周辺で復活開催となりました。

 国内ではランニングやロードバイクなど、舗装路を走るオンロード系イベントが盛んです。しかし、トレイルランニングを中心に、再びオフロードが注目され、人気も高まってきました。このジャンルから目が離せません。

ターザンになれず! 無念のDNS

 さて、前回の記事で「ターザンになる!」と意気込み、その後はスイム、バイク、ランのトレーニングを続けてきました。やる気満々、とても楽しみにしていたのですが…結果からお伝えするとDNS。スタートラインに立てませんでした。

 実は、大会の1週間前にモーターサイクルに乗ってツーリングに出かけたときに、転倒して足首にけがをしてしまったのです(自損事故でした)。

 出場すると心に決めていたエクステラに出場できなくなり、とても落ち込みましたが、来年に向け「絶対にリベンジしたい」という思いで取材は決行。この目でしっかりとレースを見てきました。

今回はメディアビブを着用しての取材でしたが、来年はトライスーツに着替えリベンジしたいです! Photo: REN今回はメディアビブを着用しての取材でしたが、来年はトライスーツに着替えリベンジしたいです! Photo: REN

 レースの舞台となる南富良野町のかなやま湖周辺は、北海道らしい景色。辺りを見渡すと緑、稜線の先も緑で、スケールが違います。こんな環境でレースができると思うと、とても興奮しますね!

低温のなか厳しいスイムセクション

 まずは湖を泳ぐ1.2kmのスイムパート。湖上に浮かぶブイを左回りに2周します。会場の標高は350m。札幌よりさらに気温が低く、8月とはいえ日なたでも長袖が必要です。水温は14.7℃と大変低く、ウェットスーツの着用が全選手に義務付けられました。

 スタートラインの最前列にはエリート選手が並びます。フランス、オーストラリア、韓国といった様々な国から北海道に選手が集まりました。午前9時過ぎ、ホーンと共に、エリートとエイジグループが一斉にスタートしました。

スタート! 脚を高く上げ水の抵抗を受けないようにダッシュ。激しい水しぶきが勢いを物語る Photo: RENスタート! 脚を高く上げ水の抵抗を受けないようにダッシュ。激しい水しぶきが勢いを物語る Photo: REN

 トップ選手の泳ぎを間近でみることができたのはとても嬉しい収穫でした。その様子を観察すると、心肺機能が高いのはもちろん、身体が大きく豊富な筋肉量が伺えます。その身体に惚れ惚れします。トライアスロンと同様、ヘッドアップでのクロールで、進行方向を確認しながら泳いでいきます。トップ選手はまるで水の抵抗がないかのように、軽々と腕を振りまわし、驚くべき回転数で進んで行きます。

 スイムのトップは、1.2kmを16分25秒(!)で泳いだコートニー・アトキンソン選手。トライアスロンでオーストラリアのオリンピック代表に選ばれたこともあるそうで、圧倒的な泳力で2位グループに約3分もの大差をつけました。

 一方、エイジクラスでは極めて低い水温ということもありリタイアする選手が続出。両脇を抱えられて救護テントに運ばれる選手もいるなど、とてもハードな展開となりました。

トランジッションエリア。息を落ち着かせる時間もなく、黙々と着替えマウンテンバイクパートへ突入してゆく Photo: RENトランジッションエリア。息を落ち着かせる時間もなく、黙々と着替えマウンテンバイクパートへ突入してゆく Photo: REN
トライアスロンは危険なスポーツ。特にスイムで命を落とす人が絶えない。絶対に無理をするのは禁物だ Photo: RENトライアスロンは危険なスポーツ。特にスイムで命を落とす人が絶えない。絶対に無理をするのは禁物だ Photo: REN

息もつけないマウンテンバイクパート

急勾配の連続。苦しさがこちらまで伝わってくる。スピードは10km/h台。応援にも力が入る Photo: xterrajapan.net急勾配の連続。苦しさがこちらまで伝わってくる。スピードは10km/h台。応援にも力が入る Photo: xterrajapan.net

 続いてマウンテンバイク(MTB)パート。湖畔の砂浜や、ゴロゴロとした石が転がったガレ場セクション、そして原生の木々の間を走るというアドベンチャーなコースです。ゴールエリア付近は舗装路になるものの、ここも急な登坂があります。

 トライアスロンのバイクパートでは、DHバーを握って淡々と距離を稼いでいきますが、悪路を走るMTBパートはそうはいきません。特に下りは一瞬でも気を緩めると即転倒です。1周を終えたところで選手のウェアをチェックすると泥だらけになっている…。スイムから休みどころが無く、選手を苦しめます。

 コース上には湖上のフローティングブリッジ、通称「ニンジャブリッジ」が設けられています。レーサーと観客を楽しませるコース造りも、エクステラの見どころの一つです。

湖上を走る自転車! 今までこんな光景を見たことあっただろうか…。来年は更に面白いアトラクションが待っているかも!? Photo: REN湖上を走る自転車! 今までこんな光景を見たことあっただろうか…。来年は更に面白いアトラクションが待っているかも!? Photo: REN

 レースはというと、2位を走るセドリック・ラソンド選手がバイクパートで驚異の追い上げを見せ、トップのコートニー・アトキンソン選手と同時にランへのトランジッションに入ってきました。手に汗握るデッドヒートです。MTBを得意とする小笠原崇裕選手もバイクパート2番手のタイムで差を縮めることに成功。とても面白い展開となってきました。

最後はタフなトレイルラン

 さて、最終パートとなるトレイルラン。もちろんここでも、湖畔の道なき道を進む悪路が待ち構えています。「え? ここコースでいいの?」と地元の選手が漏らすほど…とっても刺激的ですね。エクステラの距離構成はスイム1.2km、MTB25km、ラン10kmと、オリンピックディスタンスのトライアスロン(スイム1.2km、バイク40km、ラン10km)に近いものですが、そのタフさから競技時間はエクステラのほうが少し長くなるようです。

 男子エリートの優勝争いは、前を行くコートニー・アトキンソン選手が徐々にセドリック・ラソンド選手を再び引き離し、2時間18分55秒というトータルタイムで勝利しました。優勝インタビューでは「バイクパートが思ったよりキツかった。楽しく、エキサイティングなレースだった」と感想を述べました。

泳ぐ、漕ぐ、走るを極めるとこの身体になる。ロードレーサーとはまた違った雰囲気だ Photo: REN泳ぐ、漕ぐ、走るを極めるとこの身体になる。ロードレーサーとはまた違った雰囲気だ Photo: REN
男子エリートクラス優勝のコートニー・アトキンソン選手。ゴールテープを高々と掲げる。最高の瞬間だ Photo: REN男子エリートクラス優勝のコートニー・アトキンソン選手。ゴールテープを高々と掲げる。最高の瞬間だ Photo: REN

 日本人最高位は3位に入った小笠原崇裕選手。ゴール後、「バイクまではうまく纏められたが、ランに余力がなかった」と語りました。そして、ベテランのトライアスリートで、ツール・ド・フランスなどサイクルロードレースの実況でお馴染みの白戸太朗選手が見事に5位でフィニッシュ。MTBに乗ったのは15年ぶりとの事ですが、トップアスリートの底力を見せつけました。

 女子エリートは、キャリー・エミコ選手とリジー・オーチャード選手の一騎打ちとなりました。こちらも白熱の展開! スイムは3秒差という僅差でしたが、キャリー選手がMTBパートで圧倒的なリードを築き、トレイルランで巻き返されるもそのまま逃げ切りました。

大健闘の小笠原崇裕選手。野性味溢れるキャラクター。走る姿を見れば一瞬で覚えてしまうだろう Photo: REN大健闘の小笠原崇裕選手。野性味溢れるキャラクター。走る姿を見れば一瞬で覚えてしまうだろう Photo: REN
サイクルロードレース中継をご覧になっている方はおなじみの白戸太朗選手。現役バリバリのアスリートです。でも15年ぶりのMTBは相当辛かった様子 Photo: RENサイクルロードレース中継をご覧になっている方はおなじみの白戸太朗選手。現役バリバリのアスリートです。でも15年ぶりのMTBは相当辛かった様子 Photo: REN
女子エリートクラス優勝のキャリー・エミコ選手。バイクパートのスピードは男子顔負けです Photo: REN女子エリートクラス優勝のキャリー・エミコ選手。バイクパートのスピードは男子顔負けです Photo: REN
同じコースを最後まで走ったからこそ、お互いの健闘を称えることができるのかもしれない Photo: REN同じコースを最後まで走ったからこそ、お互いの健闘を称えることができるのかもしれない Photo: REN

来年は必ずリベンジ!

 大自然を舞台としたこのエクステラ。完走することも一苦労です。ゴールしたエイジグループの選手たちの達成感あふれる笑顔をみると、納得です。あぁ…私もターザンになりたかった。来年は必ずリベンジします!

エクステラやトライアスロンのゴール付近は独特な雰囲気がある。アメリカンスポーツならではの明るさ。それが心地よい Photo: RENエクステラやトライアスロンのゴール付近は独特な雰囲気がある。アメリカンスポーツならではの明るさ。それが心地よい Photo: REN
大会スタッフの皆様。原生林をレースの為に開封する等、地元の方々の協力がなければ出来ないこと。ここ南富良野に根付くことを祈っています! Photo: REN大会スタッフの皆様。原生林をレースの為に開封する等、地元の方々の協力がなければ出来ないこと。ここ南富良野に根付くことを祈っています! Photo: REN
レースが終われば、アワードパーティー。カレーや唐揚げなど、レース前には食べなかった食事をお酒と一緒に流し込む Photo: RENレースが終われば、アワードパーティー。カレーや唐揚げなど、レース前には食べなかった食事をお酒と一緒に流し込む Photo: REN
星野リゾートトマム内のミナミナビーチにて。男子エリートの表彰式。ハワイのマウイ島で開催される『XTERRA世界選手権マウイ大会』への切符を手にした Photo: REN星野リゾートトマム内のミナミナビーチにて。男子エリートの表彰式。ハワイのマウイ島で開催される『XTERRA世界選手権マウイ大会』への切符を手にした Photo: REN

 さて、このエクステラの奥深さや楽しさをもっと探ろうと、小笠原崇裕選手にインタビューしてきました。お楽しみに!

男子エリート
1 Courtney Atkinson 2:18:55
2 Cedric Lassonde +2:18
3 小笠原崇裕 +7:16
4 Charlie Epperson +16:49
5 白戸太朗 +32:11
6 Cameron ONeal +36:35

女子エリート
1 Mieko Carey 2:41:33
2 Lizzie Orchard +2:51

小林 廉(こばやし・れん)/REN小林 廉(こばやし・れん)/REN

数々のCM・雑誌・ファッションショーで活躍するトップモデル。08年より本格的にスポーツサイクルに乗り始める。自転車媒体で見ない日はないというほどの“乗れるモデル”。アイアンマン北海道完走。特技はウィリー(映像を見る)。身長188cm、体重74kg。千葉県在住。オフィシャルブログ「REN’s World」。取材のお問い合わせはStudioREN(http://studio-ren.jimdo.com)まで

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