NIPPO勢が全3ステージを獲る完全勝利スタッキオッティが大会2勝目で個人総合優勝を飾る 「ツール・ド・北海道」最終ステージ

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 「ツール・ド・北海道(UCI2.2)」最終日の第3ステージは9月12日、鷹栖町から札幌市のモエレ沼公園までの200kmで争われ、個人総合首位の証・グリーンジャージを着るリカルド・スタッキオッティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)が集団スプリントを制して、第1ステージに次ぐ今大会2勝目を挙げた。スタッキオッティは個人総合優勝も獲得。NIPPO勢は全3ステージで勝利するなど圧倒的な力をみせた。(田中苑子)

第1ステージに次ぐ、区間2勝目を挙げたリカルド・スタッキオッティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)。自らの個人総合優勝に花を添える勝利だ Photo: Sonoko TANAKA第1ステージに次ぐ、区間2勝目を挙げたリカルド・スタッキオッティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)。自らの個人総合優勝に花を添える勝利だ Photo: Sonoko TANAKA

 最終日をは天気予報どおりの雨となった。スタート時の気温は14℃ほどと寒く、雨足は強い。選手たちは保温効果のあるオイルを塗り込んだり、厚手のレインウエアに身を包んだりと忙しいレース準備となった。

 この日のコースは大会最長距離。スタート後19.5km地点に2級山岳、そして161.5km地点に3級山岳を越えるが、コース全体が平坦基調で、とくにゴールまでの40kmは完全にフラットだ。

雨のため町役場のなかでレース準備をするバジェットフォークリフト Photo: Sonoko TANAKA雨のため町役場のなかでレース準備をするバジェットフォークリフト Photo: Sonoko TANAKA
リーダーチームのNIPPO・ヴィーニファンティーニはトラック内の狭いスペースに身を寄せ合う Photo: Sonoko TANAKAリーダーチームのNIPPO・ヴィーニファンティーニはトラック内の狭いスペースに身を寄せ合う Photo: Sonoko TANAKA
防寒のためサランラップをお腹に入れる愛三工業レーシング Photo: Sonoko TANAKA防寒のためサランラップをお腹に入れる愛三工業レーシング Photo: Sonoko TANAKA
雨のなか、ブリヂストンアンカーにとって大切なステージが始まろうとする Photo: Sonoko TANAKA雨のなか、ブリヂストンアンカーにとって大切なステージが始まろうとする Photo: Sonoko TANAKA
鷹栖町の町役場前からスタートしたツール・ド・北海道第3ステージ Photo: Sonoko TANAKA鷹栖町の町役場前からスタートしたツール・ド・北海道第3ステージ Photo: Sonoko TANAKA

 冷たい雨のなか、最初の2級山岳でレースが動いた。第2ステージを終えて、上位26選手が13秒差にひしめく混戦状態だったため、総合成績での逆転をかけたアタックが続く。最も積極的に動いたのはブリヂストンアンカー。西薗良太がチームの作戦どおりに加速し、それにチームメートのトマ・ルバが続き、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、ベンジャミン・プラデス(スペイン、マトリックス・パワータグ)、徳田優(CCT P/B チャンピオンシステム)を含めた総合上位に付ける5選手の逃げが形成された。さらに下り区間で入部正太朗(シマノレーシング)と雨澤毅明(那須ブラーゼン)が合流。2級山岳を下り切ると7選手の先頭集団となった。

雨のなか7選手が先行する Photo: Sonoko TANAKA雨のなか7選手が先行する Photo: Sonoko TANAKA

 総合優勝をかけた真剣なメンバーたちは、悪天候を味方につけて協調しながらペースアップし、すぐに後方集団とのタイム差は9分台まで広がっていった。

 メーン集団はレースリーダーのリカルド・スタッキオッティ(イタリア)を擁するNIPPO・ヴィーニファンティーニがコントロール。同チームの指揮を執る大門宏監督は「総合逆転をかけた逃げができるのはチームにとって想定内の動き。最初の上りが終わった地点から、チームは追撃を始める予定だった」と話す。

メーン集団をコントロールするNIPPO・ヴィーニファンティーニ Photo: Sonoko TANAKAメーン集団をコントロールするNIPPO・ヴィーニファンティーニ Photo: Sonoko TANAKA

 レースが進んでもNIPPO・ヴィーニファンティーニの集団コントロールに参加するチームはなく、タイム差は7分前後で縮まらないまま残り70kmを通過した。ここで、ゴールスプリントでの区間優勝を狙うとともに、総合3位につけるサルヴァドール・ガルディオラ(スペイン)の総合順位を落としたくないチームUKYOがコントロールに参加し始めた。「このタイム差はヤバイと思った」と振り返るのは同チームのキャプテン、土井雪広。そこからは他チームも巻き込んで全力で追走を開始。先頭集団とのタイム差が縮まり始めた。

逃げ続ける5人 Photo: ツール・ド・北海道協会逃げ続ける5人 Photo: ツール・ド・北海道協会
レース後半のメーン集団。各チームが牽引に加わった Photo: ツール・ド・北海道協会レース後半のメーン集団。各チームが牽引に加わった Photo: ツール・ド・北海道協会
ラスト18kmで逃げ集団から抜け出したトマ・ルバ(ブリヂストンアンカー) Photo: ツール・ド・北海道協会ラスト18kmで逃げ集団から抜け出したトマ・ルバ(ブリヂストンアンカー) Photo: ツール・ド・北海道協会

 その頃、ハイペースで走り続ける先頭集団では、徳田と雨澤がドロップし5人となっていた。このなかでは2選手を送り込んだブリヂストンアンカーが有利。しかし残り15km付近の登坂区間で、ブリヂストンアンカー以外の3選手が牽制しあったのか、先頭を走るルバとの距離が離れてしまった。ルバは後ろが付いてこないことに気がつかずに抜群の登坂力を武器に走り続け、単独先頭に立つ形に。取り残されたチームメートの西薗がブリッジを試みるが、ここで不運のパンクに見舞われてしまう。5人の協調体制が崩れた逃げ集団は、結局残り2kmまでにメーン集団に全員吸収された。

 一つとなったメーン集団は、ゴールスプリントに向けて加速していく。そしてスプリントの主導権を握ったのは、この日もNIPPO・ヴィーニファンティーニだった。長いレースコントロールにより消耗しているのかと思われたが、しっかりとスプリントをする脚を残していた。緑の総合リーダージャージを着るスタッキオッティがゴールラインを先頭で通過し、水色のポイント賞ジャージを着るダニエーレ・コッリが2着に続いた。

リカルド・スタッキオッティ(イタリア)とダニエーレ・コッリ(イタリア)、NIPPO・ヴィーニファンティーニのワンツーフィニッシュとなった Photo: Sonoko TANAKAリカルド・スタッキオッティ(イタリア)とダニエーレ・コッリ(イタリア)、NIPPO・ヴィーニファンティーニのワン・ツーフィニッシュ Photo: Sonoko TANAKA
ゴールラインを越えてもガッツポーズを大きく掲げるスタッキオッティ Photo: Sonoko TANAKAゴールラインを越えてもガッツポーズを大きく掲げるスタッキオッティ Photo: Sonoko TANAKA
最後は単独で先行しながらも集団に吸収されてしまったトマ・ルバ(フランス、ブリヂストンアンカー) Photo: Sonoko TANAKA最後は単独で先行しながらも集団に吸収されてしまったトマ・ルバ(フランス、ブリヂストンアンカー) Photo: Sonoko TANAKA
レース後に全選手が参加して行われた閉会式 Photo: Sonoko TANAKAレース後に全選手が参加して行われた閉会式 Photo: Sonoko TANAKA
区間3位に入った大学生スプリンター、黒枝咲哉(鹿屋体育大学) Photo: Sonoko TANAKA区間3位に入った大学生スプリンター、黒枝咲哉(鹿屋体育大学) Photo: Sonoko TANAKA
チーム一丸となってリーダージャージを守ったNIPPO・ヴィーニファンティーニ Photo: Sonoko TANAKAチーム一丸となってリーダージャージを守ったNIPPO・ヴィーニファンティーニ Photo: Sonoko TANAKA
ステージ上位3人の表彰台 Photo: Sonoko TANAKAステージ上位3人の表彰台 Photo: Sonoko TANAKA

 ステージ3位に入ったのは、鹿屋体育大学の黒枝咲哉だ。「勝てなかった悔しさと、表彰台に立てる嬉しさが半分半分」とレース後の気持ちを打ち明けたが、最終日にしてようやく日本人選手が表彰台に立った。

 山岳賞はロイック・デリアック(フランス、キナン)が獲得。「難しいレースだったけど、最終的に山岳賞を獲得でき、ROYCE’(北海道銘菓のチョコレート)のお菓子までもらえて、とても嬉しく思っている。2日目以降は悪天候となったが、そのなかで大会を支えてくれた方々に感謝したい」とコメントした。

山岳賞を獲得したロイック・デリアック(フランス、キナン) Photo: Sonoko TANAKA山岳賞を獲得したロイック・デリアック(フランス、キナン) Photo: Sonoko TANAKA
ポイント賞のダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) Photo: Sonoko TANAKAポイント賞のダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) Photo: Sonoko TANAKA
個人総合優勝のリカルド・スタッキオッティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) Photo: Sonoko TANAKA個人総合優勝のリカルド・スタッキオッティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) Photo: Sonoko TANAKA

 NIPPO・ヴィーニファンティーニは、今大会で区間全勝(3勝)、スタッキオッティの総合優勝、コッリのポイント賞、そしてチーム総合優勝と、圧巻の強さを誇った。最終日にはチームスポンサーのNIPPOの岩田裕美社長も駆けつけ、選手たちの力走を祝福。選手たちは「チームにとってNIPPOをはじめとした日本のスポンサーは非常に重要な存在。彼らの本拠地で勝利することができてとても嬉しく思う」と語った。

 結果には残らなかったが、NIPPOは唯一の日本人選手である山本元喜の活躍も目立っていた。アシストに徹した走りは、チームメートや監督からの評価も高かった。山本は「初日も2日目も3日目も全部キツかった。今回、チームの力になってこのような結果を出したことは、今後に向けて大きな自信につながった。ヨーロッパのレースではキツい思いばかりしていたけど、確実に実力アップにつながっていると実感することができた。逆に強くなりたいなら、キツい経験をしないといけないと思った」と話す。今後はチームメートたちとイタリアに戻り、UCIワールドツアーのイル・ロンバルディア出場なども予定されている。

個人総合成績トップ3 Photo: Sonoko TANAKA個人総合成績トップ3 Photo: Sonoko TANAKA
チーム総合成績の表彰台 Photo: Sonoko TANAKAチーム総合成績の表彰台 Photo: Sonoko TANAKA

第2ステージ結果
1 リカルド・スタッキオッティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) 4時間40分39秒
2 ダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +0秒
3 黒枝咲哉(鹿屋体育大学)
4 セッペ・ヴェルスヒュレ(ベルギー、CCT P/B チャンピオンシステム)
5 ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックス・パワータグ)
6 大久保陣(宇都宮ブリッツェン)

個人総合順位
1 リカルド・スタッキオッティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) 13時間24分04秒
2 ダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +7秒
3 サルヴァドール・ガルディオラ(スペイン、チームUKYO) +17秒
4 ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ) +19秒
5 西薗良太(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) +20秒
6 ベンジャミン・プラデス(スペイン、マトリックスパワータグ) +21秒

総合ポイント賞
ダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)

総合山岳賞
ロイック・デリアック(フランス、キナン サイクリングチーム)

チーム総合
1 NIPPO・ヴィーニファンティーニ 40時間13分20秒
2 ブリヂストンアンカー サイクリングチーム +1秒
3 キナン サイクリングチーム +1秒

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