ケネディ駐日米国大使も2年連続完走復興への思い胸に 「ツール・ド・東北2015」宮城県沿岸部を3478人が疾走

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 東日本大震災で被災した宮城県沿岸部を自転車で走る「ツール・ド・東北2015」が9月13日開かれ、全国から集まった3478人が出場した。大会の舞台となった三陸海岸は、先週に宮城県や栃木県を襲った東日本豪雨の被害もなく、参加者らは60kmから211kmまで5つのコースに分かれてサイクリングを楽しんだ。キャロライン・ケネディ駐日米国大使も2年連続で出場し、95kmのコースを完走した。 (平澤尚威、松尾修作)

充実感に満ちた表情で「ツール・ド・東北2015」のゴールを迎えた参加者たち充実感に満ちた表情で「ツール・ド・東北2015」のゴールを迎えた参加者たち

会場では東日本豪雨への募金活動も

思い思いのウェアを身につけて石巻専修大学出発する参加者たち ©ツール・ド・東北 2015思い思いのウェアを身につけて石巻専修大学出発する参加者たち ©ツール・ド・東北 2015

 スタート・ゴール会場の石巻専修大学には、早朝から大会スタッフたちの活気に満ちた声が会場中に響き、参加者たちが集まってくるとさらに賑わった。スタート前には、東日本大震災の犠牲者に黙とうが捧げられ、復興への思いを新たにした。朝からの小雨はやがて止み、参加者たちは気持ちよさそうに走り出していった。

 前日の12日とこの日の2日間、会場には地元の飲食店などの出展ブースが並んだほか、子供向けの遊具や催しも用意され、応援に訪れた家族も楽しめる祭りのような空間になっていた。バイクブランド「ジャイアント」やパーツ・アクセサリー「シマノ」などによるメンテナンスサービスも好評だった。また、宮城、栃木両県などに大きな被害をもたらした東日本豪雨への募金活動も急きょ実施された。

スタート前、東日本大震災の犠牲者に黙祷を捧げた ©ツール・ド・東北 2015スタート前、東日本大震災の犠牲者に黙祷を捧げた ©ツール・ド・東北 2015
行列を作り、次々に石巻専修大学を出発していく参加者たち ©ツール・ド・東北 2015行列を作り、次々に石巻専修大学を出発していく参加者たち ©ツール・ド・東北 2015
女川の港沿いを走る  Photo: Naoi Hirasawa女川の港沿いを走る  Photo: Naoi Hirasawa

ケネディ大使は気仙沼から出発

気仙沼でのスタートセレモニーであいさつするキャロライン・ケネディ駐日米国大使 ©ツール・ド・東北 2015気仙沼でのスタートセレモニーであいさつするキャロライン・ケネディ駐日米国大使 ©ツール・ド・東北 2015

 ケネディ大使は気仙沼市を出発して石巻市へ向かう95kmのコース「気仙沼ワンウェイフォンド」に出場、完走した。昨年は石巻市発着の65kmのコースを完走したが、気仙沼まで足を運べなかったことから、今年はより長い距離に挑戦した。

 気仙沼プラザホテル前で行われたスタート前のセレモニーで、ケネディ大使は東日本豪雨に触れて「アメリカ国民に代わりまして、最近の甚大な水害に遭われた方々に改めてお見舞いを申し上げます」と述べた。

 また、震災の被災地に向けて「毎回、この地方に来るたびに住民の方々の精神、勇気、苦難から立ち直る力、美しい景観からインスピレーションをもらっています」などとあいさつした。

ステージでダンスを披露した子供たちと触れ合うキャロライン・ケネディ駐日米国大使 ©ツール・ド・東北 2015ステージでダンスを披露した子供たちと触れ合うキャロライン・ケネディ駐日米国大使 ©ツール・ド・東北 2015
大谷海岸で献花台に花を捧げるキャロライン・ケネディ駐日米国大使 ©ツール・ド・東北 2015大谷海岸で献花台に花を捧げるキャロライン・ケネディ駐日米国大使 ©ツール・ド・東北 2015
「気仙沼湾ウェイフォンド」のスタート会場 ©ツール・ド・東北 2015「気仙沼湾ウェイフォンド」のスタート会場 ©ツール・ド・東北 2015
気仙沼市から石巻市を目指す「気仙沼ワンウェイフォンド」のスタート風景 ©ツール・ド・東北 2015気仙沼市から石巻市を目指す「気仙沼ワンウェイフォンド」のスタート風景 ©ツール・ド・東北 2015

ホタテ、アワビ…エイドステーションは大盛況

雄勝エイドステーションで振る舞われたホタテ。この日は4000個を用意した Photo: Naoi Hirasawa雄勝エイドステーションで振る舞われたホタテ。この日は4000個を用意した Photo: Naoi Hirasawa

 エイドステーションでは、焼きホタテ、アワビ入り茶わん蒸し、いちごのシャーベットなど、地元の名産品を用いたメニューが振る舞われた。今年、新たに整備されたJR女川駅に設けられたエイドステーションは、多くの参加者が最初に立ち寄るポイントとなったため大賑わい。ツミレを入れた「女川汁」が大人気だった。名物グルメには長蛇の列ができ、参加者とボランティアが「ありがとう」と声を掛け合って交流を深めた。

イチゴのシャーベットを配るホヤぼーや ©ツール・ド・東北 2015イチゴのシャーベットを配るホヤぼーや ©ツール・ド・東北 2015
女川エイドステーションでの交流の一コマ Photo: Naoi Hirasawa女川エイドステーションでの交流の一コマ Photo: Naoi Hirasawa

 最長コース「気仙沼フォンド」(211km)を高速で駆け抜ける人もいれば、最も短い「女川・雄勝フォンド」(60km)をゆったりと景色や空気を味わいながら走る人もいて、ゴールタイムは人によって大きく異なった。それでも、思い思いのガッツポーズをしたり、数人のチームで「やったー」と声をそろえてゴールしたりと、どの参加者の表情にも満足感があふれていた。

声援に背中を押されて完走

 神奈川県在住の須田美里さん(21)は日本大学の湘南キャンパスに通いながら自転車部に所属していて、昨年、東北地方をサイクリングで走り、その後にツール・ド・東北の存在を知ったという。「私も大会を走りたい」と思い、友人を誘って5人で女川・雄勝フォンドに参加した。「海のあたり、特に女川町では、震災の被害が大きかったことや、そこから復興している様子を感じられました」と振り返った。コースのあちこちで受ける声援に背中を押され完走し、「地元の方々がとてもあったかかった。それから、ホタテがすごくおいしかったです」と笑顔で語った。

60kmコースに挑戦した須田美里さん(先頭)と友人たち Photo: Naoi Hirasawa60kmコースに挑戦した須田美里さん(先頭)と友人たち Photo: Naoi Hirasawa
みんなでゴールしました Photo: Naoi Hirasawaみんなでゴールしました Photo: Naoi Hirasawa
沿道から声援を送っていた菅原雅さんは以前、気仙沼市長を務めていた Photo: Shusaku MATSUO沿道から声援を送っていた菅原雅さんは以前、気仙沼市長を務めていた Photo: Shusaku MATSUO

 気仙沼ワンウェイフォンドのスタート直後の市街地では、1994年まで気仙沼市長を務めていた菅原雅さんが旗を振って声援を送っていた。菅原さんは「文化をつなげる意義のあるイベント。復興に向けて市民の力を高めるきっかけとなればいいと思う。ぜひ自転車に乗りながら、震災のつめ跡と復興の過程を見ていただきたい」と話した。

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