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ブエルタ・ア・エスパーニャ2015 第20ステージプラサが115km独走で勝利 アールが大逆転で総合首位に、ドゥムランは総合6位まで転落

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 ブエルタ・ア・エスパーニャ第20ステージは9月12日、サン・ロレンソ・デ・エル・エスコリアルからセルセディリャまでの175.8kmで行われ、序盤から逃げ集団で積極的に走ったルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ)が、レース中盤からゴールまで約115kmを独走で逃げ切ってステージ優勝を果たした。総合争いでは、首位のトム・ドゥムラン(オランダ、チーム ジャイアント・アルペシン)が、後半の山岳で2位のファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム)の攻撃により遅れ、アールが総合順位を逆転。大会最終日を前に、アールが個人総合優勝を事実上確定させた。 (米山一輝)

総合首位を逆転で獲得。事実上、総合優勝を決めたファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) Photo: Yuzuru SUNADA総合首位を逆転で獲得。事実上、総合優勝を決めたファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) Photo: Yuzuru SUNADA

 最後の山岳ステージとなったこの日は、4つの1級山岳を越える、ほぼ上りと下り区間だけのコース。スタート直後から上り基調となり、ゴール地点となるセルセディリャを一旦通過したのちに、2つの山岳のある区間を往復するようなルートをとる。2つの山岳を往路と復路の計4回上り、最後の山岳の頂上を下るとゴールだ。最終日の第21ステージはほぼパレードとなるため、この日の戦いで個人総合優勝が実質決まる。

 レースはスタート直後から逃げを狙うアタック合戦が始まり、ほどなく10人ほどが抜け出した。プラサが積極的にペースアップするほか、日本の新城幸也(チーム ヨーロッパカー)もこのグループに入ることに成功。メーン集団はリーダーチームのジャイアント・アルペシンが容認の姿勢を見せるが、追走の意思を見せるチームも少なくなく、逃げ集団の後ろには約30人の追走集団が形成された。ジャイアント・アルペシンはリーダーのドゥムランのために全員がメーン集団に残ったが、総合逆転を狙うアール擁するアスタナ プロチームは、ルイスレオン・サンチェス(スペイン)、アンドレイ・ツェイツ(カザフスタン)を追走集団に送り込んで、メーン集団よりも先行させる作戦をとった。

 1つ目の山岳では逃げ集団から追走集団までの差は50秒程度、メーン集団までは7分台の差で通過。2つ目の山岳でも先頭と追走はほぼ同じ差を保っていたが、この上り後半でプラサがアタックを決めて単独先行を開始した。プラサの先行を許した新城らのグループは追走集団と合流し、プラサ先頭、30数人の追走集団が2分30秒差、メーン集団が12分差という形になった。

記者会見に臨むアール Photo: Yuzuru SUNADA記者会見に臨むアール Photo: Yuzuru SUNADA

 3つ目の山岳では逃げ続けるプラサに対し、追走集団での戦いが勃発。ペースアップからのアタック合戦で、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター チーム)、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMC レーシングチーム)、ホセイシドロマシエル・ゴンカルヴェス(ポルトガル、カハルラル・セグロス RGA)らが抜け出してプラサを追い始める。淡々と重いギアを踏み続けるプラサは、後続に1分40秒ほどの差を付けて3つ目の山岳頂上を通過した。

 一方メーン集団では、この3つ目の上りでアスタナ勢がペースアップし、総合6位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)が遅れ始めた。アスタナの山岳アシスト筆頭のミケル・ランダ(スペイン)がペースを上げきったところで、アールが満を持してのアタックを打った。総合上位勢はラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)、ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)らがこれに付くものの、マイヨロホを着るドゥムランは若干遅れてしまう。5秒差ほどでのせめぎ合いがしばらく続いたが、やがて徐々にその差は広がり始めた。

 さらにこのタイミングで、ドゥムランの後ろに付けていたランダが、アールのグループに向けて追走のアタックを敢行。同じグループにいたホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ)、ヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)がこれに続くが、ドゥムランは反応することができない。ランダらはアールに合流し、総合2位以下の上位勢がほぼ結集。ドゥムランは最大のピンチを迎えた。

 3つ目の山頂を越えて下りに入ると、ドゥムランは共に取り残されたミケル・ニエベ(スペイン、チーム スカイ)と協力して追走を開始した。大柄なタイムトライアルスペシャリストのドゥムランは、先行する山岳スペシャリストたちよりも下りでは有利とあって、山頂で約20秒だった差を徐々に縮めて10秒弱にまで追い上げてきた。しかし、あと一息で追いつくタイミングで、アールのグループに先行集団に入っていたアスタナのアシスト2人、サンチェスとツェイツが前から合流。すぐにツェイツが猛烈な勢いでペースアップし、ドゥムランとの差は再び広がり始めた。

独走で厳しい山岳ステージを制したルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ) Photo: Yuzuru SUNADA独走で厳しい山岳ステージを制したルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ) Photo: Yuzuru SUNADA

 先頭ではプラサが苦しそうな表情を見せるものの、追走との差は1分半程度をキープしながら逃げ続けていた。追走するヴィスコンティ、デマルキ、ゴンカルヴェスの3人のペースも上がりきらず、プラサは最後の山岳を先頭で通過。ゴールとなるセルセディリャの街に入ると、グローブを脱いで観客席に投げ入れ、素手になった両拳を握りしめ、ガッツポーズでフィニッシュした。今年のツール・ド・フランス第16ステージでも、大逃げから最後独走を決めてステージ優勝を飾っており、ブエルタでも同じ形に持ち込んでの勝利となった。

 総合争いの集団では、4つ目の山岳でキンタナとマイカがアタックしてアールらから若干先行。一方でドゥムランはズルズルと遅れ続け、アールから約4分遅れたバルベルデらの集団と合流した。メーン集団から上がった選手たちと、逃げ集団からこぼれた選手たちが入り混じっての終盤戦となったが、最終的にはマイカ、キンタナらの集団が先頭から約2分40秒、アール、ロドリゲス、チャベスらが3分30秒、ドゥムランは7分30秒差のグループでそれぞれゴールした。

総合優勝を逃したドゥムランはうなだれてゴール Photo: Yuzuru SUNADA総合優勝を逃したドゥムランはうなだれてゴール Photo: Yuzuru SUNADA

 この結果、個人総合ではアールがドゥムランを逆転し首位となり、同時に初のグランツール個人総合優勝を実質確定させた。アールはチームメートのサンチェスの肩を叩き、ガッツポーズでゴールした。一方ドゥムランは表彰台圏外の総合6位に一気に転落。大躍進を見せた今大会だったが、ほろ苦い結末となってしまった。総合2位にはロドリゲス、3位にはマイカがそれぞれ上がっている。

 新城は3つ目の山岳で第2集団から遅れたあと、最後はドゥムランと同じ集団となり、ステージ45位でゴールした。総合では65位に順位を上げている。

 3週間のブエルタも残すは1日。最終の第21ステージはアルカラ・デ・エナレスからマドリードへの93.7kmで行われる。ステージ前半はパレード走行となり、後半はマドリード市内の周回コースへ。最終ステージのゴール争いとともに、僅差での総合ポイント争いにも注目だ。

第20ステージ結果
1 ルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ) 4時間37分5秒
2 ホセイシドロマシエル・ゴンカルヴェス(ポルトガル、カハルラル・セグロス RGA) +1分7秒
3 アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMC レーシングチーム) +1分8秒
4 ロマン・シカール(フランス、チーム ヨーロッパカー) +1分29秒
5 アマエル・モワナール(フランス、BMC レーシングチーム) +1分30秒
6 カルロス・ベロナ(スペイン、エティックス・クイックステップ) +1分30秒
7 セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チーム スカイ) +1分30秒
8 ケニー・エリッソンド(フランス、エフデジ) +1分35秒
9 マッテーオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +1分43秒
10 モレーノ・モゼール(イタリア、チーム キャノンデール・ガーミン) +2分40秒
45 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +7分49秒

個人総合(マイヨロホ)
1 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) 83時間1分40秒
2 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) +1分17秒
3 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +1分29秒
4 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +2分2秒
5 ヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +3分30秒
6 トム・ドゥムラン(オランダ、チーム ジャイアント・アルペシン) +3分46秒
7 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +7分10秒
8 ミケル・ニエベ(スペイン、チーム スカイ) +7分26秒
9 ダニエル・モレノ(スペイン、チーム カチューシャ) +7分32秒
10 ルイ・メインティス(南アフリカ、MTN・クベカ) +10分46秒
65 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +2時間30分27秒

ポイント賞(プントス)
1 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) 116 pts
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 114 pts
3 ヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 108 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 オマール・フライレ(スペイン、カハルラル・セグロス RGA) 82 pts
2 ルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ) 63 pts
3 フランク・シュレク(ルクセンブルク、トレック ファクトリーレーシング) 30 pts

複合賞(コンビナーダ)
1 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) 15 pts
2 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) 23 pts
3 トム・ドゥムラン(オランダ、チーム ジャイアント・アルペシン) 24 pts

チーム総合
1 モビスター チーム 249時間1分59秒
2 チーム スカイ +29分47秒
3 チーム カチューシャ +35分44秒

敢闘賞
ルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ)

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