1級山岳十勝岳を越える難関コース集団スプリントをコッリが制しNIPPO勢が2連勝 「ツール・ド・北海道」第2ステージ

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 「ツール・ド・北海道(UCI2.2)」第2ステージは9月12日、美瑛町をスタート・ゴールとし、途中で1級山岳の十勝岳を越える162kmのコースで争われ、集団スプリントを制したダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)が優勝した。NIPPO勢は第1ステージに続く連勝で、個人総合リーダーはリカルド・スタッキオッティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)が守っている。(田中苑子)

第2ステージで勝利したダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティー二) photo: Sonoko TANAKA第2ステージで勝利したダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティー二) photo: Sonoko TANAKA

車内でミーティングを行うNIPPO・ヴィーニファンティー二。重要なステージが始まる photo: Sonoko TANAKA車内でミーティングを行うNIPPO・ヴィーニファンティー二。重要なステージが始まる photo: Sonoko TANAKA

 この日のステージは美瑛町をスタートし、ラベンダーで有名な富良野を通過後、十勝岳を上り、その後はアップダウンを繰り返しながら再び美瑛町へと向かう、今大会でもっとも難易度の高いコースプロフィールだ。前日の第1ステージで、1秒差で逃げ切ってリーダージャージを獲得したリカルド・スタッキオッティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティー二)は登坂を苦手としており、チーム内にも絶対的な登りのエースはいないため、個人総合成績で逆転を狙うライバルチームにとっては大きなチャンスを秘めたステージだった。

レース前にローラー台を使ってアップをする選手たち photo: Sonoko TANAKAレース前にローラー台を使ってアップをする選手たち photo: Sonoko TANAKA
雨に備えて、身体に撥水クリームを塗り込んでスタートする photo: Sonoko TANAKA雨に備えて、身体に撥水クリームを塗り込んでスタートする photo: Sonoko TANAKA
緊張感が漂うスタートライン。個人総合リーダーのグリーンジャージを着るのはリカルド・スタッキオッティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) photo: Sonoko TANAKA緊張感が漂うスタートライン。個人総合リーダーのグリーンジャージを着るのはリカルド・スタッキオッティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) photo: Sonoko TANAKA

 ポツポツと雨が降る肌寒いなかでスタートすると、山本大喜(鹿屋体育大学)と内間康平(ブリヂストンアンカー)がアタックを成功させる。しかし内間は集団へと戻り、「プロに挑戦してみたい!」というフレッシュな山本の単独エスケープが始まった。その後、最初のホットスポット(中間スプリント地点)を通過すると、木村圭佑(シマノレーシング)と、ロイック・デリアック(フランス、キナン)が追走を開始し、山本に追いついて3人の先頭集団が形成された。

美瑛の丘陵地帯を進む選手たち。「晴れていたら十勝岳が抜けるんだけど…」と地元のカメラマンはため息 photo: Sonoko TANAKA美瑛の丘陵地帯を進む選手たち。「晴れていたら十勝岳が抜けるんだけど…」と地元のカメラマンはため息 photo: Sonoko TANAKA

 強い雨が降ったり、薄日が差したりと不安定な天候のなか、選手たちは大雪山国立公園内の十勝岳をめざし、長く緩やかな上りを進んでいく。先頭の3人は協調して走っていたが、本格的な上りが始まるとデリアックが単独で先頭に立った。

集団前方を走るレースリーダーのリカルド・スタッキオッティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) photo: Sonoko TANAKA集団前方を走るレースリーダーのリカルド・スタッキオッティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) photo: Sonoko TANAKA
序盤から逃げ続けた山本大喜(鹿屋体育大学)。大学生にとって、プロ選手とレースで競える貴重な機会だ photo: Sonoko TANAKA序盤から逃げ続けた山本大喜(鹿屋体育大学)。大学生にとって、プロ選手とレースで競える貴重な機会だ photo: Sonoko TANAKA

 ここで遅れてしまった山本は「プロと比べると、やはりまだまだだと感じた」と語った。「将来は兄(山本元喜)のように海外チームで走りたい」と話し、4歳年上の兄の背中を追う。

十勝岳の上りで先行する15人ほどの有力選手によるグループ。いくつかの主要チームが2選手ずつ乗せた photo: Sonoko TANAKA十勝岳の上りで先行する15人ほどの有力選手によるグループ。いくつかの主要チームが2選手ずつ乗せた photo: Sonoko TANAKA

 メーン集団では、ブリヂストンアンカー、キナン、マトリックス、チームUKYOが中心となってペースアップ。そして15人ほどの有力選手が強力な追走集団を形成した。そこに入っていた日本人選手は、西園良太(ブリヂストンアンカー)、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、山本元喜(NIPPO・ヴィーニファンティー二)、中根英登(愛三工業)の登坂に強い4人。増田は「圧倒的な登坂力をもつ選手が今大会にはいないので、チャンスがあると思い、自分から積極的に仕掛けていった」と振り返る。

緑のリーダージャージを身にまとい、チームメートに助けられながら十勝岳を登るリカルド・スタッキオッティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) photo: Sonoko TANAKA緑のリーダージャージを身にまとい、チームメートに助けられながら十勝岳を登るリカルド・スタッキオッティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) photo: Sonoko TANAKA

 総合リーダーのスタッキオッティが追走集団に乗れなかったため、この集団内の選手たちは「総合逆転をかけた大きなチャンス」と懸命に走った。リーダーチームのNIPPO・ヴィーニファンティー二は当初、追走集団に山本を送っていたが、総合首位を守るため、山本を後ろの集団に戻す。そして、そこからチーム一丸となって前を追った。

 十勝岳の長い下り区間で、11人となった追走集団は序盤から逃げていた山本と木村を吸収。逆転を狙う気迫あふれる走りだったが、結果的にはNIPPO・ヴィーニファンティー二のチーム力が勝っていた。残り50km付近で追走集団はメーン集団に吸収され、単独で逃げ続けるデリアックと、30人ほどのメーン集団というシンプルな展開となった。

残り4kmまで逃げ続けたロイック・デリアック(フランス、キナン サイクリングチーム)。昨年までフランスのプロコンチネンタルチームに所属していた photo: Sonoko TANAKA残り4kmまで逃げ続けたロイック・デリアック(フランス、キナン サイクリングチーム)。昨年までフランスのプロコンチネンタルチームに所属していた photo: Sonoko TANAKA

 しかし、一つになった集団では常にアタックがかかり、少人数の選手が飛び出しては吸収されるという状態。そして残り4km地点で、向かい風の影響もあり、デリアックも集団に吸収された。スプリントの展開が濃厚となると、チームの全員が先頭集団に残っていたNIPPO・ヴィーニファンティー二がゴール前での主導権を握った。ヨーロッパ仕込みのトレインを形成し、最後はリーダージャージを着るスタッキオッティがダニエーレ・コッリを発射し、危なげないスプリントでコッリが区間優勝。2位はサルヴァドール・ガルディオラ(スペイン、チームUKYO)、3位にホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックス・パワータグ)が続いた。

第2ステージも集団ゴールスプリントの展開に。ダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティー二)が先頭に立った photo: Sonoko TANAKA第2ステージも集団ゴールスプリントの展開に。ダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティー二)が先頭に立った photo: Sonoko TANAKA
第2ステージで勝利したダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティー二) photo: Sonoko TANAKA第2ステージで勝利したダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティー二) photo: Sonoko TANAKA

 一方、残り1kmを切ってから、選手へのコース誘導がわかりにくく、数人の選手がコースアウトするアクシデントもあった。チームUKYOは全日本チャンピオンの窪木一茂をエースとしたゴールスプリントを狙って万全の展開だったが、トレインが崩壊。ガルディオラが2位に入ったものの、やり場のない悔しさが残った。

ステージ2連勝を挙げたNIPPO・ヴィーニファンティー二。日本人選手の山本元喜もチームの好成績に大きく貢献している photo: Sonoko TANAKAステージ2連勝を挙げたNIPPO・ヴィーニファンティー二。日本人選手の山本元喜もチームの好成績に大きく貢献している photo: Sonoko TANAKA

 ステージ優勝したコッリは33歳。イタリアでは“不運の選手”として知られている。絶好調のなかで迎えた今年のジロ・デ・イタリアでは、ゴール前で観客のカメラと接触し、激しい落車によって上腕骨を複雑骨折した。また以前には、膝に腫瘍ができ、プロとしてのキャリアを犠牲にして1年間の闘病生活を送ったこともある。

 ジロのあと厳しいリハビリを積み、8月にレースへ復帰したが、今も彼の腕には35cmの金属の棒が埋め込まれ、身体のアチコチに痛みが残っており「70%くらいの調子」だと打ち明けた。

ステージ上位3選手の表彰台。優勝したダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティー二)、2位びサルヴァドール・ガルディオラ(スペイン、チームUKYO)、3位のホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックス・パワータグ) photo: Sonoko TANAKAステージ上位3選手の表彰台。優勝したダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティー二)、2位びサルヴァドール・ガルディオラ(スペイン、チームUKYO)、3位のホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックス・パワータグ) photo: Sonoko TANAKA

 集団内でゴールしたスタッキオッティは総合首位をキープ。この日は不得意なコースだったため、他チームの攻撃が厳しく、大門宏監督は「紙一重だった」と苦笑いした。スタッキオッティは「苦手な登坂でコッリをはじめ、チームメートみんなが助けてくれた。だから、最後のスプリントでは、コッリのために一生懸命走ったんだ」とレース後に笑顔で話した。

 ここまでNIPPO・ヴィーニファンティー二は「完璧なチームワーク」を見せているが、個人総合成績ではトップから13秒以内にまだ26選手がいるため、続く第3ステージも油断できない戦いが続く。

逃げて山岳賞を獲得したロイック・デリアック(フランス、キナン サイクリングチーム) photo: Sonoko TANAKA逃げて山岳賞を獲得したロイック・デリアック(フランス、キナン サイクリングチーム) photo: Sonoko TANAKA
区間優勝し、ポイント賞も獲得したダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティー二) photo: Sonoko TANAKA区間優勝し、ポイント賞も獲得したダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティー二) photo: Sonoko TANAKA
総合リーダージャージをキープしたリカルド・スタッキオッティ(NIPPO・ヴィーニファンティー二) photo: Sonoko TANAKA総合リーダージャージをキープしたリカルド・スタッキオッティ(NIPPO・ヴィーニファンティー二) photo: Sonoko TANAKA
記念撮影をするリカルド・スタッキオッティ(右、NIPPO・ヴィーニファンティー二) photo: Sonoko TANAKA記念撮影をするリカルド・スタッキオッティ(右、NIPPO・ヴィーニファンティー二) photo: Sonoko TANAKA

 山岳賞は、2つの山岳ポイントを先頭通過したデリアックが獲得。レース後の記者会見では、「昨日は落車で遅れてしまったため、今日はステージ優勝したいと思って一生懸命逃げた」と話す。今季誕生した新チームのキナンは、今大会でUCIポイントの獲得を目指している。

 大会最終日となる第3ステージは、鷹栖町から札幌市までの200kmで開催される。序盤に2級山岳が一つあり、その後も起伏があるが、基本的にはフラットなコースレイアウトだ。

第2ステージ結果
1 ダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) 4時間17分22秒
2 サルヴァドール・ガルディオラ(スペイン、チームUKYO) +0秒
3 ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックス・パワータグ)
4 内間康平(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)
5 ベンジャミン・プラデス(スペイン、マトリックスパワータグ)
6 中根英登(愛三工業レーシングチーム)

個人総合順位
1 リカルド・スタッキオッティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) 8時間43分35秒
2 ダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +3秒
3 サルヴァドール・ガルディオラ(スペイン、チームUKYO) +7秒
4 ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ) +9秒
5 内間康平(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) +12秒

総合ポイント賞
ダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)

総合山岳賞
ロイック・デリアック(フランス、キナン サイクリングチーム)

チーム総合
1 NIPPO・ヴィーニファンティーニ 26時間11分23秒
2 ブリヂストンアンカー サイクリングチーム +1秒
3 マトリックスパワータグ +1秒

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