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ブエルタ・ア・エスパーニャ 現地レポートチームバスへようこそ! 各チームの個性が反映された充実の車内設備をチェック

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 サイクルロードレースのチームに欠かせないものとして、チーム車両が挙げられる。バイクセッティングに必要な機材のほか、レースに必要なボトルや補給食などの運搬、レース中またはレース前後の移動にも使われる。そしてトップシーンで活躍するチームであれば、選手やスタッフの移動や大型機材などの搭載にチームバスが用いられる。今回は、取材が許可された数チームのバスへと潜入。ラグジュアリー感と設備が充実した車内をチェックした。 (アビラ 福光俊介)

チームバスがスタート地に到着するやいなや、ファンが周囲を取り囲む Photo: Syunsuke FUKUMITSUチームバスがスタート地に到着するやいなや、ファンが周囲を取り囲む Photo: Syunsuke FUKUMITSU

チームバスの役割

BMCレーシングチームは2014年のチームタイムトライアル世界王者をアピール Photo: Syunsuke FUKUMITSUBMCレーシングチームは2014年のチームタイムトライアル世界王者をアピール Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 チームバスの役割は、レース時に選手をホテルから会場へと運ぶ空間であり、そのスケールとカラーリングでチームの広告塔の役割も務める。レース会場に到着すると、スタートまでの間選手たちは思い思いに過ごす。控室的な役割を果たし、選手やスタッフのミーティングルーム的な意味合いもある。選手のプライバシーも守られており、スモークフィルムが窓に貼られ外部からは覗き込むことができないようになっている。選手たちにとっては、レース前の集中を図る場であり、レース後には疲れた体を癒すプライベート空間である。

 チームバスは、おおよそレースの2時間前にはスタート地点に到着。ファンがお目当ての選手の登場をいまや遅しと待つべく、バスを取り囲み始める。

 余談になるが、初のグランツール取材となる筆者にとって、どのレースをセレクトするかは大きな悩みであった。経験・実績豊富なジャーナリストや関係者の意見を仰ぎながら、ブエルタを第一歩目とすることを決めた。その理由は、秩序がある中にもリラックスしたムードがあるから。シーズン終盤で選手・関係者ともにある種の達成感や充実感に満たされていること、そしていつでも陽気なスペインの風土も反映されているのだという。

ウォーミングアップ用機材などが収納されるアージェードゥーゼール ラモンディアルのチームバス Photo: Syunsuke FUKUMITSUウォーミングアップ用機材などが収納されるアージェードゥーゼール ラモンディアルのチームバス Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 本来なかなかオープンにならないチームバスの中を取材できたのは、そうした“ユルさ”が可能にしてくれたのだと思っている。もちろんそればかりではないだろうが、突如取材希望を申し出た筆者に対し、嫌な顔一つせず応じてくれたことは、どこか開放的な面があったのだろうと感じている。

チーム スカイ

 それでは、チームバスの内部を見てみよう。まずはチーム スカイ。

 イギリスが誇るビッグチームの車内は、チーム発足当時から他チームを凌駕しているとのもっぱらの評判だった。

 9選手が1人ずつ座れるよう設置される座席は、本革を使用したシート。足元も広く取られ、各選手が快適に過ごせるよう配慮されている。ミーティング時に必要とあれば、椅子の向きを変えられるようにもなっている。

チーム スカイのバス座席は本革シートで、快適さを追求する Photo: Syunsuke FUKUMITSUチーム スカイのバス座席は本革シートで、快適さを追求する Photo: Syunsuke FUKUMITSU
座席脇にはUSBケーブルや簡易テーブルが収納できるボックスがある Photo: Syunsuke FUKUMITSU座席脇にはUSBケーブルや簡易テーブルが収納できるボックスがある Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 各席には簡易テーブルを設置することができ、パソコンなどは備え付けのUSBケーブルに接続して使えるようになっている。

 今回は車内前部からの撮影しか許されなかったが、選手座席の奥にはキッチンのほか、シャワールームは長身の選手にも対応できるよう床を一段低くするなどの工夫も。車内最後部には、補給で使われるエナジーバーやジェルが棚に並ぶほか、選手が談笑したり横になったりができるリラクゼーションルームとなっている。

 バスの外部に目を向けると、車内で使われる電力を支える大型の発電機、洗濯機が収納される。

 ちなみに、選手の座席は特に決まっておらず、「その日の朝に選手たちの気分で自然と座席は埋まっていくよ」と、ドライバーのクリス・シャークさんが説明してくれた。

MTN・クベカ

スケール感十分のMTN・クベカのチームバススケール感十分のMTN・クベカのチームバス

 グランツールではおなじみとなったUCIプロコンチネンタルチーム、MTN・クベカ。白と黒を基調としたモノトーン調のデザインは、派手な色合いのチームカーが多い中でむしろ目に飛び込みやすい印象だ。

 取材時はレース中だったこともあり、選手の荷物が座席に無造作に置かれ、チームスタッフが車内の大型モニターで戦況を確認していた。座席の向きを変えるなどはできないが、基本的に選手同士隣り合って座ることはないといい、こちらもその時々の状況で各選手の座る位置などが変化しているそう。

2人がけのシートやソファーが置かれるMTN・クベカのチームバス。レース中はスタッフが集まって戦況を見つめる Photo: Syunsuke FUKUMITSU2人がけのシートやソファーが置かれるMTN・クベカのチームバス。レース中はスタッフが集まって戦況を見つめる Photo: Syunsuke FUKUMITSU
レース後の回復食を準備するMTN・クベカのドライバー兼ソワニエ、サンティアゴ・ディスさん Photo: Syunsuke FUKUMITSUレース後の回復食を準備するMTN・クベカのドライバー兼ソワニエ、サンティアゴ・ディスさん Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 車内後部のリラクゼーションルームでは、他のチームと同様に必要に応じて選手マッサージが行われる。選手がレース中のときは、スタッフの昼寝用ベッドになることもあるのだとか。

 ほぼ中央部に位置するキッチンでは、ドライバー兼ソワニエ(世話係)のサンティアゴ・ディスさんが選手フィニッシュ後の回復食の準備中。何を作っているかは“企業秘密”と言われてしまった。

オリカ・グリーンエッジ

 2013年のツール・ド・フランス第1ステージ、フィニッシュゲートにバス上部が引っかかってしまうトラブルを招き、思わぬ形で全世界から注目を集めてしまったオリカ・グリーンエッジのチームバス。人気チームだけあって、レース前後には選手を一目見ようとファンがバスの周りに多く集まってくる。

 取材を申し入れると、「スタッフ数人がシエスタ中だから30分後にもう一度来て」との返事。約束の時間を過ぎてしまい、45分ほど経ったタイミングで伺ったが快く招き入れてくれた。

前方から見たオリカ・グリーンエッジのチームバス内 Photo: Syunsuke FUKUMITSU前方から見たオリカ・グリーンエッジのチームバス内 Photo: Syunsuke FUKUMITSU
オリカ・グリーンエッジのバスに置かれるエスプレッソマシン。スタート前のひとときに欠かせないアイテムだ Photo: Syunsuke FUKUMITSUオリカ・グリーンエッジのバスに置かれるエスプレッソマシン。スタート前のひとときに欠かせないアイテムだ Photo: Syunsuke FUKUMITSU
水回りが綺麗に保たれているオリカ・グリーンエッジのチームバス。レースを終えた選手がすぐに使用できるよう準備は万全だ Photo: Syunsuke FUKUMITSU水回りが綺麗に保たれているオリカ・グリーンエッジのチームバス。レースを終えた選手がすぐに使用できるよう準備は万全だ Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 座席はグランツールの出走人数に合わせ、9人が座れるよう設置。その後ろにはそれぞれ2人掛け、1人掛けのソファーが配備される。簡易キッチンの脇には冷蔵庫が置かれ、さらにはエナジーバーやエナジージェルを収納する棚も。トイレ、シャワーといった水回りは綺麗に保たれ、フィニッシュ後の選手たちがすぐに使えるようタオルもすでに用意されていた。

 また、オーストラリアのチームとあって、フロントガラス越しには、カンガルーのぬいぐるみが置かれていた。

オリカ・グリーンエッジのチームバスはイリサール社製 Photo: Syunsuke FUKUMITSUオリカ・グリーンエッジのチームバスはイリサール社製 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

チームバスあれこれ

アスタナ プロチームのバスには、ヴィンチェンツォ・ニバリが制した2014年ツール・ド・フランスの記念ステッカーが貼られる Photo: Syunsuke FUKUMITSUアスタナ プロチームのバスには、ヴィンチェンツォ・ニバリが制した2014年ツール・ド・フランスの記念ステッカーが貼られる Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 選手のリラックス空間としての役割は各チーム同様だが、細かな部分で違いが見られた。レース直後にSNSでコメントを配信する選手も多いが、いまやいずれのチームバスもWi-Fiの搭載は当たり前。長距離移動であればノートパソコンを広げ、スカイプで故郷の家族と交信なんてこともあるのだそう。

 また、必ずしも新車を導入しているわけではなく、解散したチームから譲り受け、その上からチームカラーに塗装を施すリユース的な活用方法も多いのが特徴だ。

 ちなみに、今回の取材では総合優勝争いを繰り広げるライダー擁するチームは、いずれも取材NGだった。選手たちがレースに集中することはもちろんだが、スタッフもみなモチベーションを高く保ち、チーム一丸となって戦う意思の表れだったと筆者は受け止めている。

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