チームの波状攻撃からロングスパートを決める3日間の「ツール・ド・北海道」が開幕 初日はNIPPOのスタッキオッティがプロ初勝利

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 今年で29回目を迎えた「ツール・ド・北海道(UCI2.2)」が9月11日、旭川市で開幕した。188kmの第1ステージを制したのはリカルド・スタッキオッティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)。嬉しいプロ初勝利を挙げ、同時にポイント賞、個人総合時間賞を獲得した。逃げに乗ったチームメートのジャコーモ・ベルラート(イタリア)も山岳賞を獲得し、NIPPO・ヴィーニファンティーニのステージ完全勝利となった。(田中苑子)

残り1.5kmで単独で仕掛けたリカルド・スタッキオッティ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)がステージ優勝 Photo: Sonoko TANAKA残り1.5kmで単独で仕掛けたリカルド・スタッキオッティ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)がステージ優勝 Photo: Sonoko TANAKA

若手が多く出場する国際ステージレース

開会式に参加する選手たち。雨の予報だったが、幸いにも青空がのぞく Photo: Sonoko TANAKA開会式に参加する選手たち。雨の予報だったが、幸いにも青空がのぞく Photo: Sonoko TANAKA

 ツール・ド・北海道は雄大な北海道の大地を舞台に、国内のステージレースでは唯一、周回コースを使わない、街から街へと移動するラインレースだけで構成される。毎年、開催エリアが変わるが、今年は旭川を拠点とした道東〜道央地区で開催される。3日間の日程の総走行距離は550km、第2ステージに組み込まれる1049mの十勝岳が最高地点となる。アップダウンに富む第1ステージと、ステージの中盤に十勝岳を上り、その後もアップダウンが続く第2ステージが、総合優勝を狙ううえでとても重要となり、最終日の第3ステージは平坦基調となっている。

 海外4チーム、国内15チームの計19チームが出走。有力チームと目されるのは、唯一のプロコンチネンタルチームであるNIPPO・ヴィーニファンティー二(イタリア)、昨年の優勝チームであるバジェットフォークリフト(オーストラリア)、チーム力に定評のあるブリヂストンアンカー(日本)など。また主催者の「ツール・ド・北海道から世界へと旅立ってほしい」という若手育成の理念から、各チーム、若手主体のメンバー構成となっており、今年は参加19チーム中5チームが大学チームで、世界的にも特徴あるUCIレースと言えるだろう。

昨年、個人総合優勝したバジェットフォークリフトが優勝トロフィーを返還する Photo: Sonoko TANAKA昨年、個人総合優勝したバジェットフォークリフトが優勝トロフィーを返還する Photo: Sonoko TANAKA
たくさんの学生レーサーが出場。中でも鹿屋体育大学はこれまでに何度もステージ優勝を挙げている Photo: Sonoko TANAKAたくさんの学生レーサーが出場。中でも鹿屋体育大学はこれまでに何度もステージ優勝を挙げている Photo: Sonoko TANAKA
兄の山本元喜(右、NIPPO・ヴィーニファンティー二)と弟の山本大喜(左、鹿屋体育大学) Photo: Sonoko TANAKA兄の山本元喜(右、NIPPO・ヴィーニファンティー二)と弟の山本大喜(左、鹿屋体育大学) Photo: Sonoko TANAKA
兄の徳田鍛造と弟の徳田優(CCT P/B チャンピオンシステム) Photo: Sonoko TANAKA兄の徳田鍛造と弟の徳田優(CCT P/B チャンピオンシステム) Photo: Sonoko TANAKA
地元北海道出身の阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)。しかし惜しくも落車で、第1ステージでのリタイアとなった Photo: Sonoko TANAKA地元北海道出身の阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)。しかし惜しくも落車で、第1ステージでのリタイアとなった Photo: Sonoko TANAKA
選手宣誓を行う全日本チャンピオンの窪木一茂(チームUKYO) Photo: Sonoko TANAKA選手宣誓を行う全日本チャンピオンの窪木一茂(チームUKYO) Photo: Sonoko TANAKA
旭川市の春光台公園からツール・ド・北海道、第1ステージがスタート Photo: Sonoko TANAKA旭川市の春光台公園からツール・ド・北海道、第1ステージがスタート Photo: Sonoko TANAKA

ツール・ド・北海道 ステージ一覧

第1ステージ 9月11日(金) 旭川市〜東川町 188㎞
第2ステージ 9月12日(土) 美瑛町〜美瑛町 162㎞
第3ステージ 9月13日(日) 鷹栖町〜札幌市 200㎞

逃げのスペシャリスト3人がアタック

後続を引き離す人名の先行選手たち。前からマシュー・ゼノヴィッチ(ニュージーランド、CCT P/B チャンピオンシステム)、ジャコーモ・ベルラート(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)、佐野淳哉(那須ブラーゼン) Photo: Sonoko TANAKA後続を引き離す人名の先行選手たち。前からマシュー・ゼノヴィッチ(ニュージーランド、CCT P/B チャンピオンシステム)、ジャコーモ・ベルラート(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)、佐野淳哉(那須ブラーゼン) Photo: Sonoko TANAKA

 第1ステージは、雨の予報だったが、幸いにもときおり晴れ間が見えるドライコンディションでの開催となった。全日本チャンピオンの窪木一茂(チームUKYO)による選手宣誓に続いて、レースがスタートすると、すぐに3選手の逃げが決まった。

 3人の顔ぶれは、2014年の全日本チャンピオンである佐野淳哉(那須ブラーゼン)、今年のジロ・デ・イタリアで何度も逃げに乗ったジャコーモ・ベルラート(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)、また今年のU23カテゴリーのツール・ド・フランドルで単独で逃げ続けたマシュー・ゼノヴィッチ(ニュージーランド、CCT P/B チャンピオンシステム)という、非常に脚の揃った逃げのスペシャリストたち。加速を続け、あっと言う間に10分以上のタイム差を稼いだ。

 逃げに乗っていた佐野は「最初、他の2人があまりにもハイペースなので、付いていけるか不安だったけど、徐々にペースが落ち、それからは自分も積極的に前を引いた。3人とも逃げ切りたいという気持ちは一緒。協調して回していった」と振り返る。

62km地点、名寄市のアップダウンを進むメーン集団 Photo: ツール・ド・北海道協会62km地点、名寄市のアップダウンを進むメーン集団 Photo: ツール・ド・北海道協会
田園風景が広がる北海道の大地を駆ける Photo: Sonoko TANAKA田園風景が広がる北海道の大地を駆ける Photo: Sonoko TANAKA
残り約30km、2人で逃げ続ける佐野とベルラート Photo: ツール・ド・北海道協会残り約30km、2人で逃げ続ける佐野とベルラート Photo: ツール・ド・北海道協会

 中盤を過ぎると、2つのカテゴリー山岳(3級、2級)を越える。2回ともベルラートがトップ通過したが、登坂区間でのペースアップに、時差ボケもあって体調があまり良くなかったというゼノヴィッチが脱落。そして、加速するメーン集団の勢いを受けて、ベルラートも逃げ続けることを諦め、最後は佐野もメーン集団に戻った。

NIPPOが波状攻撃で勝利をもぎ取る

 逃げを吸収したメーン集団前方では、激しいアタック合戦が始まり、その加速によって94人でスタートした集団は30人ほどに絞られていった。そのなかでもっとも積極的に動いたのはNIPPO・ヴィーニファンィー二。5人のチーム全員が前方集団に残り、波状攻撃のように次から次へとアタックを仕掛けた。しかし集団は簡単にはアタックを容認せず、集団は一つのまま残り3kmを通過した。

終盤はアタック合戦が続く。中央を走るのは山本元喜(NIPPO・ヴィーニファンティー二) Photo: ツール・ド・北海道協会終盤はアタック合戦が続く。中央を走るのは山本元喜(NIPPO・ヴィーニファンティー二) Photo: ツール・ド・北海道協会
チームメートと喜びを分かち合うリカルド・スタッキオッティ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ) Photo: Sonoko TANAKAチームメートと喜びを分かち合うリカルド・スタッキオッティ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ) Photo: Sonoko TANAKA

 そして残り1.5kmでリカルド・スタッキオッティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)が単独でロングスパートを仕掛けた。爆発的な独走力で後続を振り切り、フィニッシュラインまで先行し、両手を大きく挙げてゴールした。2位には2012年チームパシュートの世界チャンピオンであるスコット・サンダーランド(オーストラリア、バジェットフォークリフト)、3位には初めての海外遠征だという20歳のセッペ・ヴェルスヒュレ(ベルギー、CCT P/B チャンピオンシステム)が続いた。

 世界選手権出場を控える内間康平(ブリヂストンアンカー)は、「終盤の登坂区間で、スプリントに持ち込みたくないチームがみんなアタックして、残り3kmで脚が止まってしまった。そして最後にNIPPOが行ったときは、お見合い状態となってしまった。みんな脚が残っていなかったのだと思う。明日のステージでは、総合優勝を見据えて、前々で勝負を展開していきたい」とレース後に話した。

第2ステージで総合優勝を狙いに行くというブリヂストンアンカー Photo: Sonoko TANAKA第2ステージで総合優勝を狙いに行くというブリヂストンアンカー Photo: Sonoko TANAKA
「逃げ切りたかった」と振り返る佐野淳哉(那須ブラーゼン)。調子はまずまず Photo: Sonoko TANAKA「逃げ切りたかった」と振り返る佐野淳哉(那須ブラーゼン)。調子はまずまず Photo: Sonoko TANAKA

2年目でうれしいプロ初勝利

ステージ優勝したリカルド・スタッキオッティ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ) Photo: Sonoko TANAKAステージ優勝したリカルド・スタッキオッティ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ) Photo: Sonoko TANAKA

 ステージ優勝を挙げ、個人総合時間賞も獲得し、レースリーダーとなったスタッキオッティはプロ2年目で、今回がプロ初勝利となる。「自分に向いているコースで、チームメートが逃げていたおかげで、集団内で落ち着いてレースを進めることができた。今日はチームメート全員が強くて、終盤での動きも素晴らしく、完璧なレースができた。支えてくれている日本のスポンサーにも感謝したい」と嬉しそうにレースを振り返った。

 NIPPO・ヴィーニファンティー二は、UCIプロコンチネンタルチームではあるが、スタッキオッティをはじめ、半数以上の選手がプロ1年目、2年目の若い選手たちだ。今季はチームのランクが上がったことで、出場するレースのレベルも上がり、彼ら若手選手たちは思うような結果を出せずに、厳しいシーズンを送っていた。そのような意味でもとても嬉しい勝利となった。

第1ステージ、ステージトップ3の選手たち。優勝リカルド・スタッキオッティ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)、2位(オーストラリア、バジェットフォークリフト)、3位セッペ・ヴェルスヒュレ(ベルギー、CCT P/B チャンピオンシステム) Photo: Sonoko TANAKA第1ステージ、区間トップ3の選手たち Photo: Sonoko TANAKA
総合リーダージャージであるグリーンジャージを獲得したリカルド・スタッキオッティ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ) Photo: Sonoko TANAKA総合リーダーの証であるグリーンジャージを獲得したスタッキオッティ Photo: Sonoko TANAKA
記者会見中の入賞選手たち Photo: Sonoko TANAKA記者会見中の入賞選手たち Photo: Sonoko TANAKA

第2ステージは十勝岳が“ヤマ場”

 翌12日の第2ステージは、観光名所としても名高い美瑛や富良野を抜ける162kmのコースで、中盤に今大会唯一の1級山岳である十勝岳を越え、ゴール前20km地点にも3級山岳が控える。第1ステージを終えて、34選手がトップから11秒以内につけている混戦状態にあり、第2ステージが総合成績の大勢を決めるだろう。

第1ステージ結果
1 リカルド・スタッキオッティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) 4時間26分25秒
2 スコット・サンダーランド(オーストラリア、バジェットフォークリフト) +1秒
3 セッペ・ヴェルスヒュレ(ベルギー、CCT P/B チャンピオンシステム)
4 窪木一茂(チームUKYO)
5 ユーリ・フィロージ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)
6 ダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)

個人総合順位
1 リカルド・スタッキオッティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) 4時間26分15秒
2 スコット・サンダーランド(オーストラリア、バジェットフォークリフト) +5秒
3 セッペ・ヴェルスヒュレ(ベルギー、CCT P/B チャンピオンシステム) +7秒
4 佐野淳哉(那須ブラーゼン) +7秒
4 窪木一茂(チームUKYO) +11秒
5 ユーリ・フィロージ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ) +11秒

総合ポイント賞
リカルド・スタッキオッティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)

総合山岳賞
ジャコモ・ベルラート(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ)

チーム総合
1 NIPPO・ヴィーニファンティーニ 13時間19分17秒
2 マトリックスパワータグ +1秒
3 チームUKYO +1秒

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