「シダーデ・デ・ヴィーゴ」で終盤に独走小林海がスペインのエリートレースで優勝 元U17スペインチャンピオンを振り切る

  • 一覧

 スペインで活動している21歳の日本人ロードレーサー、小林フェルナンデス海(まりの)が8月30日、同国ガリシア州で行われた「GP Cidade de Vigo(シダーデ・デ・ヴィーゴ)」で優勝を飾った。小林はエリート/U23チーム「RIMO Construcciones Paulino」(リモ コンストゥルクシオネス パウリーノ)に所属し、スペインを中心にロードレースの本場・ヨーロッパを転戦しており、今大会が欧州での初勝利となった。

スペインのロードレース「シダーデ・デ・ヴィーゴ」で、ラスト10kmを独走して優勝した小林海スペインのロードレース「シダーデ・デ・ヴィーゴ」で、ラスト10kmを独走して優勝した小林海

 今大会の出場チームには、プロコンチネンタルチームのカハルラル・セグロス RGAの下部チームや、来季に多くのUCIプロツアーチームへ選手を供給する強豪U23チームなどが名を連ね、参加する選手の層は厚い。小林は当日の午前に行われた個人タイムトライアルを10位で終え、好調のままロードレースを迎えた。

 レースはアップダウンが激しい6kmのコースを15周する約90kmで争われた。リモ コンストゥルクシオネスパウリーノは、他チームがスプリントに持ち込めない展開を望み、序盤からペースを一杯まで上げて前を牽いた。集団は徐々に小さくなり、他チームの選手たちは懸命に食らいついたが、小林には余力が残っていた。

終盤で元スペインU17チャンピオンを振り切った小林海終盤で元スペインU17チャンピオンを振り切った小林海

 終盤になるとアントニオ・ポルテラ(スペイン、フロイス)が集団を抜け出し、30秒ほどのリードを奪った。ポルテラはU17時代にロードレースのスペインチャンピオンに輝いた強豪選手だ。しかし、脚を残していた小林はブリッジを仕掛け、ポルテラに合流。小林が400〜500Wの出力で踏み続けると、まもなくポルテラが遅れた。メーン集団ではチームメートが追走を潰すアシストを果たし、小林はラスト10kmを30秒ほどのリードを保って独走した。

表彰台に立ち、自分を撮影する小林海表彰台に立ち、自分を撮影する小林海

 ゴールまで残り200mを切って勝利を確信した小林は、右手を高く挙げてフィニッシュラインを横切った。完走者が20人を切る厳しいレースとなった。

 小林は「今シーズンは好調で、自分が表彰台に近いレベルにいるのは分かっていましたが、勝てるとは思っていませんでした。スペインの高いレベルのレースで優勝することができて、素直に嬉しいです。勝ちを重ねて精進したいです」とコメントした。次戦は9月8日から行われるブエルタ・カンタブリアで、小林にとってスペインでのシーズンを締めくくるレースとなる。

◇         ◇

 小林はスペイン人の父と日本人の母を持つ。ロードレース歴は4年で、2年前から毎シーズン、父の知人らを頼ってスペインへ渡航している。日本から世界へ羽ばたこうとしている小林に、スペインでの競技活動について話を聞いた。

全日本選手権ロード・タイムトライアルの前日、調整に励む小林海 =2015年6月20日 Photo: Shusaku MATSUO全日本選手権ロード・タイムトライアルの前日、調整に励む小林海 =2015年6月20日 Photo: Shusaku MATSUO

国際色豊かで“理想的”なチーム環境

 所属チームはスペインを中心に活動するクラブチームで、スペイン人をはじめコロンビア人、アメリカ人など国際色豊かなメンバーで構成される。スペイン国内のU23、エリートのほか、欧州各地のUCIレースにも積極的に参戦している。

スペインでの競技生活について語る小林海 =2015年6月 Photo: Shusaku MATSUOスペインでの競技生活について語る小林海 =2015年6月 Photo: Shusaku MATSUO

 選手には機材、宿舎が用意されるほか、エースクラスには給料も支払われ、チーム監督は「ベルギーなどのコンチネンタルチームよりも予算の規模は大きい」と胸を張る。小林も「選手は走ることに集中できる。理想的な環境だ」と話す。

 「選手は選手がやるべきことを、メカニックはメカを、監督は監督の仕事を責任を持ってこなす。反対に、自分の領域以外のことには手をつけない。選手がメカを触ったら怒られますからね」

「アシストしたくなるエース」から知識を吸収

 チームにはエースの選手がいて、小林はアシスト選手だ。とはいえ、小林に求められる仕事は、ただ集団の前を牽いたり、ボトルを取りに行ったりするだけにとどまらず、「どうしてそれをやるのか」を常に考えなければならないという。こう教えてくれたのは、チームのエース格の先輩選手だという。

 「うちのチームには元ランプレの所属メンバーをはじめ、経験豊富な選手が多い。そういった選手は皆、普段から、アンダー(U23)の選手に知識や経験を全て教えてくれる。レース中の動きから、トレーニング方法まで、本当に面倒見がいい。アシスト選手が自らアシストしたくなるエースです。すべてを吸収していきたい」

2015年6月に行われたポルトガルのUCIレース「GP ABIMOTA」で、100kmに渡り逃げグループに入った小林海(左端)2015年6月に行われたポルトガルのUCIレース「GP ABIMOTA」で、100kmに渡り逃げグループに入った小林海(左端)

 スペインで迎えた3シーズン目、地力をつけた小林は、レースで自分の動きたいように動けるようになり、逃げに入ることも容易になったという。6月に行われたポルトガルのUCIレースでは、100kmに渡って逃げ続け、自信を深めた。また自らの役割を理解し、チームに貢献できるようになってきて、レースがますます楽しくなったという。

東京五輪見据え「欧州で走り続ける」

 小林は来季も現在の所属チームで走るという。上位チームに移籍して環境が変わるよりも、現在の整った環境で経験を積みたいとの考えだ。U23からエリートクラスへと移る再来年には、コンチネンタルチーム以上のチームに所属して欧州で活動することを望んでいる。

全日本選手権ロード・個人タイムトライアルのU23で3位に入った小林海 =2015年6月21日、栃木県那須町 Photo: Shusaku MATSUO全日本選手権ロード・個人タイムトライアルのU23で3位に入った小林海 =2015年6月21日、栃木県那須町 Photo: Shusaku MATSUO

 26歳で迎える2020年の東京オリンピックには、ぜひロードレースに出場したいという小林。「年齢的にベストの時期。主催国なので出場枠も多く、チャンスはあるはず」とみている。代表選手の選考については「海外で活動し、コンチネンタルチーム以上に所属している選手が選ばれやすいと思う」と分析し、そのため「今のまま欧州で走り続けたい」と考えている。(取材 松尾修作)

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

ロードレース

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

  • タイム
    アルプデュエズ01 ディスク

    ディスクブレーキで伝統の走りを進化

  • リブ
    AVAIL ADVANCED

    走る好奇心を止めない リブの新型‟無敵”ロードバイク

  • インプレッション一覧へ

    連載