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私の落車<カルテ3>トライアスロンのトレーニング中に乗用車と衝突 26日間の昏睡状態に…

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【落車カルテ3】

Yさん(40代 女性)
ロードバイク歴:6年

<事故発生状況とその後>
・2014年6月、トライアスロン出場を控えて公道でトレーニング中、出会い頭に乗用車と衝突
・頭部と全身を強打し、意識を失う
・昏睡状態に陥り、生死をさまよう
・約1カ月後に意識が戻り、半年以上のリハビリに励む
・2015年5月にレースに復帰し、奇跡的なカムバックを果たす

練習中に単独で事故

 トライアスロンのレースへの出場を控え、仲間たちと多摩ニュータウンでトレーニングしていたときに、乗用車と衝突しました。関東圏のトライアスリートの間ではよく知られた場所です。周回コースを走るのですが、全員がいっしょなのは最初だけで、あとは各々のペースで走ります。事故時、私は単独で走行していました。

コンディションが万全ではなかった

事故後、病院で事故後、病院で

 じつは、事故の日の記憶が丸1日ありません。事故後だけでなく、その日の記憶がゼロ。だから事故状況をお話しできないんです。信号のある交差点での出合い頭での衝突だったのですが、信号無視して走るなんて絶対にしないですし。ただ、あいにく目撃者もおらず、私の記憶も飛んでいるので、本当の原因がわかりません。

 いま思えば、当日の体調も影響していたのかな。あるレースに出場したとき、かなり良い成績が取れて、なんとアイアンマン世界選手権の出場権を獲得できてしまいました。うれしい半面、「え~」という気持ちもちょっぴりあって。「やっと休めると思っていたら、またレース出場が決まってしまった。もうひとがんばりしなきゃ…」というテンションで練習に出かけていたのです。

 事故のときも、レース明け数日後で疲れがたまっていて、集中力が万全ではありませんでした。何度も走っている見通しの良い交差点にもかかわらず、いつもならできたはずの危険回避ができなかったのは、コンディションがよくなかった証拠かなと思います。

感染症を併発し昏睡状態に

肩のレントゲン。鎖骨をはじめ数カ所を骨折した肩のレントゲン。鎖骨をはじめ数カ所を骨折した

 ここからは私の記憶と後で聞いた話を混ぜてお話しします。事故後は、救急車で運ばれて即入院です。レスキューの方に「大けがだけど、命に別状はない」とは聞かされました。右鎖骨と肋骨8本が折れ、右肺が潰れました。頭で車のサイドガラスを突き破りましたが、頭部損傷はなし。ヘルメットのおかげで命拾いしました。装着していなければ、確実に死んでいましたね。

 ところが、処置のために体中に管やら何やらを刺された結果でしょうか、感染症を併発してしまい、26日間も昏睡状態になりました。菌をやっつけるために、通常では考えられない量の輸血もおこなわれたそうです。冗談ではなく、周囲は「死んでしまうかも」と覚悟していたそうで…私は意識がなかったので、痛みも苦しみも味わっていないのですが(笑)。

 昏睡から覚めた後、トライアスロン仲間の医師に処置内容を話したら、「その量の輸血をオペで使うことはあるけれど、ふつうは死ぬパターンだよ」と言われました。

目覚めは、映画のようにカッコ良くはない

 身体の変化に衝撃を受けました。まったく動いていなかったので、筋肉がすっかり落ちてしまい、体重が40kgを切っていました。あまりに変わり果てた姿に、見舞いに来た友人らは絶句していました。

歩けるようになったが、筋肉がすっかり落ちて、脚は棒のように細くなってしまった歩けるようになったが、筋肉がすっかり落ちて、脚は棒のように細くなってしまった

 1カ月間寝たきりで過ごすと、上半身を起こせるようになるのに3カ月かかるとも言われるそうですね。私はその日のうちに起き上がり、翌日には物をつかんで伝い歩きができました。そのように回復は早かったものの、手足は棒のようでしたよ。

 昏睡から目覚めたときって、映画のように目をパッチリさせて「あら、ここはどこかしら?」と起き上がる感じではないです。私の場合、幻覚と現実が行ったり来たりでもうろうとしていました。幻覚が見えたこともありましたね。家族しかいない病室なのに、「○○さん(知人)がいらっしゃっているね、ちゃんと挨拶してね」と口走ったり。時間をかけて徐々に現実を取り戻していきました。

事故後10カ月でレースに復帰

 事故後は、仲間が親身になって助けてくれました。グループポータルを立ち上げて、私の病状を発信してくれたのです。意識を失っていた間もずっと応援メッセージを贈って励ましてくれていました。私は、お世話になった方々に感謝し、復活の意味も込めて、必死にリハビリに精を出しました。

事故後初めて泳いだ時事故後初めて泳いだ時

 昏睡から目覚めたのが2014年の7月で、復帰レースは2015年5月、ホノルル・トライアスロンのショートディスタンスです。基礎体力が激しく低下した状態から戻していったので、ショートとはいえこれまでのレースの中でもっともタフでしたね。ちなみにショートディスタンスはオリンピック競技の距離で、スイム1.5km・バイク40km・ラン10kmです。

 この距離のトライアスロンは、フルマラソンよりも体への負担は軽いので、人並みの体力があれば4時間かからずに完走できます。トータル距離は長いけれど、それぞれ使う筋肉が違いますからね。なお、スイムがいちばんラクですよ。

復活できたのは大勢の仲間のおかげ

 体力が回復してから、ランとスイムは練習を再開できたのですが、バイクだけは怖くてなんとなく触りたくなかったんです。そんな私を見て、仲間が練習に誘ってくれました。事故後、初めてサドルにまたがったのは駒沢公園でした。練習再開の瞬間は身体が震えました。

 仲間は私の心をおもんばかって、私の負担にならないようにさりげなく練習に連れ出してくれました。こちらがお願いしたわけでもないのに、私の回復状態に合わせてメニューも考えてくれたんです。リハビリ中もずっと大勢の仲間に助けられました。本当に感謝しています。

 トライアスリートってステキな人たちばかりだと思います。トライアスリートである私が言うのもなんですけど、人間力がすごくて尊敬できる方々が集まっています。あと、キャラが濃い人が多い(笑)。彼ら&彼女らのヘルプがなかったら、いま頃私は死んでいただろうな…ってしみじみ思います。

”自分のお通夜を自分で見る”感覚

復帰レースとなった今年のホノルルトライアスロンの完走メダル復帰レースとなった今年のホノルルトライアスロンの完走メダル

 今回の事故で、人のありがたさ、大切さを痛感しました。昏睡している私のために、フェースブックに特設ページを作って応援してくれた方々には、何度お礼を言っても足りません。「死にかけていた私のために、ここまでしてくれるんだ」って温かい気持ちになりました。

 特設ページを見返すと、まるで”自分のお通夜を自分で見る感覚”になります。ほぼ助からないだろう、死ぬだろうって思われていましたし、「今だから言うけど、もう会えないって思っていた」とも後々聞かされました。仲間が少しずつ命を分けてくれて、死にかけた自分を引き戻してくれたんじゃないかなーって考えることもあるんですよ。私自身も、誰かのために生きる日々を送ろうって強く思っています。

<今回の教訓>

「死にかけて 改めて知る 人の愛 感謝の気持ち 心に刻む」

(取材・編集 中山順司)

中山 順司中山 順司(なかやま・じゅんじ)

ロードバイクをこよなく愛するアラフォーブロガー。ブログ「サイクルガジェット」を運営。”徹底的&圧倒的なユーザー目線で情熱的に情報発信する”ことがモットー。ローディの方はもちろん、これからロードバイクを始めようかとお考えの方が、「こんなコンテンツを読みたかった!」とヒザを打って喜ぶ記事をつくります。

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