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ブエルタ・ア・エスパーニャ2015 第11ステージランダ、アールのアスタナ勢がワン・ツー フルームら総合優勝候補が次々遅れる波乱

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 ブエルタ・ア・エスパーニャ第11ステージは9月2日、今大会最初の上級山岳ステージとなるアンドラ・ラ・ベリャからクルタルス・デンカムまでの138kmで争われ、序盤から逃げグループでレースを進めたミケル・ランダ(スペイン、アスタナ プロチーム)がブエルタ初勝利を挙げた。個人総合のマイヨロホ争いは、6つもの難関山岳に多くの有力選手が苦しめられる結果になり、ステージ2位となったファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム)がジャージを獲得。アスタナ勢はワン・ツーフィニッシュを飾り、最高の1日とした。

総合争いのライバルたちを大きくリードし、ステージ2位に入ったファビオ・アール<写真・砂田弓弦>総合争いのライバルたちを大きくリードし、ステージ2位に入ったファビオ・アール<写真・砂田弓弦>

 8月30日の第10ステージ終了後、ブエルタ一行は第2週の戦いに備え大移動した。チームカーやチームバス、なかにはヘリコプターをチャーターするなど、チームや選手によってさまざまな移動手段がとられた。翌9月1日は、第2週最初の舞台となるピレネー山脈の小国・アンドラ公国で各チームが調整を行った。

 迎えた第11ステージは、全行程がアンドラ領内で行われた。今大会最初の上級山岳ステージで、スタート直後から上り始め、1級、1級、1級、超級、2級、1級の順でカテゴリー山岳を通過。いずれも平均勾配は10%前後で、同国のスキーリゾートであるクルタルス・デンカムの頂上にフィニッシュ地点が設けられた。獲得標高にして、実に4900m。今大会のクイーンステージに推す声も多かった。

大きくタイムロスしたクリストファー・フルーム<写真・砂田弓弦>大きくタイムロスしたクリストファー・フルーム<写真・砂田弓弦>

 そんなサバイバル必至の1日は、アクシデントで幕が開けた。ここまで総合8位につけ、徐々に調子を上げつつあったクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)がコーナーで落車。痛そうな素振りを見せながらも再乗車したが、すでに最初の1級山岳が始まっていたこともあり、集団から遅れる選手をかわしながらの追走を余儀なくされてしまった。

 逃げメンバーの中には、山岳賞のモンターニャを着るオマール・フライレ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)の姿も。フライレは狙い通り最初の1級山岳コラーダ・デ・ベシャリスを1位通過。その後の下りで追走グループが先頭に合流し、19人の逃げグループでレースが進行していった。続く1級山岳コル・ド・オルディーノは、ルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ)がスプリントを制して1位、フライレが2位で通過した。

 メーン集団は主にアスタナ プロチームがコントロールし、逃げとの差を2分前後で推移させる。後方からのレースとなったフルームも集団に復帰。やがてチーム スカイのアシストが集団前方で固まり、アスタナに代わってプロトンの先導を担った。逃げグループは完全に容認され、その差は4分以上に広がった。

 逃げグループでは、イマノル・エルビティ(スペイン、モビスター チーム)が単独で抜け出し、前を急ぐ。この日3つ目の山岳、1級プエルト・デ・ラ・ラバッサをエルビティが1位通過すると、約1分差でその他の逃げメンバーが到達。フライレが2位通過し、さらに山岳ポイントを加算させた。

 4つ目の山岳、超級コラーダ・デ・ラ・ガリーナで驚きの瞬間が訪れた。総合争いの有力選手の中で、真っ先にメーン集団から遅れたのはフルームだった。アシストが3人、4人と前方からフルームのそばに付きペースメークを試みる。それに応じるかのように、メーン集団はアスタナがペースアップ。何とか食らいつきたいフルームだったが、集団のスピードに対応できず、その差は広がる一方。ドクターカーを呼び、薬品を処方される場面も見られた。先を行く逃げグループも1人、また1人と人数を減らし5人に。頂上はフライレが1位で通過した。

 直後の下りでメーン集団からアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)とホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ)が抜け出し、当初逃げグループに位置していたアシストたちに合流。両チームが協調してライバルからのリードを図る。これをきっかけに集団がいくつかに分かれ、バルベルデらから約30秒差でアールやポイント賞のプントスを着るヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)らが、さらに約30秒差でマイヨロホを着るトム・ドゥムラン(オランダ、チーム ジャイアント・アルペシン)らが前を追った。

 活性化されたメーン集団だったが、この日5つ目の上りである2級山岳に入ってアールらが、残り20kmを前にドゥムランらも復帰し、総合上位陣の争いは最後の1級山岳を前にふりだしに戻った。

ブエルタ初勝利を飾ったミケル・ランダ<写真・砂田弓弦>ブエルタ初勝利を飾ったミケル・ランダ<写真・砂田弓弦>

 先頭では、ランダがペースを上げ単独トップに立った。ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)らが追うが、ランダは後続の合流を許さない。先頭とのタイム差を1分台にまで縮めたメーン集団では、アールがアタック。これに反応できたのはロドリゲスとチームメートのダニエル・モレノ(スペイン、チーム カチューシャ)。バルベルデやラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)はアールの動きについていくことができず、マイヨロホのドゥムランとプントスのチャベスは一定ペースで上ることを選択する。

 残り5km手前でアールが再びアタックすると、ロドリゲスとモレノも遅れ始めた。アールは逃げグループで走っていたイアン・ボズウェル(アメリカ、チーム スカイ)をかわし、2番手に躍り出る。後続では、マイカとミケル・ニエベ(スペイン、チーム スカイ)が逃げグループから落ちてきた選手を1人ずつパスしていく。さらにその後ろではドゥムランとチャベスが粘りを見せる。2人の好ペースにバルベルデ、ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)ら有力選手が次々と遅れ始めた。

 快調に上ったランダは、序盤からのリードを守りきりトップでクルタルス・デンカムの頂上フィニッシュへとやってきた。最後までしっかりとしたペダリングでフィニッシュラインを通過。今大会は第1週で大きく遅れ、総合上位は難しい状況となっていたが、今年のジロ・デ・イタリア総合3位に入った登坂力を最難関ステージで見せつけた。

 ランダのフィニッシュから1分22秒後、チームメートのアールが現れた。総合上位陣の中ではライバルを圧倒。アスタナ勢がワン・ツーフィニッシュを決めた。3位にはボズウェル、アールから30秒以上遅れてモレノとロドリゲスが4位、5位でフィニッシュ。

 マイヨロホのドゥムランは9位と粘ったが、アールからは1分37秒差とありジャージを明け渡すことに。アールが今大会初めて総合首位に立ち、ロドリゲスが27秒差、ドゥムランが30秒差で続く形となった。

マイヨロホを獲得したファビオ・アール<写真・砂田弓弦>マイヨロホを獲得したファビオ・アール<写真・砂田弓弦>

 ブレーキとなってしまったバルベルデはランダから3分4秒差の12位、キンタナは同じく4分19秒差の14位でこのステージを終えた。フルームは8分41秒差の32位。総合ではアールから7分30秒差の15位となり、総合優勝の可能性は事実上消滅した。また、フィニッシュ後には落車時に強打した右膝の痛みを訴えている。

 中盤までメーン集団に位置し、その後はフルームらと前を追った新城幸也(チーム ヨーロッパカー)は、ランダから18分差の60位でゴールした。総合では1時間18分49秒差の75位。

 続く第12ステージは、エスカルデス-エンゴルダニ. アンドラからレリダまでの173km。アンドラ領内を出発し、コース前半の2級山岳を通過するとその後はおおむね下り基調。途中小さなアップダウンがあるものの、レースに影響することはなさそうだ。クラッシュや風による集団分断などがなければ、スプリンター有利のステージになるものと見られている。

(文 福光俊介/写真 砂田弓弦)

第11ステージ結果
1 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ プロチーム) 4時間34分54秒
2 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) +1分22秒
3 イアン・ボズウェル(アメリカ、チーム スカイ) +1分40秒
4 ダニエル・モレノ(スペイン、チーム カチューシャ) +1分57秒
5 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) +1分59秒
6ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +2分10秒
7 ミケル・ニエベ(スペイン、チーム スカイ) +2分10秒
8 ヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +2分59秒
9 トム・ドゥムラン(オランダ、チーム ジャイアント・アルペシン) +2分59秒
10 ディエゴ・ローザ(イタリア、アスタナ プロチーム) +3分2秒
60 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +18分00秒

個人総合(マイヨロホ)
1 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) 43時間12分19秒
2 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) +27秒
3 トム・ドゥムラン(オランダ、チーム ジャイアント・アルペシン) +30秒
4 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +1分28秒
5 ヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +1分29秒
6 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +1分52秒
7 ダニエル・モレノ(スペイン、チーム カチューシャ) +1分54秒
8 ミケル・ニエベ(スペイン、チーム スカイ) +1分58秒
9 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +3分7秒
10 ルイ・メインティス(南アフリカ、MTN・クベカ) +4分15秒
75 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +1時間18分49秒

ポイント賞(プントス)
1 ヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 79pts
2 トム・ドゥムラン(オランダ、チーム ジャイアント・アルペシン) 74 pts
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 74 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 オマール・フライレ(スペイン、カハルラル・セグロス RGA) 55 pts
2 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ プロチーム) 25 pts
3 ルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ) 14 pts

複合賞(コンビナーダ)
1 トム・ドゥムラン(オランダ、チーム ジャイアント・アルペシン) 9 pts
2 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム)12 pts
3 ヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 21 pts

チーム総合
1 チーム スカイ 129時間56分7秒
2 アスタナ プロチーム +3分45秒
3 モビスター チーム +8分20秒

敢闘賞
ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ プロチーム)

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