工具はともだち<77>ラチェットで作業を速く正確に サイクリストには短いサイズがお勧め

  • 一覧
作業をスピーディーかつ正確にするラチェットハンドル作業をスピーディーかつ正確にするラチェットハンドル

 暑さもひと段落し、そろそろ秋のツーリング計画を立てている方も多いのではないでしょうか。良い季節になるとロングライドをしたくなると思いますが、やっぱりその前にはきちんとメンテナンスをしてから出発して下さいね。今回は工具の選び方の第二弾として、メンテナンスがより快適かつスピーディーになるアイテム「ラチェット」をご紹介します。

抜き差しいらずで破損の可能性が激減

 ラチェットはプロが使う工具、というイメージをもつ方も多いかもしれませんが、メンテナンスをするにはぜひそろえていただきたいアイテムのひとつです。その理由はなんと言っても作業性のよさ。もちろん、L形のアーレンキーやスパナがあれば大体のことはできてしまいますが、都度抜き差しをするこれらの工具に対して、ラチェットとソケットを使うとその必要はありません。一度ボルトに掛けてしまえば、あとはひたすら締め緩めと空転動作を繰り返すだけです。

 そのため、作業スピードが圧倒的に違います。また、何度も抜き差しを繰り返すスパナなどのレンチに比べボルト・ナットをなめる確率も格段に下がります。つまり、速くて正確な作業ができるんです。

ラチェットの内部のパーツと構造ラチェットの内部のパーツと構造

 ラチェットの内部構造は、ドライブ角(ソケットを差し込むためのスクエア部)とギアが一体になった「ドライブギア」という部品と、ドライブギアを受け止める「クロウ」という部品が組み合わさっています。このギアとクロウを空転させたり、かみ合わせたりしながらドライブ角に差し込んだソケットを回していくわけです。その構造によって、ソケットを抜き差しすることなくボルト・ナットを回すことができます。

 ドライブ角には6.3sq.、9.5sq.、12.7sq.(sq.=スクエア)など、インチサイズを基準につくられた規格があります。コンパクトさを求めるなら6.3sq.、自転車やオートバイ、自動車整備で主に使用されているのが9.5sq.。サイクリストのみなさんにお勧めするのは、使用するトルク範囲とバリエーションの多さなどからやはり9.5sq.です。それよりも大きなトルクが必要な所には12.7sq.、大型車両や船舶などの場合はさらに大きなサイズが使われています。ところが意外にも、航空機整備では狭所作業が多いため、6.3sq.がよく使われています。

ギア数と空転トルクの軽さは手に取って確認

 また、ラチェットの頭部の形状は、円形に近い丸型と、楕円形の小判型の二つがあります。この丸型と小判型ですが、丸型は比較的ギア数が多く、小判型はギア数が少ないというのが一般的です。どちらがいいかは一概には言えませんので、頭部の形式で選ぶのではなく、ギアの数がラチェットを選ぶ際のひとつの目安となります。ギア数が多いと、それだけ空まわしする際の振り角が小さくなりますので、狭い場所でも使いやすくなります。

ネプロスの90ギアラチェット(左)とKTCでスタンダードな36ギアラチェットネプロスの90ギアラチェット(左)とKTCでスタンダードな36ギアラチェット

 一般的なラチェットのギア数は18、24、36、60、72あたりが多く見られます。KTCのスタンダードなギア数は36なのですが、KTCの最高級ブランド「ネプロス」のギア数はなんと90。小判型では世界最多を誇ります。

 そしてもうひとつ重要なのが空転トルクの軽さです。空転トルクとは、空回しした際の重さのことで、空転トルクが重いと、空回しした際にソケットも共回りしてしまい、締め緩めができないということがしばしば発生します。ですから、空転トルクが軽いということはそれだけ軽快に作業することができるのです。

 ただし、単に空転トルクが軽ければよいかと言うと、そうでない場合もあります。なぜなら、ラチェットの機構によっては空転トルクが軽いとギアとびを起こしやすくなったりして、ギアの破損につながる可能性があるからです。このため、ギアの数と空転トルクの軽さは直接触ってみるのが一番で、さらに構造的なことはお店の人やメーカーのホームページなどで確認するのが良いと思います。ネプロスの90ギアラチェットは空転トルクが軽く非常に作業性が良くなっていますので、機会があったらぜひ体感してみて下さい。

手のひらの中にすっぽり

自転車のメンテナンスに使いやすいショートラチェット自転車のメンテナンスに使いやすいショートラチェット

 ギア数と空転トルクのことがわかったら、あとはハンドルの長さです。長さはスタンダード、ショート、ロング、首振りタイプなどがあります。スタンダードが一番使い勝手は良いのですが、それほどトルクを必要としない自転車のメンテナンスにお勧めするのはショートラチェット。軽くて持ち運びが楽で、ハンドルが短いのでスペースをとりません。

 そして、もっとお勧めなラチェットが、ネプロスの発売20周年を記念してつくられた「スタッビラチェット」です。ショートラチェットよりもさらに短く、手のひらの中にすっぽり納まります。

ネプロスの発売20周年記念モデル「スタッビラチェット」ネプロスの発売20周年記念モデル「スタッビラチェット」

 また、9.5sq.のドライブ角を差せるようになっているので、トルクを必要とする場合はスピンナハンドルなど大きな力をかけられる工具と組み合わせて使用できるという、自転車ユーザーにはピッタリなアイテムです。

重田和麻(しげた・かずま)

KTC(京都機械工具)入社後、同社の最高級ツール「nepros」(ネプロス)の立ち上げに携わった後、販売から企画、商品開発とさまざまな立場で同商品と歩みを共にしてきた。スポーツ自転車は初心者だが、工具についてはプロフェッショナル。これまでの経験を生かして、色々な角度からサイクリストに役立つ工具の情報を提供する。

関連記事

この記事のタグ

KTC 工具はともだち

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載