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ブエルタ・ア・エスパーニャ2015 第8ステージストゥイヴェンがスプリントを制しグランツール初勝利 有力選手が次々落車する悪夢の一日

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 ブエルタ・ア・エスパーニャ第8ステージは8月29日、プエブラ・デ・ドン・ファドリケからムルシアまでの182.5kmで行われ、23歳のジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック ファクトリーレーシング)が集団でのゴールスプリントを制し、グランツール勝利を挙げた。総合首位のマイヨロホは変わらず、ヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)が守っている。

集団スプリントを制しステージ優勝を飾ったジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック ファクトリーレーシング) ©Unipublic集団スプリントを制しステージ優勝を飾ったジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック ファクトリーレーシング) ©Unipublic

 この日は序盤戦を戦ったアンダルシア州に別れを告げ、スペイン南東部・ムルシア州へと入る。ステージ前半は下り基調で走ったあと、一度ゴール地点のムルシア市街地を抜け、ムルシア近郊で3級山岳を含む周回コースを2周したのちに、再びムルシア市街地に入りゴールする。

 スタート直後から逃げを狙うアタック合戦が続き、1時間近くに及ぶ平均時速55km/hでのバトルの結果、6人の選手が抜け出すことに成功した。逃げはアンヘル・マドラソ(スペイン、カハルラル・セグロス RGA)、イイヨ・ケイス(ベルギー、エティックス・クイックステップ)、マッティーア・カッタネオ(イタリア、ランプレ・メリダ)、アレックス・ハウズ(アメリカ、チーム キャノンデール・ガーミン)、ジミー・アングルヴァン(フランス、チーム ヨーロッパカー)、トム・ヴァンアスブロック(ベルギー、チーム ロットNL・ユンボ)という布陣。

エスケープグループ ©Unipublicエスケープグループ ©Unipublic

 逃げる6人は、総合最上位のマドラソでも27分遅れの64位とあって、総合争いのチームではなく、メーン集団はステージ優勝狙いのチームがコントロールする。上りを経てのゴール勝負を狙える、ペテル・サガン(スロバキア)擁するティンコフ・サクソや、ジョン・デゲンコルプ(ドイツ)のジャイアント・アルペシンが追走をまとめ、逃げの最初で4分30秒まで広がったタイム差は、じわじわと詰められていった。

 残り50km付近では、逃げとメーン集団との差は1分40秒ほど。レースは一旦ムルシアの市街地を通過して上りに向かうが、この市街地区間でメーン集団に大落車のアクシデントが起こった。数十人が巻き込まれ、何人かは地面に倒れたまま起き上がることができない。総合争いの有力候補の一人、ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム)も、鎖骨のあたりを押さえて座り込んだままだ。

 結局この落車でヴァンガードレンはリタイア。また今大会ここまでステージ上位に何度も入り好調だったダニエル・マーティン(アイルランド、チーム キャノンデール・ガーミン)、ロット・ソウダルのエースナンバーを付けるクリス・ブックマンス(ベルギー)、そしてナセル・ブアニ(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ)もここでレースを終えることになった。

 この落車にはマイヨロホのチャベスも巻き込まれたが、オリカ・グリーンエッジのアシストが複数人で引き戻し、大事には至らずメーン集団に復帰した。

 先頭6人はいよいよ最初の3級山岳の上りに突入。平均勾配7.5%の急勾配に、上り口からアングルヴァン、ケイスといった重量級の選手が遅れていく。先頭は最終的にハウズが単独先頭となり山岳ポイントを通過するが、狭く荒れたテクニカルな下りの序盤で、ガードレールに突っ込み落車してしまう。代わってマドラソが先頭となるが、メーン集団はすでに後方30秒ほどに迫っており、下りの途中で逃げは全てメーン集団に吸収された。

リーダーの座を守ったチャベス ©Unipublicリーダーの座を守ったチャベス ©Unipublic

 一旦下ったのちに、再び同じ3級山岳を越える。集団先頭をチーム スカイが牽引して上りへと突入。すかさずオランダチャンピオンジャージのニキ・テルプストラ(エティックス・クイックステップ)がアタックし、アタック合戦が開始される。このペースアップで新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー)はメーン集団から遅れてしまった。

 先頭では数人が散発的に飛び出して合流し、山頂は地元ムルシア出身のホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター チーム)が先頭で通過。しかし山頂からの下り、ハウズが落車した同じ場所で、再びロハスが先頭で落車し後退してしまう。下りを終えて、先頭はホセイシドロマシエル・ゴンカルヴェス(ポルトガル、カハルラル・セグロス RGA)、ケニー・エリッソンド(フランス、エフデジ)、アルベルト・ロサダ(スペイン、チーム カチューシャ)の3人だ。

 残り10km、逃げを20秒差で追うメーン集団は50人ほど。トップスプリンター級はデゲンコルプが遅れたもののサガンは残っており、このことが集団での追走を鈍らせている。散発的なアタックは見られるものの、組織だった追走ができないメーン集団に苛立つサガンは、自ら追走の先頭に立つ動きを見せる。

 しかしここでサガンに信じがたいアクシデントが発生。道路脇から集団を追い抜こうとした大会関係のオートバイがサガンと接触し、サガンは高速で道路に叩きつけられ転がってしまった。ステージ勝利が間近に狙える位置にいただけに、サガンは興奮して大会関係者に猛烈抗議するが、この日のチャンスは永遠に失われてしまった。

 サガンが遅れたことで、逆に集団内では意思の統一となったか、集団は残り3.5kmで逃げていた3人を吸収。残り2kmからアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ソウダル)が単独アタックするが、これも残り1kmを切って吸収される。最終的な勝負は集団でのスプリントに委ねられ、先頭に立ったペリョ・ビルバオ(スペイン、カハルラル・セグロス RGA)をサイドから捲りきったストゥイヴェンがステージ優勝を挙げた。

チームに今季グランツール初勝利をもたらしたストゥイヴェン ©Unipublicチームに今季グランツール初勝利をもたらしたストゥイヴェン ©Unipublic

 23歳と若いストゥイヴェンは、昨年に続く2度目のブエルタ出場で、嬉しいグランツール初優勝を挙げた。エース級の選手の不調が続いたなかで、トレック ファクトリーレーシングに今年グランツール初勝利をもたらした。ストゥイヴェン自身も残り50kmの集団落車で転倒したというが、メーン集団へと復帰し、終盤の2度の山岳を耐え切ってゴール勝負につなげた。

 翌日の第9ステージは、トレビエハからクンブレ・デル・ソル・ベニタチェルへの168.3kmで行われる。大半は海岸線のフラットコースだが、2度通過するクンブレ・デル・ソルの激坂が勝負のポイント。2回目はゴール前に設定され、最大勾配19%の区間が設けられる。フィニッシュ地点も残り1kmから10%の急勾配。ステージ争い、総合争いともに激しい戦いが見られるだろう。

(文 米山一輝)

第8ステージ結果
1 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック ファクトリーレーシング) 4時間6分5秒
2 ペリョ・ビルバオ(スペイン、カハルラル・セグロス RGA) +0秒
3 ケヴィン・レザ(フランス、エフデジ) +0秒
4 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター チーム) +0秒
5 クリスティアン・スバラーリ(イタリア、MTN・クベカ) +0秒
6 トッシュ・ヴァンデルザンド(ベルギー、ロット・ソウダル) +0秒
7 ジュリアン・シモン(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ) +0秒
8 ピーテル・スライ(ベルギー、エティックス・クイックステップ) +0秒
9 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター チーム) +0秒
10 ニコラ・ロッシュ(アイルランド、チーム スカイ) +0秒
65 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +8分1秒

個人総合(マイヨロホ)
1 ヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 31時間12分18秒
2 トム・ドゥムラン(オランダ、チーム ジャイアント・アルペシン) +10秒
3 ニコラ・ロッシュ(アイルランド、チーム スカイ) +36秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +49秒
5 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) +56秒
6 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +57秒
7 ファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム) +57秒
8 ダニエル・モレノ(スペイン、チーム カチューシャ) +1分18秒
9 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +1分19秒
10 ミケル・ニエベ(スペイン、チーム スカイ) +1分21秒
62 新城幸也(日本、チーム ヨーロッパカー) +35分33秒

ポイント賞(プントス)
1 ヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 70 pts
2 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) 61 pts
3 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 61 pts

山岳賞(モンターニャ)
1 オマール・フライレ(スペイン、カハルラル・セグロス RGA) 13 pts
2 ベアトヤン・リンデマン(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) 13 pts
3 ウァルテルフェルナンド・ペドラサ(コロンビア、コロンビア) 7 pts

複合賞(コンビナーダ)
1 ヨアンエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 8 pts
2 トム・ドゥムラン(オランダ、チーム ジャイアント・アルペシン) 20 pts
3 ニコラ・ロッシュ(アイルランド、チーム スカイ) 27 pts

チーム総合
1 チーム スカイ 93時間49分38秒
2 モビスター チーム +3分59秒
3 アスタナ プロチーム +4分4秒

敢闘賞
アンヘル・マドラソ(スペイン、カハルラル・セグロス RGA)

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