title banner

栗村修の“輪”生相談<56>40代男性「落車で大けがをしてしまい、また落車してしまうのではないかと心配です」

  • 一覧

 
ロードバイクに乗り始めてから6年ほどになりますが、最近、落車で大けがをしてしまいました。それまでもたびたび落車を経験していますが、たまたま大けがはしていなかっただけでした。

運動神経は良い方といえないながらも、無理せず自分のペースで楽しんできました。しかしこれから先、また落車してしまうのではないかと心配です。落車をしにくくなる練習、または落車してもけがをしにくくなる方法はあるのでしょうか?

(40代男性)

 最近はプロのレースでも落車が多いですね。今年のツール・ド・フランスでは、落車によってファビアン・カンチェッラーラやトニー・マルティンという有力選手がマイヨ・ジョーヌを着たままリタイアしてしまう事態も起こりました。

 プロの落車の原因はいろいろありますが、大きな理由として、戦術が高度化し、監督から無理なオーダーが出ることが挙げられます。その結果、狭いスペースに多くの選手たちが殺到してしまい、落車が起きているのです。落車のリスクを避けるために、監督は「(集団の)前へ、前へ」という指示を出しているのでしょうが、それが落車を引き起こしてしまうという皮肉な状況なのです。

 無理なオーダー、と言いましたが、落車の主な原因は「無理」です。落車を100%防ぐのは困難でしょうが、リスクを意識して、無理をしないことを徹底すれば落車は減るはずです。無理な動きを避け、コーナーは減速する。タイヤがスリップすることは、基本的に減速さえしていればほぼ防げます。自動車との事故はそうではないかもしれませんが、数の上では例外でしょう。

密集して走るロードレースでは、1人の落車が周囲に影響を及ぼすことで、集団での落車に発展する場合も少なくない密集して走るロードレースでは、1人の落車が周囲に影響を及ぼすことで、集団での落車に発展する場合も少なくない

 質問者さんがどのような状況下で落車が多いのかはわかりませんが、一般的に落車には、単独落車と、集団での落車があります。集団ならば、一番多い原因は「ハスり」などの、他の選手との接触系落車です。これはプロでも結構あります。無理に距離を詰めるからですね。それと、例え一瞬であっても後ろや下などを見た“よそ見”が原因となることも少なくありません。

 単独での落車ならば、原因はほぼ確実にタイヤまわりにあります。スリップや、路面の障害物や変化などですね。したがって、コーナーでは速度を落とし、また路面の変化に注意して走ることが求められます。ここでも要するに、無理をしないでください、と言いたいのです。

 テクニック不足で路面との対話があまり上手でない、つまりバイクコントロールが苦手だということであれば、マウンテンバイクなどを使ったオフロードでのトレーニングが効果的かもしれません。オンロードと違い、オフロードは走行中に(タイヤが)滑るのが前提ですから、自転車をコントロールする感覚はイヤでも身に付きます。

 究極はシクロクロスでしょう。マウンテンバイクよりタイヤが細く、しかもドロップハンドルですから、ロードバイクのテクニック面のトレーニングには最適だといえます。オフシーズンにシクロクロスの練習を取り入れてみてはどうでしょうか?

 けがについてですが、よく、落車の際には「ハンドルから手を離さないように」といったアドバイスを聞くことがありますが、落車の状況によってこの対応が吉とでるか凶とでるか変わってくるので、一概にはいえませんね。擦過傷については諦めるとして、関節周りのトラブル対策としては、日頃から体の柔軟性を高めておくことはプラスとなるでしょう。あと、柔道の受身の練習などもいざという時に役立つかもしれません。

(編集 佐藤喬・写真 米山一輝)

回答者 栗村修(くりむら おさむ)

 一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役、ツアー・オブ・ジャパン 大会副ディレクター、スポーツ専門TV局 J SPORTS サイクルロードレース解説者。選手時代はポーランドのチームと契約するなど国内外で活躍。引退後はTV解説者として、ユニークな語り口でサイクルロードレースの魅力を多くの人に伝え続けている。著書に『栗村修のかなり本気のロードバイクトレーニング』『栗村修の100倍楽しむ! サイクルロードレース観戦術』(いずれも洋泉社)など。

※栗村さんにあなたの自転車に関する悩みを相談してみませんか?
ml.sd-cyclist-info@sankei.co.jpまでお寄せください。

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

栗村修の“輪”生相談

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載