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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<121>デゲンコルプ、サガン、ブアニら強力スプリンターがブエルタ・ア・エスパーニャ参戦表明

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ブエルタ・ア・エスパーニャ2015のルートマップ ©Unipublicブエルタ・ア・エスパーニャ2015のルートマップ ©Unipublic

 シーズン最後のグランツール、ブエルタ・ア・エスパーニャの開幕が間近に迫ってきました。8月22日の開幕に向け、各チームが9人の出場選手を続々と発表しています。前回は、クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)、ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)ら総合系ライダーの参戦が数多く決まっていることをお届けしましたが、そのほかにもスプリンターを中心にビッグネームたちがスペイン入りを表明。開幕直前の最新情報をまとめていきます。

熾烈を極めるポイント賞争い

 早くからブエルタへの意思を示していた選手たちについては、前回お届けした通り(マルセル・キッテルは欠場)。この1週間で各チームから出場選手の発表があり、モビスター チームからはナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)ら、チーム スカイからはフルーム、ゲラント・トーマス(ともにイギリス)らのメンバー入りが正式にアナウンスされた。

 そして、さらなるビッグネームがスペインに集結することも明らかになった。なかでも、ポイント賞のグリーンジャージであるプントス争いの主役となるであろう、スプリンター陣が豪華だ。

ステージ通算9勝を挙げているジョン・デゲンコルプ。ポイント賞2連覇がかかる(ブエルタ・ア・エスパーニャ2014)<写真・砂田弓弦>ステージ通算9勝を挙げているジョン・デゲンコルプ。ポイント賞2連覇がかかる(ブエルタ・ア・エスパーニャ2014)<写真・砂田弓弦>

 チーム ジャイアント・アルペシンは、ジョン・デゲンコルプ(ドイツ)がエーススプリンターとして臨む。昨年の大会では念願のポイント賞を獲得し、今回はプントス2連覇を目指す。ブエルタとは相性抜群で、ステージ通算9勝を挙げている。10勝目の大台到達はもとより、さらなる勝利数の上積みにも期待がかかる。チームでは、ツール・ド・フランスで新人賞のマイヨブランを着ながら、第3ステージの落車で大会を去ったトム・ドゥムラン(オランダ)が復帰。スプリントトレインの牽引が計算できる強力なアシストが戻ってきたことは大きい。もう一人のエーススプリンターであるキッテルはコンディション調整が間に合わず欠場が決まったが、チーム力低下の心配は無用だ。

ツール・ド・ラン第1ステージで勝利したナセル・ブアニ Photo : James Startt / Agence Zoomツール・ド・ラン第1ステージで勝利したナセル・ブアニ Photo : James Startt / Agence Zoom

 ワイルドカード(主催者推薦)で出場のプロコンチネンタルチーム、コフィディス ソリュシオンクレディからは、エーススプリンターのナセル・ブアニ(フランス)がメンバー入り。ステージ優勝が期待されたツールでは、第5ステージでの落車でリタイアする失意を味わった。しかし、7月下旬に復帰すると、同31日のシクリスト・ド・ゲッチョ(スペイン、UCI1.1)で優勝。8月11~15日のツール・ド・ラン(フランス、UCI2.1)でもステージ2勝を挙げ、完全復調をアピール。スピードのある選手をアシストに据え、昨年の2勝に次ぐ勝ち星に意欲を燃やす。

ツール・ド・フランスでは4年連続でポイント賞を獲得しているペテル・サガン(ツール・ド・フランス2015)<写真・砂田弓弦>ツール・ド・フランスでは4年連続でポイント賞を獲得しているペテル・サガン(ツール・ド・フランス2015)<写真・砂田弓弦>

 そして、このほどペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)もブエルタ出場の意向を表明。チームによる9人のメンバー発表に先立って自身の出場を明らかにした格好で、今回はあくまでも9月27日のUCI世界自転車選手権ロードレースの調整であることを強調。ブエルタ閉幕から世界選手権までの2週間のスパンが自身にとって理想的だとし、ツールからの復帰でレース勘を取り戻すにもベストなスケジュールだと見ているようだ。ステージ優勝や賞レースへの色気は今のところ見せていないが、2010年のプロデビュー以降、ともにキャリアを歩むアシストのマチェイ・ボドナル(ポーランド)も参加が濃厚であることから、チャンスがあればステージ獲りに加わることだろう。

 彼らはいずれもプロトンが誇る「上れるスプリンター」の代表格。山岳が急峻なブエルタでは、平坦ステージでも難易度の高いカテゴリー山岳が待ち受けるなど、スピード自慢のスプリンターにも容赦なく難題を突き付ける。そんな中でもしっかりと力を発揮してきた3選手へのポイント賞争いの期待は高まる。

 ちなみに、ポイント賞はステージ1~15位の選手に25点から1点までが付与される。中間スプリントポイントは、1位4点、2位2点、3位1点。ステージ難易度を問わず同ポイントが設定されるため、例年スプリンターと総合上位陣とが大会終盤まで熾烈なプントス争いを演じるが、今回もその構図が見られるだろう。

ブエルタ第1~4ステージ プレビュー

■第1ステージ プエルト・バヌス~マルベーリャ 7.4km(チームTT)

チームタイムトライアル の第1ステージ©Unipublicチームタイムトライアルの第1ステージ ©Unipublic

 ブエルタの開幕は、2年連続でスペイン南部・アンダルシア州で迎える。世界中のVIPたち所有の船が停泊するプエルト・バヌスのヨットハーバーをスタートし、マルベーリャまで東へほぼ一直線に走る。大会主催者による優勝予想タイムは7分。これが本当だと、平均時速63.4kmになるが果たして…。

■第2ステージ アラウリン・デ・ラ・トレ~カミニート・デル・レイ 158.7km

第2ステージで早くも上りゴールが登場 ©Unipublic第2ステージで早くも上りゴールが登場 ©Unipublic

 “山岳のブエルタ”を象徴すべく、大会2日目にして頂上フィニッシュが登場する。ラスト5kmで、約300mを一気に上る。ここで好調な選手が誰なのかをある程度測ることができそうだ。そして、ステージ優勝者は総合、ポイント、山岳、複合すべてのジャージに袖を通す可能性が高い。

■第3ステージ ミハス~マラガ 158.4km

平坦ながら1級山岳が登場する第3ステージ ©Unipublic平坦ながら1級山岳が登場する第3ステージ ©Unipublic

 今大会最初の平坦ステージだが、序盤から中盤にかけて3級と1級の山岳が待ち受け、スプリンターの脚を削る。特に1級プエルト・デル・レオンは登坂距離16km、最大勾配15%と難易度高め。また、残り約10kmでも短い上りがあり、スプリンターチームはプロトンを制御できるかが試される。

■第4ステージ エステポナ~ベヘール・デ・ラ・フロンテーラ 209.6km

上れるスプリンターやパンチャー向けの第4ステージ ©Unipublic上れるスプリンターやパンチャー向けの第4ステージ ©Unipublic

 スタートから終盤まではおおむねフラットだが、ラスト4kmから始まる上りでステージ優勝争いのメンバーが絞り込まれるはずだ。約200mを2kmかけて駆け上り、フィニッシュは距離にして約400mの上りスプリント。スピードだけでなくパワーも必要とされ、上れるスプリンターのほかパンチャーにも有利なレイアウトだ。

今週の爆走ライダー-レイン・タラマエ(エストニア、アスタナ プロチーム)

「爆走ライダー」とは…

1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

 8月に入り絶好調だ。8月4~8日のブエルタ・ア・ブルゴス(スペイン、UCI2.HC)、8月13~16日のアークティックレース・オブ・ノルウェー(UCI2.HC)と、チームが終始にわたって主導権を握ったレースでエースを務め、総合優勝。いずれも最終ステージでの快走でリーダージャージを手繰り寄せた。

アークティックレース・オブ・ノルウェー最終日に逆転で総合優勝を決めたレイン・タラマエ。1週間程度のステージレースで実力を発揮する © ARN/G.Demouveauxアークティックレース・オブ・ノルウェー最終日に逆転で総合優勝を決めたレイン・タラマエ。1週間程度のステージレースで実力を発揮する © ARN/G.Demouveaux

 旧ソ連、バルト三国の1つであるエストニアは、小国ながらもヤン・キルシプー、タネル・カンゲルト(アスタナ プロチーム)、ヘルト・ユエアール(コフィディス ソリュシオンクレディ)ら実力者を代々輩出してきた。とりわけ、タラマエは「将来のグランツール王者候補」として大きな期待を背負い、2011年のツール総合11位、同年のブエルタではステージ1勝、さらに1週間のステージレースでは表彰台に上がるなど、順調にキャリアを積んでいた。

 そんな状況が一変したのは2012年。伝染性単核球症に侵され、本来のパフォーマンスが発揮できなくなってしまった。長い時間をかけて復調を果たしたが、新たな環境を求めて今シーズン、現チームへと移籍した。

 しかし、心機一転飛び込んだアスタナでの活動も、思い通りには運んでいないことを吐露する。追い打ちをかけるように、アシストとして期待されたツールでは第11ステージでリタイア。チームとの契約延長の道が絶たれた瞬間でもあった。

 すでに他チームからのオファーも多く届き、移籍先は2チームに絞ったと述べる。ここ数レースの活躍でアスタナの首脳陣が契約延長を再検討しているとの見方についても、「移籍を決断しているので、あとは行き先を決めるだけ」とキッパリ。

 長年嘱望されてきたグランツールでの総合狙いについては「正直私には難しいと思う」と消極的だが、ビッグレースでのアシストや1週間程度のステージレースでの成績を狙っていきたいとしている。

 自国では、自転車を寄付するチャリティ活動にも取り組む。そんな子供たちの憧れの的である彼は、結果を残すことで存在価値を高められると自覚している。ベストな環境を見つけ、自らに合ったレースプログラムを手に入れることが一番の近道であると、彼自身が一番理解しているはずだ。

文 福光俊介

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)

自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて十数年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。2011年、ツール・ド・フランス観戦へ実際に赴いた際の興奮が忘れられず、自身もロードバイク乗りになる。自転車情報のFacebookページ「suke’s cycling world」も充実。本業は「ワイヤーママ徳島版」編集長。

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