2012年MTB世界選手権大会XCO オーストリア/サールフェルデン今季絶好調のシューターが世界王者を獲得 山本幸平は29位完走、片山梨絵36位

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 オーストリアで開催されている2012年MTB世界選手権は、8月31日~9月2日に行われたダウンヒル/4Xに続いて、9月6日~9日は会場をサールフェルデンに移し、XCO(クロスカントリーオリンピック)、XCE(クロスカントリーエリミネーター)、トライアルの各競技が行われた。XCEとトライアルはXCOとは少し離れた街中の特設会場で開催されたため、取材スケジュールの都合から、今回はXCOレースの模様を写真と共にレポートする。

男子エリートのレース、スタートループを終えて川越えセクションへ進む山本幸平(ゼッケン31番)男子エリートのレース、スタートループを終えて川越えセクションへ進む山本幸平(ゼッケン31番)

 XCOに先立って6日にクロスカントリーチームリレーが行われた。各国の出場メンバーの中から男子エリート、女子エリート、U23、ジュニアの各カテゴリーから1名を選出し、1人がコース1周を担当して4周回で争われる。4人が出走する順番は各チームの作戦で自由に決める事ができるため、各周回ごとに大きく順位が前後するケースがあり、この種目の醍醐味となっている。

XCOチームリレー、日本チームの第1走者を務めたのは山本幸平。日本チームのゼッケンは16、末尾のAは第一走者であることを示す。1周で次の走者に繋ぐため各選手がスタートから全開でダッシュするXCOチームリレー、日本チームの第1走者を務めたのは山本幸平。日本チームのゼッケンは16、末尾のAは第一走者であることを示す。1周で次の走者に繋ぐため各選手がスタートから全開でダッシュする
日本の第2走者はU23の中原義貴。夕方17時から開催されたレースは西日を受けて独特の雰囲気となった日本の第2走者はU23の中原義貴。夕方17時から開催されたレースは西日を受けて独特の雰囲気となった

 レースはフランスがトップを快走し第4走者に繋ぐ展開。これを追うイタリアが最終周回でフランスに追いつき、勝負は最後のトラックまでもつれ込んだ。最後はゴールスプリント勝負となり、1秒差でイタリアの逆転勝利となった。日本からは山本幸平、片山梨絵のロンドンオリンピック代表コンビにU23の中原義貴、ジュニアから前田公平の4人で挑み、15位でレースを終えた。

第3走者には片山梨絵が登場。リラックスした表情で3本ローラーを回していた第3走者には片山梨絵が登場。リラックスした表情で3本ローラーを回していた
チームリレーのバトンは肩や手へのボディタッチで引き継がれる。国別に決められた場所で待機し、前走者をが戻ってくるのを待つチームリレーのバトンは肩や手へのボディタッチで引き継がれる。国別に決められた場所で待機し、前走者をが戻ってくるのを待つ
中原からのタッチを受けてスタートを切る片山梨絵中原からのタッチを受けてスタートを切る片山梨絵
第4走者はジュニアの前田公平。初めての海外、初めての大舞台で若干緊張しつつ、アップしていた第4走者はジュニアの前田公平。初めての海外、初めての大舞台で若干緊張しつつ、アップしていた
日本チームのアンカーとしてフィニッシュラインを通過する前田公平。胸の部分が大きく汚れているが、コース上部のドロップオフで転倒したそうだ。日本チームは15位でレースを終えた日本チームのアンカーとしてフィニッシュラインを通過する前田公平。胸の部分が大きく汚れているが、コース上部のドロップオフで転倒したそうだ。日本チームは15位でレースを終えた
チームリレーに参加した選手達と日本のスタッフ。左からフランスで沢田らのコーチを務めるオリビエ、山本幸平選手、中原義貴選手、スタッフ・マッサーの田崎、片山梨絵選手、メカニックを勤めた阿部、前田公平選手、日本チーム監督のビクターチームリレーに参加した選手達と日本のスタッフ。左からフランスで沢田らのコーチを務めるオリビエ、山本幸平選手、中原義貴選手、スタッフ・マッサーの田崎、片山梨絵選手、メカニックを勤めた阿部、前田公平選手、日本チーム監督のビクター

 7日はU23カテゴリーによるレースが行われた。コースは1周4.5キロの長さで観戦しやすく、とてもコンパクトにまとまっていた。集団は前半からハイペースでレースを進めていく。日本からは中原義貴が参加。中原はワールドカップフランス・ヴァルディゼール大会に続いて、今回で2回目の海外レースだ。「とにかくスプリントしているんです。スタートからずっとスプリントのイメージで、足を休めるところはまったく無いし、あらゆる場面で踏ん張れないと、あっという間に(先頭集団から)おいていかれる感じです」とレースの印象を語った。

チームリレーの翌日に開催されたU23のレースを走る中原義貴チームリレーの翌日に開催されたU23のレースを走る中原義貴
サールフェルデンでの週末は快晴に恵まれた。中原はこの後、ラップアウトされ−3Lapの82位という結果ではあったが、今後の課題は見えてきたようだサールフェルデンでの週末は快晴に恵まれた。中原はこの後、ラップアウトされ−3Lapの82位という結果ではあったが、今後の課題は見えてきたようだ
レースはトライアルバイクによって先導される。ゼッケンプレートの数字が残りの周回数を示す。コースサイドには様々な応援団がいたが、今回一際目を引いたのは赤い全身タイツに白いハチマキのスイス応援軍団。先導車にも容赦ないパフォーマンスを向けていたレースはトライアルバイクによって先導される。ゼッケンプレートの数字が残りの周回数を示す。コースサイドには様々な応援団がいたが、今回一際目を引いたのは赤い全身タイツに白いハチマキのスイス応援軍団。先導車にも容赦ないパフォーマンスを向けていた

 8日は朝からジュニア、昼前から女子エリート、午後に男子エリートというスケジュール。天候は晴れて絶好のレース日和となった。この大会ではレース観戦は有料となっており、1Dayチケットが10ユーロ(約1000円)、2Dayチケットが15ユーロ(約1500円)となっていたが、多くの観客が訪れ、コースサイドは隙間が無いほどの盛り上がりとなった。

 男子エリートクラスのレースもハイペースで進行。序盤から好位置をキープしたニノ・シューター(スイス)が途中トップに立つと、そのままゴールまで快走して優勝した。ルーカスとマティアスのフルキガー兄弟がじわじわと順位を上げて2位、3位を取り、スイス勢が表彰台を独占した。

表彰台をスイス勢が独占した。偶然か? それとも予定通りか? 3人が揃ってこのポーズを取った時、圧倒的なスイスの強さを見せつけられた気がした表彰台をスイス勢が独占した。偶然か? それとも予定通りか? 3人が揃ってこのポーズを取った時、圧倒的なスイスの強さを見せつけられた気がした

 世界王者となったニノ・シューターは今季650Bのホイールセットで旋風を巻き起こした選手。ロンドンオリンピックで銀メダルを獲得しており、ワールドカップでも絶好調で2度目の総合優勝を果たしている。世界選手権では2008年のU23、2009年エリートクラスに続く、3度目の優勝となった。

優勝したニノ・シューター。レース中盤まではフォンタナと激しい先頭争いを演じた。右には観客が、左にはフォトグラファーがひしめくシングルトラックの上りは、あまりの歓声で、会話が成り立たない程だった優勝したニノ・シューター。レース中盤まではフォンタナと激しい先頭争いを演じた。右には観客が、左にはフォトグラファーがひしめくシングルトラックの上りは、あまりの歓声で、会話が成り立たない程だった
午前中は日が当たらず、完全に山の影となるシングルトラック。しかし午後になると日が届くようになり観客のテンションも上昇。もっとも多くの観客がレースを見守ったのはこのシングルトラックだろう。上りでダンシングする山本幸平の左側に観客がいないのは、このゾーンがフォトグラファー専用に区切られたゾーンだったからだ午前中は日が当たらず、完全に山の影となるシングルトラック。しかし午後になると日が届くようになり観客のテンションも上昇。もっとも多くの観客がレースを見守ったのはこのシングルトラックだろう。上りでダンシングする山本幸平の左側に観客がいないのは、このゾーンがフォトグラファー専用に区切られたゾーンだったからだ

 2位、3位となったフルキガー兄弟はロンドンオリンピックでのスイス代表に選出されておらず、スイス勢の層の厚さを見せつける結果となった(クリストフ・サウザーが優勝した2008年の世界選でもスイスが表彰台を独占した事がある)。日本の山本幸平は29位でフィニッシュ、充実した表情でゴールした。

木漏れ日が射すシングルトラックを走る山本幸平木漏れ日が射すシングルトラックを走る山本幸平
最終ラップ、岩ドロップを豪快にクリアしていく山本幸平最終ラップ、岩ドロップを豪快にクリアしていく山本幸平
フィニッシュラインを通過する山本幸平。いつもはかなり厳しい表情でレースを終える事が多い山本だが、この晴れやかな表情でフィニッシュしたフィニッシュラインを通過する山本幸平。いつもはかなり厳しい表情でレースを終える事が多い山本だが、この晴れやかな表情でフィニッシュした
表彰式の最後に世界中から集まったカメラマンへのサービスをするエリート上位3人表彰式の最後に世界中から集まったカメラマンへのサービスをするエリート上位3人

 女子はジュリー・ブレセットがロンドンオリンピックに続いての優勝、日本の片山梨絵は-1Lapの36位だった。ギリギリで最終ラップに入る事ができなかった事について「さぁ、最終ラップだ!と思ったら行く手を遮られて…」と残念そうに話してくれたが、ロンドンから良い感じのレースができているそうで、表情は明るかった。

11時から開始された女子エリートの頃には気温も上がり、暑いぐらいの天気になった。山中のシングルトラックを終え、前方のライダーを追う片山梨絵11時から開始された女子エリートの頃には気温も上がり、暑いぐらいの天気になった。山中のシングルトラックを終え、前方のライダーを追う片山梨絵
女子エリートのスタートループを走る片山梨絵。女子もまた、スタートからハイスピードな展開となった女子エリートのスタートループを走る片山梨絵。女子もまた、スタートからハイスピードな展開となった
流れのある川を横断するセクション。直後のきつい斜面ではスリップダウンするライダーが相次いだ。勢い良く川の中を進む片山梨絵流れのある川を横断するセクション。直後のきつい斜面ではスリップダウンするライダーが相次いだ。勢い良く川の中を進む片山梨絵
女子エリートを制したジュリー・ブレセット。昨年のU23世界チャンプである彼女は、今年からエリートで走る事になったが、初年度にしてビッグタイトルを手に入れた女子エリートを制したジュリー・ブレセット。昨年のU23世界チャンプである彼女は、今年からエリートで走る事になったが、初年度にしてビッグタイトルを手に入れた
女子エリート表彰式。左から2位のガンリタ・ダール(ノルウェー)、優勝のジュリー・ブレセット(フランス)、3位のジョージア・グールド(アメリカ)女子エリート表彰式。左から2位のガンリタ・ダール(ノルウェー)、優勝のジュリー・ブレセット(フランス)、3位のジョージア・グールド(アメリカ)

 今回ジュニアカテゴリーには、フランスを拠点に活動する全日本ジュニアチャンプの沢田時と、自身初めての海外レースとなる前田公平の2名が参加した。オリンピックが終わった事もあって、次世代の若手選手を強化するとも取れる人選となった。レースは開始からやはりハイペースの展開。「スタートする前から、もう前に、前にって位置取りが始まるんですよね。とにかくずっとスプリントしている感じで、後ろに落ちていくのは簡単だけど、前を追って(順位を)上げていくのはすごく難しい」(前田)と初めての大舞台について語ってくれた。

ルーツ(木の根)が這うシングルの上りを行く沢田時。夜の冷え込みによって朝は露が残り、トラクションコントロールに苦しむ選手が多く見られたルーツ(木の根)が這うシングルの上りを行く沢田時。夜の冷え込みによって朝は露が残り、トラクションコントロールに苦しむ選手が多く見られた
8日は朝からジュニアカテゴリーのレースが開催された。スタートループを走る先頭集団8日は朝からジュニアカテゴリーのレースが開催された。スタートループを走る先頭集団
朝の光を浴びて走る沢田時朝の光を浴びて走る沢田時
日本からは2名のジュニア選手が出場。全日本選手権ジュニアカテゴリーで2位だった前田公平もメンバー入りした日本からは2名のジュニア選手が出場。全日本選手権ジュニアカテゴリーで2位だった前田公平もメンバー入りした
シングルトラック出口に用意されたロックドロップ。迂回ルートも用意されたが、ジュニアの選手でもほとんどの選手がこのドロップに挑戦していた。ワールドクラスのコースでは、これらのセクションに対応するスキルは必須だ。ライダーは前田公平シングルトラック出口に用意されたロックドロップ。迂回ルートも用意されたが、ジュニアの選手でもほとんどの選手がこのドロップに挑戦していた。ワールドクラスのコースでは、これらのセクションに対応するスキルは必須だ。ライダーは前田公平

 レースはアントン・クーパーが優勝、日本勢は沢田が27位、前田は-1Lapの56位だった。

ジュニアカテゴリーで優勝したのはアントン・クーパー。スタートから常に前に出てレースをコントロールしたジュニアカテゴリーで優勝したのはアントン・クーパー。スタートから常に前に出てレースをコントロールした
今回のコースでは下りのスキルも重要なポイントになった。気を抜けるようなセクションは皆無で、常に全開走行を強いられるようなコースだった。ライダーは沢田時今回のコースでは下りのスキルも重要なポイントになった。気を抜けるようなセクションは皆無で、常に全開走行を強いられるようなコースだった。ライダーは沢田時
多くの観客から声援を受けながら走る前田公平。初めての海外レースで多くの刺激を受けた事だろう多くの観客から声援を受けながら走る前田公平。初めての海外レースで多くの刺激を受けた事だろう

 今回初めて世界選手権に出場した中原と前田からは「スプリント」という言葉が揃って聞かれた。一見すると長距離持久戦に見えるクロスカントリー競技だが、スプリント力を身につけていかないと勝負にならないという。世界一の大舞台で新たな課題を見つけた若手選手達の今後に期待したい。

 ここ数年は2010年のカナダ大会を除き、ヨーロッパでの開催が続いていたMTB世界選手権大会だが、来年は南アフリカ、ピーターマリッツバーグでの開催がアナウンスされている

XCO男子エリート結果(1 StartLoop + 8 Laps = 38.3km)
1 ニノ・シューター(スイス) 1:40:55
2 ルーカス・フルキガー(スイス) +29
3 マティアス・フルキガー(スイス) +51
29 山本幸平(日本) +7:36

XCO女子エリート結果(1 StartLoop + 6 Laps = 29.3km)
1 ジュリー・ブレセット(フランス) 1:32:25
2 ガンリタ・ダール(ノルウェー) +1:47
3 ジョージア・グールド(アメリカ) +3:12
36 片山梨絵(日本) -1LAP

XCO男子U23結果(1 StartLoop + 6 Laps = 29.3km)
1 オンドジェイ・ツィンク(チェコ) 1:19:40
2 ミヒエル・ファン・デル・ヘイデン(オランダ) +14
3 ダニエーレ・ブライドット(イタリア) +48
82 中原義貴(日本) -3LAP

XCO男子ジュニア結果(1 StartLoop + 5 Laps = 24.8km)
1 アントン・クーパー(ニュージーランド) 1:06:53
2 ヴィクトル・コレツキー(フランス) +2:17
3 ティトゥアン・カロド(フランス) +2:34
27 沢田時(日本) +7:44
56 前田公平(日本) -1LAP

XCOチームリレー結果(4 Laps = 18.4km)
1 イタリア 51:54
2 フランス +1
3 ドイツ +1:23
15 日本 +7:14

(文・写真 中川裕之)

中川裕之中川裕之(なかがわ ひろゆき)
’06年、大きな病気を乗り越える課程で写真を撮り始める。
’11年からは活動の場を海外に広げ、山の中を走る自転車レースを追いかけている。
MTBのコアな部分にフォーカスした雑誌SLmの発行人。
http://www.slmedia.jp/slm-mtbphotojournal/

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