熊谷賢輔の「世界をつなぐ道」<1>サイクリストに優しい街…でも郊外の道はけっこうガタガタ 米アラスカ州アンカレッジ

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 今年6月に日本を発ち、自転車で世界一周にチャレンジしている熊谷賢輔さんによる現地レポートをCyclistで連載します。熊谷さんは3年計画で旅行をスタート。まず最初の1年半をかけて、米アラスカ州アンカレッジからアメリカ大陸を縦断する予定で、南米最南端の都市、アルゼンチンのウシュアイアを目指します。連載では、訪れた各地の自転車事情や、その土地でのエピソードなどを綴ります。

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アンカレッジはアラスカ州最大の都市。市内は道路も綺麗に整備されている。右端がサイクリングロードアンカレッジはアラスカ州最大の都市。市内は道路も綺麗に整備されている。右端がサイクリングロード

イメージと違った“夏のアラスカ”

 僕は自転車世界一周のスタート地点、アラスカ州・アンカレッジにやって来ました。

 アラスカはアメリカ合衆国の州の一つで、カナダの横にある出っ張ったところ。皆さんはアラスカと聞いて何を思い浮かべますか? どこまでも広がる雪原、閉ざされた氷の世界、太陽が一日中沈まない白夜…そんなイメージがあるかも知れませんが、いまは夏真っ盛り。アラスカの夏は湿気が少なく、北海道に似てとても過ごしやすい気候です。

 アンカレッジを訪れて驚いたことは、晴れた日は陽射しが強く、とても暑いことです。今までのアラスカのイメージが、どこかに飛んでいきました。そしてアンカレッジはサイクリストに優しい町です。市の中心部では、日本よりもスポーツバイク本体やパーツを入手しやすく、サイクリストにとって快適に過ごせる土地なのです。

すぐにガタガタになる道

手書きした風の自転車ピクトグラム手書きした風の自転車ピクトグラム

 アメリカはクルマ社会が発達し、どこへ行くにもクルマを利用します。大きなスーパーにクルマで乗りつけ、食料や日用品をカート一杯にまとめ買いする姿は、日常的な光景です。それでもサイクリング文化はあります。サイクリストはマウンテンバイク(MTB)に乗っている人が大半を占めています。

 アンカレッジ市内は、サイクリングロードが整備されているので、ロードバイクの細いタイヤでもスムーズに走ることができます。しかし、市街地から南へ15kmほど下ると、整備が行き届いていない場所も出てきます。そこを快適に走るにはMTBが必要になります。

 僕が乗っているのは自転車は、26×1.5インチタイヤのツーリストバイクなので、こういった場所を通る時は、ハンドルに強い振動が伝わってきます。ドリンクホルダーに入れていた炭酸ジュースは、ヒドいことになってしまいました。サイクリングロードが整備されているとはいえ、市街地でもMTBが主流である理由を実感しました。

細いタイヤはもちろん、ちょっと太いタイヤでも厳しい段差に細いタイヤはもちろん、ちょっと太いタイヤでも厳しい段差に
郊外に出ると荒れた部分が多くなってくる郊外に出ると荒れた部分が多くなってくる
道路わきのサイクリングロード道路わきのサイクリングロード

 市街地には、車道に自転車専用レーンが設けられています。他にも数十本のサイクリングロードが用意されているので、地元の人はそこを走ってエクササイズをしています。なかでも海沿いのサイクリングコースが人気。レースを想定しているローディから、観光で訪れたサイクリスト、地元の家族連れなどが、僕の横を駆け抜けていきました。

人気のレンタサイクル

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 観光地としても有名なアンカレッジには、アメリカ国内やカナダから多くの観光客が訪れます。ダウンタウン近辺は、ホテルやモーテルを利用する人々が多く、アンカレッジで一番活気のある場所です。アンカレッジの街並みを自転車で駆け抜けたい!という観光客の要望に応えるように、ダウンタウンには3軒のレンタサイクル店がありました。

 僕が訪ねた店の名は、そのまま「ダウンタウンバイシクルレンタル」。中心街にあるので、お店の前を多くの観光客が通り過ぎ、店内にもお客さんがひっきりなしに訪れます。

スタッフも多く、長く待たされることはないスタッフも多く、長く待たされることはない
リアにバッグを装備したキャノンデールのクロスバイクリアにバッグを装備したキャノンデールのクロスバイク

 外に止めてあったのは、キャノンデールのクロスバイク。僕が市街地を走っている時にも見かけた青色の自転車です。後ろにバッグが付いているので、余計な荷物を持つ必要がありません。全体的に置いてある車種は、ロードバイクよりもMTBの方が多かったです。先述した通り、サイクリングロードが整備されているとはいえ、まだまだ悪路が多いからです。

 店内に入ると、ご当地サイクルウェアがお出迎え。自転車やヘルメットはレンタルがあり、ウェアやパーツ・アクセサリー関連のアイテムも販売されています。日本では見ない色使いが新鮮です。タンデム自転車もレンタサイクルの一つ。僕がサイクリングコースを走っている時にも、夫婦やカップルが乗っている姿を何度か見かけました。

色とりどりのウェアが販売されている色とりどりのウェアが販売されている
2人乗りのサイクリングが楽しめるタンデムバイク2人乗りのサイクリングが楽しめるタンデムバイク
サイクルウェアを真剣に見つめるお客さん。何度も試着を繰り返していたサイクルウェアを真剣に見つめるお客さん。何度も試着を繰り返していた
ヘルメットも多数用意ヘルメットも多数用意
MTBのレンタサイクルMTBのレンタサイクル

 ヘルメットは多数用意されており、レンタサイクルを利用する人には必ず着用させています。アンカレッジを自転車で走っていても、市民の着用率は高かったです。アメリカが、クルマ社会だからこそかもしれません。

ゆったりとしたサイクルショップ

チェーンリアクションサイクル。某有名サイトとは無関係だそうチェーンリアクションサイクル。某有名サイトとは無関係だそう

 アンカレッジには狭い市街に、サイクルショッップとレンタサイクルショップが合わせて20軒以上もあり、サイクリング文化が市民に浸透していることが理解できます。今回は、市街地から5kmほど南下したところにある「チェーンリアクションサイクル」に行ってみました。有名な通信販売サイトとは無関係だそうです。

 さっそく中に入って見ると、サイクリング関連の商品がズラリ。パーツは少なめでしたが、ボントレガーで統一されていました。タイヤはMTBの太めのタイプが圧倒的多数を占め、僕のバイクのサイズ、26×1.5インチは数本しかありませんでした。今後の旅が少し心配になった瞬間でした。

MTBが中央に並ぶ店内MTBが中央に並ぶ店内
パーツはボントレガーが並ぶパーツはボントレガーが並ぶ
ドロップハンドルはロードだけでなくシクロクロスバイクもドロップハンドルはロードだけでなくシクロクロスバイクも
スコットの前後サスMTBスコットの前後サスMTB
余裕のある作りの店内余裕のある作りの店内
工具はパークツールを使用。工具箱でなく定位置管理工具はパークツールを使用。工具箱でなく定位置管理

 ロードバイクは「FOCUS」と「SCOTT」を中心に展開。でも6:4の割合でMTBが多かったです。MTBだけでなくファットバイクも一つのコーナーとして展開されており、スタッフによると売れ筋の一つとのこと。全体的にスペースに余裕を持った売り場作りで、お客さん同士がぶつかることなく、快適に商品を見ることができました。

 お店の一番奥のメンテナンススペースでは、椅子に座りながら話しかけるお客さんと、メンテナンススタッフの方が、とても楽しそうにやり取りをする姿が印象的でした。

店の一番奥のメンテナンススペース店の一番奥のメンテナンススペース
熊谷 賢輔(くまがい・けんすけ)熊谷 賢輔(くまがい・けんすけ)

1984年、横浜生まれ。法政大学文学部英文学科を卒業後、東京3年+札幌3年間=6年間の商社勤務を経て、「自転車で世界一周」を成し遂げるために退社。世界へ行く前に、まずは日本全国にいる仲間達に会うべく「自転車日本一周」をやり遂げる。現在はフリーライターの仕事をする傍ら、3年をかけて自転車世界一周中。
オフィシャルサイト「るてん」 http://ru-te-n.com/

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