工具はともだち<76>使いっぱなしは故障のもと 工具を正しくメンテナンス&保管して安全に

  • 一覧

 毎日暑い日が続きますが、自転車に乗っている時はくれぐれも水分補給を忘れず、熱中症に気をつけて下さいね。ところで、人間にとって水分は非常に大切ですが、工具にとっては少々厄介な存在です。今回の「工具はともだち」では、工具の選び方の第二弾を紹介する前に、工具の保管などアフターケアについてお話しします。

工具を正しく保管することで、長く安全に使用できる工具を正しく保管することで、長く安全に使用できる

水分やほこりは工具の大敵

 工具は大切な自転車をケアする道具ですが、その工具を日頃からどのように扱っていますか?使った後はほったらかし、という感じの方も多いかもしれません。ですが工具は意外とデリケートで、保管方法を誤ると錆びて使えなくなることがあります。更にモノによっては、買って間もないのにすぐに壊れたり、大きな事故を招いたりと意外な結果をもたらすこともあるのです。

刃物などの工具は、汚れや水、ほこりが付いていると錆びやすい刃物などの工具は、汚れや水、ほこりが付いていると錆びやすい

 まず、最も注意が必要なのは湿気。湿度の高いところで保管をつづけると、ドライバの先端や刃物類など、めっきをしていない工具から錆が発生します。

 ほこりも意外と大敵です。ほこりが付いたまま放置していると錆が発生する原因になります。その他、人の皮脂や温度差による結露も錆を引き起こします。海の近くにお住まいの方は特に注意が必要です。潮風にさらしていると、それはほとんど表面処理の耐食試験をしているようなもの。あっという間に錆が発生してしまいます。

 また、錆ないようにめっきをされている工具にも必ずめっき層が薄い箇所が存在します。そこから錆が発生してしまうと、めっきの内側に錆が浸食してしまうことがあり得ます。

 このように、使用後に放置していると、いざ使おうとした時に錆びて使えないなんて残念なことが発生するわけです。ですから、工具の使用後は汚れをよくふき取り、水分やホコリなどが付着しないように注意をし、めっきがされていない工具はできれば防錆油を塗布するなどのケアをしてください。さらに、結露しないように、温度の変化が少ないところで保管することがベストなんです。

保管方法を間違えると事故につながる可能性も

 この「工具はともだち」で何度も紹介してきたトルクレンチは、保管方法を誤りがちです。特に注意が必要なのがプレセット型と言われるトルクレンチ。

プレセット型のトルクレンチは、トルク値を最低にセットしてから保管プレセット型のトルクレンチは、トルク値を最低にセットしてから保管

 プレセット型のトルクレンチはトルクを設定してから使いますが、保管する時は必ずトルクを最低値に戻して下さい。このトルクレンチは中にバネが仕込まれていて、バネがトルクを調整する大切な役割を果たしています。トルク設定をしたまま長期間トルクレンチを保管していると、この大切なバネにずっと負荷を与えた状態となるため、トルクが狂いやすくなってしまうのです。

 つまり、設定したトルクで締めていたつもりが、全然違うトルクで締めていることになりかねません。誤ったトルクによる締付けは部品の脱落や、最悪の場合は事故にもつながります。こうした事態を避けるためにもプレセット型トルクレンチは必ず最低値に戻して保管していただきたいのです。

デジタル式トルクレンチはケースにしまうのがデジタル式トルクレンチはケースにしまうのが

 その他、デジタル式のトルクレンチは電子部品を使用していますので、高温多湿な場所や、結露してしまう環境は避けましょう。計測機器であるトルクレンチは、普通の工具以上に保管方法には注意が必要です。

 また、トルクレンチは定期的に校正することをおすすめします。特にプレセット型のトルクレンチはトルクの設定がバネに依存していますので定期的な校正が必須です。

アーレンキーは錆に要注意

アーレンキーは錆びないように注意が必要アーレンキーは錆びないように注意が必要

 最後に、自転車に良く使われるアーレンキー(六角)やドライバです。こうした工具もめっきがされていない場合が多いので錆には要注意です。錆びた工具で回そうとするとうまく入らなかったり、なめる原因にもなったりします。また、工具側だけでなく、ボルトやビスにも錆やほこりが詰まりがちです。こちらもなめる原因になりますので、工具同様に注意が必要で、こまめなケアが大切です。

 本当なら“一生もの”で使える工具も保管方法一つですぐにダメになったりします。普段は自転車をメンテナンスするための工具ですが、その工具もやさしくメンテナンスしてもらえるとより長く使っていただけますよ。

重田和麻(しげた・かずま)

KTC(京都機械工具)入社後、同社の最高級ツール「nepros」(ネプロス)の立ち上げに携わった後、販売から企画、商品開発とさまざまな立場で同商品と歩みを共にしてきた。スポーツ自転車は初心者だが、工具についてはプロフェッショナル。これまでの経験を生かして、色々な角度からサイクリストに役立つ工具の情報を提供する。

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

KTC 工具はともだち

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載