フランス南西部ミディ・ピレネー地方を満喫峠の名所「トゥールマレー」を電動アシスト自転車で快走 豊富な山のアクティビティ

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 これまでに幾度となくツール・ド・フランスの舞台となり、名勝負が繰り広げられたピレネーの峠「トゥールマレー」。標高は2115m、今年のツールでも7月15日に行われた第11ステージのコースに採用され、熱戦が展開されたばかりだ。スペインとの国境に広がるピレネー山脈を擁するフランス南西部、ミディ・ピレネー地方を訪れ、電動アシスト自転車によるツールマレー走行をはじめ、さまざまなアクティビティや観光を体験した。

トゥールマレー峠は電動アシスト自転車でGO! ガイドのセリーヌ・リンジェヴァルさん(左)と記者トゥールマレー峠は電動アシスト自転車でGO! ガイドのセリーヌ・リンジェヴァルさん(左)と記者

MTBダウンヒル世界選手権の舞台

ツゥールマレー峠のラスト部分。下から上ってきたサイクリストがぽつりぽつりと現れるツゥールマレー峠のラスト部分。下から上ってきたサイクリストがぽつりぽつりと現れる

 ミディ・ピレネー地方は、冬にはアルペンやクロスカントリーなどのスキーを堪能できるウインター・リゾートとなり、夏場はトレッキング、キャニオニング、ラフティング、カヌーといったあらゆる山のアクティビティを楽しめる。自転車もそのひとつだ。

 特にマウンテンバイク(MTB)は、スキー場を利用したダウンヒルコースに恵まれ、ゴンドラやリフトで上って一気に駆け下りることができるコースがいくつもある。カトリックの巡礼地ルルドの近郊では、今年4月にダウンヒル世界選手権が初開催された。難易度の高いコースは好評で、2016年の会場としてもすでに決定しているという。

 そして山間を縫うように走る舗装路は、プロやアマチュアを問わず、サイクリストたちの格好のトレーニングコースだ。記者が取材に訪れた日、午前中にガイドのセリーヌ・リンジェヴァルさん(Céline Ringeval)と待ち合わせてトゥールマレー方面へクルマで向かうと、1人あるいはグループで峠へ向かうサイクリストに次々と出くわした。

eバイクの“高級車”をレンタル

 今回、記者がレンタルしたのは、電動アシスト自転車。欧州で言う「e(イー)バイク」、それもスポーツタイプだ。ブランドは、各社がしのぎを削るイーバイクの中でも“高級車”とされるブランド「Moustache(ムスタッシュ)」。モデル名は「samedi」。ムスタッシュでは曜日が製品名に用いられており、これは「土曜日」を意味するという。

レンタルしたのは、イーバイク(電動アシスト自転車)ムスタッシュの「samedi 27/9 white」レンタルしたのは、イーバイク(電動アシスト自転車)ムスタッシュの「samedi 27/9 white」
イーバイクを専門にレンタルしている「モンタヴェロ」がサイクリングスタート地点まで自転車を持ってきてくれたイーバイクを専門にレンタルしている「モンタヴェロ」がサイクリングスタート地点まで自転車を持ってきてくれた
アシストレベルのコントロール部分アシストレベルのコントロール部分

 イーバイクを専門にレンタルする「Mont’ à Vélo(モンタヴェロ)」では、半日35ユーロ(およそ4800円)、1日49ユーロ(およそ6700円)で借りることができる。宿泊先のホテルや峠のスタート地点まで貸出・回収に来てくれるサービス込みの価格だ。また家族向けに、赤ちゃん用チェアや小児用サイドトレイラーの貸し出しオプションもある。

 幅広タイヤを履いたムスタッシュは、重量20kg。前後ともにディスクブレーキ仕様で、身長159cmの記者が借りたSサイズは、リア26インチとフロント27インチのホイールが備わっていた。

 アシストレベルは4段階。時速25kmでアシストが自動的にストップする。トゥールマレーでのおすすめモードは、「“スポーツ”か、最高レベルの“ターボ”」だそうだ。

ムスタッシュ「samedi 27/9 white」のフレーム。「samedi 」は土曜日の意ムスタッシュ「samedi 27/9 white」のフレーム。「samedi 」は土曜日の意
サドルにクッション性のあるカバーを取り付けてくれたサドルにクッション性のあるカバーを取り付けてくれた

難関の峠が「楽しい!」

 リンジェヴァルさんと楽しく話しながらサイクリングをスタート。記者だけでなくリンジェヴァルさんも、日頃はロードバイクを愛用しているが、イーバイクのあまりにも簡単な漕ぎ出しに「ワォ!」と2人とも笑いが止まらなかった。

イーバイクではこの絶景を楽しむゆとりがあるのが嬉しいイーバイクではこの絶景を楽しむゆとりがあるのが嬉しい
ツゥールマレー頂上へ向かう旧道は、「ローラン・フィニョンの道」と呼ばれ、クルマは入れないツゥールマレー頂上へ向かう旧道は、「ローラン・フィニョンの道」と呼ばれ、クルマは入れない

 イーバイクで走っていると、黙々と坂に挑むほかのサイクリストに比べ、風景を楽しむゆとりがあるし、停車して写真を撮ることも厭わない。トレーニングコースとして普段からこの道を走っているというリンジェヴァルさんは、「少しだけ体を動かしたい時のために家に1台欲しいわ!」とイーバイクを気に入った様子だ。

 家族を連れてトゥールマレーをサイクリングをしたいというサイクリストにもお勧めできる。いつもは自分だけで走るという男性であれば、例えばパートナーはイーバイクで自分は愛車のロードバイク―という選択もいいかもしれない。ゆとりのあるパートナーに、勇姿を撮影してもらえるチャンスも出てくる。

6月下旬が見ごろのアイリス。山の強い紫外線を受けて鮮やかなカラーとなる6月下旬が見ごろのアイリス。山の強い紫外線を受けて鮮やかなカラーとなる

 さんさんと照る太陽を感じながら走る真夏のサイクリングも気持ちいいが、リンジェヴァルさんは「特に6月末がおすすめ」という。6月末は、「峠の雪は完全に溶けてなくなり、日は長く、観光客もそれほど多くない。山の上にまだ雪が残る景色を楽しめ、気温もサイクリングにちょうどいい」そうだ。また、この時期はアイリスが見ごろ。「山がパープルに染まるのよ。植物や虫は強い日差しから守ろうと色が濃くなる。町のアイリスにこの色は出ないから、とても貴重だわ」

2010年のツール・ド・フランス時には、まだ旧道が使われていた。アンディ・シュレクとアルベルト・コンタドールの白熱した戦いはこの場所で繰り広げられたのだ2010年のツール・ド・フランス時には、まだ旧道が使われていた。アンディ・シュレクとアルベルト・コンタドールの白熱した戦いはこの場所で繰り広げられたのだ
2010年のツール・ド・フランス第17ステージ、トゥールマレー峠でツール史に残る死闘を繰り広げたアンディ・シュレク(右)とアルベルト・コンタドール(砂田弓弦撮影)2010年のツール・ド・フランス第17ステージ、トゥールマレー峠でツール史に残る死闘を繰り広げたアンディ・シュレク(右)とアルベルト・コンタドール(砂田弓弦撮影)
日なたを避けて岩陰に身を寄せ合うヒツジたち。夏の間は放牧されているので、車道走行時には要注意だ日なたを避けて岩陰に身を寄せ合うヒツジたち。夏の間は放牧されているので、車道走行時には要注意だ
この地域の峠にはサイクリスト向けの標識が設置されているこの地域の峠にはサイクリスト向けの標識が設置されている
トゥールマレーのラスト1kmを切った激坂コーナーでサイクリストを撮影するグウェナッレ・カロフさんトゥールマレーのラスト1kmを切った激坂コーナーでサイクリストを撮影するグウェナッレ・カロフさん
トゥールマレー峠の頂上のモニュメント前で記念撮影するサイクリストトゥールマレー峠の頂上のモニュメント前で記念撮影するサイクリスト

「アポロ」計画に協力した天文台は宿泊可

ガヴァルニー渓谷は家族でのハイキングスポットとしても人気ガヴァルニー渓谷は家族でのハイキングスポットとしても人気

 自転車以外のアクティビティとしては、ガヴァルニー渓谷のハイキング、さらに標高2877mの雲上に建つ天文台施設「ピック・ドュ・ミディ」往訪は外せない。ガヴァルニーでは、同名の村ガヴァルニーにクルマを駐車して歩くこと1時間半、岩壁を細く流れ落ちる11本の滝に出会える。この日は残念ながら雲の中に隠れてしまったが、「シルクのスカーフ」と呼ばれる落差400mの滝は、壮観で美しいことだろう。

子供はロバに乗って滝を目指すこともできる子供はロバに乗って滝を目指すこともできる
とても鮮やかなカラーのアザミとても鮮やかなカラーのアザミ

 ピック・ドュ・ミディは、1986年の「アポロ11号」月面着陸の際にNASAに協力し、月面地図の作成に貢献したという歴史を持つ。驚くべきは、レストランやホテルまで備えていることだ。施設へは、2本のロープウェイを乗り継いでアクセスすることができる。

ピック・ドュ・ミディからのピレネーの眺めは壮観だピック・ドュ・ミディからのピレネーの眺めは壮観だ

 ここから下界へ、最大落差1700mのMTBやフリーライドスキーを“楽しめる”のだとか。絶景と満天の星空を望むホテルでの2人1泊449ユーロ(およそ6万円)の価値は、宿泊者のみぞ知る。

望遠鏡には、どこかで観たことがある顔望遠鏡には、どこかで観たことがある顔
郷土料理ガルビュールは、鴨肉と豆、野菜が煮込まれ日本人の口にも合う郷土料理ガルビュールは、鴨肉と豆、野菜が煮込まれ日本人の口にも合う

巡礼地ルルドはアクティビティ拠点にも最適

ランタンに使用したキャンドルは、日本の線香のように一箇所に集めて灯すランタンに使用したキャンドルは、日本の線香のように一箇所に集めて灯す

 ミディ・ピレネーにおけるあらゆるアクティビティへのアクセス拠点として便利なのが、ルルドだ。バジリカ(規模の大きな教会)が3つ寄り沿うように建ち、巡礼者が毎夜、手に手にランタンを持って集い、幻想的な風景を織りなす。一方で教会の周りには主にカトリック系グッズを取り扱う店舗が連なり、夜11時までオープン。アジアのナイトマーケットのような賑やかさを楽しめる。

メッカを一歩出れば、ネオンが輝くショップが連なるメッカを一歩出れば、ネオンが輝くショップが連なる
幻想的なルルドのメッカの風景 © Typograpik 13幻想的なルルドのメッカの風景 © Typograpik 13

 4つ星ホテル「シャペル・エ・パーク」は、窓を開ければ美しい祈りの歌が聞こえてくる絶好のロケーション。サイクリストにとって嬉しい自転車専用のクリーニングスペースやガレージも備わる。ピレネーの町や村で盛んなスパリラクゼーションを、借り切って堪能できるのも魅力だ。ジャグジー風呂と共に、サウナやミストサウナが備わっている。アウトドアで汗をかいた後は、仲間や家族でゆったりと疲れを癒やすことができる。

自転車専用ガレージはもちろん鍵付き室内自転車専用ガレージはもちろん鍵付き室内
プライベートスパはジャグジー風呂、サウナ、ミストサウナなどが備わるプライベートスパはジャグジー風呂、サウナ、ミストサウナなどが備わる

 ルルドへのアクセスは、パリから電車で5時間半。特急列車TGVが毎日数本運行され、乗り換えなしで訪れることができる。

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