ツール・ド・フランス2015 第21ステージグライペルがシャンゼリゼのスプリントを制し4勝目 フルームが2年ぶり2回目の総合優勝

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 ツール・ド・フランス2015の最後を飾る第21ステージは7月26日、セーヴル・グラン・パリ・セーヌ・ウエストからパリ・シャンゼリゼまでの109.5kmで行われ、スプリンターによる勝負を制したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)がステージ優勝。今大会4勝目、通算10勝目を挙げた。雨による路面状況を考慮し総合争いは行われず、前日までの順位がそのまま反映され、クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)が2年ぶり2度目の総合優勝を達成した。

2度目の総合優勝を飾ったクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)2度目の総合優勝を飾ったクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)

 ツールの最終日は、スタートからしばらくはパレード走行となるのが慣例。3週間と長きにわたった戦いを終える選手たちは、互いにその労をねぎらい合いながら、最終目的地のパリを目指す。前日まで総合首位のマイヨジョーヌを守り続け、総合優勝を濃厚としたフルームもこれまでの集中した表情から一転、明るい表情で他選手からの祝福を受けた。

 チーム スカイはフルームの総合優勝に合わせ、通常ではチームカラーのブルーが施されるジャージを、マイヨジョーヌカラーのイエローに変えた特別バージョンを着用。背部には、今回のメンバー9人の名が記され、チーム一丸となって戦った証を残した。なお、レース前に国際自転車競技連合(UCI)に申請し、許可を得たうえでの着用となっている。

 ここ数日は好天続きだったツールだが、最終日は雨模様。時折雨脚が強まる時間帯もあり、路面状況が懸念された。特に、シャンゼリゼ通りの路面は石畳のため、滑りやすくなっている危険性が指摘されていた。そこで、選手を代表してフルームが大会ディレクターのクリスティアン・プリュドム氏と交渉。ステージ成績の有効と、フィニッシュタイムは全選手がトップと同タイムになることが、アクチュアル(正式)スタートと同時に確認された。

最終ステージを走るフルーム最終ステージを走るフルーム

 パリ市街地に近づくにつれてペースアップしていく一行。チーム スカイを先頭に、エトワール凱旋門の横を通過してパリ・シャンゼリゼ通りへと入った。ここからは6.8kmのコースを11周する。

 しばらくは一団となって進んだが、55.5km地点に設けられた中間スプリントポイントの通過を機にレースが本格化。その口火を切ったのはシルヴァン・シャヴァネル(フランス、イアム サイクリング)。これで2年連続でシャンゼリゼでのファーストアタックだ。しかし、これはしばらくして吸収。代わって飛び出したのはネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)、ケネット・ヴァンビルセン(ベルギー、コフィディス ソリュシオンクレディ)、フロリアン・ヴァション(フランス、ブルターニュ・セシェ アンヴィロヌマン)の3選手。その後も、メーン集団から追走を狙ったアタックが見られたが、いずれも勢いに欠き失敗に終わる。

 30秒前後の差を保ちながら逃げ続ける3人。残り12kmでメーン集団から抜け出したローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)が加わった。メーン集団はゴールスプリントに向けてペースアップを開始。逃げる4人との差が一気に縮まってきた。そして、逃げからヴァンビルセンがアタック。そのままラスト1周の鐘を聴いた。

 ヴァンビルセンにデニスが追いつき、最後のひと粘りに賭けたが、ラスト5kmでメーン集団に吸収された。ここからはスプリントに向けた動きだ。ロット・ベリソルやジャイアント・アルペシン、チーム カチューシャなどが代わる代わる主導権の確保を試みる。激しい争いに各チームともスプリントトレインを形成できずにラスト1kmのフラムルージュを通過した。

 コンコルド広場からシャンゼリゼ通りへのカーブを先頭で抜けたのはチーム カチューシャ。アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー)が絶好のポジションだ。さらに、ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)も好位置。一方、グライペルやマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)といったピュアスプリンターは後ろの番手だ。

 クリツォフを先頭に始まった今大会最後のスプリントバトル。その脇がらグングンと伸びてきたのはグライペルだ。さらにブライアン・コカール(フランス、チーム ヨーロッパカー)が迫るが、グライペルが譲らずトップでフィニッシュ。

シャンゼリゼでのゴールスプリントをグライペル(中央)が制したシャンゼリゼでのゴールスプリントをグライペル(中央)が制した

 グライペルにとって、シャンゼリゼでの勝利は初めて。今大会は第2・5・15ステージでも勝利を収めており、さらに勝利数を追加。3週間を通して強さを発揮し、このツールではナンバーワンスプリンターであることを示した。レース後のインタビューでは涙をこらえながら、「スプリント勝負における“首都”ともいえるシャンゼリゼで、キャリア最高の勝利を得られた。支えてくれた家族やトレーナー、そしてロット・ソウダルの仲間に感謝している」と述べた。また、第6ステージで落車し、負傷のため大会を去ったグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド)がこのステージでチームカーに乗車し、選手たちを励ましていたことを明かし、開幕時のメンバーがパリにそろったことを喜んだ。

 そして、栄えあるマイヨジョーヌはフルームの手に。最後はメーン集団から離れ、メンバー全員で肩を組みながらフィニッシュへと向かった。ツール制覇は2013年以来の2回目。今大会最初の頂上フィニッシュとなった第10ステージで圧勝するなど、2週目までにライバルとのタイム差を確保。最終週はライバルたちの攻撃に苦しむ場面もあったが、アシストとともに難しい局面をしのぎ切り王座奪還を果たした。勝利にあたり、「歴史あるマイヨジョーヌを着ることができ、毎日が誇りだった。開幕後さまざまなことが起こったが、(シャンゼリゼの)ポディウムからの景色をイメージし続け、それが叶ってようやく楽になれた」と安堵のコメントを残した。

 総合2位にはナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア)、3位にはアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)のモビスター勢が続いた。キンタナは2013年に続いての総合2位、バルベルデにとっては初のツール総合表彰台となった。

バス、飛行機、バスを乗り継いで、前日ゴールのアルプ・デュエズから移動する選手たちバス、飛行機、バスを乗り継いで、前日ゴールのアルプ・デュエズから移動する選手たち

 各賞争いでは、ポイント賞のマイヨヴェールをサガンが4年連続の獲得。昨年に続き、ステージ優勝は挙げられなかったが、山岳ステージでも逃げに入り上位フィニッシュを果たすなど、ポイントを積み重ねたことが勝因となった。山岳賞のマイヨアポワはフルームが、新人賞のマイヨヴェールはキンタナが獲得。チーム総合は、キンタナとバルベルデが活躍したモビスター チームが1位に。3週間の戦いで最も印象に残った選手に贈られる総合敢闘賞は、再三の逃げで沸かせたロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)にわたっている。

 オランダ・ユトレヒトで7月4日に開幕したツールは、オランダ・ベルギー・フランス北部を進んだ第1週、ピレネー山脈・中央山塊を巡った第2週、アルプス山脈での山岳バトルを経てパリへと到達した第3週と、合計3360kmにわたる戦いが繰り広げられた。198選手がユトレヒトのスタートラインに就いたが、パリ・シャンゼリゼにたどり着いたのは160選手。完走率は81%だった。

 なお、ツール走者の到着を前にシャンゼリゼ通りを舞台に行われた女子レース「ラ・クルス・バイ・ル・ツール・ド・フランス」は、アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、ラボ・リヴ ウィメンズサイクリング)が優勝。激しい雨に見舞われ、濡れた路面にスリップし落車が続出した中、終盤にアタックを成功させ、そのまま逃げ切っての勝利だった。

 ツールを終えたサイクルロードレースシーズンは後半戦へと移ってゆく。多くの選手やチームは、ブエルタ・ア・エスパーニャや世界選手権などを視野に戦っていくこととなる。

(文 福光俊介/写真 砂田弓弦)

第21ステージ結果
1 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 2時間49分41秒
2 ブライアン・コカール(フランス、チーム ヨーロッパカー) +0秒
3 アレクサンドル・クリツォフ(ノルウェー、チーム カチューシャ) +0秒
4 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、MTN・クベカ) +0秒
5 アルノー・デマール(フランス、エフデジ) +0秒
6 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) +0秒
7 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) +0秒
8 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン) +0秒
9 マイケル・マシューズ(カナダ、オリカ・グリーンエッジ) +0秒
10 ラムーナス・ナヴァルダウスカス(リトアニア、チーム キャノンデール・ガーミン) +0秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 84時間46分14秒
2 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +1分12秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +5分25秒
4 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) +8分36秒
5 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) +9分48秒
6 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) +10分47秒
7 バウケ・モレマ(オランダ、トレック ファクトリーレーシング) +15分14秒
8 マディアス・フランク(スイス、イアム サイクリング) +15分39秒
9 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +16分0秒
10 ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー) +17分30秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 432 pts
2 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 366 pts
3 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン) 298 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 119 pts
2 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 108 pts
3 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) 90 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 84時間47分26秒
2 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +14分48秒
3 ワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・アルペシン) +30分3秒

チーム総合
1 モビスター チーム 255時間24分24秒
2 チーム スカイ +57分23秒
3 ティンコフ・サクソ +1時間12秒

総合敢闘賞
ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)

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