ツール・ド・フランス2015 第20ステージアルプ・デュエズでの“最終決戦”はピノーが勝利 フルームは2年ぶりの総合優勝が濃厚に

  • 一覧

 ツール・ド・フランス第20ステージは7月25日、モダーヌ・ヴェルフェジューからアルプ・デュエズまでの110.5kmで行われ、残り6.5kmで独走に持ち込んだティボ・ピノー(フランス、エフデジ)がステージ優勝を飾った。個人総合のマイヨジョーヌをかけた争いは、クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)が総合2位のナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)の猛攻に耐えて首位の座を守り、翌第21ステージを前に総合優勝を濃厚とした。

アルプ・デュエズを制したティボ・ピノー(フランス、エフデジ)アルプ・デュエズを制したティボ・ピノー(フランス、エフデジ)

 アルプス3連戦最終日となる第20ステージは、当初コース前半から中盤にかけて設けられる予定だった1級山岳テレグラフ峠、超級山岳ガリビエ峠が道路崩落の危険性があるためキャンセルされることが決定。代替ルートとして、クロワ・デ・フェール峠が採用され、頂上フィニッシュとなるアルプ・デュエズと合わせて2つの超級山岳を選手が走ることとなった。

 また、ツールの慣例として最終の第21ステージは、パリ・シャンゼリゼ通り以外はパレード走行となることから、総合争いは基本的に行われない。そのため、このステージが総合成績を決めるうえで実質最後のステージとなった。

 レースは、アクチュアル(正式)スタートからアタックが頻発し、その流れから4選手が先行。逃げが決まってからも追走を図る選手がメーン集団から飛び出していくが、マイヨジョーヌのフルーム擁するリーダーチームのスカイがいずれも容認。一時は逃げる4人に加え、11人の追走集団が形成された。

 25km地点からクロワ・デ・フェール峠の上りが始まると、メーン集団の主導権はアージェードゥーゼール ラモンディアルへ。山岳賞のマイヨアポワを着るロマン・バルデ(フランス)のポイントを伸ばす狙いだ。これで集団のペースが上がり、追走グループを走っていた選手を1人また1人と吸収していく。

 逃げグループでも登坂力の差が明白となり、残り約60kmでアレクサンドル・ジェニエス(フランス、エフデジ)が独走を開始。そのままクロワ・デ・フェール峠の頂上を通過し、約30kmにわたる下りへと入っていく。

アタックしたバルベルデアタックしたバルベルデ

 一方のメーン集団では、ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ プロチーム)がペースアップすると、あっという間に総合上位陣だけに絞られた。すると、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)がアタック。しばらくしてチームメートのキンタナもアタック。ホセ・セルパ(コロンビア、ランプレ・メリダ)のチームを越えたアシストもあり、メーン集団との差を広げてバルベルデに合流。総合2位、3位に位置する2人をフルームら総合上位陣が追う展開となった。

 そのまま山頂を通過した2人だったが、下りに入ってフルームとヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)が追いついた。さらに、山頂を前にフルームらから遅れていたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)のほか、上りで差をつけられた選手たちが集団へと復帰した。その後、チーム スカイが集団のペースを落ち着かせたこともあり、総合争いに関係しない6選手が飛び出し、先頭を行くジェニエスへの追走を開始。やがて、その中からピノーとライダー・ヘシェダル(カナダ、チーム キャノンデール・ガーミン)の2人に絞られ、ジェニエスとの差を縮めていく。

 2年ぶりのツール登場となるアルプ・デュエズは、登坂距離13.8km、平均勾配8.1%の難所だ。トップを1人行くジェニエスはメーン集団に対し3分45秒差で上りを開始する。

 快調に走り続けたジェニエスだったが、ピノーとヘシェダルの勢いが勝り、残り8.8kmで捕まってしまった。その後ジェニエスはチームのエースであるピノーのためにアシストへ回り、ペースメークを行ったのち脱落した。そして、一騎打ちの様相となった残り6.5kmでピノーがアタック。道路の左右を埋め尽くす観客の間を縫ってペースを上げると、ヘシェダルを引き離すことに成功した。

 メーン集団もアルプ・デュエズへと突入。泣いても笑っても最後の勝負どころだ。その矢先、ニバリがパンクで足止めを余儀なくされる。バイク交換をして再スタートを切ったが、ペースが上がった集団から大きく引き離されてしまう。勝負において重要な局面に差し掛かっていたため、総合上位陣はニバリの集団復帰を待つことなく攻撃を始める。最初に動きを見せたのはキンタナだ。数度のスピードアップにスカイ勢はヴァウテル・プールス(オランダ)がチェックに行くが、肝心のフルームに元気が見られない。プールスとリッチー・ポート(オーストラリア)がペースををコントロールするが、キンタナの勢いを止めるまでには至らない。クロワ・デ・フェール峠の下りから先行していたウィナーアンドルー・アナコナ(コロンビア)が、キンタナの合流待ってさらなるペースアップを図ると、その差は少しずつ広がっていった。そして残り5km、満を持してキンタナが単独で飛び出した。

アルプ・デュエズでアナコナのアシストを受けるキンタナアルプ・デュエズでアナコナのアシストを受けるキンタナ

 観客の大声援を背に気迫のクライミングを見せたピノー。後方からはキンタナが迫っていたが、力強いペダリングのまま最後の直線までやってきた。渾身のガッツポーズを決めフィニッシュラインを通過すると、待っていたチームスタッフと涙の抱擁を交わした。

 ピノーは、昨年のツールで総合3位と新人賞のマイヨヴェールを獲得。今年はツール前哨戦の1つであるツール・ド・スイスで好走を見せ、大きな期待のもと今大会に臨んだものの、序盤ステージでつまずき上位戦線から大きく遅れていた。第2週以降たびたび逃げでチャンスをうかがっていたが、クイーンステージともいえるアルプ・デュエズで見事に結果を残した。レース後のインタビューでは、「このツールでは辛いステージがあったが、決してあきらめなかった。体調不良やメカトラブルもあったが、運の要素も自転車競技の美しさの1つだ。ステージ優勝は、昨年の総合3位より成果としては乏しいと言われてしまうかもしれないが、将来につながる素晴らしいツールになったと思う」と語った。

逃げ続けたジェニエス。敢闘賞を獲得逃げ続けたジェニエス。敢闘賞を獲得

 ピノーのゴールから17秒後、キンタナがフィニッシュラインを通過。ステージ優勝には届かなかったが、満足そうな表情を見せた。さらに1分20秒差でバルベルデとフルームがフィニッシュ。キンタナのアタックに反応できなかったフルームだったが、その後はポートらアシストの力も借りながら上手くまとめてみせた。そして、このツールの総合優勝と山岳賞をほぼ決定づけた。キンタナとの総合タイム差は1分12秒だった。

 フルームはゴール後、「110.5kmの道のりが、まるで300kmの平坦を走っているような感覚だった」と苦しみ抜いた走りを表現。総合優勝をほぼ決定づけたことについては、「再びツールを勝てるなんて信じられない。ツールはそのときどきで違った喜びを得られるんだ」と述べ、ホッとした様子を見せた。

 2015年のツール最終日となる第21ステージは、セーヴル・グラン・パリ・セーヌ・ウエストからパリ・シャンゼリゼまでの109.5km。スタートからしばらくは、選手・チームスタッフ・関係者が3週間の戦いの労をねぎらい合いながら、パレード走行で進む。パリ市街地へと入り、シャンゼリゼ通りの周回ルートでレースが本格化。今大会最終勝者の座は、スプリンターを中心に争うこととなる。そして、個人総合時間賞のマイヨジョーヌを筆頭に、各賞の獲得者も確定する。また、ツール走者の到着に先立って女子レース「ラ・クルス・バイ・ル・ツール・ド・フランス」がシャンゼリゼ通りの周回コースで開催。こちらは90kmで争われ、20チーム120人の選手が優勝を目指して戦いを繰り広げる。

(文 福光俊介/写真 砂田弓弦)

第20ステージ結果
1 ティボ・ピノー(フランス、エフデジ) 3時間17分21秒
2 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +18秒
3 ライダー・ヘシェダル(カナダ、チーム キャノンデール・ガーミン) +41秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +1分38秒
5 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +1分38秒
6 ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー) +1分41秒
7 リッチー・ポート(オーストラリア、チーム スカイ) +2分11秒
8 ウィナーアンドルー・アナコナ(コロンビア、モビスター チーム) +2分32秒
9 ヴァウテル・プールス(オランダ、チーム スカイ) +2分50秒
10 ルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ) +2分50秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 81時間56分33秒
2 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +1分12秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +5分25秒
4 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) +8分36秒
5 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) +9分48秒
6 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) +10分47秒
7 バウケ・モレマ(オランダ、トレック ファクトリーレーシング) +15分14秒
8 マディアス・フランク(スイス、イアム サイクリング) +15分39秒
9 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +16分0秒
10 ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー) +17分30秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 420 pts
2 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 316 pts
3 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン) 281 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 119 pts
2 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 108 pts
3 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) 90 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 81時間57分45秒
2 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +14分48秒
3 ワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・アルペシン) +30分3秒

チーム総合
1 モビスター チーム 246時間55分21秒
2 チーム スカイ +57分23秒
3 ティンコフ・サクソ +1時間12秒

敢闘賞
アレクサンドル・ジェニエス(フランス、エフデジ)

この記事のコメント

利用規約順守の上ご投稿ください。

関連記事

この記事のタグ

ツール・ド・フランス2015 ツール2015・レースレポート

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

e-BIKE最新特集

スペシャル

自転車協会バナー

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載