ツール・ド・フランス2015 第19ステージ前回王者のニバリが超級山岳で抜け出し今大会初勝利 総合でも4位へジャンプアップ

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 ツール・ド・フランス第19ステージが7月24日、サン=ジャン=ド=モーリエンヌからラ・トゥッスイール – レ・スィベルまでの138kmで争われ、超級山岳の上りで飛び出した昨年の総合王者、ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)が逃げ切り優勝を飾った。ニバリは総合成績も7位から4位に順位を上げている。マイヨジョーヌはクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)が、最後単独になり脚を使いながらも守りきった。

ディフェンディングチャンピオンのヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)が独走勝利で咆哮ディフェンディングチャンピオンのヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)が独走勝利で咆哮

 この日のステージはアルプス3連戦の2日目。138kmと距離は短いながらも、超級山岳が1回、1級が2回、2級が1回と大きな上りを4つ超えるタフなステージとなった。スプリントポイントを含む平地区間が約20kmあるが、それ以外は上りか下りのみのコースレイアウト。大量得点が可能な山岳賞ジャージの行方と、総合成績を狙う選手の動きが注目のステージとなった。

 レースは開始直後からアタックが繰り返され、序盤から約25人の逃げ集団ができた。この中には山岳賞争いで現在トップに立つホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ)や、同点で2位のロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)、また好調なピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー)が含まれた。チーム スカイがコントロールするメーン集団はメンバーを見つつこれらを容認。メーン集団から先頭集団までブリッジをかけたい選手の動きが見られるなか、ニバリも序盤から先頭集団に向けてアタックを行い合流した。

落車したステフ・クレメント(オランダ、イアム サイクリング)落車したステフ・クレメント(オランダ、イアム サイクリング)

 レースは逃げグループが形成されてからも落ち着きを見せず、アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)が1つ目の峠の中腹でアタック。これにアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)やワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・アルペシン)も追従し逃げグループに合流した。後方のメーン集団は早くも選手たちが脱落していき、数を減らしていった。先頭集団では山岳賞を狙うホアキンが最初の山岳ポイントを先頭通過する。ここまでの距離はスタートからわずか15kmほどだ。

 一行は下り区間に入り、数人の選手がアタックを試みるも、下りきって平地に入る前に吸収され、先頭グループとメーン集団は1つになった。平地区間では再び20人余りの選手が逃げを試みる。チーム スカイはフルームを助けるアシスト陣が最初の上りだけで手薄になってしまったため、遅れた選手の合流を待った。よって6人のアシストが集団へと復帰。その間に先頭を行く逃げグループは約2分30秒のタイムギャップを持ってレースを先行した。

 上り区間が22km、最大斜度10%のこの日一番の山場となる超級山岳に差し掛かると、先頭グループとメーングループでともに続々と選手が脱落。厳しい展開のなか、先頭集団からはローランがアタック。メーン集団から最大3分の差をつけた。人数の絞られたメーン集団では、チーム スカイのアシストの間隙を突いてアスタナ プロチームがペースアップ。これによりメーン集団は10人ほどとなり、ほぼ有力選手しか残らない状況となった。ハイペースになったメーン集団が先行する集団に合流すると、山岳賞を争うホアキンがペースに耐え切れず脱落した。

 山頂手前で手薄になったスカイ勢に対してバルベルデが揺さぶりをかける動きを見せるなか、フルームにバイクトラブルが発生。ペースを落としたタイミングでニバリが加速し抜け出した。集団はこれを容認。ニバリは単独先頭を走るローランに続いて山頂通過し、テクニカルな下り区間に入った。3位通過は山岳賞を狙うバルデが獲得し、山岳ポイントを重ねた。

単独先頭となったニバリ単独先頭となったニバリ

 前のステージで好調さを見せたバルデは下り区間をハイペースでクリアし、前を行く2人を追うも、フロントディレーラーのトラブルで後退。その間にニバリとローランは合流し、15人ほどのメーン集団に対して1分45秒差で逃げ続ける。協調していた先頭2人だが、最後の上りに入った残り16km地点でニバリがアタック。ローランは厳しい表情を見せ、ニバリを追うことができない。

 メーン集団ではラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)が強力な牽引をみせ、最後の上りを進んだ。ここで集団に残っていたフルームの最後のアシスト、ヴァウテル・プールス(オランダ、チーム スカイ)が遅れ、マイヨジョーヌが窮地に立たされた。すかさず総合2位のナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)がアタックし、フルームが単独でこれを追う。しかしマイカに牽引され脚を温存していたはずのコンタドールは、2人を追うことができない。

 その間に先頭のニバリはペースを落とすことなく逃げ切り、最後は雄叫びを上げながらフィニッシュ。前回王者が今大会初のステージ優勝を飾った。終盤にアタックをかけたキンタナはフルームに対し30秒先行し2位でレースを終え、3位にフルームが入った。ニバリは総合成績で4位まで順位を上げている。

山岳賞を獲得したバルデ山岳賞を獲得したバルデ

 優勝したニバリは「スタート前から狙っていたステージだった。表彰台も見えてきたので明日はできる限りの走りを見せたい」と話している。マイヨジョーヌはキンタナにタイムを詰められながらも依然フルームが維持し、山岳ジャージはポイントを重ねたバルデに渡っている。

 翌日行われる第20ステージはモダーヌ・ヴァルフレジュスからアルプ・デュエズまでの110.5kmで争われる。総合成績を争う選手にとっては最後の勝負どころで、最大の見所は過去幾度と名勝負が繰り広げられたレース最後に登場するアルプ・デュエズだ。フルームはマイヨジョーヌを守りきれるのか、他の上位選手が最後に勝負をかけるのかが注目される。

(文 松尾修作/写真 砂田弓弦)

第19ステージ結果
1 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) 4時間22分53秒
2 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +44秒
3 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +1分14秒
4 ティボ・ピノー(フランス、エフデジ) +2分26秒
5 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +2分26秒
6 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +2分26秒
7 バウケ・モレマ(オランダ、トレック ファクトリーレーシング) +2分26秒
8 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) +2分26秒
9 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) +2分26秒
10 サムエル・サンチェス(スペイン、BMC レーシングチーム) +2分26秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 78時間37分34秒
2 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +2分38秒
3 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +5分25秒
4 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) +6分44秒
5 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) +7分56秒
6 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) +8分55秒
7 マディアス・フランク(スイス、イアム サイクリング) +12分39秒
8 バウケ・モレマ(オランダ、トレック ファクトリーレーシング) +13分22秒
9 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +14分8秒
10 ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー) +17分27秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 420 pts
2 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 316 pts
3 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン) 281 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) 90 pts
2 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 87 pts
3 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) 78 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 78時間40分12秒
2 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +11分30秒
3 ワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・アルペシン) +24分22秒

チーム総合
1 モビスター チーム 236時間58分50秒
2 ティンコフ・サクソ +51分0秒
3 アスタナ プロチーム +53分36秒

敢闘賞
ピエール・ローラン(フランス、チーム ヨーロッパカー)

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