6月にトレーニング教本を上梓「40歳から強くなるコツ」を伝授 シルベスト山崎敏正さんと西加南子さんがトークショー

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山崎敏正さんと西加南子さん。それぞれの著書を持って山崎敏正さんと西加南子さん。それぞれの著書を持って

 ことし6月にトレーニング教本『「弱虫」でも強くなる! ひとつ上のロードバイク<プロ技>メソッド(SB新書刊)』を上梓した山崎敏正さん(シルベストサイクル統括店長)が、同書の出版を記念して7月21日、同じSB新書から2012年に『より速く、より遠くへ! ロードバイク完全レッスン』を著したプロロードレーサーの西加南子さん(ルミナリア)と、東京・新宿のブックファースト新宿店でトークショーを開催した。年齢を重ねても現役バリバリの「レーサー」として走る両氏の声を聞こうと、会場には熱心なサイクリストたちが集まった。(レポート 米山一輝)

練習嫌いが長く続けるコツ?

 ことし60歳で還暦を迎える山崎さんと、45歳になる西さんが話すのはズバリ「40歳から強くなるためには?」というテーマ。しかし、意外なことに両氏とも「練習は嫌い」だと話す。

 嫌いな練習を楽しくするコツとして「仲間、美味しいもの、綺麗な景色」を取り入れるという山崎さんは、自らを「工夫の鬼」と呼ぶ。嫌いな練習を工夫して効率化することが、向上しながら長く続けることにつながっているという。

練習に乗り気でないときは、美味しくて景色の良い山の上のカフェを目指して走るという山崎さん練習に乗り気でないときは、美味しくて景色の良い山の上のカフェを目指して走るという山崎さん
カフェ好きを生かし、以前Cyclistで「“勝手に”サイクルカフェ紀行」という連載をしていた西さんカフェ好きを生かし、以前Cyclistで「“勝手に”サイクルカフェ紀行」という連載をしていた西さん

 「暑い日や寒い日に楽しく乗るコツ」をたずねられた西さんは、「気温が34度を超えたら外では乗りません。室内でローラー」ときっぱり。楽しく乗ることを重視して、海外でトレーニングしたときに連日カフェに立ち寄っていたら、仲間から「カプチーノライダー」というニックネームをつけられてしまったそうだ。

 20年近く競技を続けてきて、大きな故障をしたことがないという西さんだが、そのポイントは「故障になる前の違和感の段階で、練習を休んだりメンテナンスして対処すること」だという。

40歳から始めても“自分史上最強”に

パフォーマンスのグラフを使って“趣味の人の伸びしろ”を解説パフォーマンスのグラフを使って“趣味の人の伸びしろ”を解説

 「趣味でやるなら、40歳、50歳でも伸びる可能性はある」と山崎さん。人間の限界ポイントは30歳前後でピークを迎えるが、限界近くまで追求するプロでなければ、限界が落ちてきている年代でも十分な伸びしろがあり、50代での“自分史上最強”も可能だという。

 山崎さんは中年からのトレーニングを「穴の空いたバケツに水を注ぐようなもの」と例える。トレーニング効果が衰えるのも早くなるため、「週末だけでなく、週の半ばにも練習することが効果的」と話す。一方で回復が遅くなるため、疲れを取りながらトレーニングすることも重要になる。西さんは「練習は中3日空けないこと。また、休むときは連続して休まず、分ける」ことを実践しているという。

トレーニングのコツを大公開

 トークショーでは著書のなかで触れられているトレーニング方法や走り方のコツ、さらに踏み込んだポイントも解説された。

 時間のない一般ライダーに効果的な練習法として、短時間・高強度のインターバルトレーニングの手法である「タバタ・プロトコル」を紹介。「20秒運動して、10秒休む」を1単位として8回行い、4分間を1つのセットとする練習方法で、シルベストサイクルでは、「タバタソング」に合わせて独自のメニューを固定ローラーで行うことで、店舗スタッフのレース成績が昨年の0勝から今年一気に9勝に増えたという。

「タバタ・プロトコル」を解説「タバタ・プロトコル」を解説
秘密のTABATAメニューも紹介(※秘密なのでボカしました)秘密のTABATAメニューも紹介(※秘密なのでボカしました)

 このほかにも筋力トレーニングや、サプリメントの摂り方にも言及した。山崎さんは「サプリメントも、ご飯(エネルギー)、お肉(プロテイン・アミノ酸)、野菜(ビタミン・ミネラル)に分類されるので、意識して摂ることが大事」とアドバイス。さまざまなサプリメントを自分で試して使っているという西さんは、「サプリメントをしっかり吸収するために、腸の状態がとても大事」と解説し、腸内環境を整えるために良質な乳酸菌を摂るようにしているという。

レースでの落車に警鐘

 両氏が「これだけは話しておきたい」と強調していたのは、落車に対する警鐘だ。近年、レースで深刻な落車事故が多くなっており、その原因については「ローラー台の練習だけで、集団走行の練習をせずにレースに出る人が増えたことが原因では?」と二人は口をそろえる。

「トレーニング中の事故は、仲間の練習場所を奪うことにもなる」と安全走行の徹底をアピール「トレーニング中の事故は、仲間の練習場所を奪うことにもなる」と安全走行の徹底をアピール

 「僕は試合でヘルメットが義務化される前の世代ですが、昔のレースの方が無茶な突っ込みは少なかったように感じます」という山崎さん。チーム練習では「下りの練習はしない」ことを徹底しているという。

 そしてやはり「チームで集団走行の練習をすることが大事」と話す。「自分の彼女が後ろを走っている、くらいの気持ちで走ってほしい。レースでも後ろを走っているライバルを転ばせようと思えば簡単だけど、それをしないところがロードレースが紳士のスポーツたる点、愛すべき点なんです」と山崎さんは語る。

 西さんは「集団走行をするときは、後ろを走る人の人生を壊しかねないと、想像を働かせて走ってほしい」と話す。トレーニングで走る際は「先頭でカーブミラーを見ない人の後ろには付かないようにしています」と落車対策を語った。

60歳を過ぎても

“生涯現役宣言”の山崎さん“生涯現役宣言”の山崎さん

 来場者から「この先いつまで走りますか?」という質問に、「それは『いつ死ぬのか?』と聞かれるのと同じ」と答えた山崎さん。今年60歳を迎え、マスターズの60歳以上クラスに入ることで、新たな楽しみが増えるという。

 「得意の短距離種目で、日本を飛び出したい。まだまだこれから上り調子です」

 かつて1980年モスクワ五輪の幻の代表選手だった山崎さんだが、マスターズの世界チャンピオンを目指して、再び世界に挑戦したいという。

 西さんも「いつまでやれるのか実験的なところもあるので、いつまで現役を続けるのか決めていない」と話す。昨年10月、国内の女子ロードレースで最も格式の高いレースのひとつ、ジャパンカップのオープン女子クラスで3度目の優勝を飾った西さん。今シーズン後半の目標はJBCF(実業団)の大きなレースと、ジャパンカップになるという。

 盛況のトークショーのあとはサイン会が行われ、山崎さんと西さんは参加者と会話を交わしながらそれぞれの著書にサインを書き込んだ。

1時間超の濃密なトークが繰り広げられた1時間超の濃密なトークが繰り広げられた
トークショーのあとのサイン会トークショーのあとのサイン会

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