本業は大学講師や現役学生才色兼備の“ポディウムガール” 表彰台からVIPの接待まで笑顔を絶やさぬ一日

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 過酷なステージで好成績を収め、誇りに満ちた表情で表彰台に立つ選手の横で、その活躍を称えて花束やぬいぐるみ、祝福のキスを贈る女性たち――通称、ポディウムガール。ツール・ド・フランスでは、11年にわたりオフィシャルパートナーとして大会を支えるチェコの自動車メーカー「シュコダ」が、スプリントポイント賞のグリーンジャージ(マイヨヴェール)のスポンサーも務めている。グリーンジャージに寄り添って笑顔を振りまくスプリントポイント賞のポディウムガールたちの素顔に迫った。(ガップ 柄沢亜希)

「シュコダ」のオフィシャルカーの前に立つアナ・レイエスさん(右)とカルメン・ガルシアさん「シュコダ」のオフィシャルカーの前に立つアナ・レイエスさん(右)とカルメン・ガルシアさん

バケーションの一環として参加

スタート地点のヴィラージュ来訪者にシュコダハットを配る“ポディウムガール”スタート地点のヴィラージュ来訪者にシュコダハットを配る“ポディウムガール”

 レースのスタート会場のテント村「ヴィラージュ」の一角、シュコダのブースで、スラリと背が高い4人の女性たちがいた。訪れる人たちを笑顔で迎え、PRグッズのグリーンの帽子を配ったり、コーヒーやお菓子を勧めたりとおもてなしに余念がない。今大会でスプリント賞を担当するポディウムガールたちだ。

 カメラを向けると、ナチュラルなポージングと爽やかな笑顔をみせてくれた。本職はモデル業なのかとたずねると、「大学で講師をしているわ」とスペイン出身のアナ・レイエスさん(26、Ana Reyes)。

ツール・ド・フランス第5ステージの表彰式で、ポイント賞リーダーとしてマイヨヴェールを着るアンドレ・グライペル。ポディウム・ガールが手伝った =2015年7月8日(写真・砂田弓弦)ツール・ド・フランス第5ステージの表彰式で、ポイント賞リーダーとしてマイヨヴェールを着るアンドレ・グライペル。ポディウム・ガールが手伝った =2015年7月8日(写真・砂田弓弦)

 「確かに6年前は、香港とタイでそれぞれ6カ月ずつモデルとして滞在していたこともあったわ。その後はスペインへ戻り、マーケティングの教授として大学に勤めてきた。今はクラスだけを担当する講師をしていて、ツールのこの仕事は私にとって夏休み中のバケーションなの」

 レイエスさんは、母国スペイン語のほかに英語、フランス語も堪能だ。大学が休暇の間に、以前携わっていたモデルのような仕事を短期間できないかどうか探していところ、ポディウムガールの募集を見つけたという。今年で2回目だというレイエスさんは、「期間は1カ月。語学を生かしながらたくさんの人と出会い、モデルとしてのスキルを活用できる。完璧な仕事だわ!」と、希望に合致する“天職”を見つけて大満足な様子だ。

ヴィラージュのシュコダブースはいつもたくさんの人で大賑わいヴィラージュのシュコダブースはいつもたくさんの人で大賑わい
キャップをかぶって訪れた子供にも、もちろん帽子をあげるキャップをかぶって訪れた子供にも、もちろん帽子をあげる

 大学の学生たちは驚いているのではないかと問うと、「生徒には言ってないの(笑)」と少しはにかんだレイエスさん。「いろいろな場所での新しい出会いや出来事から、常にエネルギーをもらえるところがとても気に入っている。本職とは全く違うから、いい気分転換になっているわ」

女性4人で山道をドライブし移動

 4人のポディウムガールたちは、朝はヴィラージュのブースに立ち、レースがスタートするとクルマでゴール地点へ移動。表彰式では、4人のうち2人がポディウム(表彰台)を担当する。しかし業務内容は“ポディウムガール”だけではない。表彰式以外の時間や、ポディウムに立たない2人は、VIP客のみが入ることができる観戦会場「クラブ ツール・ド・フランス」で、クライアントやゲストにシャンパンを配り、接待をする。慌ただしく過ぎる一日に「いつも時計とにらめっこ」と話すのは、今回が初めての参加となるスペイン出身のカルメン・ガルシアさん(24、M.Carmen Garcia)。

2015年のスプリントポイント賞グリーンジャージの“ポディウムガール”たち2015年のスプリントポイント賞グリーンジャージの“ポディウムガール”たち

 ガルシアさんは、「ゴール地点までの移動は、シュコダのバンに4人で乗って自分たちで運転していきます。実家では両親のクルマを使っているだけだから、こんな大きなクルマで山道を走ることはなく、最初は怖かったわ。だけどあまりに疲れている時は、他の子が運転をしてくれるし、女性たちだけで歌ったり踊ったりしながらの移動は楽しいものね」と、賑やかな旅を思い起こすように教えてくれた。

 ガルシアさんは翻訳・通訳を学ぶ学生で、レイエスさんと同じくスペイン語のほかに英・仏語に長けている。「15歳のころから、夏は英語を学ぶために英国ロンドンやスコットランド、米国トロントといった場所に1カ月間ホームステイをしてきました。ツールも、その習慣の延長線のようなかんじ。去年の夏は、スペインの教授のアシスタントとしてロンドンの大学で働き、コネクションもできました。今年秋にはようやく大学を卒業できるので、さっそくロンドンへ渡って仕事をしたいと思っているところよ」

表彰台での“秘密”

「一日中時計とにらめっこ」と話すアナ・レイエスさん(右)とカルメン・ガルシアさん。時計はシュコダの特別デザイン「一日中時計とにらめっこ」と話すアナ・レイエスさん(右)とカルメン・ガルシアさん。時計はシュコダの特別デザイン

 ドレスアップをした彼女たちがひときわ輝く表彰台では、どんなことを考えて選手の横に立っているのだろうか? 「実は何も考えていないの」とレイエスさんが笑った。記者が不思議に思っていると、「意識していることといえば、正面を見つめ笑顔を保つことだけ。種を明かすと、表彰台の前に私たちに指示を出す女性がいるのです」と続けてささやいた。

 そう、ポディウムガールたちは正面を見て指示を受ける必要があるため、周りの状況は見ていないというのだ。「選手がどんな様子でいるかも分からない(笑) 係の女性がパネルを持っていて、『花を渡す』『ギフト(ぬいぐるみ)を渡す』『キスをする』『拍手をする』『退場する』というタイミングをすべて指示してくれるのです。私たちはそのパネルを、正面を向きつつうまく盗み見てるってわけね」

ツール・ド・フランス第9ステージの表彰式で、マイヨヴェールを着てぬいぐるみを持ち、観客に向かって花束を投げるペテル・サガン。ポディウムガールが華を添えた =2015年7月12日(写真・砂田弓弦)ツール・ド・フランス第9ステージの表彰式で、マイヨヴェールを着てぬいぐるみを持ち、観客に向かって花束を投げるペテル・サガン。ポディウムガールが華を添えた =2015年7月12日(写真・砂田弓弦)
ツール・ド・フランス第11ステージで表彰台に立ったペテル・サガン(左)とポディウムガール =2015年7月15日(写真・砂田弓弦)ツール・ド・フランス第11ステージで表彰台に立ったペテル・サガン(左)とポディウムガール =2015年7月15日(写真・砂田弓弦)

◇         ◇

 記者に物語を聞かせるように、舞台裏の“秘密”や自身のライフスタイルを楽しく明かしてくれたレイエスさんとガルシアさん。表彰台で見せる“仕事の笑顔”とは違う、人生を心の底から満喫しているというキラキラと輝く笑顔が印象的だった。

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