10カ所のMTBリゾートをつなぎ距離80km!スイス・フランスをまたぎ1日6000mダウンヒル 小田島梨絵さんの欧州MTBイベントレポート

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UCIワールドサイクリングセンターでコーチ研修中の小田島梨絵さん(右)UCIワールドサイクリングセンターでコーチ研修中の小田島梨絵さん(右)

 元全日本マウンテンバイク・クロスカントリー女王で、北京、ロンドンオリンピック日本代表の小田島(旧姓:片山)梨絵さんが、コーチ研修のため滞在しているスイスから、マウンテンバイクイベントのレポートを寄せてくれました。1日で距離80km、ダウンヒルの総降下量は6000mという、日本では考えられないスケールのイベントの模様をお届けします。

◇      ◇
Bonjour! 現在私はJOC(日本オリンピック委員会)のスポーツ指導者海外研修プログラムで、スイス・ヴォ―州にあるUCI(国際自転車競技連合)ワールドサイクリングセンターでインターンコーチとして修行中。センターには各国から選抜された、将来世界的に活躍できる見込みのある選手が集まり、長期的にトレーニングをしています。そんななか、休日を利用してセンターのコーチたちとMTBイベントに参加してきました。あまりにも素晴らしい欧州MTBイベントの空気を、ぜひ日本にもお伝えしたいと思います。

左からロードコーチ、パフォーマンスマネジャー、マネジャーの旦那様、ロードアシスタントコーチ左からロードコーチ、パフォーマンスマネジャー、マネジャーの旦那様、ロードアシスタントコーチ

Pass’Ported du Soleil MTBとは?

 そのMTBイベントは「Pass’Ported du Soleil MTB」。スイス・フランスの国境一帯に12カ所のステーションをもつスキー&MTBリゾート「ポルト・デュ・ソレイユ」が、年に一度開催するMTBの祭典です。そのスケールがすごい! 普段MTBシーズン中は動かしていないリフトも含め15のリフト・ゴンドラを特別に稼働させ、10カ所のMTBリゾート(ステーション)をつないで合計距離80km、総降下量6000mのバイクライドを可能にするのです。9カ所(フランス5カ所、スイス4カ所)のステーションから最寄りの場所を選び、そこから80kmのループをスタートできます。ちなみに今年の開催期間は6月26~28日でした。

このコースマップを見ながら進んでいく。もちろんルート上にも案内ありこのコースマップを見ながら進んでいく。もちろんルート上にも案内あり
こちらは高低差マップ。リフト・ゴンドラで上がるので、走行ルートはほぼ全て下り基調こちらは高低差マップ。リフト・ゴンドラで上がるので、走行ルートはほぼ全て下り基調
走行後の私のガーミンデータ。一部コースカットをしてしまったので6000mには及ばないものの、たった一日で5777mのダウンヒル!!走行後の私のガーミンデータ。一部コースカットをしてしまったので6000mには及ばないものの、たった一日で5777mのダウンヒル!!

スイス側は高山植物を眺めながらのMTBツーリング

 私はセンターのあるエーグルから一番近いスイス側のモルギンスをスタート地点に選び、Webサイトでエントリー。1日の参加料は53.5ユーロでした。当日の朝、モルギンスの観光案内所でバイクナンバーとリフト券、7カ所ある補給所で必要になるリストバンドを受け取ります。参加賞がとっても豪華! アクティビティ用のバックパックとスポーツドリンク、イベント翌日のMTB営業から2015/2016シーズンのスキーシーズンまで使える1日リフト券がついていました。

参加賞の数々。豪華な賞品に朝からテンションアップ!参加賞の数々。豪華な賞品に朝からテンションアップ!
リフトを乗り継ぎ各トレイルを移動リフトを乗り継ぎ各トレイルを移動

 さっそくリフトに乗って、標高1800m付近のスタート地点へ。高山植物が咲く、「ザ・スイス」といえる絶景の中を下っていきます。その辺り一帯は走りやすい路面の林道が続き、ダウンヒル(DH)ライドと言うよりはむしろ「アルプスの少女ハイジ」の世界を行くMTBツーリングといった雰囲気。美味しい空気を胸いっぱい堪能しながら、ストレスフリーなイージートレイルを下っていきます。シャンプサンでもう1本リフトを乗り継ぎ、過去に世界選手権とワールドカップで訪れた私の思い出の土地、シャンペリーまで下っていきました。

スイスサイドのMTBツーリング満喫コーススイスサイドのMTBツーリング満喫コース

オーバーカロリー必至! 充実のフィードゾーン

 ここで最初の補給所です。ドリンク、フルーツ、チョコレートに美味しいスイスチーズを堪能して、「今日はオーバーカロリーライドになるぞ」と確信。その他の補給所ではチョコレートフォンデュ、地域の特別料理であるハムとポテトをチーズで和えたホットディッシュ、ケーキ、生ハム、ピクルス、ハーブティー、コーラ、(あまり大きな声では言えないけど)生ビールなど、1日中飽きさせないあらゆるフードやドリンクが無料で提供されていました。実際、私たちは自分で持参した補給食を食べることもなければ、ランチに寄ることもなく、補給所の食べ物のみで何不自由なく走ることができました。

最初に止まった小さな補給所。さすがスイス。チーズのお味は最高最初に止まった小さな補給所。さすがスイス。チーズのお味は最高
補給所で提供されたチーズを使った郷土料理。コクのあるチーズとほくほくポテト。美味しかった!補給所で提供されたチーズを使った郷土料理。コクのあるチーズとほくほくポテト。美味しかった!

フランス側はMTBダウンヒル!

メーン会場にて。補給とトライアルショー、ショッピングでひと休憩メーン会場にて。補給とトライアルショー、ショッピングでひと休憩

 補給所からはゴンドラに乗って山頂駅へ。その先は林道コースかDHコースを選ぶことができます。もちろん私たちはDHコースをチョイス! バームと安全なジャンプが続き、リジットバイクでも走りやすいコースでした。こうしてルートを進んでいくと、知らぬうちに国境を越えてフランスへ。フランス側のトレイルはMTBライドの色が濃く、シングルトラックやラダー、よく作りこまれて走りやすいバームを堪能することができました。

 走り始めて3時間強たったお昼頃に、メーン会場であるモルジーヌへ到着。ここはレース会場といった雰囲気で、各メーカーブースで特価販売をしていたり、マッサージサービス、メカニックサービス、そしてトライアルのショーステージも特設されていました。

一瞬で通過した“思い出の土地”

 すでに十分遊びつくした感はあるものの、コースはまだ半分も走っていません。メーン会場で一休みした後は、私が2004年に初めて出場した世界選手権で訪れた思い出の地、レ・ジェへ下るシングルトラックを満喫! 一緒に走ったコーチたちに、朝から何度も「レ・ジェは思い出の場所なので絶対に行きたい。レ・ジェの街でカフェしよう」とアピールしていたにも関わらず、疲れ始めていた彼らは全くスルーで、下りきったその足で次のリフトへと並んでしまいました。嗚呼、私のノスタルジアタイムは許されず。それでもこの土地のトレイルをもう一度下れたことは感慨深かったです。初めて参加した世界選手権の地を踏み、コーチとしての新しいスタートをかみしめることができました。

初めての世界選の思い出の土地、レ・ジェで記念ショット初めての世界選の思い出の土地、レ・ジェで記念ショット

 このステーションはスタート・ゴール地点から一番遠い町なので、あとは帰路をたどってモルギンスへ戻るのみ。といってもまだ30kmほどのダウンヒルが待っている! もうここまで来るとどこがどんなトレイルだったかも定かではないのが正直なところだけど、朝からこれだけ走るとすっかり体とバイクが一体になり、疲労も相まってハイになり、楽しく流れるように走れる夢の時間でした。

愛車であるモンベルのシャイデックMT-Aをリフトに乗せて愛車であるモンベルのシャイデックMT-Aをリフトに乗せて
メーンブースで特価購入したグローブを着用してご機嫌のコーチとメーンブースで特価購入したグローブを着用してご機嫌のコーチと

壮大なMTBの休日

 終日フルサポートでMTBライドとスイス・フランスの大自然を満喫できる壮大なイベント。ルートは難易度の低いトレイルなので、誰でも気軽に楽しめると思います(距離が長いのでフルコースを回るにはそれなりの準備と体力が必要)。また、よりテクニカルなライドを楽しみたい人は、お気に入りのリフトで常設のDHコースを走ることも可能。例えば1日はフルコースを回って、翌日はお気に入りのステーションでDHコースを走りこむ、というのもお勧めです。

小田島梨絵(おだじま・りえ)

MTBクロスカントリーの北京、ロンドンオリンピックに出場。2004年から2012年まで9年連続で全日本チャンピオン。2012年の引退後、JOCスポーツ指導者海外研修員としてスイス・イタリアを中心にコーチングを学ぶ。2013年、UCI(国際自転車競技連合)サイクリングコーチコース修了。現在、スイスのエーグルにあるUCIワールドサイクリングセンターでトラックを中心にロード、BMXも含むコーチ修行中。2015年7月末帰国予定。

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