飯島美和のフォーカス・ツール2015<3>ツール・ド・フランスを去るということ ルイ・コスタ(ランプレ・メリダ)

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 7月4日、ツール・ド・フランスの開幕ステージに198人の選手が出走した。そして2回目の休息日を控えた20日の第16ステージ終了時点で、走り続けている選手は169人。すでに29人の選手がツールを去ったことになる。

 「スポンサーやファンに謝罪する」

 第11ステージのレース中に自ら自転車を降り、リタイアした2013年の世界チャンピオン、ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)。彼は戦列を離れてから最初のインタビューで、「謝罪」という言葉を選んだ。

けがの影響でメーン集団からはるかに遅れて走るルイ・コスタ(ランプレ・メリダ)けがの影響でメーン集団からはるかに遅れて走るルイ・コスタ(ランプレ・メリダ)

パリの表彰台を期待されたエース

 ツールは出場するだけでも大変なのに、リタイアを責める人がいるだろうか?とも思ったが、ツール・ド・フランスのリタイアだからこそ、謝罪の言葉が出たのだ。

 ルイはツール直前の6月、自身が3連覇していたツール・ド・スイスの出場をキャンセルし、ツール・ド・フランスの前哨戦といわれるクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ出場を選択。そこでステージ1勝に総合3位という申し分ない結果を出し、ツールに向けて好調ぶりを示して見せた。そうしなければいけない理由が彼にはあったのだ。

クリテリウム・ドゥ・ドーフィネでは第6ステージで優勝したクリテリウム・ドゥ・ドーフィネでは第6ステージで優勝した
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネで総合3位に入ったルイ・コスタ(右)クリテリウム・ドゥ・ドーフィネで総合3位に入ったルイ・コスタ(右)

 昨季、ロード世界チャンピオンという看板を背負ってランプレ・メリダに移籍。もちろん、ランプレは「久しぶりにツールの総合上位を争える選手を獲得した」と大喜びした。「ルイの総合3位(パリでの表彰台)」という目標が掲げられ、すべてがその目標に向かって動いていた。しかし昨年のツールでは、第15ステージ終了時に持病の喘息が悪化し、リタイアを発表した。

リタイアの決断「けがの痛みよりつらい」

 それから1年後、ツールでリベンジを果たすためにチームは再びチャンスを与え、目標達成を信じて疑わなかった。実際、ドーフィネで総合優勝したクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)が、優勝記者会見で「ツールでライバルと考える選手はだれか?」という質問に、ルイの名前も挙げていたほど、彼のツールに向けての調整は完璧なはずだった。

ポルトガルチャンピオンとしてツール・ド・フランスに臨んだルイ・コスタ。けがの跡が残っているポルトガルチャンピオンとしてツール・ド・フランスに臨んだルイ・コスタ。けがの跡が残っている

 ツールが始まり、序盤のステージでは落車が多発した。マイヨジョーヌを着用していながら、リタイアを余儀なくされたファビアン・カンチェッラーラ(スイス、トレック ファクトリーレーシング)やトニー・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)のニュースが目立ったが、それ以外にも少なくない選手が深刻な負傷をしていた。

 ルイもその一人だったのだ。「左足と背中のけがは思わしくない。このまま自分がエースとして残っても、チームに迷惑をかけるだけだ。他の選手にチャンスを与えてほしい」とのコメントを残し、彼のツール・ド・フランスは終わった。

 「ツールを去るという決断は、けがの痛みよりもつらい」

 そう語ったルイの言葉は、リタイアを余儀なくされたすべての選手の心境なのかもしれない。誰にとっても、どんなに完璧に調整をしていても、ツール・ド・フランスの完走は簡単なことではないのだ。

(飯島美和)

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