ツール・ド・フランス2015 第14ステージカミングスがMTN・クベカにツール初勝利をもたらす フルームとキンタナがデッドヒート

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 ツール・ド・フランス第14ステージは7月18日、ロデーズからマンドまでの178.5kmで争われ、ラスト1kmでトップに立ったスティーヴン・カミングス(イギリス、MTN・クベカ)がステージ初優勝。初出場のMTN・クベカにうれしい初勝利をもたらした。総合上位陣は、クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)とナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)が熾烈なデッドヒートを展開。最後はフルームが1秒差でキンタナに先着。マイヨジョーヌを守っている。

区間優勝を果たしたスティーヴン・カミングス(イギリス、MTN・クベカ)。手を大きく広げた“クベカポーズ”でアピール<写真・砂田弓弦>区間優勝を果たしたスティーヴン・カミングス(イギリス、MTN・クベカ)。手を大きく広げた“クベカポーズ”でアピール<写真・砂田弓弦>

 前日に中央山塊に入ったプロトンは、この日もアルプス山脈を目指し一路東へと針路をとった。スタートから44kmは4級山岳を含む上り基調。その後14.5kmの下りののち、再び緩やかな上り基調を約80km進む。ラスト41.5kmは2級2つ、4級1つのカテゴリー山岳が待ち受け、レースの行方を左右するポイントとなる。最終局面は、登坂距離3km、平均勾配10.1%の2級山岳ラ・クロワ・ヌーヴを上り、マンド・ブルヌ飛行場を1.5km走ってフィニッシュする。1995年の革命記念日(7月14日)にローラン・ジャラベールがこの地を制したことから、“ジャラベール坂”との愛称でも親しまれている。

 序盤に形成された逃げグループには、ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)、リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)ら実力者が含まれた。複数の追走グループが前方への合流を図り、先頭集団は最大で20人にまで膨らんだが、メーン集団はその動きを容認。フルーム擁するチーム スカイのコントロールのもと、7分前後の差を保ちながら進んでいった。

 その間、先頭集団ではサガンが中間スプリントポイントを1位通過。ともに逃げるメンバーに意思確認を行いながら、マイヨヴェールのキープに必要なポイントをしっかりと確保した。

 先頭集団は人数の多さゆえ、協調態勢が乱れる場面こそあったが、メーン集団が追走の姿勢を見せなかったことも幸いし、安全圏ともいえるタイム差で進行する。そんな中、残り27kmでミハウ・ゴワシュ(ポーランド、エティックス・クイックステップ)が下りを利用してアタック。チームメートのウランが先頭集団に加わっていることから、終盤に向けて優位な状況に持ち込もうとする構えだ。残り15kmでは、クリスティアン・コレン(スロベニア、チーム キャノンデール・ガーミン)が単独追走を開始。残り11.5kmでゴワシュに合流した。これらの動きに対しては、3選手を前方に送り込んだエフデジを中心に2人を追った。

アタックするバルデ<写真・砂田弓弦>アタックするバルデ<写真・砂田弓弦>

 このステージ最後の上りである2級山岳ラ・クロワ・ヌーヴに入ると、追走メンバーの中からロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)がアタック。他選手のチェックが厳しく抜け出すには至らなかったが、しばらく先頭を走ったゴワシュとコレンを捕らえ、レースを振り出しに戻した。

 残り4kmを切ると、シリル・ゴティエ(フランス、チーム ヨーロッパカー)、バルデらが次々とカウンターアタックを繰り出した。そして、残り3kmに差し掛かったところでバルデが3度目のアタック。これを成功させ、独走態勢に入った。

 何とか逃げ切りを決めたいバルデだったが、後方からティボ・ピノー(フランス、エフデジ)が一定ペースを刻み追いあげてきた。残り1.8kmで合流し、フランス人クライマー同士の一騎打ちとなるかに思われた。

 ラ・クロワ・ヌーヴの頂上を通過し、迎えた最終局面。ラスト1kmのフラムルージュに差し掛かったところで、黒基調のジャージを着た選手が猛然と先頭の2人をパス。トップに立ったのはカミングスだ。あまりのハイスピードにピノーとバルデは続くことができない。最終コーナーを左折したところでカミングスが差を広げることに成功。必死のスプリントで追い込みを図った2人に付け入る隙を与えず、ステージ優勝のフィニッシュラインを通過した。

先行の2人を追い抜き、猛然と最終コーナーへ突入するカミングス<写真・柄沢亜希>先行の2人を追い抜き、猛然と最終コーナーへ突入するカミングス<写真・柄沢亜希>

 カミングスは1981年生まれの34歳。2004年アテネ五輪のトラック・チームパシュート銀メダリスト。翌年からロードに本格参戦し、ランドバウクレジット、ディスカバリーチャンネル、バルロワールド、スカイ プロサイクリング(現チーム スカイ)、BMCレーシングチームと渡り歩き、今年から現チームで走る。今シーズンは1月以来の2勝目。キャリア通算では5勝目を挙げた。ツール初勝利で、グランツールではBMCレーシングチーム時代の2012年ブエルタ・ア・エスパーニャ第13ステージ以来の勝ち星となった。

 また、ツール初出場のMTN・クベカにとっても記念すべき初勝利となった。南アフリカ籍のチームにとって、7月18日は奇しくも元大統領であり、同国における全民族融和の象徴である故ネルソン・マンデラ氏97回目の誕生日。この日のために用意したスペシャルカラーのヘルメットを着用し、選手たちは躍動した。

 カミングスはレース後、「チームにとってツールを勝つこと自体ファンタスティックだというのに、“マンデラ・デー”を彩ったのだから本当に素晴らしい。勝てるとは思っていなかったし、私自身ツールのステージ優勝を果たした実感が湧いていない」とコメント。最終局面については、「上りではピノーらのペースに合わせる必要性は感じていなかった。最後の2kmですべての力を振り絞ってみたら、ピノーたちをキャッチできた。彼らが最終コーナーを慎重に入った一方で、私はトラック時代の経験を生かして攻めることができた」と振り返った。

ニバリとキンタナのアタック<写真・砂田弓弦>ニバリとキンタナのアタック<写真・砂田弓弦>

 一方のメーン集団は、ラ・クロワ・ヌーヴの上りに入って総合上位陣が勝負に打って出た。最初にアタックを試みたのはキンタナ。ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)がこれに反応し、フルームやアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)らが数秒差で追った。やがてフルームとコンタドール、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)がキンタナに合流したが、ニバリや総合2位につけるティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)が遅れ始めた。

 勾配が最も厳しくなる局面で、今度はコンタドールが脱落。先に遅れていたバルベルデにもかわされてしまった。フルームとキンタナのペースは落ちず、そのままフィニッシュ前へとやってきた。最後はスプリント勝負を演じ、フルームがキンタナに1秒先着。すでに19選手がゴールしており、ボーナスタイムも関係しない場面だったが、少しでもタイム差を広げようとの強い意識をフルームが見せた。

上りでのキンタナ、フルーム、コンタドール<写真・砂田弓弦>上りでのキンタナ、フルーム、コンタドール<写真・砂田弓弦>

 フルームはレース後のインタビューで、「キンタナは本当に強かった。ただ、私は追いつく自信があったので、一定ペースで上ることを意識した」と述べた。さらに、レース中に観客から「ドーピング野郎」と罵られ、尿入りのコップを顔にめがけて投げつけられたことを打ち明けた。これに対し「プロトン全体に対する侮辱的行為だ。何としてもパリまで戦うつもりだ」と話し、毅然とした態度でレースを続けることを誓った。

 19日の第15ステージは、マンドからヴァランスまでの183km。前半から中盤にかけてカテゴリー山岳が4つ控えるが、後半はダウンヒルと平坦で構成されることから、スプリントステージになることが予想されている。スプリンターにとって、このステージを逃すと次なるチャンスは最終日の第21ステージまでお預けとなることから、何としても勝負に持ち込みたいところだ。強力スプリンターを抱えるチームがレースをコントロールすることだろう。

(文 福光俊介/写真 砂田弓弦、柄沢亜希)

第14ステージ結果
1 スティーヴン・カミングス(イギリス、MTN・クベカ) 4時間23分43秒
2 ティボ・ピノー(フランス、エフデジ) +2秒
3 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +3秒
4 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ) +20秒
5 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) +29秒
6 シリル・ゴティエ(フランス、チーム ヨーロッパカー) +32秒
7 ルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ) +32秒
8 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、トレック ファクトリーレーシング) +32秒
9 ホナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター チーム) +32秒
10 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ) +33秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 56時間2分19秒
2 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +3分10秒
3 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム) +3分32秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +4分2秒
5 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) +4分23秒
6 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ) +4分54秒
7 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) +6分23秒
8 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム) +8分17秒
9 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル) +8分23秒
10 バウケ・モレマ(オランダ、トレック ファクトリーレーシング) +8分53秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 322 pts
2 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 261 pts
3 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン) 228 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 61 pts
2 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、チーム カチューシャ) 52 pts
3 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム) 41 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 56時間5分29秒
2 ワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・アルペシン) +7分53秒
3 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +10分0秒

チーム総合
1 モビスター チーム 169時間24分33秒
2 チーム スカイ +13分54秒
3 ティンコフ・サクソ +30分28秒

敢闘賞
ピエールリュック・ペリション(フランス、ブルターニュ・セシェ アンヴィロヌマン)

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