ツール・ド・フランス2015 第11ステージ超級山岳トゥールマレーで抜け出したマイカが独走勝利 マイヨジョーヌはフルームがキープ

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 ツール・ド・フランス第11ステージは7月15日、ポーからコトレまでの188kmで争われ、レース後半の超級山岳トゥールマレー峠で逃げグループから抜け出したラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)が48kmを独走。今大会初勝利、ツール通算3勝目を挙げた。総合首位のマイヨジョーヌはクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)がキープ。総合上位陣の多くがフルームと同集団でフィニッシュしたが、前回王者のヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ プロチーム)はまたしても後れを喫した。

独走でステージ優勝を挙げたラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)<写真・砂田弓弦>独走でステージ優勝を挙げたラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)<写真・砂田弓弦>

 ピレネー山岳2日目となる第11ステージは、ツールではおなじみの街、ポーをスタート。緩やかな上り基調をしばらく進み、中間地点を越えた後の105km地点からこの日最初の上級山岳、1級のアスパン峠の上りへ。12kmを上ったのち一旦下り、このステージ最大の難所であるトゥールマレー峠へと進んでゆく。

 大会史上80回目の登頂となるトゥールマレー峠は、17.1kmの上り。山頂の標高2115m地点には、超級山岳ポイントのほかツール第2代開催委員長の名を冠した「ジャック・ゴデ賞」を設定。1位通過した選手には、5000ユーロ(約68万円)の賞金が授与される。その後は31kmのダウンヒルを経て、コトレのフィニッシュ地点を目指す。ラスト約10kmは勾配5%ほどの上りをこなすこととなる。

 レース序盤は、世界チャンピオンの証であるマイヨ・アルカンシエルを着るミハウ・クフィアトコフスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)ら4選手が逃げを試みた。少しずつ逃げの人数を増やしながら進んでいき、56.5km地点の中間スプリントポイントへ。

 マッテーオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ)が1位となり、続いてポイント賞争いで2位につけているペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)が通過。17ポイントを獲得した一方、マイヨヴェールを着用するアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)は9位通過、7ポイントの獲得にとどまった。これにより、サガンが7ポイントのリードでマイヨヴェール奪還に成功した。

アスパン峠を下るニバリ<写真・砂田弓弦>アスパン峠を下るニバリ<写真・砂田弓弦>

 慌ただしかった序盤の動きが収まり、再び逃げ狙いの選手が続々と先を急いだ。最大で22人に膨らんだ先頭集団だったが、やがて7人に絞られた。

 メンバーは、マイカ、アルノー・デマール(フランス、エフデジ)、スティーヴ・モラビト(スイス、エフデジ)、トマ・ヴォクレール(フランス、チーム ヨーロッパカー)、ジュリアン・シモン(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ)、エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・アルゴン 18)、セルジュ・パウェルス(ベルギー、MTN・クベカ)。さらに、追走を図った選手の中から、ダニエル・マーティン(アイルランド、チーム キャノンデール・ガーミン)が合流。8人の逃げグループが形成された。

 117km地点、1級山岳アスパン峠の頂上は数選手によるスプリントをマーティンが制して1位通過。総合では30位と上位進出が難しい状況とあって、狙いを山岳賞に定めたかに思える動きを見せた。

 メーン集団は逃げる8人に対し、7分前後のタイム差を維持。マイヨジョーヌのフルーム擁するチーム スカイが集団のペースをコントロールするが、積極的に追う姿勢は見せず、逃げグループを容認する形をとった。

 快調に飛ばす逃げグループは、注目のトゥールマレー峠へ。コンスタントに10%前後の勾配が続く上りを先へと急ぐ。すると、上り始めて7kmほど進んだあたりでマイカがペースアップ。急激なスピードの切り替えに対応できる選手は現れず、マイカの独走が始まった。この段階でフィニッシュまで48kmの距離が残されていた。

 淡々と上り続けたマイカは、147km地点に設けられた超級山岳ポイントを労せず1位通過。25ポイントを確保すると同時に、ジャック・ゴデ賞の獲得も決めた。続くダウンヒルも危なげなくクリアし、あとはゴールを目指すのみとなった。

トゥールマレー峠を行くトマ・ヴォクレール(フランス、チーム ヨーロッパカー)<写真・砂田弓弦>トゥールマレー峠を行くトマ・ヴォクレール(フランス、チーム ヨーロッパカー)<写真・砂田弓弦>

 マイカから遅れた選手たちに続き、メーン集団もトゥールマレーの頂上へ。この間、チーム スカイのほかニバリ率いるアスタナ プロチームも集団牽引に加わった。わずかにマイカとのが縮まったが、それでも6分以上の差があり、有力選手はいずれもステージ勝利よりライバルとの差を意識していることをうかがわせた。

 トゥールマレーの下りで追走のパウェルス、マーティンにタイム差を縮められたマイカだったが、終盤の上りで再び差を広げ、独走のままフィニッシュへと向かった。昨年のツールでは、山岳ステージで2勝を挙げ、山岳賞のマイヨアポワを獲得する大活躍。そのときの勢いを彷彿とさせる独走劇で、通算3勝目を挙げた。

ステージ2位、そして敢闘賞を獲得したダニエル・マーティン(アイルランド、チーム キャノンデール・ガーミン)<写真・砂田弓弦>ステージ2位、そして敢闘賞を獲得したダニエル・マーティン(アイルランド、チーム キャノンデール・ガーミン)<写真・砂田弓弦>

 ティンコフ・サクソは休息日の13日、イヴァン・バッソ(イタリア)が精巣がんを患っていることが発覚。2日後のこの日のステージでは、ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア)が落車負傷でリタイアと、思わぬ形でベテラン2人を失ってしまった。さらに、絶対的エースのアルベルト・コンタドール(スペイン)が苦戦を強いられ、チーム内での暗い話題が続いていたが、それをかき消すマイカの好走だった。

 フィニッシュ後のインタビューでは、「メーン集団に対し45秒リードした時点で、そのまま逃げ続けるよう指示があった」とコメント。さらに、「今日の勝利は多くのサポートとエネルギーを与えてくれる妻や家族に捧げたい。また、バッソやベンナーティが大会を去ってしまったことは残念だが、この勝利でチームの士気を高めることができそうだ」と続けた。マイヨアポワ2連覇を目指すかとの質問には、「大会前から多くの人に聞かれているのだが、まずはコンタドールのアシストを優先する」と述べた。

 後続は、マーティンが今大会2度目の2位。ドイツチャンピオンジャージを着る弱冠22歳、ブッフマンが3位と健闘。終盤までマイカを追い続けたパウェルスは、最後の上りでペースダウンし4位に終わった。

 メーン集団は総合上位陣を中心に、スカイの先導でフィニッシュを目指した。残り4kmでのバウケ・モレマ(オランダ、トレック ファクトリーレーシング)のアタックをきっかけにペースが上がると、ニバリが失速。前日の第10ステージに続き、2日連続でタイムを失うこととなってしまった。

 マイカのゴールから5分11秒差でモレマがステージ7位。8秒差でアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)、さらに2秒差でフルームやコンタドールら総合上位陣がなだれ込むようにフィニッシュ。ニバリはさらに50秒遅れた。

ステージ3位のエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・アルゴン 18)。ゴール後、路上に座り込む<写真・柄沢亜希>ステージ3位のエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・アルゴン 18)。ゴール後、路上に座り込む<写真・柄沢亜希>

 総合首位のフルームは、ポートやゲラント・トーマス(イギリス)らのアシストもあり、トラブルなく1日を終えた。レース後のインタビューでは「前日とは違う意味でのハードステージだった。暑さに加え、スタートから2時間は高速で進み、いかにエネルギーを消耗させないかが重要だった。序盤こそエキサイティングなレースだったのに、テレビ中継でお見せできなかったことが残念だね」と、冗談を交えながらレースを振り返った。

 翌日の第12ステージに向けては、「(頂上ゴールの)プラトー・ド・ベイユで決定的な動きがあるだろうし、タフな上りになることだろう」と、厳しい戦いを前に気を引き締めた。

 このステージでは、トゥールマレー峠でも33度を記録する暑さに見舞われた。落車負傷も含めると、今大会最大の6選手が途中リタイア。過酷なコンディションに苦しむ選手が続出している。

 16日はピレネー最終日となる第12ステージ(195km)が行われる。ラヌムザンをスタートすると、20km地点に中間スプリントポイントが控える。その後は、2級、1級、1級とカテゴリー山岳が続き、最後は超級山岳プラトー・ド・ベイユの山頂へ。プラトー・ド・ベイユは登坂距離15.8km、平均勾配7.9%。これまで多くの名勝負が生まれた上りだけに、今回も一波乱起きる可能性が秘めている。

(文 福光俊介/写真 砂田弓弦、柄沢亜希)

第11ステージ結果
1 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) 5時間2分1秒
2 ダニエル・マーティン(アイルランド、チーム キャノンデール・ガーミン) +1分0秒
3 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・アルゴン 18) +1分23秒
4 セルジュ・パウェルス(ベルギー、MTN・クベカ) +2分8秒
5 トマ・ヴォクレール(フランス、チーム ヨーロッパカー) +3分34秒
6 ジュリアン・シモン(フランス、コフィディス ソリュシオンクレディ) +3分34秒
7 バウケ・モレマ(オランダ、トレック ファクトリーレーシング) +5分11秒
8 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +5分19秒
9 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +5分21秒
10 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) +5分21秒

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 41時間3分31秒
2 ティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMC レーシングチーム) +2分52秒
3 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +3分9秒
4 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +3分59秒
5 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ) +4分3秒
6 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) +4分4秒
7 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル) +4分33秒
8 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、チーム ロットNL・ユンボ) +4分35秒
9 ワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・アルペシン) +6分44秒
10 バウケ・モレマ(オランダ、トレック ファクトリーレーシング) +7分5秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 239 pts
2 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 232 pts
3 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、チーム ジャイアント・アルペシン) 184 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) 57 pts
2 リッチー・ポート(オーストラリア、チーム スカイ) 40 pts
3 ラファウ・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) 32 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 41時間6分40秒
2 ワレン・バルギル(フランス、チーム ジャイアント・アルペシン) +3分35秒
3 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +18分58秒

チーム総合
1 チーム スカイ 124時間30分54秒
2 モビスター チーム +2分46秒
3 ティンコフ・サクソ +5分29秒

敢闘賞
ダニエル・マーティン(アイルランド、チーム キャノンデール・ガーミン)

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