ツール・ド・フランス2015レポート<番外編>レンタカーを借りられない…取材の出発地でピンチ! トラブル転じてメルセデス・ベンツ

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成田空港からフランクフルト空港まで記者を運んでくれたボーイング747-400 (柄沢亜希撮影)成田空港からフランクフルト空港まで記者を運んでくれたボーイング747-400 (柄沢亜希撮影)

 長旅にトラブルはつきもの、それをいかに乗り越えて楽しむかが“旅力”なのかも――今年7月、「ツール・ド・フランス」を取材する旅で、記者にとって最大のトラブルは、ヨーロッパに着いてすぐにやってきた。日本で予約しておいたレンタカーが、オランダ・アムステルダムの空港で借りられなかったことだ。

予測不能だった落とし穴

 成田からフランクフルト経由でアムステルダムへ、乗り継ぎを含め13時間ほどのフライトを終え、スキポール空港のレンタカー会社のカウンターで手続きを始めると、日本での予約時に登録したクレジットカードがこの会社では使用できないと言われた。理由は、「デビットカードだから。デビットカードは、犯罪防止の目的で使用不可」とのこと。スキポール空港内で他のレンタカー会社の窓口を回ったが、同様に、持参したクレジットカードは「使用できない」の答えが返ってきた。

 記者は交通系ICカード付きのクレジットカードを利用し、日々の使用時にマイルを貯めているが、そのチャージ機能がデビットカード扱いとなってしまったようだ。これまでの海外使用で、自動券売機を含めどの場面でも問題がなかっただけに、予測不能のトラブルだった。何より腑に落ちなかったのが、今回のレンタカー予約に際しても、同クレジットカード番号を用いて完了していたことだ。

 ツール・ド・フランス取材でクルマがないと、何もできないに等しい。精神的にパニックに陥り、一時は新車購入まで頭をよぎったが、落ち着いてオンライン決済が可能なレンタカーを探したところ、ドイツのレンタカー会社「Sixt」のユトレヒト営業所で手配できることがわかった。「5シーターのオペル・アストラ“または同等の車種”」という条件で予約し、クルマを受け取りに行った。

「クルマが替わってしまうけど…いい?」

 しかし、25日間と長期の利用である上に、記者が保持する国際運転免許証はオートマ車限定のため、車種の選択肢はあまりない。営業所のスタッフが「オートマ車が少なくてクルマが替わってしまうけど、いいかな?」と切り出した。「乗れるならなんでも!」と答えると、「Cクラスだよ」と言いながらキーを渡された。メルセデス・ベンツだった。

ツール・ド・フランス第2ステージのフィニッシュ地点、オランダ・ゼーラントのメディア向け駐車場にて。雨上がりの空が車体に映り美しく輝いた(2015年7月5日)ツール・ド・フランス第2ステージのフィニッシュ地点、オランダ・ゼーラントのメディア向け駐車場にて。雨上がりの空が車体に映り美しく輝いた(2015年7月5日)

 メルセデス・ベンツが高級車であることは、欧州でも日本と変わりない。青みがかったシルバーの車体は存在感たっぷり、内装はゆったり。シートの座り心地は上々だ。大型ディスプレイのカーナビは、これまで記者が日本で利用してきたタッチパネル式とは異なり、運転席と助手席との間に設けられたコントローラーで行う仕組みだった。

ぎっしり詰まったテクノロジー

 コントローラー部分の上面は手書き文字を認識するシステムで、例えば英字で「P」「A」――と書くと、認識された文字から始まる町名「PAU(ポー)」などがリスト表示されてくる。上下左右に優しくなぞってリストから選択することもできるし、丸いダイヤルを回して選ぶこともできる。

 ダイヤルは地図の拡大・縮小機能も果たし、これがとっさに確認する際には本当に便利。タッチパネル式やボタン式よりも直感的に操作できるし、グイッと瞬時に変わる縮尺が見やすい。

 ナビゲーション機能は英語で利用した。指示はとてもわかりやすく、特にラウンドアバウト(円形交差点)など、欧州特有の道路事情に遭遇しても迷いなく進むことができた。

カーナビのディスプレイ(上部)は大きめ。文字は手書きパッド(右下)を利用して入力できるカーナビのディスプレイ(上部)は大きめ。文字は手書きパッド(右下)を利用して入力できる
カーナビの拡大・縮小やリスト選択などを行うダイヤルカーナビの拡大・縮小やリスト選択などを行うダイヤル
クルーズコントロールとスピードリミットの設定はこのレバーで行うクルーズコントロールとスピードリミットの設定はこのレバーで行う

 また、一定の速度で走行させられる「クルーズコントロール」も重宝した。フランスの高速道路は基本的に制限速度130kmで、その分アクセルを踏みつつけるのは結構つらい。クルーズコントロール作動中は、たまに足首の運動もできた。操作はウインカーレバーの下にもうひとつあるレバーで行い、大きくレバーを動かせば10km単位、そっと動かせば1km単位で速度を設定できる。

 カーナビのディスプレイに表示されるバックモニターも、見やすく優秀だった。小さなアジア人女性が運転するメルセデスがバックする際、居合わせた心優しい男性たちは「俺を信じてくれ!」とばかりに笑顔でガイドをしてくれたが、実は全部見えていた。

パークアシスト作動を問うインパネのディスプレイ表示パークアシスト作動を問うインパネのディスプレイ表示

 また縦列駐車をしようとした際に、画面に「パークアシスト」の作動を問う表示が現れた。てっきり「もっと右へ」といった音声でサポートされると思い、作動「OK」を選択すると、ハンドルがグイッと勝手に動いた!? あわててハンドルをしっかり押さえると、アシストは自動で解除された。日本では利用したことがなかった機能なだけに驚き、タイトな縦列駐車が多い欧州にぴったりな機能だと感心した。

“愛車”をスマートに返却

長距離移動は高速道路だけでなくヒマワリ畑やワイン畑の間を行くこともある長距離移動は高速道路だけでなくヒマワリ畑やワイン畑の間を行くこともある

 丘を越えて見渡す畑や、集落に近づくと見えてくる教会の尖塔、一面に広がるヒマワリ畑の道、山々を見渡せる峠道――どれもフランスのすてきなドライブ風景だ。そして、このCクラスで走るなら、高速道路の単純な風景も悪くない。

 ツール・ド・フランスの取材予定を完遂し、さらに仏南西部のミディ・ピレネー地域を訪問して、25日間・4943kmのドライブを終え、同地域の県庁所在地トゥールーズで“愛車”を返却した――すでに愛車として愛着が湧いてきたころだった。

初めての土地での運転では、高品質・高性能のメルセデス・ベンツ Cクラスから自信をもらうこともあった初めての土地での運転では、高品質・高性能のメルセデス・ベンツ Cクラスから自信をもらうこともあった

 Sixtの返却場所は、駅に併設する立体駐車場に設けられていた。同社のロゴがペイントされた駐車スペースにクルマを停めると、ロゴと同じオレンジ色の制服を着たスタッフが寄ってきた。そう、窓口に立ち寄らずとも返却できるスマートなシステムなのだ。

 スタッフは走行距離、車体のキズなどを調べる。記者のクルマには、2カ所にキズがあった。ひとつは知らぬ間につけられたもの、もうひとつは、路面の突起に気付かず走行してしまったときにできたキズだ。

 しかし親切な女性スタッフは「大丈夫よ、フルプロテクションに契約しているから、請求が発生することはないはず。何があるかわからないからプロテクションの加入はおすすめね」とささやいた。加入していたことに胸をなでおろした。

 最後は、スタッフのスマホに指でサインをしてすべて完了。所要時間は5分程度だった。メルセデス・ベンツ Cクラスに乗れた幸運を胸に、次の目的地への電車のホームに向かった。

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